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法律・制度・法改正
ファクタリングは民法の債権譲渡の規定の上に成り立つ取引です。2020年施行の改正民法では、譲渡を禁止する特約がある債権でも譲渡そのものは有効とされました。2026年1月には取適法(中小受託取引適正化法、改正下請法)が施行され、対象取引での手形払いが禁止されるなど、売掛債権をめぐる環境は大きく変わっています。条文と公的資料にもとづいて整理します。
8本の記事
まず読みたい記事
ファクタリングに関わる法改正・制度変更の年表
改正民法(債権法)施行:譲渡制限特約付きの債権も譲渡が有効に
譲渡を禁止・制限する特約がある売掛債権でも、譲渡そのものは有効とされた(民法466条2項)。将来債権の譲渡が可能であることも明文化された(466条の6)。
個人の給与債権を対象とする給与ファクタリングは、貸金業法・出資法上の「貸付け」に当たると判断された(令和4年(あ)第288号)。
広告であることを隠した表示が景品表示法の不当表示になった。アフィリエイトによる比較サイトの表示も、広告主の表示として規制の対象になりうる。
改正貨物自動車運送事業法(改正トラック法)施行:運送契約の書面交付を義務化
真荷主と運送事業者は運送契約の締結時に、運送の役務の内容と対価、運賃・料金の支払方法など6項目を記載した書面を相互に交付する。真荷主から引き受けた1.5トン以上の貨物の運送で他社の運送を利用した元請事業者には、実運送体制管理簿の作成も義務付けられた。
改正建設業法の全面施行:著しく低い労務費等での見積り・契約を禁止
受注者に対する不当に低い請負代金や著しく短い工期での契約の禁止、見積書の記載事項の明確化、見積額を著しく下回る金額で契約した発注者への勧告・公表などが施行された。
取適法(中小受託取引適正化法、改正下請法)施行:手形払いを禁止
対象取引での約束手形による支払いが禁止され、電子記録債権や一括決済方式も、支払期日までに満額の現金を得ることが困難なものは使えなくなった。受注側がファクタリングを利用すること自体は禁止されていない。
出典:公正取引委員会「取適法」
改正トラック法(2025年6月改正分)施行:利用運送事業者にも書面交付義務
元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも、書面交付義務と実運送体制管理簿の作成義務が拡大された。再委託の回数は2回までに制限され(努力義務)、いわゆる白トラに運送を委託した荷主等は新たに処罰の対象になった。
多くの金融機関が、紙の手形・小切手の最終振出期限をこの日に設定した。期限を設けた金融機関では、10月1日以降は原則として手形・小切手による当座勘定からの支払いができない。
社会保険診療報酬支払基金が「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」へ移行
支払基金は法人名称を変え、DX審査支払機構となった。診療報酬債権のファクタリングで行う債権譲渡通知(社会保険分)は、被通知人を同機構の理事長とし、東京都江東区豊洲の同機構に送る。
全国銀行協会の決定により、紙の手形・小切手の電子交換所での交換が廃止される。手形割引に頼っていた資金繰りは、でんさいやファクタリングなどへの切り替えが必要になる。
取適法の対象にならない製造委託等でも、給付を受け取った日から60日を過ぎて代金を支払わないことが不公正な取引方法として禁止される(令和8年公正取引委員会告示第3号)。
動産・債権の譲渡担保を定める新しい法律が施行され、動産・債権譲渡特例法にも譲渡担保権に関する登記が追加される予定。
法律・制度の記事一覧
- 取適法(改正下請法)とファクタリング|手形払い禁止と電子記録債権のルール取適法(中小受託取引適正化法)は2026年1月1日に施行され、委託事業者が代金を手形で払うことを禁止しました。電子記録債権や一括決済も期日に満額の現金を得にくいものは禁止です。受注側が自社の売掛金を売るファクタリングは規制対象ではありません。
- ファクタリング会社に許認可や登録は必要?貸金業登録との関係と調べ方ファクタリング(債権の買取り)そのものには業法上の登録・許可の制度はありません。ただし実態が貸付けなら貸金業の登録が必要で、無登録営業は刑事罰の対象です。登録が必要になる場面と、金融庁の検索サービスでの調べ方を解説します。
- フリーランス法と報酬の支払期日|60日を過ぎても払われないときフリーランス法では、従業員を使う発注者は、給付を受け取った日から60日以内に報酬の支払期日を定め、期日までに支払う義務があります。2024年11月1日施行。60日の数え方、違反の多さ、払われないときの相談先と、請求書ファクタリングを使える範囲を解説します。
- 債権譲渡登記とは|ファクタリングで求められる理由・費用・登記事項の調べ方債権譲渡登記とは、法人が金銭債権を譲渡したことを法務局の債権譲渡登記ファイルに記録し、債務者以外の第三者への対抗要件を備える制度です。登録免許税は債権5,000個以下で1件7,500円。個人事業主は使えません。ファクタリングで求められる理由と調べ方を解説します。
- 債権譲渡通知とは|通知書の書き方・確定日付・承諾との違い債権譲渡通知とは、売掛金などの債権を譲渡した事実を、譲渡人が債務者に知らせることです(民法467条)。通知書に書く項目とひな形、内容証明郵便・公証役場で確定日付を付ける方法と費用、債務者の承諾との違いを条文にもとづいて解説します。
- 取適法の対象取引と「支払期日60日」ルール|受注側が確認すべきこと取適法の対象かどうかは、取引の種類(製造・修理・情報成果物・役務・特定運送)と、資本金または従業員数の基準で決まります。支払期日は検査の有無を問わず受領日から60日以内です。対象の判定方法と60日の数え方を条文と公正取引委員会の資料で解説します。
- 約束手形の廃止はいつ?2027年3月31日の交換終了と、手形を受け取る側の対応紙の約束手形・小切手は、電子交換所での交換が2027年3月31日に終わります。多くの金融機関が設けた最終振出期限(2026年9月30日)はすでに過ぎました。手形法は廃止されません。取適法の手形払い禁止との違い、受け取る側の対応、代わりの手段を解説します。
- 譲渡禁止特約がある売掛金もファクタリングできる?2020年の民法改正を条文で解説譲渡禁止(譲渡制限)特約が付いた売掛金も、2020年4月1日以後に譲渡の原因となる契約をしたものなら譲渡は有効です(民法466条2項)。ただし売掛先は特約を知る譲受人への支払を拒めます。預貯金債権などの例外と、売る前の確認点を条文で解説します。