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ファクタリングは取引先にバレる?債権譲渡の通知・登記・承諾の違い

最終更新 公開 約15分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • ファクタリングの利用が売掛先に知られる主な経路は、債権譲渡通知(民法467条)、債権譲渡登記(動産債権譲渡特例法4条)、3社間ファクタリングでの売掛先の承諾の3つである。
  • 債権譲渡登記をしても、登記だけでは売掛先に通知は届かない。一方、登記事項概要証明書と概要記録事項証明書は誰でも取得できるため、登記の存在は第三者に知られうる(個別の債務者名は概要証明に載らない)。
  • 債権譲渡登記を使えるのは法人に限られ、個人事業主やフリーランスは使えない。
  • 2社間ファクタリングでも、利用者が回収金を送金しない、支払期日を過ぎるなどの契約違反があった場合に、ファクタリング会社が売掛先に連絡・通知すると公表している会社がある。
  • 3社間ファクタリングは売掛先の承諾を得て売掛先がファクタリング会社に直接支払う仕組みのため、売掛先に知られることが前提になる。
早わかり表
知られる主な経路債権譲渡通知/債権譲渡登記/3社間の承諾
2社間・登記なし原則として売掛先に通知は届かない。契約違反時などに通知される場合がある
登記だけの場合売掛先に通知は届かない。概要証明は誰でも取得でき、登記の存在は調べられる
登記を使える人法人のみ(個人事業主・フリーランスは不可)
3社間売掛先の承諾が前提。必ず知られる
概要証明の手数料登記事項概要証明書・概要記録事項証明書 各1通300円(法務局)
目次
  1. 取引先に知られる3つのルートは?通知・登記・承諾の違い
  2. ルート1:債権譲渡通知で知られるのはどんなとき?
  3. ルート2:債権譲渡登記から知られることはある?
  4. ルート3:3社間ファクタリングでは必ず知られる?
  5. 2社間でも知られることがある場面は?
  6. 知られることを前提に2社間と3社間を比べると?
  7. 取引先以外に知られることは?金融機関・信用情報・他社
  8. 知られたくない場合はどう選ぶ?(判断フロー)
  9. 知られたくない場合、契約前に何を確認する?

ファクタリングの利用が取引先(売掛先)に知られる経路は、債権譲渡通知、債権譲渡登記、3社間ファクタリングでの売掛先の承諾の3つです。2社間ファクタリングで債権譲渡登記をしなければ、売掛先に通知は原則として届きません[1][3]。ただし、契約違反があったときの通知や、誰でも取れる登記の証明書から知られる経路があり、「絶対に知られない」わけではありません[4][5]。

取引先に知られる3つのルートは?通知・登記・承諾の違い

売掛先に知られるかどうかは、ファクタリング会社が債権譲渡の対抗要件(譲渡を主張するための手続)をどう備えるかで決まります。対抗要件の備え方は、通知、承諾、登記の3つです[1][2]。

比較項目 債権譲渡通知 売掛先の承諾 債権譲渡登記
根拠 民法467条[1] 民法467条[1] 動産債権譲渡特例法4条[2]
行う人 譲渡人(利用者) 売掛先 東京法務局の債権登録課に登記を申請[3]
売掛先に直接伝わるか 伝わる(通知が届く) 伝わる(売掛先が承諾する) 登記だけなら伝わらない[3]
第三者が調べられるか 調べる仕組みはない 調べる仕組みはない 概要証明は誰でも取得できる[4]
使える人 法人・個人 法人・個人 法人のみ[3]
公的な費用 内容証明の加算料金480円(2枚目以降は290円増)[23] 公証役場の確定日付1件700円(第三者対抗要件を備える場合)[22][24] 登録免許税 1件7,500円(債権5,000個以下)[21]
よく使われる場面 診療報酬・介護報酬、2社間での契約違反時 3社間ファクタリング 法人の2社間ファクタリング

費用の詳しい根拠は債権譲渡通知とはと債権譲渡登記とはにまとめています。この表のうち、売掛先に「直接」伝わるのは通知と承諾です。登記は、第三者が証明書を取った場合にだけ伝わる経路です。用語は対抗要件・確定日付も参照してください。

では、どの組み合わせなら知られにくい?

売掛先に知られにくい順に並べると、次のとおりです。

  1. 2社間・登記なし・通知なし:売掛先に知られる経路は、契約違反時の通知などに限られる
  2. 2社間・登記あり・通知なし:売掛先に通知は届かないが、登記の存在は概要証明で調べられる[4]
  3. 2社間で通知あり、または3社間(承諾):売掛先に必ず知られる

ただし、知られにくい形ほど、ファクタリング会社にとっては二重譲渡や差押えに備える手段が弱くなります。そのぶん審査や条件が厳しくなることがあるため、知られないことだけを基準に選ぶのは避けてください。仕組みと手数料の違いは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いで解説しています。

ルート1:債権譲渡通知で知られるのはどんなとき?

債権譲渡通知が売掛先に届くのは、ファクタリング会社が売掛先から直接回収する必要がある場面です。2社間ファクタリングでは契約時に売掛先へ通知しない形が公表されており、たとえば次の各社は「原則として取引先に連絡しない」と案内しています[5][6][7]。

問題は「原則」の例外です。公表されている例を見ると、利用者が回収金を送金しない、支払期日を過ぎる、契約違反が発覚する、といった場合に売掛先へ連絡・通知すると定めています。

会社・サービス 取引先への連絡・通知に関する公表内容
ペイトナー株式会社(ペイトナー) 原則として取引先へ連絡しない。入金の遅延など利用規約に反する事態が発生した際は、必要に応じて取引先に状況を確認する場合がある[5]
株式会社ラボル(labol) 原則として取引先に連絡しない。ラボルへの支払が遅れている場合は取引先に連絡することがある[6]
BASE株式会社(請求書買い取り) 取引先に知られずに利用できる。BASEへの支払期日を過ぎた場合は取引先に連絡することがある[7]
株式会社JTC 2社間でも、契約違反等が発覚した場合には取引先に連絡する場合がある[8]
OLTA株式会社(OLTAクラウドファクタリング) 利用規定で定める一部の場合を除き、取引先に連絡することはなく、債権譲渡登記も行わない[9]

表は各社の公式サイト・FAQの記載によります(2026年10月22日確認)。いずれも、利用者が約束どおり回収金を送金している限り、売掛先への連絡は想定されていません。逆に言えば、送金が遅れたときに売掛先に知られる可能性が最も高くなります。

売掛先からの入金が遅れた場合も、利用者の手元に代金がないためファクタリング会社への送金が遅れます。売掛先の支払が遅れそうだとわかった時点で、ファクタリング会社に連絡してください。

では、通知は誰の名前で届く?

民法467条1項の通知は譲渡人がするものなので、売掛先に届く通知の差出人は、原則として利用者自身です[1]。売掛先から見ると、取引先から「代金債権を譲渡したので、今後は譲受人に支払ってほしい」という書面が届く形になります。債権譲渡登記をしている場合は、ファクタリング会社が登記事項証明書を付けて通知することもできます(動産債権譲渡特例法4条2項)[2]。

ルート2:債権譲渡登記から知られることはある?

債権譲渡登記をしても、登記だけでは売掛先に通知は届きません。法務省は、登記をしても債務者に対しては債権譲渡の事実を主張することはできないと説明しています[3]。一方で、登記の内容の一部は誰でも証明書で確認できるため、登記の存在そのものは第三者に知られえます[4]。

証明書 請求できる人 載っている内容 手数料(窓口・郵送)
登記事項概要証明書 誰でも 債務者名など個々の債権を特定する事項を除いた内容 1通300円[4]
概要記録事項証明書 誰でも(全国の登記所で取得可) 譲渡人の会社ごとの債権譲渡登記の概要 1通300円[4]
登記事項証明書 当事者、債務者その他の利害関係人などに限る 個々の債権に関する登記事項の全部 債権1個につき500円(個別事項証明)[4]

表は法務省の案内によります[4]。概要記録事項証明書は譲渡人の会社ごとに作られます。そのため、取引先や金融機関が利用者の会社について取得すれば、債権譲渡登記をしていることがわかります[4]。ただし、どの売掛先の債権を譲渡したのか(債務者名)は、概要証明には載りません[4]。

では、登記の扱いは会社によってどう違う?

登記の扱いは会社によって分かれます。公表内容を見ると、「原則として登記をしない」会社と、「原則として登記が必要」だが相談に応じる会社があります。

会社 債権譲渡登記に関する公表内容
OLTA株式会社 債権譲渡登記も行わない(利用規定で定める一部の場合を除き)[9]
マネーフォワードケッサイ株式会社(マネーフォワード 早期入金) 取引先への通知、債権譲渡登記は不要[10]
Dual Life Partners株式会社(PAYTODAY) 債権譲渡登記を行っていない[11]
ピーエムジー株式会社 第三者対抗要件となるため原則必要。資金繰りや業務に支障を来す恐れがある場合は登記留保での契約も可能。売買手数料以外の費用は発生しないと案内[12]
株式会社三共サービス 第三者対抗要件となるため原則必要[13]
株式会社アクセルファクター 必須ではない。審査結果によっては設定を求めることもある[14]

表は各社の公式サイト・FAQの記載によります(2026年10月22日確認。アクセルファクターはサイトのメンテナンス中で、2026年9月確認時の記載)。「原則不要」の会社でも、利用規約で必要に応じて登記を求める定めを置いている場合があります。

たとえばマネーフォワードケッサイ株式会社の利用規約(第10条)は、同社が対抗要件を備えることを選んだ場合の手段を定めています[17]。確定日付ある証書による通知、債権譲渡登記、取引先の確定日付ある承諾のいずれかで、どれにするかは同社が指定します[17]。契約前に、登記をするか、費用を誰が負担するかを見積書と契約書で確認してください。

では、売掛先は登記の詳しい内容まで取れる?

個々の債権に関する登記事項の全部が載る登記事項証明書は、当事者、債務者その他の利害関係人などしか請求できません[4]。売掛先は、自社が債務者になっている債権の登記について「債務者」に当たるため、登記の存在に気づけば、詳しい内容を確かめる手段があります。概要証明で登記に気づき、登記事項証明書で自社の債権かを確認する、という順序です。

では、ファクタリングが終わった後も登記は残る?

債権譲渡登記には存続期間があり、債務者がすべて特定している場合は50年、それ以外は10年を超えられません(特別の事由がある場合を除く。動産債権譲渡特例法8条3項)[2]。

取引が終わっても、抹消登記をしなければ、存続期間が満了するまで登記は残ります。抹消登記の登録免許税は1件1,000円です[21]。取引が終わったら、ファクタリング会社に抹消の手続を確認してください。

では、個人事業主は登記から知られる?

個人事業主やフリーランスは、債権譲渡登記を使えません。法務省は、債権譲渡登記の譲渡人は法人に限定されていると説明しています[3]。そのため個人事業主の場合、登記の証明書から知られる経路はありません。

代わりに、第三者への対抗要件を備えるには確定日付のある通知か承諾が必要で、その場合は売掛先に知られます(民法467条2項)[1]。個人事業主の利用条件は個人事業主・フリーランスのファクタリングで解説しています。

3社間ファクタリングでは、売掛先に必ず知られます。売掛先が債権譲渡を承諾し、支払期日にファクタリング会社へ直接支払う仕組みだからです。売掛先の協力が前提なので、知られることを受け入れたうえで選ぶ方法です[1]。

3社間では、利用者が回収金を受け取ってファクタリング会社に送金する手間やリスクがなくなります。売掛先の承諾書に公証役場で確定日付を付ければ、売掛先以外の第三者にも譲渡を主張できます(民法467条2項)[1]。売掛先との関係が良好で、支払先の変更に応じてもらえるなら、知られることのデメリットより手数料や手続の面の利点が大きい場合があります。

3社間ファクタリングで売掛先の承諾をもらうまでの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. ファクタリング会社の審査で、売掛先の信用力と債権の内容を確認する
  2. 利用者から売掛先に、ファクタリングを利用することと、支払先がファクタリング会社に変わることを伝える
  3. 売掛先が、対象の債権・金額・支払期日を特定した承諾書に記名押印する
  4. 第三者への対抗要件が必要なら、承諾書に公証役場で確定日付を付ける(手数料700円)[22]
  5. 支払期日に、売掛先がファクタリング会社の口座へ直接支払う

売掛先の社内手続(承諾書の決裁や振込先の登録変更)に日数がかかるため、2社間より入金までの時間が長くなりやすい点も考えておく必要があります。

では、診療報酬や介護報酬の場合は?

診療報酬・介護報酬のファクタリングでは、支払機関(医療情報基盤・診療報酬審査支払機構や国保連)に債権譲渡通知を送り、支払機関がファクタリング会社に支払う形が公表されています。通知の相手は患者や利用者ではなく支払機関です。社会保険分の通知の送り先は、社会保険診療報酬支払基金が2026年10月1日に移行した「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」(東京都江東区豊洲)です[19]。送り先と手続は債権譲渡通知とはの診療報酬の節で整理しています。

2社間でも知られることがある場面は?

2社間・登記なしでも、次のような場面では売掛先に知られる可能性があります。多くは、利用者側の事情で約束どおりに取引が進まなかったときです。

場面 知られる理由 回避・対処
回収金をファクタリング会社に期日どおり送金しなかった 契約違反として、売掛先への連絡・状況確認の対象になると公表する会社がある[5][6][7][8] 送金日を資金繰り表に入れ、遅れそうなら事前に相談する
売掛先の支払が遅れ、ファクタリング会社への送金も遅れた 入金の遅延時に取引先へ状況を確認する場合があると公表する会社がある[5] 売掛先の支払状況をすぐ共有する
同じ売掛金を二重に譲渡した 複数の譲受人から売掛先に通知が届き、譲渡が表面化する 絶対にしない。二重譲渡は法的責任を問われる
売掛金が差し押さえられた 差押えの手続で、売掛先(第三債務者)に差押命令や差押通知書が届く 税金などの滞納を放置しない
振込先口座の変更を求める仕組みのサービスを使った 売掛先の支払先口座が変わる 契約前に振込先の扱いを確認する

振込先の扱いの例として、GMOペイメントゲートウェイ株式会社の「GMO BtoB早払い」は、同社決済サービスの仮想口座の利用を原則の前提とし、取引先への通知は原則不要と案内しています[15]。売掛先の支払先を変える仕組みの場合、売掛先の経理担当者がその変更をどう受け止めるかも考えておく必要があります。二重譲渡の責任はファクタリングの二重譲渡とはで解説しています。

知られることを前提に2社間と3社間を比べると?

売掛先に知られるかどうかは、2社間と3社間を選ぶ際の判断材料の一つにすぎません。回収の流れや、利用者が負う手間・リスクも合わせて比べてください。

比較項目 2社間(通知・登記なし) 2社間(登記あり) 3社間(承諾あり)
売掛先に知られるか 原則知られない。契約違反時は通知・連絡の可能性 通知は届かない。概要証明で登記の存在は調べられる 必ず知られる
売掛先の支払先 利用者の口座(変更なし) 利用者の口座(変更なし) ファクタリング会社
利用者の送金の手間 回収金を期限までに送金する 同左 なし
第三者への対抗要件 備わらない 登記で備わる(法人のみ) 確定日付のある承諾で備わる
利用できる人 法人・個人 法人のみ 法人・個人

表は民法467条と動産債権譲渡特例法4条にもとづく整理です[1][2]。手数料の水準は各社の公表値を集計したファクタリング手数料の相場で確認できます。

取引先以外に知られることは?金融機関・信用情報・他社

取引先以外では、金融機関、他のファクタリング会社、決算書を読む人に知られる経路があります。金融庁は、ファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約と説明しています[20]。請求書を買い取るサービスには、信用情報機関に照会しないと公表しているものがあります[26][27]。一方、法人が債権譲渡登記をすれば、金融機関などの第三者も概要証明で登記の存在を確認できます[4]。

知られる相手 経路 公表されている例・根拠
信用情報機関 照会しないと公表するサービスがある 株式会社ラボルは信用情報機関に照会しないと記載[26]。BASE株式会社は融資や借入れではないため信用情報は参照しないと記載[27]
金融機関・取引先の与信担当 債権譲渡登記をしていれば、概要記録事項証明書などで登記の存在がわかる 法務省[4]
他のファクタリング会社 登記の概要証明、審査で提出する通帳の入出金明細 法務省[4]、各社の必要書類[29]
決算書を読む人 売掛金が減り、手数料が費用に計上される 会計処理による

金融機関の融資審査でファクタリングの利用がどう評価されるかは、金融機関ごとの判断で、一律には言えません。決算書での見え方はファクタリングを使うと決算書はどう見える?で解説しています。

では、他のファクタリング会社に他社の利用は知られる?

他社の利用は、次に申し込むファクタリング会社に知られる経路があります。法人が債権譲渡登記をしていれば、概要記録事項証明書を誰でも取得できるため、登記の存在がわかります[4]。また、審査では通帳の入出金明細を求められるのが一般的で、ペイトナー株式会社は直近3か月分を必要書類にしています[29]。通帳には、他社からの買取代金の入金や、他社への送金が記録として残ります。

同じ請求書を2社に売ることは、どの会社も認めていません。BASE株式会社は、他社の請求書ファクタリングですでに買い取ってもらった請求書は「買い取りできません」と明記しています[28]。二重譲渡のリスクはファクタリングの二重譲渡とはで解説しています。

では、給与ファクタリングは勤務先に知られる?

給与ファクタリングは、事業者が売掛金を売るファクタリングとは別物です。最高裁判所第三小法廷 令和5年(2023年)2月20日決定は、給与ファクタリングでの金銭の交付を貸金業法・出資法の「貸付け」に当たると判断しました[20]。

金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融について、勤務先への連絡などの違法な取立ての危険を挙げています[30]。「勤務先に知られずに使えるか」を考える前に、利用自体を避けてください。詳しくは給料ファクタリング(給与ファクタリング)は違法で解説しています。

知られたくない場合はどう選ぶ?(判断フロー)

売掛先に知られたくない場合は、自社が法人か個人か、登記の有無、通知される条件の順に確認すると、選べる方法が絞り込めます。

  1. 自社は法人か個人か。個人事業主なら債権譲渡登記は使えない[3]。2社間で通知・登記をしない契約かを確認する
  2. 法人なら、登記をするかしないかを確認する。登記をするなら、概要証明で第三者に登記の存在を知られうることを受け入れる[4]
  3. 契約書で、売掛先へ連絡・通知される条件(支払遅延、契約違反など)を確認する[5][8]
  4. 回収金の送金期限(支払期日から何日以内か)を確認し、資金繰り表に書き込む[25][18]
  5. 売掛先との契約に譲渡制限特約があるかを確認する。ある場合の扱いを理解する
  6. 売掛先との関係が良好で、支払先の変更に応じてもらえるなら、3社間ファクタリングも比較する

3社間ファクタリングを選ぶ場合は、支払先の変更と承諾書の手続を具体的に依頼し、売掛先の経理処理の手間(振込先の登録変更)も伝えておくと、手続が進めやすくなります。

知られたくない場合、契約前に何を確認する?

売掛先に知られずに利用したい場合は、「2社間かどうか」だけでなく、登記の有無と、通知・連絡がされる条件を契約前に確認してください。条件は利用規約や契約書の「対抗要件」「債権譲渡通知」「期限の利益」などの条項に書かれています。

契約書の条項の読み方はファクタリング契約書のチェックポイントで解説しています。

取引先に知られたら取引に影響する?

売掛先がファクタリングの利用を知ったときにどう受け止めるかは、取引関係によって違います。法律面では、売掛先との契約に譲渡制限特約があっても、2020年4月1日以後に譲渡の原因となる契約をした譲渡は有効です(民法466条2項)[1]。

特約違反を理由とする取引の打ち切りについて、法務省は、弁済の相手方を固定する目的の特約なら、取引の打ち切りや解除は「権利濫用等に当たりうる」という解釈を説明資料で示しています[16]。ただし、これは法務省による解釈論の紹介で、裁判所の判断ではありません[16]。詳しくは譲渡禁止特約がある売掛金もファクタリングできる?を参照してください。

よくある質問

Q2社間ファクタリングなら取引先にバレませんか?

A2社間ファクタリングで債権譲渡登記をしない場合、売掛先に通知は原則として届きません。ただし、利用者が回収金を送金しない、支払期日を過ぎるなどの契約違反があれば売掛先に連絡・通知すると公表している会社があります。また、登記をした場合は、登記の証明書から第三者に登記の存在を知られることがあります。

Q債権譲渡登記をすると取引先に通知が届きますか?

A登記をしただけでは、売掛先に通知は届きません。法務省も、登記をしても債務者に対しては債権譲渡の事実を主張できないと説明しています。売掛先に主張するには、登記事項証明書を交付して通知するか、売掛先の承諾が別に必要です(動産債権譲渡特例法4条2項)。

Q債権譲渡登記は誰でも調べられますか?

A登記事項概要証明書と概要記録事項証明書は、誰でも請求でき、手数料は1通300円です。概要記録事項証明書は、譲渡人の会社ごとに登記の概要を記載したもので、全国の登記所で取得できます。ただし、個別の債務者名は概要証明には載りません。

Q個人事業主がファクタリングを使うと取引先にバレますか?

A個人事業主は債権譲渡登記を使えないため、登記から知られることはありません。2社間で通知をしない契約なら、原則として売掛先に通知は届きません。ただし第三者への対抗要件を備える場合は、売掛先への確定日付のある通知か承諾が必要になり、その場合は知られます。

Q3社間ファクタリングは取引先に必ず知られますか?

A知られます。3社間ファクタリングは、売掛先が債権譲渡を承諾し、ファクタリング会社に直接支払う仕組みです。売掛先の協力が前提になるため、売掛先との関係を踏まえて選ぶ必要があります。

Q取引先に知られると、取引を打ち切られますか?

A一律には言えません。売掛先との契約に譲渡制限特約がある場合、法務省は、弁済の相手方を固定する目的の特約なら取引の打ち切りや解除は権利濫用等に当たりうるという解釈を示していますが、裁判所の判断ではありません。取引への影響が心配なら、契約書を弁護士に確認してもらってください。

Qファクタリング会社から取引先に連絡が行くのはどんなときですか?

A公表されている例では、利用者が回収金を期日までに送金しない、支払遅延がある、契約違反が発覚した、といった場合です。どんなときに通知・連絡するかは契約書や利用規約に書かれているため、契約前に該当する条項を確認してください。

Q他のファクタリング会社の利用は、次に申し込む会社に知られますか?

A知られる経路はあります。法人が債権譲渡登記をしていれば、概要記録事項証明書は誰でも取得できるため、登記の存在がわかります。また、審査で提出する通帳の入出金明細には、他社からの入金や他社への送金が記録として残ります。他社で買い取り済みの請求書は買い取らないと明記する会社もあります。

出典・参考資料

  1. e-Gov法令検索「民法(明治29年法律第89号)」
  2. e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」
  3. 法務省「債権譲渡登記制度について 第1 債権譲渡登記制度とは?」
  4. 法務省「債権譲渡登記制度について 第3 証明書交付請求の手続」
  5. ペイトナー株式会社「よくある質問:取引先への連絡」
  6. 株式会社ラボル「labol よくある質問:取引先に連絡がいくことはありますか?」
  7. BASE株式会社「ヘルプ:取引先に知られずに利用できますか」
  8. 株式会社JTC「よくある質問」
  9. OLTA株式会社「OLTAクラウドファクタリング(公式サイト)」
  10. マネーフォワードケッサイ株式会社「マネーフォワード 早期入金」
  11. Dual Life Partners株式会社「PAYTODAY よくある質問」
  12. ピーエムジー株式会社「よくあるご質問」
  13. 株式会社三共サービス「ファクタリング Q&A」
  14. 株式会社アクセルファクター「よくあるご質問」
  15. GMOペイメントゲートウェイ株式会社「GMO BtoB早払い」
  16. 法務省「民法(債権法)改正 説明資料「主な改正事項」(債権譲渡に関する見直し 27〜29頁)」
  17. マネーフォワードケッサイ株式会社「マネーフォワード 早期入金 利用規約」
  18. ペイトナー株式会社「よくある質問:支払期日」
  19. 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構「債権関係書類の送達場所」(2026年9月24日更新)
  20. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  21. 法務省「債権譲渡登記制度について 第2 登記申請の手続」
  22. e-Gov法令検索「公証人手数料令(平成5年政令第224号)」
  23. 日本郵便株式会社「内容証明」
  24. 日本公証人連合会「Q&A 確定日付・電子確定日付」
  25. 株式会社ラボル「labol よくある質問:ラボルへの支払い期限はいつですか?」
  26. 株式会社ラボル「labol よくある質問:借入れやローンの審査に影響は出ないですか?」
  27. BASE株式会社「ヘルプ:銀行融資やカードローンとは、なにがちがいますか」
  28. BASE株式会社「ヘルプ:他社の請求書ファクタリングで、すでに買い取ってもらった請求書を買い取ってもらえますか」
  29. ペイトナー株式会社「よくある質問:必要書類」
  30. 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開
  •  診療報酬の通知先を「2026年10月1日から変わる(未施行)」から、移行済みの医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(江東区豊洲)に修正し、出典URLを hpdx.or.jp に変更。訂正:ペイトナーの公表内容から「債権譲渡通知を行う場合がある」を削除(同社FAQは取引先への状況確認のみ記載)、ピーエムジーの「登記費用は発生しない」を同社FAQの文言「売買手数料以外の費用は発生しない」に修正。ラボルの出典を個別のFAQページに差し替え、BASEの信用情報の記載の出典を正しいページに修正。費用の表に内容証明(日本郵便)・確定日付(日本公証人連合会)の出典を追加。「他のファクタリング会社に他社利用は知られるか」「給与ファクタリングは勤務先に知られるか」の節とFAQを追加

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、お問い合わせからご連絡ください。確認のうえ訂正し、この欄に記録します。

この記事を引用するとき

記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。

アンドファクタリング「ファクタリングは取引先にバレる?債権譲渡の通知・登記・承諾の違い」(https://factoring.co.jp/screening/notification/、2026年10月22日更新)