資金調達の比較

日本政策金融公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け|金利と判断フロー

最終更新 公開 約15分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • 日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資は返済義務のある借入れで、ファクタリングは売掛債権を売却する取引である。金融庁はファクタリングを法的には債権の売買(債権譲渡)契約と説明している。
  • 日本政策金融公庫の国民生活事業の基準利率は、無担保・税務申告2期終了の場合で年3.80〜5.40%(2026年9月1日現在)である。手数料5%・支払期日まで60日のファクタリングを年率に換算した約32%を大きく下回る。
  • 信用保証協会の保証限度額は、普通保険の2億円と無担保保険の8,000万円を合わせた2億8,000万円で、保証を利用する企業は約145.1万者にのぼる。売掛債権を担保にする流動資産担保融資保証制度もあるが、これは借入れへの保証でありファクタリングではない。
  • 売上の減少や回収条件の悪化が原因なら公庫の経営環境変化対応資金、取引先の倒産が原因なら取引企業倒産対応資金が用意されている。倒産した取引先への売掛金は、ファクタリングでは買い取られにくい。
  • ファクタリングは、公庫や保証協会付き融資の実行を待つ間の一時的な不足を埋める「つなぎ」に限って使うのが合理的である。金融庁は、高額な手数料を払い続けると資金繰りがかえって悪化し、多重債務に陥る危険があると注意している。
早わかり表
日本公庫 国民生活事業の基準利率年3.80〜5.40%(無担保・税務申告2期終了、2026年9月1日現在)
公庫の一般貸付(運転資金)限度額4,800万円、返済5年以内(特に必要な場合7年以内)
新規開業・スタートアップ支援資金限度額7,200万円。事業開始後おおむね7年以内の方など
信用保証協会の保証限度額2億8,000万円(普通2億円+無担保8,000万円)。別枠の保証もある
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)売掛債権・棚卸資産を担保にした借入れの保証。保証料率は年0.68%
ファクタリングとの違い公庫・保証付融資は返済義務のある借入れ、ファクタリングは債権の売買
目次
  1. 公庫・保証協会付き融資とファクタリングの違いとは
  2. 日本政策金融公庫の主な融資制度と金利
  3. 信用保証協会付き融資の仕組みと要件
  4. 売掛債権を担保に借りる「流動資産担保融資保証制度」とは
  5. コストで比べる|公的融資とファクタリングの年率
  6. 資金不足の原因別の使い分け(判断フロー)
  7. 融資を待つ間にファクタリングを使うときの注意点
  8. 公的融資を受けにくいときは何を確認するか

日本政策金融公庫の融資と信用保証協会付き融資は、返済義務のある低金利の借入れです。ファクタリングは売掛債権の売却で、返済義務はない一方、年率に換算したコストは手数料2%・支払期日まで60日でも公庫の基準利率の上限(年5.40%)の2倍強、手数料5%・60日なら約6倍になります。資金不足が数か月以上続くなら公的融資を先に検討し、ファクタリングは融資の実行を待つ間の「つなぎ」に限って使うのが基本です。

この記事では、公庫の主な融資制度と金利、保証協会付き融資の要件、売掛債権を担保にする保証制度を、公式ページの記載にもとづいて整理します。融資全般との比較は「ファクタリングと融資・ビジネスローンの違い」で、年率に直した比較表とともに解説しています。

公庫・保証協会付き融資とファクタリングの違いとは

公庫と保証協会付き融資は「借りて返す」資金、ファクタリングは「売って受け取る」資金です。この違いが、コスト、使える場面、失敗したときの影響をすべて決めます。

日本政策金融公庫(日本公庫)は、国が出資する政策金融機関です[11]。小規模事業者と個人事業主向けの融資は「国民生活事業」が扱っています[1]。信用保証協会は、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を借りるときに保証人となる公的機関です[8]。保証が付いた融資を「保証付融資」、保証が付かない融資を「プロパー融資」と呼びます[8]。

比較項目 日本公庫の融資 信用保証協会付き融資 ファクタリング
取引の性質 公庫からの借入れ 金融機関からの借入れ+協会の保証 売掛債権の売買[20]
申込先 公庫の支店 金融機関か、各地の信用保証協会[12] ファクタリング会社
コスト 利息(国民生活事業の基準利率は無担保で年3.80〜5.40%)[1] 金融機関の利息+信用保証料[10] 手数料(額面に対する%)
資金の使いみち 制度ごとに定める設備資金・運転資金 事業に必要な運転資金・設備資金に限る[9] 制限なし(売った代金)
保証人 希望を聞いて相談(制度による)[2] 法人代表者以外は原則不要。個人事業主は原則不要[8] 契約による
返済 元本と利息を返済 元本と利息を返済 償還請求権のない契約なら返済義務はない
手続きの流れ 申込み→面談→審査→契約→送金[24] 申込み→保証審査→保証承諾→融資実行[12] 申込み→審査→債権譲渡契約→入金

チェックポイント:資金が必要な理由と期間を書き出し、「借りて返せる資金か」「売掛金を売って埋める一時的な不足か」を先に区別します。

日本政策金融公庫の主な融資制度と金利

日本公庫の国民生活事業には、ほとんどの業種が使える一般貸付のほか、創業、業況悪化、取引先の倒産など、資金不足の原因ごとの制度があります。ファクタリングを検討する前に、原因に合う制度がないかを確認するのが第一歩です。

制度 主な対象 融資限度額 返済期間(うち据置期間) 利率
一般貸付[2] ほとんどの業種の中小企業 運転資金・設備資金 各4,800万円、特定設備資金7,200万円 運転5年以内(特に必要な場合7年以内)〈1年以内〉、設備10年以内〈2年以内〉 基準利率
新規開業・スタートアップ支援資金[3] 新たに事業を始める方、事業開始後おおむね7年以内の方 7,200万円 設備20年以内、運転10年以内〈各5年以内〉 基準利率(要件により特別利率)
経営環境変化対応資金[5] 外的要因で一時的に業況が悪化している方 7,200万円 設備20年以内、運転10年以内〈各3年以内〉 基準利率(要件により特別利率Q)
取引企業倒産対応資金[6] 取引企業の倒産で経営に困難を来している方 別枠3,000万円 10年以内〈3年以内〉 基準利率
マル経融資[7] 商工会議所等の経営指導を受け、推薦を受けた小規模事業者 2,000万円 10年以内〈2年以内〉 特別利率F(年2.90%)

経営環境変化対応資金の対象には、最近の決算期の売上高が前期か前々期より5%以上減った方のほか、「回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により」取引条件が0.1ヵ月以上悪化した方も含まれます[5]。売掛金の入金が遅くなったことが資金不足の原因なら、ファクタリングより先にこの制度の要件を確認する価値があります。

公庫の融資はどんな手順で進むか

国民生活事業の手続きは、申込みの後、次の順に進みます[24]。

  1. 面談:資金の使いみちや事業計画を聞かれる。事業計画に関連する資料や、資産・負債がわかる書類を準備する(オンライン面談も可能)
  2. 訪問:店舗や事業所の予定地を訪問されることがある
  3. 審査:事業計画などを検討して融資の判断をする。希望に沿えない場合もある
  4. 契約:融資の決定後、契約手続き(日本公庫電子契約サービス)を行う
  5. 送金:契約手続きの完了後、融資金が金融機関の口座に送金される。返済は原則として月賦払い

面談と審査を経るため、申し込んだ当日に入金される手段ではありません。支払期日が迫っている場合は、面談の日程と必要書類を早めに確認します。

公庫の金利はいくらか

国民生活事業の利率は、担保の有無と税務申告の期数で分かれています。2026年9月1日現在の基準利率は次のとおりです[1]。

区分 基準利率(年)
無担保・税務申告を2期終えている方 3.80〜5.40%
無担保・税務申告を2期終えていない方 3.75〜5.35%
有担保 2.80〜5.00%
マル経融資(特別利率F) 2.90%

公庫は、利率は金融情勢によって変動し、借入時の金利(固定)は記載の利率と異なる場合があるとしています[1]。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げることを決め、9月24日から適用しました[23]。借入れの直前に最新の利率を確認してください。

では、創業したばかりの場合は?

創業期の方(新たに事業を始める方か、事業開始後に税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で各種の融資制度を利用できます[4]。利率も原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げられます[4]。決算書が少ない創業直後は、ファクタリングの前に創業融資を検討するのが基本です。詳しくは「創業・開業したばかりでもファクタリングは使える?」をご覧ください。

チェックポイント:公庫の支店に相談する前に、資金不足の原因(売上減少・回収の遅れ・取引先の倒産・創業)と必要額、返済の財源を1枚にまとめておきます。

信用保証協会付き融資の仕組みと要件

信用保証協会付き融資は、協会が保証人になることで、金融機関との取引が浅い事業者でも融資を受けやすくする仕組みです。全国信用保証協会連合会は、取引の浅い事業者が融資を申し込むと、協会の保証を求められることもあると説明しています[8]。

保証の利用企業は約145.1万者で、中小企業・小規模事業者約336.5万者の4割強にあたります(当運営事務局の算出)。利用企業のおよそ8割は従業員20名以下の小規模企業です[8]。

項目 内容
対象となる規模 業種ごとの資本金か従業員数のいずれかが基準内。個人事業主は常時使用する従業員数で判断[9]
対象外の業種 農業、林業(素材生産業などを除く)、漁業、金融・保険業(一部を除く)[9]
区域・業歴 原則として協会の管轄区域で事業を営んでいること。制度によって業歴の要件あり[9]
資金の使いみち 事業経営に必要な運転資金と設備資金に限る[9]
保証限度額 普通保険2億円+無担保保険8,000万円=2億8,000万円(組合は4億8,000万円)。別枠の保証もある[9]
保証人 法人代表者以外の連帯保証人は原則不要。個人事業主は原則不要[9]
信用保証料 経営状況に応じた9つの料率区分。担保提供などで割引、経営者保証を提供しない制度の利用で割増[10]
金融機関の負担 責任共有制度により、部分保証方式では融資額の80%を協会が保証(一部の制度を除く)[11]

申込みから融資実行までの流れ

全国信用保証協会連合会が示す流れは次の5段階です[12]。

  1. 申込み:金融機関の窓口か、各地の信用保証協会に申し込む
  2. 保証審査:協会が審査する。訪問や面談を行う場合がある
  3. 保証承諾:保証が適当と認められると、協会が金融機関に「信用保証書」を発行する
  4. 融資実行:金融機関が信用保証書の条件で融資する。このとき信用保証委託契約書を提出し、信用保証料を金融機関経由で支払う
  5. 返済:返済条件にもとづき、金融機関に返済する

申込み時の主な提出書類は、信用保証委託申込書、申込人(企業)概要、信用保証依頼書、個人情報の取扱いに関する同意書、確定申告書(決算書)、商業登記簿謄本、印鑑証明書です[12]。協会は、信用保証料のほかに費用を受け取ることはないとしています[12]。

制度の詳細や審査に通らないときの選択肢は「信用保証協会の保証付き融資とは」で解説しています。

チェックポイント:自社の業種が保証対象か、協会の管轄区域で事業実態があるか、既存の保証付き融資の残高が限度額にどれだけ近いかを確認します。

売掛債権を担保に借りる「流動資産担保融資保証制度」とは

流動資産担保融資保証制度(ABL保証)は、売掛債権や棚卸資産を担保にして金融機関から借り入れるときに、信用保証協会が保証する制度です[13]。売掛債権を「売る」ファクタリングに対して、こちらは売掛債権を「担保にして借りる」手段です。

信用保証協会は2007年8月(平成19年8月)に、不動産担保に過度に依存しない保証への取り組みとして、売掛債権担保融資保証制度を拡充し、この制度の取扱いを始めました[13]。

項目 流動資産担保融資保証制度(ABL保証)[13] ファクタリング
取引の性質 売掛債権などを担保にした借入れ+協会の保証 売掛債権の売買
金額の上限 保証限度額2億円(金融機関からの借入限度額2億5,000万円) 売る債権の額面まで
保証の割合 80%の部分保証 —
期間 根保証1年間、個別保証1年以内 支払期日まで
保証人 不要 契約による
担保 流動資産(売掛債権と棚卸資産)のみ。個別保証は売掛債権のみ —
コスト 金融機関の利息+保証料(借入極度額・借入金額に対し年0.68%) 手数料

たとえば、額面2,000万円の売掛債権を担保にABL保証付きで借り入れる場合、コストは金融機関の利息と保証料(年0.68%)です。同じ債権を手数料5%でファクタリングすると、手数料は100万円です。担保にして借りる方法の詳細は「売掛債権担保融資・ABLとファクタリングの違い」で比較しています。

チェックポイント:取引金融機関がABL保証を取り扱うか、担保にする売掛債権の債務者(売掛先)を特定できるかを確認します。

コストで比べる|公的融資とファクタリングの年率

年率にそろえると、公庫の基準利率(年3.80〜5.40%)は、手数料2%・支払期日まで60日のファクタリングの年率換算(約12.4%)より低く、手数料5%・60日(約32.0%)の約6分の1です。同じ金額を同じ期間用意するなら、公的融資のほうが負担は小さくなります。

資金調達の手段 年率(ファクタリングは年率換算) 条件・時点
国内銀行の新規貸出約定平均金利 1.782% 2026年8月[19]
信用金庫の新規貸出約定平均金利 2.254% 2026年8月[19]
マル経融資(特別利率F) 2.90% 2026年9月1日現在[1]
公庫 国民生活事業の基準利率(無担保) 3.80〜5.40% 税務申告2期終了、2026年9月1日現在[1]
ファクタリング:手数料2%・期日60日 約12.4% 当運営事務局の算出(参考値)
ファクタリング:手数料5%・期日60日 約32.0% 当運営事務局の算出(参考値)
ファクタリング:手数料5%・期日45日 約42.7% 当運営事務局の算出(参考値)

ファクタリングの年率換算は「(手数料+諸費用)÷受取額×365÷支払期日までの日数」で計算した参考値です。ファクタリングは貸付けではないため、融資の金利と同じ物差しで比べるための目安として使います。自社の条件は「手数料・実質年率の計算ツール」で計算でき、各社の公表値は「ファクタリング手数料の相場」にまとめています。

保証協会付き融資のコストは、金融機関の利息に信用保証料を加えて考えます。保証料率は9つの区分から経営状況に応じて決まるため[10]、金融機関と協会から提示された条件で総額を確認してください。

チェックポイント:比べるときは「年率」だけでなく、「同じ金額を同じ期間用意したときの円の差」も計算します。

資金不足の原因別の使い分け(判断フロー)

使い分けは、資金不足の「原因」と「続く期間」で決まります。原因が構造的で数か月以上続くなら融資、入金の時期がずれているだけで次の入金で解消するならファクタリングも選択肢です。

資金不足の原因 先に検討する公的制度 ファクタリングの位置づけ
創業直後で実績が少ない 新規開業・スタートアップ支援資金など。創業期は原則無担保・無保証人[4] 売掛先がある場合の補助的な手段
売上が5%以上減った、利益率が悪化した 経営環境変化対応資金(限度額7,200万円)[5] 赤字の穴埋めには向かない
売掛金の回収サイトが長くなった 経営環境変化対応資金(取引条件の0.1ヵ月以上の悪化も要件の1つ)[5] 支払サイトの交渉と並行する一時的な手段
取引先が倒産した 取引企業倒産対応資金(別枠3,000万円)[6] 倒産先の債権は買い取られにくい
複数の借入れの返済負担が重い 保証協会の借換保証(複数の借入れを1本にまとめ、長期で返済)[14] 返済資金に充てると依存の原因になる
融資の実行を待つ間だけ足りない 申込み中の融資 必要額だけを売る「つなぎ」として選択肢になる
補助金に採択されたが、経費を先に払う必要がある 立替え資金の融資を公庫や取引金融機関に相談。補助金は原則として事業の実施後に受け取る後払い(精算払い)[25] 立替えに足りない分だけを売る一時的な手段(補助金のつなぎ融資とファクタリング)

ファクタリングは売掛先から代金を回収して成り立つ取引のため、倒産して支払が見込めない取引先への売掛金は買い取られにくくなります。たとえばビートレーディングは、不良債権の買取は行わないと明記しています[22]。この場合は、公庫の取引企業倒産対応資金(倒産した企業に50万円以上の売掛金債権を持つ方などが対象)を確認します[6]。売掛先が支払わないときの契約上の扱いは「売掛先が倒産・支払遅延したら」で解説しています。

チェックポイント:「資金繰り表」で3〜6か月先の不足額を月ごとに出し、不足が一時的か継続的かを数字で判断します。

融資を待つ間にファクタリングを使うときの注意点

融資の実行を待つ間のつなぎとしてファクタリングを使う場合は、不足額と期間を確定させ、必要な分だけを売ることが最も重要です。売る債権が多いほど、手数料は比例して増えます。

融資が承諾されなかった場合に備えて、次の入金でファクタリングをやめられるかも事前に確かめます。金融庁は、高額な手数料を払ってファクタリングを利用すると、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険があると注意を促しています[20]。

契約書に「債権の売買」と書いてあっても、回収できなかったときに利用者が買い戻すことになっている契約などは、実質的に貸付けと判断されるおそれがあります[20]。金融庁は、貸金業に当たるかどうかはノンリコースの規定の有無などの形式だけでなく、実態に照らして判断するとしています[20]。見分け方は「ファクタリングは違法?合法となる条件」と「悪質な業者の見分け方チェックリスト」にまとめています。

個人事業主の場合は、第三者への対抗要件としての債権譲渡登記を使えません。法務省は、債権譲渡登記の譲渡人を法人に限定しています[21]。登記が前提の契約は選べないため、2社間で登記をしない契約か、売掛先の承諾を得る3社間の契約が中心になります。

チェックポイント:つなぎで使った場合は、融資の実行日にファクタリングの利用を終える日を決め、資金繰り表に書き込みます。

公的融資を受けにくいときは何を確認するか

公庫や保証協会付き融資を受けにくいと感じたときも、すぐにファクタリングに切り替える前に、返済条件の見直しや借換えなど、借入れの側で負担を軽くする方法を確認します。

小企業の資金繰りは厳しさが続いています。日本公庫の全国中小企業動向調査(小企業編)では、2026年4〜6月期の資金繰りDI(「好転」−「悪化」)は▲19.9で、7〜9月期の見通しは▲28.4でした[18]。同じ公庫の調査では、前年より借入金利が「上がった」と答えた小企業が2025年に57.9%にのぼり、2021年の9.7%から大きく増えています[17]。

新型コロナ対応の民間ゼロゼロ融資では、2026年3月末時点で件数の5.1%(6万9,186件)が条件変更、3.6%(4万9,080件)が代位弁済になっています[16]。条件変更は、返済が難しくなった事業者が実際に選んでいる手段の1つです。

状況 確認する手段 内容
複数の保証付き融資の返済が重い 借換保証[14] 複数の借入金を1本にまとめて長期で返済し、毎月の返済額を減らす。新たな資金の上乗せも可能
返済そのものが難しい 返済条件の変更(リスケ) 金融機関に返済額や期間の変更を相談する(リスケ中の会社のファクタリング)
小規模事業者で、担保・保証人を用意できない マル経融資[7]、小口零細企業保証制度[13] マル経は無担保・無保証人で2,000万円まで。小口零細企業保証は保証限度額2,000万円で担保は原則不要
融資そのものの審査の見られ方を知りたい — 「銀行融資の審査の仕組み」を参照

資金繰りDIや倒産件数の推移は「倒産件数と資金繰りDIの推移」で毎月更新しています。

個別の融資の可否や返済条件の変更の判断は、取引金融機関、公庫の支店、信用保証協会の窓口に相談してください。契約内容に法的な不安がある場合は弁護士、会計処理は税理士に確認してください。

チェックポイント:相談に行く前に、直近2期の決算書(確定申告書)、借入金の一覧(残高・毎月の返済額・金利)、今後6か月の資金繰り表をそろえます。

よくある質問

Q公庫の融資とファクタリングは、どちらを先に検討すべきですか?

A資金不足が数か月以上続く見込みなら、公庫などの融資を先に検討します。公庫の国民生活事業の基準利率は無担保で年3.80〜5.40%(2026年9月1日現在)で、手数料5%・60日のファクタリングの年率換算約32%より大幅に低いためです。ファクタリングは、融資の実行までの一時的な不足を埋める場面に限って使うのが合理的です。

Q信用保証協会でファクタリングを利用できますか?

A信用保証協会はファクタリング(債権の買取)を行っていません。信用保証協会にある「流動資産担保融資保証制度(ABL保証)」は、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れるときの保証制度です。売掛債権を売る取引ではないため、返済義務のある借入れになります。

Q個人事業主も日本政策金融公庫や信用保証協会を利用できますか?

A利用できます。日本政策金融公庫の国民生活事業は小規模事業者と個人事業主を対象にした融資制度を設けています。信用保証協会も、個人事業主は常時使用する従業員数が基準に当てはまれば対象になり、保証人は原則不要です。ただし業種によっては保証の対象外になります。

Q日本政策金融公庫の金利は何%ですか?

A国民生活事業の基準利率は、無担保で税務申告を2期終えている場合は年3.80〜5.40%、2期終えていない場合は年3.75〜5.35%、有担保の場合は年2.80〜5.00%です(2026年9月1日現在)。制度や返済期間、担保の有無で適用される利率が変わり、金融情勢によっても変動します。

Q取引先が倒産して売掛金が回収できないときは、どうすればよいですか?

A日本政策金融公庫の取引企業倒産対応資金を確認してください。倒産した企業に50万円以上の売掛金債権などを持つ方が対象で、別枠3,000万円まで、返済10年以内で借りられます。倒産した取引先への売掛金は支払が見込めないため、ファクタリングでは買い取られにくい債権です。

Q公庫や保証協会の審査を待つ間、ファクタリングでつないでもよいですか?

A一時的なつなぎとして、必要な金額分の売掛金だけを売るのであれば選択肢になります。ただし手数料5%・支払期日まで45日の場合、年率換算で約42.7%のコストがかかります。融資が承諾されなかった場合の返済計画や、2社間ファクタリングで入金された代金の送金時期まで確認してから使ってください。

Q信用保証協会の保証料は保険料ですか?

A保険料ではありません。全国信用保証協会連合会は、信用保証料を保証委託に応じる対価と説明しています。借主が返済できず協会が金融機関に代位弁済した後は、借主が協会に弁済する必要があります。

出典・参考資料

  1. 日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(2026年9月1日現在)
  2. 日本政策金融公庫「一般貸付」
  3. 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
  4. 日本政策金融公庫「創業融資のご案内」
  5. 日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」
  6. 日本政策金融公庫「取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)」
  7. 日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」
  8. 全国信用保証協会連合会「初めての融資と信用保証」
  9. 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」
  10. 全国信用保証協会連合会「信用保証料」
  11. 全国信用保証協会連合会「信用保証制度を支えるしくみ」
  12. 全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」
  13. 全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度」
  14. 全国信用保証協会連合会「資金繰りの改善をお考えの方」
  15. 全国信用保証協会連合会「信用保証実績の推移」(2026年8月)
  16. 中小企業庁「中小企業政策審議会 金融小委員会(第16回)資料3」(2026年6月)
  17. 日本政策金融公庫「小企業の借入に関する調査」(2026年2月)
  18. 日本政策金融公庫「全国中小企業動向調査結果(2026年4-6月期実績)」(2026年7月)
  19. 日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月分)」(2026年10月)
  20. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  21. 法務省「債権譲渡登記制度」
  22. 株式会社ビートレーディング「ビートレーディング(買取の対象外となる債権)」
  23. 日本銀行「金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)」(2026年9月)
  24. 日本政策金融公庫「お手続きの流れ(小規模事業者/個人事業主の方)」
  25. 中小企業庁 ミラサポplus「補助金とは」

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

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  •  新規貸出約定平均金利を2026年8月分(国内銀行1.782%・信用金庫2.254%)に更新。政策金利1.25%の適用(9月24日)を適用済みの表現に修正。検索語「公庫 補助金 つなぎ融資」に合わせ、原因別の使い分けの表に「補助金の採択後に経費を先に払う場合」の行を追加(出典:ミラサポplus)

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この記事を引用するとき

記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。

アンドファクタリング「日本政策金融公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け|金利と判断フロー」(https://factoring.co.jp/compare/public-loans/、2026年10月22日更新)