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ファクタリングの審査基準|見られる項目・落ちる理由・通過のための準備

最終更新 公開 約22分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • ファクタリングの審査で最も重く見られるのは、売掛先(請求書の支払元)が期日に支払えるかという信用力と、売る債権が本当に存在するかという実在性の2点である。
  • 当サイトが2026年9月18日に公式サイトを確認した事業者向けファクタリング65サービスのうち、少なくとも16サービスは、売掛先を法人などに限るか、一般消費者や個人事業主あての債権を対象外としている。
  • 必要書類を公表している51サービスのうち48サービスが請求書などの売掛金の資料を、42サービスが通帳または入出金明細を求める一方、決算書・確定申告書を挙げるのは30サービスにとどまる。
  • 65サービスのうち24サービスは開業・創業直後でも申し込めると公式サイトに記載しており、税金の滞納の扱いは「申込不可」と「審査のうえ申込可能」に分かれる。
  • 審査を通すために架空の請求書を使ったり書類を改ざんしたりすると、詐欺罪(刑法246条、10年以下の拘禁刑)や私文書偽造罪(刑法159条)に当たり得る。
早わかり表
審査の中心売掛先の信用力と、債権の実在性(本当にある債権か)
よく求められる書類請求書など売掛金の資料(51件中48件)、通帳・入出金明細(同42件)、本人確認書類(同30件)
決算書・確定申告書必要書類に挙げるのは51件中30件。21件は一覧に含めていない
売掛先の条件65件中16件以上が、売掛先を法人などに限るか個人あてを対象外と記載
業歴65件中24件が「開業・創業直後でも申込可」と記載
期日を過ぎた債権65件中10件が支払遅延中・期日経過の債権を対象外と明記
虚偽申告詐欺罪(刑法246条)、私文書偽造罪(同159条)などに当たり得る
集計の確認日2026年9月18日(当サイト会社DB。各社公式サイトの記載による)
目次
  1. ファクタリングの審査とは?融資の審査との違い
  2. 審査で見られる3つの項目は?
  3. 売掛先の信用力はどう見られる?
  4. 債権の実在性はどう確認される?
  5. 申込者について見られることは?
  6. 2社間と3社間で審査はどう違う?
  7. 審査に落ちる主な理由は?
  8. 審査に通るための準備は?
  9. 「審査なし」「審査が甘い」をうたう業者に注意
  10. 審査・書類・申込みの記事一覧

ファクタリングの審査で最も重く見られるのは、売掛先(請求書の支払元)が支払期日に払えるかという「売掛先の信用力」と、売る債権が本当に存在するかという「債権の実在性」の2点です。申込者の決算内容や業歴も確認されますが、当サイトが集計した65サービスのうち24サービスは、開業・創業直後でも申し込めると公式サイトに記載していました。この記事では、会社DBの集計をもとに、審査で見られる項目、落ちる理由、通過のための準備を整理します。

ファクタリングの審査とは?融資の審査との違い

ファクタリングの審査は、申込者にお金を貸せるかではなく、申込者が持つ売掛債権を買えるかを判断する手続きです。金融庁は、ファクタリングを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています[1]。

債権を買い取ったファクタリング会社は、売掛先から代金を回収して初めて利益を得ます。償還請求権のない契約(ノンリコース)では、売掛先が払わなかったときの損失はファクタリング会社が負います。そのため審査の重心は、申込者の返済能力ではなく、売掛先の支払能力と債権そのものに置かれます。

比べる点 ファクタリングの審査 融資(借入れ)の審査
取引の性質 債権の売買(債権譲渡)[1] お金の貸し借り
主に見られる相手 売掛先の信用力と、債権の実在性 借り手本人の返済能力
審査結果が反映されるもの 買い取るか、手数料率、掛け目 貸すか、金利、融資額
申込者の決算書 必要書類を公表する51件中21件は一覧に含めていない 中心的な判断材料

審査の流れと、段階ごとに求められる書類

ファクタリングの審査は、書類の少ない「仮審査」から始まり、条件の提示を経て「本審査・契約」へ進む形が一般的です。当サイトの集計では、少なくとも7サービスが、審査のときと契約のときで提出書類を分けて案内していました。

  1. 申込み・仮審査:請求書と通帳(入出金明細)で、売掛先と入金実績を確認します。トップ・マネジメントは、審査時間を「必要書類をご提出後、最短30分」と記載しています[28]。
  2. 見積り(条件の提示):買取額、手数料、掛け目が示されます。OLTAは、書類が不備なくそろってから24時間(1営業日)以内に見積り結果を回答すると案内しています[29]。
  3. 本審査・面談:契約書・発注書などの成因資料や、決算書を追加で確認します。面談をオンラインで行う会社もあります。
  4. 契約:必要書類を公表する51サービスのうち、登記事項証明書を挙げるのが16件、印鑑証明書が16件、納税証明書が9件でした。
  5. 入金:契約後に振り込まれます。当日中に入金されるかは、手続きの時刻と銀行振込の時間帯で決まります。

審査で見られる3つの項目は?

ファクタリングの審査で見られる項目は、①売掛先の信用力、②債権の実在性と確実性、③申込者の状況、の3つに整理できます。日本中小企業金融サポート機構は、手数料が「売掛金の金額、入金予定日までの期間、売掛先の信用力、契約方法など」で変動すると公式サイトに記載しています[10]。

次の表は、3つの項目と確認に使われる書類を対応させたものです。右端の列は、必要書類を公表している51サービスのうち、その書類を挙げているサービスの数です。

審査の項目 主な確認内容 確認に使われる主な書類 書類を挙げるサービス数(51件中)
①売掛先の信用力 法人か個人か、継続した取引と入金の実績、支払期日までの日数 通帳・入出金明細、取引基本契約書 通帳・入出金明細42件、取引基本契約書7件
②債権の実在性・確実性 取引が実在するか、金額と支払期日が確定しているか、他社に譲渡していないか 請求書、発注書・契約書・納品書などの成因資料 請求書など売掛金の資料48件
③申込者の状況 本人確認、業歴、税金の滞納、法人の登記内容 本人確認書類、決算書・確定申告書、納税証明書、登記事項証明書 本人確認書類30件、決算書・確定申告書30件、登記事項証明書16件、納税証明書9件

請求書を挙げるサービスが51件中48件あるのに対し、決算書・確定申告書を挙げるのは30件です。請求書を挙げていない3件は、いずれも介護報酬などの特化型で、申込書や事業所の指定通知書などを挙げていました。この差は、審査の重心が申込者の財務よりも、売掛先と債権にあることを示しています。

では、審査結果は手取り額にどう影響する?

審査結果は、買い取るかどうかだけでなく、掛け目と手数料率を通じて手取り額に反映されます。PMGは掛け目を「通常は97~92%」とし、売掛先の与信力で変動すると説明しています[17]。三共サービスは掛け目を通常70〜80%程度とし、掛け目の外の部分は留保金として回収後に振り込む方式です[26]。

掛け目を使わない会社もあります。手数料の水準は、各社の公表値を集計した「ファクタリング手数料の相場」で確認できます。自分の条件での手取り額は手数料計算ツールで試算できます。

では、見積り(審査結果)のどこを確認する?

見積りでは、手数料率だけでなく、契約時にいくら入金され、残りがいつ精算されるかを確認してください。次の6項目がそろっていない見積りは、条件を比べられません。

確認する項目 見るポイント
買取額と掛け目 額面の何%が契約時に入金されるか。留保金の精算日はいつか
手数料率と手数料額 額面に対する率か、買取額に対する率か
手数料以外の費用 登記費用、事務手数料、振込手数料、印紙代の有無
償還請求権 売掛先が払わなかったとき、申込者に支払義務が残るか
債権譲渡の通知・登記 売掛先への通知や債権譲渡登記をするか
入金日 契約後いつ振り込まれるか

見積書の比べ方は「相見積もりのやり方」、契約書の確認は「契約書のチェックポイント」で解説しています。

では、診療報酬・介護報酬の場合は?

診療報酬・介護報酬のファクタリングでは、支払元が医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(2026年10月1日に社会保険診療報酬支払基金から移行)や国民健康保険団体連合会(国保連)などの公的な支払機関です。そのため審査では、売掛先の信用力よりも、事業所が保険の指定を受けているか、毎月の請求と支払の実績があるかが確認されます。当サイトの集計では、事業所の指定通知書を必要書類に挙げるのが6件、支払額決定通知書(支払決定額通知書)を挙げるのが6件でした。

診療報酬は、診療月の翌月10日までに請求し、診療月の翌々月の原則21日までに振り込まれます(医療情報基盤・診療報酬審査支払機構)[34]。社会保険分の診療報酬の債権譲渡通知は、2026年10月1日以降、同機構(東京都江東区豊洲)の事業資金管理部資金管理課債権管理係に送ります[35]。詳しくは「診療報酬ファクタリング」「介護報酬ファクタリング」を参照してください。

では、建設業やIT業などで請求書を出す前の場合は?

工事や制作の途中で請求書をまだ出していない場合は、注文書(発注書)で審査する方式があります。当サイトの集計では、必要書類を公表する51サービスのうち16件が、注文書・発注書を審査書類に挙げていました。建設Payは、工事の着手前に発行される注文書だけで契約できるファクタリングを案内しています[36]。

注文書で審査する場合は、申込者の条件が厳しくなる例があります。ペイブリッジは、見積書・発注書などで審査する場合の利用者を、設立半年以上・月商500万円以上の法人に限っています[23]。仕組みとリスクは「注文書ファクタリングとは」で解説しています。

売掛先の信用力はどう見られる?

売掛先の信用力の審査では、売掛先が法人か、継続した取引と入金の実績があるか、支払期日まで何日あるか、の3点が見られます。

売掛先が法人か、個人か

当サイトの集計では、65サービスのうち少なくとも16サービスが、売掛先の範囲を公式サイトで限定していました。売掛先を法人などに限るか、一般消費者や個人事業主あての債権を対象外とする記載です。たとえばOLTAは、買取対象を「日本国内に登記がある法人または公的機関宛の確定債権」としています[11]。ビートレーディングは、給与債権・不良債権・売掛先が個人事業主の売掛金は買い取らないと明記しています[13]。

では、売掛先が個人事業主の場合は?

売掛先が個人事業主でも、対象にするサービスはあります。ペイトナーは、取引先が法人または個人事業主の請求書を対象とし、一般消費者あては対象外としています[14]。売掛先が個人事業主の場合は、申込前に公式サイトで「個人事業主あて」が対象かを確認してください。

取引の継続性と入金の実績

売掛先との取引が続いていて、過去に入金された実績があるかも見られます。AGビジネスサポートは、対象を「継続的に取引のある国内法人企業」の債権とし、過去に1度でも入金実績のある売掛先の債権に限っています[15]。オッティは、売掛先との取引が継続して6か月以上あり、売掛先の信用情報に問題がなければ資金調達が可能と記載しています[16]。

では、初めての取引先の請求書は?

初めての取引先の請求書は、通帳で入金実績を示せません。この場合は、取引基本契約書、発注書、納品書・検収書など、取引の実在と条件を示す書類で補うことになります。入金実績を条件にする会社(例:AGビジネスサポート[15])では対象外になるため、申込先の条件を先に確認してください。

支払期日までの日数

支払期日までの日数に上限を設けるサービスもあります。当サイトの集計では、9サービスが上限を公式サイトに記載しており、短いもので70日以内、長いもので180日以内でした。上限の具体例は「ファクタリングに使える請求書の条件と書き方」にまとめています。

では、支払期日までの日数はどう数える?

日数は、申込日から請求書の支払期日までを暦日で数えて、申込先の上限と照らします。次の表は、申込日を2026年10月1日とし、民法140条の初日不算入(初日を数えない)にならって翌日から数えた仮定の例です[4]。

請求書の支払期日 申込日からの日数 上限70日の会社 上限180日の会社
2026年11月30日 60日 対象 対象
2026年12月10日 70日 対象(上限ちょうど) 対象
2026年12月31日 91日 対象外 対象
2027年3月31日 181日 対象外 対象外

「6か月以内」と「180日以内」は同じではありません。2026年10月1日の6か月後は2027年4月1日ですが、2027年3月31日は181日目で、「180日以内」を1日超えます。下限を設ける会社もあり、OLTAは入金期日が申込日から6営業日以上かつ6か月以内の債権を対象としています[11]。上限や下限に近い債権は、数え方を申込前に確認してください。

債権の実在性はどう確認される?

債権の実在性は、請求書と、発注書・契約書・納品書などの成因資料(取引の原因を示す書類)、通帳の入金履歴を突き合わせて確認されます。当サイトの集計では、必要書類を公表している51サービスのうち48件が請求書などの売掛金の資料を、42件が通帳または入出金明細を挙げていました。

どの書類で何が確かめられるか

書類 確かめられること 食い違うと疑われる点
請求書 宛先(売掛先)、金額、支払期日、振込先 宛名と入金元の名義が違う、期日が契約と違う
発注書・契約書 取引の原因、単価、支払条件、譲渡制限特約の有無 請求金額が発注金額を超えている
納品書・検収書 納品や役務の提供が終わっていること 検収前の請求で、金額が確定していない
通帳・入出金明細 同じ売掛先から過去に入金があるか 入金履歴がない、入金額が請求額と大きく違う
取引基本契約書 継続的な取引の有無、支払サイト 契約期間が切れている

入出金明細の範囲を広く求める会社もあります。OLTAは「すべての事業用銀行口座」の直近4か月分の入出金明細を[30]、QuQuMoは「保有する全銀行口座」の直近3か月分を必要書類に挙げています[31]。売掛先からの入金口座が複数ある場合は、すべての口座の明細を用意してください。

金額と支払期日が確定しているか

金額と支払期日が確定した債権だけを対象にする会社が一般的です。AGビジネスサポートは、請求金額と入金日が確定した請求書に限っています[15]。納品前・検収前の取引は、注文書ファクタリングという別の形になります。

ほかに譲渡されていないか

同じ債権がすでに他社へ売られていないかも確認されます。債権が二重に譲渡された場合、譲受人(買った側)同士の優劣は、確定日付のある通知が売掛先に届いた日時などの先後で決まります(最高裁昭和49年3月7日判決)[6]。後から買った会社は回収できないおそれがあるため、ファクタリング会社はこの点を慎重に見ます。BASEは、他社のファクタリングで買い取り済みの請求書は利用できないとしています[19]。

法人の債権譲渡登記の有無は、概要記録事項証明書(1通300円)などで誰でも確認できます[8]。

では、譲渡制限特約があったら?

売掛先との契約に譲渡を禁止・制限する特約(譲渡制限特約)があっても、債権の譲渡は効力を妨げられません(民法466条2項)[4]。ただし、特約を知っていた、または重大な過失で知らなかった譲受人に対しては、売掛先は支払を拒めます(同条3項)[4]。

債権譲渡の原因となる契約が改正民法の施行日(2020年4月1日)より前にされた場合は、改正前の民法が適用されます[4]。GMO BtoB早払いのように、譲渡禁止の債権も買取対象と公式に記載する会社もあります[18]。詳しくは「譲渡禁止特約がある売掛金もファクタリングできる?」で解説しています。

申込者について見られることは?

申込者については、業歴、税金の滞納、法人か個人事業主か、反社会的勢力との関係がないか、が確認されます。どこまで重視するかは会社によって大きく違うため、公式サイトの条件を1社ずつ確認する必要があります。

業歴:開業直後でも申し込めるか

当サイトの集計では、65サービスのうち24サービスが、開業・創業直後でも申し込めると公式サイトに記載していました。一方で、業歴や取引期間、売上規模の目安を示す会社もあります。

サービス 公式サイトに記載された目安(要旨)
オリックス(診療・介護・調剤報酬) 設立3年以上で、税金・社会保険料に未納がない法人[20]
りそな決済サービス(診療・介護報酬) 国保連・社保への請求と回収の実績が3か月以上[21]
OLTA 事業用口座の入出金履歴が4か月以上[12]
オッティ 売掛先との取引が継続して6か月以上[16]
JTC 年商7,000万円以上の企業[22]
ペイブリッジ 見積書・発注書などで審査する場合は、設立半年以上・月商500万円以上の法人[23]

開業したばかりの場合の注意点は「創業・開業したばかりでもファクタリングは使える?」で解説しています。

税金の滞納・赤字決算

税金の滞納の扱いは、会社によって分かれます。必要書類を公表する51サービスのうち、納税証明書を挙げるのは9件でした。

サービス 税金の滞納などの扱い(公式サイトの記載の要旨)
三菱UFJファクター(診療報酬早期受取) 税金・社会保険料等の滞納がある場合は申込不可。赤字決算・債務超過でも申込可能[24]
GMO BtoB早払い 税金・社会保険料の未納があり、分納の手続きをしていない場合は買取不可[18]
オリックス(診療・介護・調剤報酬) 税金・社会保険料に未納がない法人が対象[20]
アクリーティブ(診療・介護報酬) 税金・社会保険の滞納や債務超過・赤字決算でも申込可能(審査あり)[25]

赤字決算や税金滞納がある場合の考え方は、「赤字決算・税金滞納でもファクタリングは使える?」で詳しく解説しています。

法人と個人事業主で違うこと

法人と個人事業主では、提出書類と使える仕組みが違います。

比べる点 法人 個人事業主
申込めるサービス 法人のみと記載するサービスが少なくとも9件 法人のみのサービスは使えない
事業の実在を示す書類 登記事項証明書(51件中16件が挙げる) 開業届、確定申告書
財務の書類 決算書 確定申告書(青色申告決算書・収支内訳書)
債権譲渡登記 利用できる 利用できない(譲渡人は法人に限る)[7]
第三者への対抗要件 登記か、確定日付のある通知・承諾 確定日付のある通知か承諾に限られ、その時点で売掛先に知られる(民法467条2項)[4]

個人事業主向けの注意点は「個人事業主・フリーランスのファクタリング」を参照してください。

反社会的勢力との関係

政府の犯罪対策閣僚会議幹事会は、2007年6月19日に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を申し合わせました。この指針は、企業に反社会的勢力との関係遮断を求めています[9]。ファクタリングの契約でも、反社会的勢力でないことの表明や確認を求められることがあります。

では、信用情報(借入やカードの履歴)は見られる?

信用情報機関への照会をしないと公式サイトに明記するファクタリング会社があります。たとえばラボルは、「信用情報に照会しない独自の審査」と記載しています[38]。これは、ファクタリングが債権の売買であり[1]、審査の重心が申込者の借入履歴ではなく売掛先と債権にあることと整合します。

ただし、すべての会社が照会の有無を公表しているわけではありません。信用情報が気になる場合は、申込前に「信用情報機関に照会するか」を問い合わせて確認してください。銀行融資の審査との違いは「銀行融資とファクタリングの審査の違い」で解説しています。

では、「審査通過率」は会社選びの目安になる?

審査通過率は、会社選びの目安にはしにくい数字です。ファクタリングの審査通過率を集計した公的な統計はなく、公表されているのは各社の自社表示だけです。たとえばトラストゲートウェイは「審査通過率 93.8%(直近30日平均)」と表示していますが、分母にどの申込みを含めるかは同じページに書かれていません[39]。

通過率よりも、自分の債権が申込先の対象条件(売掛先の範囲、金額、支払期日までの日数)に入るかを先に確認するほうが確実です。AIによる審査をうたうサービスの仕組みは「オンライン・AI審査のファクタリング」で解説しています。

2社間と3社間で審査はどう違う?

3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得て、売掛先から直接回収するため、審査の中心は売掛先の信用力になります。2社間ファクタリングは申込者が売掛先から回収してファクタリング会社に渡すため、申込者が回収金を確実に渡すかも見られます。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのお金と債権の流れ 2社間では、利用者が債権を譲渡して代金を受け取り、売掛先から回収した代金をファクタリング会社へ送金する。3社間では、売掛先の承諾を得たうえで、売掛先がファクタリング会社へ直接支払う。 2社間ファクタリング 利用者 ファクタリング会社 売掛先 1 2 3 4 3社間ファクタリング 利用者 ファクタリング会社 売掛先 1 2 3 4

2社間

  1. 利用者が売掛債権をファクタリング会社に譲渡
  2. ファクタリング会社が手数料を差し引いた代金を入金
  3. 支払期日に売掛先が利用者へ支払う
  4. 利用者が回収した代金をファクタリング会社へ送金

3社間

  1. 利用者が売掛債権をファクタリング会社に譲渡
  2. 売掛先に譲渡を通知し、承諾を得る
  3. ファクタリング会社が手数料を差し引いた代金を入金
  4. 支払期日に売掛先がファクタリング会社へ直接支払う

債権・手続きの流れ お金の流れ

比べる点 2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
売掛先の関与 原則として関与しない 債権譲渡を承諾し、ファクタリング会社に直接支払う
審査で加わる確認 申込者が回収金を期日に引き渡すか 売掛先から承諾を得られるか
入金までの日数の例 書類がそろえば当日の例もある 承諾書類がもらえれば最短翌日[26]、数日〜1週間程度[27]

3社間は売掛先の手続きが入る分、日数がかかります。三共サービスは、売掛先から承諾書類をもらえる場合に最短翌日と記載しています[26]。ファクタープランは、3者間は取引先への通知・同意が必要なため、数日から1週間程度かかることがあると案内しています[27]。

違いの全体像は「2社間と3社間の違い」、売掛先に知られるかどうかは「ファクタリングは取引先にバレる?」で解説しています。

審査に落ちる主な理由は?

審査に落ちる主な理由は、債権が会社の対象外である、取引の実在を書類で示せない、売掛先の信用力が足りない、申込者側に支障がある、の4つに分けられます。理由によって次の一手が変わるため、否決されたときは理由を確かめてください。

否決の理由 典型的な例 考えられる次の一手
債権が対象外 売掛先が個人、支払期日まで長すぎる、期日を過ぎている、金額が下限未満 条件の違う会社を探す、対象の債権を選び直す
実在性を示せない 請求書と通帳の入金履歴が合わない、成因資料がない 契約書・発注書・納品書・入金履歴をそろえる
売掛先の信用力 売掛先の業歴が短い、初めての取引で入金実績がない 入金実績のある売掛先の債権を選ぶ、3社間を検討する
申込者側の支障 本人確認ができない、税金の滞納、同じ債権を他社に譲渡済み 滞納の解消や分納の手続き、状況の正直な説明

申込前の判断フロー

次の順に確認すると、申込先を選ぶ前に否決の理由をつぶせます。

  1. 売る債権の売掛先は、法人または公的機関か。→「いいえ」なら、個人事業主あてを受け付ける会社に絞る(少なくとも16サービスが売掛先の範囲を限定)。
  2. 金額と支払期日は確定し、検収も済んでいるか。→「いいえ」なら、注文書ファクタリングなどを検討する。
  3. 支払期日は過ぎていないか。→「過ぎている」なら、10サービスが対象外と明記。先に売掛先への督促を検討する(売掛先が支払遅延したら)。
  4. 支払期日までの日数は、申込先の上限(70日〜180日の例)以内か。→「いいえ」なら、期日の近い債権を選ぶ。
  5. 通帳に、同じ売掛先からの過去の入金履歴があるか。→「いいえ」なら、契約書・発注書・納品書で補う。
  6. 同じ債権を、ほかの会社に売っていないか。→「売っている」なら申し込めない。
  7. 税金の滞納はあるか。→「ある」なら、申込可否が会社で分かれるため、滞納の扱いを先に確認する。

否決された後の具体的な対処は「ファクタリングの審査に落ちたときの対処法」で、理由別に解説しています。

審査に通るための準備は?

審査に通るための準備は、取引の実在と入金の実績を、書類で矛盾なく示せるようにしておくことです。書類の一覧と入手先は「ファクタリングの必要書類一覧」にまとめています。

では、申込みは何社にすればよい?

条件を比べるために2〜3社から見積りを取り、契約は1社に絞るのが基本です。ファクタリング会社の株式会社JPSは、2025年9〜10月に利用経験のある経営者・役員118人を調査しました[37]。比較検討した社数は「2〜3社」が39.83%で最も多く、「比較していない」も22.88%いました[37]。この調査はファクタリング会社によるもので、回答者数も少ないため、傾向を見る参考にとどめてください。

同じ請求書で複数社と契約すると二重譲渡になります。見積りの段階で他社にも申し込んでいる場合は、契約する会社を決めた時点で、ほかの申込みを取り下げてください。

よくある失敗と回避策

よくある失敗 審査で起きること 回避策
請求書の宛名と、入金元の名義が違う 売掛先と入金の対応が確認できない 親会社経由の支払などの事情を説明する資料を用意する
売掛先からの入金が別の口座に入っている 提出した通帳に入金履歴が見当たらない 入金のある口座の明細も提出する
検収前の請求書で申し込む 金額が確定していないと判断される 検収書・納品書の日付を確認し、検収後に申し込む
複数社に同時に申し込み、同じ請求書で契約しかける 二重譲渡のおそれを疑われる 契約は1社に絞り、他社の申込みは取り下げる

「審査なし」「審査が甘い」をうたう業者に注意

売掛債権を買い取る以上、ファクタリング会社は債権と売掛先を確認します。「審査なし」「審査が甘い」「ブラックOK」といった広告は、条件の良さではなく、契約内容に問題がある可能性を疑うきっかけにしてください。

金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融の誘い文句として「借金ではありません」「ブラックOK」などを挙げ、注意を呼びかけています[3]。事業者向けでも、金融庁のリーフレットは、次の3つを偽装ファクタリングの被害が疑われる例として挙げています[2]。

  • 買取代金が債権額に比べて著しく低い、または高額な手数料が差し引かれる
  • 契約書に「売買契約」であることが定められていない
  • 回収できない場合に、売主の買戻しや、買取業者からの償還請求が行われることになっている

警察庁によると、2025年のヤミ金融事犯の相談受理件数は3,501件、検挙は550事件でした[33]。金融庁は、高額な手数料を支払うと「かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性」があるとも注意しています[1]。

審査に落ちて焦っているときほど、こうした業者に近づかないでください。ファクタリングの利用が続いて抜け出せない場合は「ファクタリングがやめられない状態から抜け出す方法」を参照してください。困ったときの相談先は次のとおりです[1]。

相談先 連絡先 相談できること
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(IP電話は03-5251-6811) 貸金業に当たる取引かどうかなど
警察相談専用電話 #9110 悪質な取立てなどの被害
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051051 貸金業者とのトラブル
消費者ホットライン 188 身近な消費生活センターの案内

広告表現の見分け方は「「審査なし」「審査が甘い」ファクタリングはある?」、契約前の確認項目は「悪質なファクタリング業者の見分け方」で解説しています。

審査・書類・申込みの記事一覧

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記事 この記事で答えていること
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土日・祝日に使えるファクタリング 土日に入金される条件と、銀行振込の仕組み
決算書・確定申告書がなくても使える? 決算書の代わりに求められる書類
使える請求書の条件と書き方 請求書の記載事項と、対象になる請求書の条件
審査に落ちたときの対処法 否決の理由別の次の一手
取引先にバレる? 債権譲渡の通知・登記・承諾の違い
「審査なし」ファクタリングはある? 広告表現の見分け方
契約書のチェックポイント 危険な条項と確認方法

よくある質問

Qファクタリングの審査は厳しいですか?

Aファクタリングの審査は、申込者の返済能力よりも、売掛先の信用力と債権が実在するかを中心に見ます。当サイトの集計では、65サービスのうち24サービスが開業直後でも申込可と記載していました。一方で、売掛先が個人の債権や支払期日を過ぎた債権は対象外とする会社があり、取引の実在を書類で示せない場合は通りません。

Qファクタリングの審査では何を見られますか?

A主に、売掛先が期日に支払えるか(信用力)、請求書の取引が実在し金額と期日が確定しているか(実在性)、申込者の本人確認や税金の滞納の有無などの状況、の3点です。確認には、請求書、発注書や契約書などの成因資料、入金履歴が分かる通帳が使われます。

Q赤字決算や税金の滞納があっても審査に通りますか?

A赤字決算でも申込みを受け付けると公式サイトに記載している会社はあります。税金の滞納は扱いが分かれ、滞納があると申込不可とする会社と、審査のうえ申込可能とする会社があります。滞納がある場合の注意点は、赤字・税金滞納の記事で詳しく解説しています。

Qファクタリングの審査にはどのくらい時間がかかりますか?

A公式サイトには「必要書類の提出後、最短30分」や「書類がそろってから24時間(1営業日)以内に見積り回答」といった表示があります。これらは書類に不備がないことが前提です。3社間ファクタリングは売掛先の承諾が必要なため、数日から1週間程度かかると案内する会社もあります。

Q1社で審査に落ちたら、ほかの会社でも落ちますか?

Aファクタリング会社ごとに、対象とする売掛先、金額の下限、支払期日までの日数の上限が違うため、別の会社では対象になることがあります。ただし、債権が実在しない、すでに他社へ譲渡している、支払期日を過ぎているといった理由の場合は、会社を変えても結果は変わりにくいと考えてください。

Q個人事業主でもファクタリングの審査に通りますか?

A個人事業主も申し込めるサービスはあります。ただし当サイトの集計では、少なくとも9サービスが法人のみを対象と記載していました。また、債権譲渡登記を利用できるのは法人に限られるため、個人事業主は登記を使わない契約になります。

Q審査のときに売掛先へ連絡されますか?

A当サイトの集計では、少なくとも11サービスが、取引先への通知や連絡を原則として行わないと公式サイトに記載していました。一方で少なくとも6サービスは、支払の遅れや契約違反があった場合に取引先へ連絡することがあると明記しています。3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得る方式なので、売掛先に知らせることが前提です。

Q審査なしのファクタリングはありますか?

A売掛債権を買い取る以上、ファクタリング会社は債権と売掛先を確認します。金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融の誘い文句として「ブラックOK」などを挙げ、注意を呼びかけています。「審査なし」「審査が甘い」をうたう広告は、契約内容を特に慎重に確認してください。

出典・参考資料

  1. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  2. 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(表面)」
  3. 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」
  4. e-Gov法令検索「民法」
  5. e-Gov法令検索「刑法」
  6. 裁判所「最高裁判所第一小法廷 昭和49年3月7日判決(昭和47年(オ)第596号)」
  7. 法務省「債権譲渡登記制度」
  8. 法務省「債権譲渡登記に関する証明書の請求方法」
  9. 法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」
  10. 一般社団法人日本中小企業金融サポート機構「ファクタリング(公式サイト)」
  11. OLTA株式会社「よくある質問:申込対象となる債権」
  12. OLTA株式会社「よくある質問:初年度でも申し込めるか」
  13. 株式会社ビートレーディング「ビートレーディング(公式サイト)」
  14. ペイトナー株式会社「よくある質問:対象となる請求書」
  15. AGビジネスサポート株式会社「売掛債権ファクタリング」
  16. 株式会社オッティ「よくある質問」
  17. ピーエムジー株式会社「よくある質問」
  18. GMOペイメントゲートウェイ株式会社「GMO BtoB早払い」
  19. BASE株式会社「ヘルプ:他社で買い取り済みの請求書」
  20. オリックス株式会社「診療・介護・調剤報酬債権ファクタリングサービス よくあるご質問」
  21. りそな決済サービス株式会社「診療(調剤)・介護報酬債権前払いサービス」
  22. 株式会社JTC「入金前払いシステム(公式サイト)」
  23. 株式会社トップ・マネジメント「ペイブリッジ(Paybridge)について」
  24. 三菱UFJファクター株式会社「診療報酬早期受取オンラインサービス よくあるご質問」
  25. アクリーティブ株式会社「よくあるご質問」
  26. 株式会社三共サービス「ファクタリングQ&A」
  27. 株式会社ワイズコーポレーション「FactorPlan よくある質問」
  28. 株式会社トップ・マネジメント「よくあるご質問」
  29. OLTA株式会社「よくある質問:審査にかかる時間と振込のタイミング」
  30. OLTA株式会社「よくある質問:申込に必要な書類」
  31. 株式会社アクティブサポート「QuQuMo(ククモ)オンラインファクタリング」
  32. BASE株式会社「ヘルプ:取引先に知られずに利用できるか」
  33. 警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2026年3月)
  34. 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「診療報酬の審査・支払業務の流れ」
  35. 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「債権関係書類の送達場所」(2026年9月24日更新)
  36. 株式会社DMC「建設Pay(公式サイト)」
  37. 株式会社JPS「ファクタリングに関するアンケート(PR TIMES)」(2025年11月)
  38. 株式会社ラボル「labol(ラボル)公式サイト」(2026年10月22日確認)
  39. 株式会社トラストゲートウェイ「トラストゲートウェイ(公式サイト)」(2026年10月22日確認)

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開
  •  診療報酬の支払機関と債権譲渡通知の送達先を、2026年10月1日に社会保険診療報酬支払基金から移行した医療情報基盤・診療報酬審査支払機構として修正し、出典URLを hpdx.or.jp に変更。あわせて、信用情報の照会と「審査通過率」の読み方の節を追加(ラボル・トラストゲートウェイの公式サイトで確認)、診療報酬の支払日と送達先の段落を診療報酬の節へ移動、長い段落と文を分割

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アンドファクタリング「ファクタリングの審査基準|見られる項目・落ちる理由・通過のための準備」(https://factoring.co.jp/screening/criteria/、2026年10月22日更新)