違法業者対策

悪質なファクタリング業者の見分け方|契約前に確認する15項目チェックリスト

最終更新 公開 約22分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • 悪質なファクタリング業者を見分ける最重要のポイントは、売掛先が支払わなかったときに利用者が買い戻す、または自己資金で払う契約になっていないかであり、金融庁はこうした取引を貸金業に該当するおそれがあるものとして例示している。
  • 金融庁のリーフレットは、偽装ファクタリングの被害が疑われる例として、買取代金が債権額に比べて著しく低いか高額な手数料が差し引かれる、契約書に売買契約と定められていない、回収できない場合に売主の買戻しや償還請求が行われる、の3つを挙げている。
  • 日本貸金業協会は2017年12月4日の注意喚起で、償還請求権が付いている、通帳・銀行印・キャッシュカードを預かる、代表者や家族を保証人にする、契約書の写しを渡さないなど、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高い9つのケースを挙げている。
  • 業者の実在は、国税庁の法人番号公表サイトで商号・所在地・法人番号を、法務局の登記事項証明書で代表者の氏名を確認でき、登記事項証明書は商業登記法10条により誰でも請求できる。
  • 貸金業法21条1項は、貸金業を営む者が正当な理由なく勤務先に連絡することや借入れの事実を第三者に明らかにすること、それらをすると告げることを禁止しており、違反には2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金が定められている。
早わかり表
最重要の確認点売掛先が払わないとき、利用者が買い戻す・自己資金で払う条項がないか(金融庁の例示)
金融庁が挙げる3つの例著しく低い買取代金・高額な手数料/売買契約の定めがない/買戻しや償還請求
日本貸金業協会の9ケース償還請求権、通帳の預かり、保証人、手形・小切手の担保、契約書の写しを渡さないなど(2017年12月4日)
業者の実在の確認法人番号公表サイト(商号・所在地・法人番号)、登記事項証明書(代表者の氏名)
登録の確認貸付けを行う業者なら、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認
取立ての規制貸金業法21条1項。違反は2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(47条の3)
インタラクティブ版同じ15項目を /tools/safety-check/ でチェックできる
目次
  1. 15項目チェックリストの早見表
  2. 契約内容の7項目:なぜ危険なのか
  3. 審査・手続きの4項目:業者は何を確認し、何を求めるか
  4. 業者の実在性の4項目:誰と契約するのか
  5. 契約書で確認すべき条項の一覧
  6. 2社間と3社間で確認点はどう変わるか
  7. 当てはめの例:仮定の契約書で15項目を確かめる
  8. 業者の実在を確かめる手順
  9. 当サイトの会社データベースとの対応
  10. よくある誤解:「審査なしは有利」「協会加盟なら安全」
  11. 当てはまる項目があったときの行動

悪質なファクタリング業者を見分ける最重要のポイントは、売掛先が支払わなかったときに、利用者が債権を買い戻す、または自分のお金で業者に払う契約になっていないかです。金融庁は、こうした取引を貸金業に該当するおそれがあるものとして例示しています[1]。この記事では、当サイトの違法業者チェックリスト(インタラクティブ版)と同じ15項目について、1項目ずつ法的な根拠と確認方法を説明します。

ファクタリングそのものが違法かどうかの考え方は、ファクタリングは違法?合法となる条件と裁判例一覧で解説しています。この記事は、契約書に署名する前の確認作業に絞っています。

15項目チェックリストの早見表

15項目は、「契約の内容」「審査・手続きのしかた」「業者の実在性」の3つに分かれます。「重大」は、それだけで偽装ファクタリングや違法な貸付けの疑いが強い項目、「注意」は、他の項目と合わせて判断する項目です。

No. 確認項目 重大度 主な根拠
1 売掛先が払わなければ、自分が代わりに払う(買い戻す)決まりがある 重大 金融庁の例示[1]、金融庁リーフレット[2]
2 契約書に「貸付」「利息」「返済」「遅延損害金」などの言葉がある 重大 金融庁リーフレット[2]、出資法5条1項[5]
3 分割での支払いや、決まった返済スケジュールを求められる 重大 金融庁の例示[1]、大阪地裁平成29年判決[17]
4 個人の給与(勤務先から受け取る給料)を対象にしている 重大 最高裁令和5年2月20日決定[19]
5 契約書の控え(写し)を渡してくれない、または契約書がない 重大 日本貸金業協会[3]、貸金業法17条[4]
6 手数料の率や総額の説明がない、見積書を出さない 注意 金融庁リーフレット[2]、日本貸金業協会[3]
7 手数料以外に「保証金」「事務手数料」などを先に振り込むよう求められる 注意 出資法5条の4第4項[5]、利息制限法3条[6]
8 請求書や取引の証拠を確認せずに、すぐ契約・入金しようとする 重大 大阪地裁平成29年判決[17]
9 自宅の権利証、実印、保証人、白紙の委任状などを求められる 重大 日本貸金業協会[3]、貸金業法20条1項[4]
10 手形・小切手や通帳・キャッシュカードを預けるよう言われる 注意 日本貸金業協会[3]、犯罪収益移転防止法[9]
11 「今日中に決めないと条件が悪くなる」などと契約を急がされる 注意 金融庁の相談の呼びかけ[1]
12 会社の所在地・代表者名・設立年などがホームページに書かれていない 注意 商業登記法10条[10]、法人番号公表サイト[12]
13 連絡手段が携帯電話やSNS、チャットアプリだけ 注意 貸金業法15条2項[4]、警察庁統計[20]
14 支払いが遅れたら「売掛先に連絡する」「家族や職場に知らせる」などと言われた 注意 貸金業法21条1項[4]、刑法222条・249条[8]
15 SNSのダイレクトメッセージや突然の電話・FAXで勧誘された 注意 貸金業法11条2項[4]、金融庁[21]

この早見表の根拠には、公的な資料が3系統あります。金融庁の注意喚起とリーフレット(被害が疑われる3つの例)[1][2]、日本貸金業協会の2017年12月4日の注意喚起(ヤミ金融の可能性が高い9つのケース)[3]、そして裁判例と条文です。

契約内容の7項目:なぜ危険なのか

契約内容の7項目は、いずれも「売掛先の不払いリスクを誰が負うか」と「お金の授受が売掛債権と結びついているか」を確かめるためのものです。この2点が崩れていると、取引は債権の売買ではなく貸付けと評価されやすくなります[1]。

1. 売掛先が払わなければ、自分が代わりに払う(買い戻す)決まりがある

この決まりは、偽装ファクタリングを見分ける最も重要なサインです。金融庁は、譲渡した債権の回収が売主に委託され、集金できなかった場合に「売主が債権を買い戻すこととされている」取引や、「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」取引は、貸金業に該当するおそれがあるとしています[1]。

金融庁のリーフレットも、回収できなかった場合に売主による買戻しや買取業者による償還請求が行われることを、被害が疑われる例に挙げています[2]。反対に、業者が償還請求権を持たず買戻しも予定していなかった取引では、貸金業法の適用を否定した裁判例があります(東京地裁令和2年9月18日判決、金融庁が紹介)[1]。

確認方法は、契約書で「買戻し」「償還」「再譲渡」「連帯して支払う」「回収不能の場合」という言葉を探すことです。回収を利用者に委託する条項(2社間ファクタリングで一般的)があれば、その次の条文で「回収できなかったらどうなるか」まで読んでください。

2. 契約書に「貸付」「利息」「返済」「遅延損害金」などの言葉がある

債権の売買のはずなのに、契約書が貸し借りの言葉で書かれているのは危険なサインです。金融庁のリーフレットは、契約書に「売買契約」であることが定められていないことを、被害が疑われる例に挙げています[2]。

とくに「遅延損害金」は、何に対する遅延かを確認します。出資法5条1項は、上限金利と比べる「利息」に「債務の不履行について予定される賠償額」を含めています[5]。利息制限法4条も、金銭の消費貸借での賠償額の予定は、同法1条の利率の1.46倍を超える部分を無効とし、違約金も賠償額の予定とみなしています[6]。給与ファクタリングの業者が年14%の遅延損害金を定めていた事案では、契約全体が貸付けと判断されました[18]。

一方、2社間ファクタリングで利用者が回収したお金を業者に渡すのが遅れた場合の遅延損害金は、売買でも定められることがあります。大阪地裁の事案では、ファクタリング業者が、利用者が回収した代金の引渡しとその遅延損害金を求めていました[17]。言葉だけで判断せず、「売掛先から回収したお金の引渡し」に対するものか、「利用者自身の返済」に対するものかを読み分けてください。

3. 分割での支払いや、決まった返済スケジュールを求められる

売掛先からの入金と無関係に、決まった日に決まった額を払う約束は、貸付けの返済と同じ構造です。金融庁は、売主自身の資金で業者に支払わなければならない取引を、貸金業に該当するおそれがある例に挙げています[1]。

大阪地裁平成29年3月3日判決は、同じ債権の売買と買戻しをほぼ毎月繰り返し、代金を一部しか払わず、債権の一定額分だけを売買の対象にするなど「債権の額面とは無関係に金員の授受がなされていた」取引を、金銭消費貸借に準じると判断しました[17]。この事案では、利用者が業者から受け取った3,049万円余に対し、業者に支払った額は3,791万円でした[17]。

確認方法は、支払額と支払日が「売掛先からの入金額と入金日」に連動しているかを見ることです。連動していない定額払いや分割払いは、売買ではなく返済です。

4. 個人の給与(勤務先から受け取る給料)を対象にしている

個人の給与を買い取る取引は、業として行えば貸金業に当たります。最高裁判所第三小法廷は令和5年(2023年)2月20日の決定で、給与ファクタリングの金銭の交付を貸金業法と出資法の「貸付け」に当たると判断しました[19]。

理由は、労働基準法24条1項により給与は勤務先から本人に直接支払われ、給与債権を買い取った業者は勤務先に請求できないからです[19]。金融庁は「借金ではありません」「ブラックOK」などの誘い文句に注意を呼びかけています[21]。詳しくは給料ファクタリング(給与ファクタリング)は違法をご覧ください。

5. 契約書の控え(写し)を渡してくれない、または契約書がない

契約書の控えがないと、償還請求権の有無など、この15項目の多くを後から確認できません。日本貸金業協会は、契約書の写しや領収書などの書類が渡されないことを、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高いケースに挙げています[3]。

貸付けであれば、登録のある貸金業者には、契約を締結したときに遅滞なく、商号・住所、契約年月日、貸付けの金額、貸付けの利率などを記載した書面を相手方に交付する義務があります(貸金業法17条1項)[4]。控えを渡さない業者は、少なくとも貸金業者としての義務は果たしていません。

控えは、あとで返還を求めるときの証拠にもなります。給与ファクタリングの返還訴訟では、メールで送られた契約書のPDFや確認のメールが、取引の内容の認定に使われました[18]。紙でもPDFでも、署名した版を必ず手元に残してください。

6. 手数料の率や総額の説明がない、見積書を出さない

受取額が契約の直前までわからない取引は、比較も検証もできません。金融庁のリーフレットは、債権の買取代金が債権額に比べて著しく低額であったり、高額な手数料が差し引かれたりすることを、被害が疑われる例に挙げています[2]。日本貸金業協会も、手数料(債権額と買取額の差)が年率換算で利息制限法の制限を超える高金利になっている場合を、ヤミ金融の可能性が高いケースに挙げています[3]。

見積書では、額面、手数料率と手数料額、諸費用の内訳(登記費用、事務手数料、振込手数料など)、受取額、入金予定日、売掛先の支払期日の7つを確認します。そのうえで、手数料と諸費用の合計を受取額で割り、日数で年率に直します。

各社が公表している手数料の水準はファクタリング手数料の相場、諸費用の種類は手数料以外にかかる費用、見積書の比べ方は相見積もりのやり方で解説しています。自分の条件の年率は手数料・実質年率の計算ツールで計算できます。

7. 手数料以外に「保証金」「事務手数料」などを先に振り込むよう求められる

入金の前に、利用者からお金を払わせる手口には2つの危険があります。1つは、先払いさせたまま連絡が取れなくなる詐欺です。日本貸金業協会は、個人間融資を装うヤミ金融のトラブルとして「先に保証料を振り込んだら連絡が取れなくなった」例を挙げています[16]。刑法246条は、人を欺いて財物を交付させた者を10年以下の拘禁刑に処すると定めています[8]。

もう1つは、名目を変えた実質的な手数料です。取引が貸付けと判断されれば、礼金、手数料、調査料など名義を問わず、貸主が受け取る元本以外の金銭は利息とみなされます(出資法5条の4第4項、利息制限法3条)[5][6]。大阪地裁の事案では、売買代金から調査料などが差し引かれていました。判決は、そのうち登記費用は契約締結の費用として利息とみなさないと判断しています[17]。

審査・手続きの4項目:業者は何を確認し、何を求めるか

審査と手続きの4項目は、業者が「売掛債権」を見ているのか、「利用者本人から回収する手段」を見ているのかを確かめるためのものです。債権の売買なら、業者は売掛先から回収できるかどうかを最も気にするはずです。

8. 請求書や取引の証拠を確認せずに、すぐ契約・入金しようとする

債権の存在を確かめずにお金を出すのは、債権ではなく利用者本人の返済を当てにしている疑いがあります。大阪地裁平成29年判決は、業者が「債権の属性に着眼して代金額を設定している」と主張したのに対し、利用者に代理受領の権限があった取引では「債権の回収リスクは、原告の信用リスクと同じこと」だとして、主張を退けました[17]。

給与ファクタリングの事案では、業者は申込者に対し、給与額や支給日のほか、消費者金融からの借入状況、勤務先や親族の連絡先を確認していました[18]。確認の対象が「債権」ではなく「本人と周囲の連絡先」である点に注目してください。

正規の審査では、請求書、取引の実績がわかる通帳、契約書や発注書などを求められます。求められる書類の一般的な内容は必要書類一覧で確認できます。書類を確認しない「審査なし」は、利用者にとって有利な条件ではなく、危険なサインです。

9. 自宅の権利証、実印、保証人、白紙の委任状などを求められる

債権の売買に、利用者側の担保や保証人は本来必要ありません。日本貸金業協会は、金銭消費貸借契約を結んで代表者や家族に保証人になることを求めるケース、申込人の発行済み株式を譲渡担保にし、印鑑証明書や役員変更の登記委任状を出させるケースを、ヤミ金融の可能性が高い例に挙げています[3]。

白紙の委任状には、とくに注意が必要です。貸金業法20条1項は、貸金業を営む者が、債務者等から、強制執行に服する旨を記載した公正証書(特定公正証書)の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任する書面を取得することを禁止しており、違反には1年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)が定められています(同法48条)[4]。金融庁が紹介する東京高裁令和3年7月1日判決では、売掛先が払わない場合に売主が債権額以上を支払う旨の公正証書が作成されていた取引が、貸付けに当たると判断されました[1]。

10. 手形・小切手や通帳・キャッシュカードを預けるよう言われる

通帳やキャッシュカードの預かりは、利用者の口座に入る売掛金を業者が押さえるための手段です。日本貸金業協会は、申込人の通帳・銀行印・キャッシュカードを預かること、小切手や手形を担保に入れさせることを、ヤミ金融の可能性が高いケースに挙げています[3]。同協会は、偽装業者がこうした方策を取る目的を「契約不履行を抑止し、債権回収を確実にするため」と説明しています[3]。

通帳やカードを渡すこと自体にも法的なリスクがあります。犯罪収益移転防止法は、通常の商取引や金融取引などの正当な理由がないのに、有償で預貯金通帳やキャッシュカードなどを譲り渡し、交付し、提供する行為を、3年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科あり)の対象にしています(2026年9月時点のe-Gov掲載条文で26条)[9]。求められても渡さないでください。

11. 「今日中に決めないと条件が悪くなる」などと契約を急がされる

契約を急がせるのは、この記事の1〜10を確かめる時間を与えないためです。事業者間のファクタリング契約について、署名を急がせることを直接禁じる条文はありませんが、金融庁は、少しでも心配な点があれば弁護士に相談するなど、違法な取引が行われないよう留意するよう求めています[1]。

貸付けであれば、登録のある貸金業者は、契約を結ぶ前に契約内容を説明する書面を交付しなければならず(貸金業法16条の2)、相手が契約しない意思を示したら勧誘を続けてはいけません(同法16条4項)[4]。大阪地裁の事案では、利用者の代表者は「60万円を受領する代わりに期限に100万円を支払う」と説明を受けていったん断り、再考して取引を始めたと認定されています[17]。その場で決めず、持ち帰って比べることが最大の防御です。

業者の実在性の4項目:誰と契約するのか

業者の実在性の4項目は、トラブルが起きたときに相手を特定し、責任を問えるかどうかを確かめるためのものです。偽装業者は、所在や連絡先を明らかにしない傾向があります。

12. 会社の所在地・代表者名・設立年などがホームページに書かれていない

会社の基本情報は、公的なデータベースで確かめられます。国税庁の法人番号公表サイトでは、法人の「商号又は名称」「本店又は主たる事務所の所在地」「法人番号」の3つの情報を検索でき、名称や所在地の変更履歴も調べられます[12]。

代表者の氏名は、登記で確認します。株式会社の登記事項には「代表取締役の氏名」が含まれ(会社法911条3項14号)[11]、登記事項証明書は、商業登記法10条により「何人も、手数料を納付して」請求できます[10]。法務省はオンラインでの交付請求も受け付けています[23]。

貸付けを行う登録業者なら、貸付けの条件を広告するときに商号と登録番号を表示しなければなりません(貸金業法15条1項)[4]。会社概要に登録番号が書かれていれば、金融庁の検索サービスで照合できます[13]。

13. 連絡手段が携帯電話やSNS、チャットアプリだけ

連絡手段が携帯電話やSNSだけの業者は、トラブルになったときに相手を特定しにくくなります。警察庁によると、2025年のヤミ金融事犯の相談のうち、インターネットを含む非対面の手口が87.3%を占めています[20]。

登録のある貸金業者は、広告に載せる電話番号などを、貸金業者登録簿に登録したものに限らなければなりません(貸金業法15条2項)[4]。金融庁の登録貸金業者情報検索サービスは電話番号でも検索できるため、業者の電話番号を入れて照合できます[13]。検索で見つからない業者について、金融庁は、データ更新後に新規登録した業者か、無登録業者(いわゆるヤミ金融)の可能性があるとしています[14]。

14. 支払いが遅れたら「売掛先に連絡する」「家族や職場に知らせる」などと言われた

この項目は、「売掛先への通知」と「家族や職場への連絡」を分けて考える必要があります。債権の売買では、業者が売掛先に債権譲渡を通知することは、民法467条1項に基づく正当な手続きです[7]。

問題は、通知を避けたい利用者に対し、通知をちらつかせて支払いを迫る構造です。札幌高裁令和4年7月7日判決は、譲渡が発覚すると取引先の信頼を失うため売主が何としても買い戻さざるを得ず、業者もそれを認識していた取引を、公序良俗に反し無効と判断しました(金融庁が紹介)[1]。最高裁の給与ファクタリングの決定も、通知を避けるために事実上買い戻さざるを得なかった事情を「貸付け」の判断の根拠にしています[19]。

家族や職場に知らせるという言動には、事業者のファクタリングでも正当な理由がありません。貸金業法21条1項は、貸金業を営む者が、正当な理由なく勤務先などに電話や訪問をすること、借入れの事実などを第三者に明らかにすること、それらをすると告げることを禁止しています[4]。違反には2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)が定められています(同法47条の3)[4]。害を加える旨を告げる脅迫は刑法222条(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)、恐喝は刑法249条(10年以下の拘禁刑)の対象です[8]。

15. SNSのダイレクトメッセージや突然の電話・FAXで勧誘された

勧誘の経路そのものは違法の証拠になりませんが、勧誘元の実在をより慎重に確かめる必要があります。貸金業の登録を受けていない者は、貸金業を営む旨の広告や、貸付けの契約の勧誘をしてはならず(貸金業法11条2項)、違反には2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金が定められています(同法47条の3)[4]。

金融庁は、SNSやインターネット掲示板で個人間の融資を装う違法な貸付けにも注意を呼びかけています[21]。突然届いた勧誘は、No.12とNo.13の手順で業者の実在と登録を確認してから検討してください。

契約書で確認すべき条項の一覧

契約書では、「売掛先が払わなかったとき」と「利用者が約束を守らなかったとき」の2つの場面の条項を重点的に読みます。次の表は、この記事の15項目に対応する条項を、危険な書き方の例と一緒に整理したものです。

条項 危険な書き方の例 問題になる理由 根拠
買戻し・償還請求 「売掛先から入金がない場合、売主は直ちに債権を買い戻す」 不払いリスクが利用者に残り、貸付けと評価されやすい 金融庁[1][2]
回収の委託 「売主は回収業務を受託し、回収の有無にかかわらず期日に支払う」 売主自身の資金での支払いと同じ 金融庁[1]
表明保証 「売掛先に支払停止・破産原因がないことを保証する」 実質的に債務の保証と同じと評価された 東京地裁令和4年3月4日判決(金融庁が紹介)[1]
違約金・遅延損害金 「支払いが遅れた場合、年○%の遅延損害金と違約金を支払う」 貸付けなら賠償額の予定として上限規制の対象 出資法5条1項[5]、利息制限法4条[6]
保証・公正証書 「代表者は連帯保証する」「強制執行認諾文言付き公正証書を作成する」 売買には不要な担保。公正証書のための委任状取得は貸金業法20条で禁止 日本貸金業協会[3]、貸金業法20条[4]
債権譲渡通知 「支払いが遅れた場合、売掛先・関係者に通知する」 通知を支払い強制の材料にする構造は、貸付けや公序良俗違反の判断要素 札幌高裁令和4年(金融庁が紹介)[1]、最高裁決定[19]
預かり物 「通帳・キャッシュカード・手形を預ける」 回収を確実にするための担保。通帳等の有償譲渡は処罰対象 日本貸金業協会[3]、犯罪収益移転防止法[9]

契約書の読み方をさらに詳しく知りたい場合は、ファクタリング契約書のチェックポイントを参照してください。

債権譲渡登記の条項はどう読むか

債権譲渡登記の条項は、それ自体は危険なサインではありません。債権譲渡登記は、法人が金銭債権を譲渡したことを登記し、債務者以外の第三者に対する対抗要件を備える制度で、譲渡人は法人に限られます[22]。個人事業主の契約に「債権譲渡登記を行う」と書かれていれば、制度上できない手続きが書かれていることになります。

確認したいのは、登記の費用を誰が負担するか、登記をいつ行うか(留保するか)、登記を支払いの督促に使う定めがないか、の3点です。法務省は、債権譲渡登記は「債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではありません」と明記しています[22]。登記の仕組みと費用は債権譲渡登記とはで解説しています。

2社間と3社間で確認点はどう変わるか

2社間ファクタリングは、偽装業者が使いやすい形であるため、確認項目の1・3・14をより厳しく見る必要があります。ただし、2社間であることだけで違法にはなりません(東京地裁令和2年9月18日判決、金融庁が紹介)[1]。

日本貸金業協会の2017年12月4日の注意喚起は、ファクタリングを装ったヤミ金融取引の事例(二者間取引)を次の流れで図示しています[3]。

  1. 申込者(A社)と取引先(B社)の商取引で売掛金が発生する
  2. A社と偽装業者(C社)がファクタリング契約(売掛債権の売買契約)を結ぶ
  3. C社がA社に、B社からの売掛金の回収(集金業務)を委託する
  4. B社が、いつもどおりA社に売掛金を支払う
  5. A社が集金業務委託契約に基づいて回収金をC社に引き渡す

同協会は、この集金委託契約によって「実質的融資である二者間ファクタリングを債権の売買らしく偽装する」と説明し、偽装業者は契約不履行を抑止するために通帳・銀行印・キャッシュカードの預かり、保証人、手形・小切手の担保などの方策を取るとしています[3]。一方、売掛先の承諾がある三者間取引は「正規のファクタリングの事例」として図示されています[3]。

確認項目 2社間で見るポイント 3社間で見るポイント
1. 買戻し・代わりに払う 回収委託の条項と、回収できなかったときの扱い 売掛先が払わないとき、利用者に請求する定めがないか
3. 決まった支払いスケジュール 回収金の引渡しが、売掛先の入金日・入金額と連動しているか 利用者が業者に払う場面自体が原則ない
10. 通帳・カードの預かり 回収金を押さえる目的で求められやすい 売掛先が業者に直接払うため、本来必要ない
14. 「売掛先に連絡する」 通知の留保と、支払い遅れ時の通知の条項 売掛先の承諾を得て始めるため、通知を脅しに使う余地は小さい

手数料の水準と入金までの日数の違いは、2社間と3社間の違いで比較しています。

当てはめの例:仮定の契約書で15項目を確かめる

15項目の使い方を、仮定の取引に当てはめて示します。次の条件は、当運営事務局が説明のために作った架空の例です。

確認項目 当てはまるか 理由
1. 買戻しの決まり 当てはまる(重大) 入金がなければ額面で買い戻す条項がある。金融庁が例示する構造[1]
3. 決まった支払い 当てはまる(重大) 回収の有無にかかわらず期日に額面を払う形になっている
9. 保証人 当てはまる(重大) 代表者の連帯保証。日本貸金業協会がヤミ金融の可能性が高いケースに挙げる[3]
14. 売掛先への通知 当てはまる(注意) 通知を支払いの圧力に使う説明。札幌高裁の事案と同じ構造[1]

この例では「重大」が3つ当てはまるため、署名を止めて相談すべき取引です。仮に貸付けと判断された場合、手数料40万円を受取額160万円に対する30日分の利息として年率に直すと、40万円 ÷ 160万円 × 365 ÷ 30 ≒ 年304%で、出資法5条3項の基準(年109.5%)を超えます[5]。

業者の実在を確かめる手順

業者の実在は、国税庁・法務局・金融庁の公的なデータベースを使えば、契約前に自分で確かめられます。次の手順は、No.12〜No.15の確認をまとめたものです。

  1. ホームページの会社概要から、商号・所在地・代表者名・電話番号を書き写す。 書かれていなければ、その時点でNo.12に当てはまります。
  2. 国税庁の法人番号公表サイトで商号を検索する。 商号・本店所在地・法人番号が会社概要と一致するか、最近の商号変更や移転がないかを確認します[12]。
  3. 登記事項証明書を取る。 代表取締役の氏名が会社概要と一致するかを確認します。登記事項証明書は誰でも請求でき、オンライン請求もできます[10][23]。
  4. 貸付けを行う業者、または貸金業の登録を表示している業者なら、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで照合する。 登録番号・所在地・商号・代表者名・電話番号で検索できます。1回の検索で表示されるのは100件までです[13][14]。
  5. 日本貸金業協会の協会員検索で、協会に加入しているかを確認する。 都道府県や条件から、加入している貸金業者を検索できます[15]。
  6. 当サイトのファクタリング会社データベースで、公表情報と確認日を照らし合わせる。

当サイトの会社データベースとの対応

当サイトのファクタリング会社データベースは、各社の公式サイトに書かれた情報を、出典URLと確認日付きで転記しています。データベースの項目は、この記事のチェック項目と次のように対応します。

データベースの項目 対応するチェック項目 確認のしかた
法人番号・所在地 No.12 法人番号公表サイトの基本3情報と一致するか[12]
代表者・設立 No.12 登記事項証明書と一致するか[10]
手数料の公表値 No.6 公表値と見積書の手数料が大きく違わないか
償還請求権の記載 No.1 公式サイトの記載と契約書の条項が一致するか
債権譲渡登記の扱い No.14 登記や通知の条件が契約書にどう書かれているか
所属団体 — 団体の会員名簿で加入を確認できるか
出典URL・確認日 すべて 情報がいつ時点のものか

データベースは各社の自己申告の転記で、当サイトが安全性を保証するものではありません。事業者ごとの開示状況の集計はファクタリング事業者の透明性調査で公開していく予定です。

よくある誤解:「審査なしは有利」「協会加盟なら安全」

悪質業者の見分け方については、根拠のない安心材料がよく語られます。次の表で、よくある説明と正しい理解を並べます。

よく見かける説明 正しい理解 根拠
「審査なし・書類不要は利用者に有利」 債権を確認しないのは、利用者本人から回収する前提の疑いがある 大阪地裁平成29年判決[17]
「金融庁に登録されたファクタリング会社なら安全」 金融庁の登録検索は貸金業者の登録。債権の買取りそのものの登録制度は、確認した法令・公的資料の範囲では見当たらない 金融庁の検索サービス[13]
「業界団体に加盟していれば安全」 一般社団法人オンライン型ファクタリング協会(OFA)などの加盟は、法令上の登録・許可ではない OFA協会概要[24]
「債権譲渡登記をしている業者なら債権の存在も確認済み」 法務省は、登記は債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではないと明記 法務省[22]
「ノンリコースと書いてあれば安全」 形式ではなく実態で判断される。表明保証で実質的に保証させた契約は金銭消費貸借とされた 金融庁[1]

当てはまる項目があったときの行動

当てはまる項目があったら、重大度に応じて行動を変えます。署名前なら止める、署名後なら証拠をそろえて相談する、の2つが基本です。

状況 すること 相談先
署名前に「重大」に当てはまった 署名・押印を止める。契約書案と見積書を保存する 弁護士、金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)[1]
署名後に「重大」に当てはまった 支払いを続けるかを自分だけで決めず、契約書・振込記録をそろえて相談する 弁護士、日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(0570-051051)[1]
脅すような取立てを受けている 日時と内容を記録し、警察に相談する 警察相談専用電話 #9110[1]
相手が登録業者かわからない 金融庁の検索サービスで照合し、わからなければ問い合わせる 金融庁の検索サービス[13]、各財務局[25]

相談先ごとの電話番号と受付時間はファクタリング詐欺の手口と相談先に、弁護士への相談の進め方はファクタリングのトラブルを弁護士に相談するにはにまとめています。15項目を画面でチェックしたい場合は、違法業者チェックリスト(インタラクティブ版)を使ってください。

よくある質問

Q悪質なファクタリング業者を見分ける一番のポイントは何ですか?

A売掛先が支払わなかったときに、利用者が債権を買い戻す、または自分のお金で業者に払う決まりがあるかどうかです。金融庁は、回収を売主に任せ、回収できなければ売主が買い戻す取引を、貸金業に該当するおそれがある例として挙げています。契約書の買戻し・償還・保証の条項を必ず確認してください。

Q償還請求権があるファクタリング会社は悪質ですか?

A償還請求権があるだけで悪質・違法と決まるわけではありませんが、取引が貸付けと判断される大きな要素です。貸付けに当たる取引は、貸金業の登録を持つ業者が利息制限法などの規制を守って行う必要があります。登録のない業者が償還請求権付きの取引を行っていれば、無登録営業の疑いがあります。

Qファクタリング会社が実在するかはどう確認しますか?

A国税庁の法人番号公表サイトで、商号・本店所在地・法人番号を検索できます。代表者の氏名は、法務局で登記事項証明書を取れば確認でき、商業登記法10条により誰でも手数料を払って請求できます。ホームページの会社概要と一致しない場合は、契約を急がないでください。

Qファクタリング会社から保証人を求められたら危ないですか?

A日本貸金業協会は、金銭消費貸借契約を結んで代表者や家族に保証人になることを求めるケースを、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高い例に挙げています。債権の売買であれば、売掛先の不払いリスクは本来業者が負うため、利用者側の保証は売買の性質と矛盾します。保証を求められたら、署名前に弁護士に相談してください。

Q通帳やキャッシュカードを預けるよう言われたらどうすべきですか?

A預けないでください。日本貸金業協会は、通帳・銀行印・キャッシュカードを預かることを、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高いケースに挙げています。犯罪収益移転防止法も、正当な理由なく有償で預貯金通帳などを譲り渡す行為を処罰の対象にしています。

Q「売掛先に連絡する」と言われるのは違法な取立てですか?

A債権の売買では、業者が売掛先に債権譲渡を通知すること自体は民法467条に基づく正当な手続きです。ただし、通知を避けたい利用者に支払いを事実上強制する材料として使う取引は、裁判例で貸付けや公序良俗違反と判断される要素になりました。家族や職場に知らせると告げる行為は、貸付けに当たる取引なら貸金業法21条1項で禁止されています。

Qチェックリストに1つでも当てはまったら契約してはいけませんか?

A当サイトのチェックリストでは、「重大」の項目に1つでも当てはまる場合は、署名・押印をいったん止めて、専門家や公的な相談窓口に相談することをおすすめしています。「注意」の項目は、単独では違法の証拠になりませんが、複数当てはまる場合は業者の実在と契約条件を必ず確かめてください。

出典・参考資料

  1. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  2. 金融庁「事業者向けリーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(表面)」
  3. 日本貸金業協会「「ファクタリング」を装ったヤミ金融にご注意ください」(2017年12月4日)
  4. e-Gov法令検索「貸金業法」
  5. e-Gov法令検索「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」
  6. e-Gov法令検索「利息制限法」
  7. e-Gov法令検索「民法」
  8. e-Gov法令検索「刑法」
  9. e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律」
  10. e-Gov法令検索「商業登記法」
  11. e-Gov法令検索「会社法」
  12. 国税庁「国税庁法人番号公表サイト」
  13. 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
  14. 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意」
  15. 日本貸金業協会「協会員検索」
  16. 日本貸金業協会「悪質な金融業者にご注意!」
  17. 裁判所「大阪地方裁判所 平成29年3月3日判決(平成26年(ワ)第11716号)全文」(2017年3月3日)
  18. 裁判所「東京地方裁判所 令和3年2月9日判決(令和2年(ワ)第11883号)全文」(2021年2月9日)
  19. 裁判所「最高裁判所第三小法廷 令和5年2月20日決定(令和4年(あ)第288号)」(2023年2月20日)
  20. 警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2026年3月)
  21. 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」
  22. 法務省「債権譲渡登記制度」
  23. 法務省「オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)」
  24. 一般社団法人オンライン型ファクタリング協会「協会概要」
  25. 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(裏面:相談窓口)」

出典のURLと内容は2026年9月18日時点で確認しています。

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アンドファクタリング「悪質なファクタリング業者の見分け方|契約前に確認する15項目チェックリスト」(https://factoring.co.jp/safety/checklist/、2026年9月18日更新)