資金調達の比較

信用保証協会の保証付き融資とは|仕組み・保証料・審査に通らないときの選択肢

最終更新 公開 約16分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • 信用保証協会の保証付き融資とは、信用保証協会法に基づく公的機関である信用保証協会が中小企業・小規模事業者の借入れを保証し、返済できなくなったときに協会が金融機関へ代わりに弁済(代位弁済)する制度である。
  • 信用保証協会の一般保証の限度額は、中小企業信用保険の普通保険の限度額2億円と無担保保険の限度額8,000万円を合わせた2億8,000万円(組合は4億8,000万円)で、セーフティネット保証などはこれとは別枠で使える。
  • 信用保証料率は経営状況に応じた9つの区分から決まり、東京信用保証協会の料率表では一般保証(保証付融資合計1,000万円超・無担保)で年0.45〜1.90%である。
  • 責任共有制度(2007年10月導入)により、原則として融資額の80%を信用保証協会が保証し、残り20%は金融機関がリスクを負う。
  • 信用保証協会の制度は売掛債権などを担保にした借入れを保証するもので、売掛金を売却するファクタリングとは取引の形が異なる。
早わかり表
根拠法信用保証協会法(昭和28年法律第196号)。協会は47都道府県と4市に計51
保証の対象中小企業・小規模事業者の事業資金(運転資金・設備資金)
一般保証の限度額2億8,000万円(普通2億円+無担保8,000万円)。セーフティネット保証などは別枠
保証割合原則80%(責任共有制度、2007年10月導入)。一部の制度は100%
保証料率9区分。東京信用保証協会の一般保証(1,000万円超・無担保)で年0.45〜1.90%
保証料以外の費用なし(調査料・手数料などは取らないと協会が明記)
代位弁済の実績2025年度 4万8,176件・5,491億円(全国信用保証協会連合会)
目次
  1. 信用保証協会の保証付き融資の仕組みは?
  2. 利用できる会社の条件は?
  3. 保証限度額はいくら?一般保証と別枠
  4. 保証料率はいくら?計算方法と計算例
  5. 責任共有制度とは?80%保証と100%保証
  6. 申込みから融資実行までの流れと必要書類
  7. 経営者保証は必要?不要にできる条件
  8. 保証協会付き融資を断られる主な理由は?
  9. 審査に通らないときの選択肢は?
  10. 「信用保証協会のファクタリング」はある?ABL保証との違い
  11. 信用保証制度の主な沿革

信用保証協会の保証付き融資とは、公的機関である信用保証協会が中小企業・小規模事業者の借入れの保証人になり、金融機関から事業資金を借りやすくする制度です。借り手は信用保証料を払い、返済できなくなったときは協会が金融機関に代わりに弁済します。この記事では、全国信用保証協会連合会と東京信用保証協会の公式情報をもとに、仕組み・条件・保証料・断られたときの選択肢を説明します。

公的融資とファクタリングの使い分けは「日本政策金融公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け」、融資全体とのコスト比較は「ファクタリングと融資・ビジネスローンの違い」で解説しています。

信用保証協会の保証付き融資の仕組みは?

信用保証制度は、中小企業・小規模事業者、金融機関、信用保証協会の3者で成り立っています[1]。協会は47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、各地域で業務を行っています[1]。

段階 中小企業 金融機関 信用保証協会
申込み・審査 保証を申し込む 融資を審査 保証を審査
保証承諾・融資実行 信用保証料を支払う 融資を実行 信用保証書を発行
返済 金融機関に返済 回収 —
返済できないとき 協会に返済(求償債務) 協会から弁済を受ける 代位弁済し、求償権を持つ

代位弁済とは、借り手が返済できなくなったときに、協会が金融機関に貸付残額を支払うことです[7]。代位弁済をすると、協会は借り手と保証人に対して、代位弁済額を元本とする債権(求償権)を持ちます[7]。協会は回収業務の一部を、法務大臣の許可を得たサービサー(保証協会債権回収株式会社)に委託しています[1]。

協会自身も、日本政策金融公庫の信用保険でリスクを分散しています。一定の要件を満たす保証は中小企業信用保険法に基づく信用保険に付され、代位弁済額の70〜90%を協会が公庫から保険金として受け取ります[4]。この「信用保証+信用保険」の仕組みを信用補完制度といいます[4]。

全国信用保証協会連合会の集計では、代位弁済は2025年度に4万8,176件・5,491億円で、2021年度の2万816件・2,426億円から件数で約2.3倍になりました(公表値から算出)[12]。保証債務残高は2026年7月末で32.6兆円(289.8万件)です[12]。

利用できる会社の条件は?

信用保証を使えるのは、原則として中小企業信用保険法に定める中小企業・小規模事業者です[2]。条件は「企業規模」「業種」「区域・業歴」の3つで、企業規模は資本金か常時使用する従業員数のどちらか一方を満たせば対象になります[2]。

業種(主たる事業) 資本金(出資の総額) 常時使用する従業員数
製造業その他(下の3業種以外) 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業(飲食業を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
医業を主たる事業とする法人 — 300人以下

出典:中小企業信用保険法2条1項[17]、全国信用保証協会連合会[9]。旅行業など、政令で業種ごとに別の基準がある場合があります[2]。個人事業主は、常時使用する従業員数が該当すれば対象です[2]。

業種は大半の商工業が対象ですが、農業、林業(素材生産業などを除く)、漁業、金融・保険業(一部を除く)は対象外です[2]。許認可や届出が必要な事業では、その許認可を受けていることが必要です[2]。区域は、申込先の協会が管轄する都道府県(市)に事業の実態があることが条件で、制度によっては業歴の要件があります[2]。

保証の対象になる資金は、事業経営に必要な運転資金と設備資金に限られます[2]。全国信用保証協会連合会は、運転資金を「商品や材料を購入する仕入資金、人件費など、事業を維持するために必要な資金」と説明し、生活費・住宅購入資金・投機のための資金は対象外としています[9]。運転資金の計算方法は「運転資金とは|計算式と不足したときの調達方法」で解説しています。

では、小規模事業者はどう扱われる?

常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模企業者には、専用の「小口零細企業保証制度」があります[5]。既存の保証付融資の残高と合わせて2,000万円以内で使え、担保は原則不要です[5]。この制度は責任共有制度の対象外で、100%保証です[4]。

保証限度額はいくら?一般保証と別枠

1企業あたりの一般保証の限度額は、中小企業信用保険の普通保険の限度額2億円と無担保保険の限度額8,000万円を合わせた2億8,000万円(組合は4億8,000万円)です[2]。これとは別枠で、セーフティネット保証など政策目的の保証に限度額が設けられています[2]。

保証の種類 限度額 主な特徴
一般保証(普通保険+無担保保険の限度額) 2億8,000万円(うち無担保8,000万円) 保証付融資合計8,000万円以下は原則無担保[9]
セーフティネット保証(1〜8号) 一般保証とは別枠で普通2億円・無担保8,000万円 市区町村長の認定が必要[10]
危機関連保証 一般保証とは別枠で普通2億円・無担保8,000万円 2026年10月22日の確認時点で認定対象の案件なし[10]
小口零細企業保証 2,000万円(既存残高と合算) 小規模企業者向け、100%保証[5]
創業関連保証など 3,500万円(関連3制度の合計) 創業前・創業間もない事業者向け[9]
スタートアップ創出促進保証 3,500万円 創業予定者や創業後5年未満の法人など。担保・保証人不要。保証料率は各協会の創業関連保証の料率に0.2%上乗せ(2023年3月15日開始)[27]
流動資産担保融資保証(ABL保証) 2億円(借入限度額2億5,000万円) 売掛債権・棚卸資産を担保、保証割合80%[5]

限度額は金融機関ごとではなく1企業あたりの合計です。全国信用保証協会連合会は、プロパー融資と保証付融資を併用することで融資枠を広げられることを、利用のメリットに挙げています[1]。

セーフティネット保証は、取引先の倒産(1号)、全国的に業況が悪化している業種(5号)、取引金融機関の破綻(6号)など8つの類型があり、本店所在地の市区町村長の認定を受けて使います[10]。

保証料率はいくら?計算方法と計算例

信用保証料率は、中小企業・小規模事業者の経営状況に応じた9つの料率区分から決まります[3]。担保の提供がある場合や会計参与設置会社である場合などは割引があり、事業者選択型経営者保証非提供制度を使う場合は割増になります[3]。

東京信用保証協会の料率表(2026年6月23日版)で、責任共有制度の対象となる一般保証の料率は次のとおりです[13]。区分1が最も高く、区分9が最も低い料率です。

保証付融資の合計額・担保 区分1 区分5 区分9
500万円以下 1.27% 0.77% 0.30%
500万円超1,000万円以下 1.55% 0.94% 0.35%
1,000万円超・有担保 1.80% 1.05% 0.35%
1,000万円超・無担保 1.90% 1.15% 0.45%
流動資産担保融資保証(ABL) 0.68%(区分によらず)

出典:東京信用保証協会「信用保証料率表」(年率)[13]。料率区分は、申込日の直前の決算書(2期分あれば2期分)をもとに、一般社団法人CRD協会のリスク評価モデルで判定されます[13]。直前の決算で貸借対照表がない場合は区分5です[13]。会計参与の設置または公認会計士の監査を受けたことを示す書類を出すと0.1%割り引かれ、事業者選択型経営者保証非提供制度を使うと0.25%または0.45%割り増しされます[13]。

保証料は、貸付金額、保証料率、保証期間、分割係数で決まります[14]。分割係数は、分割返済で残高が減ることを考慮した掛け目で、均等分割返済の場合、2〜6回は0.70、7〜12回は0.65、13〜24回は0.60、25回以上は0.55です[14]。

実際の借入コストは、金融機関に払う金利に、この保証料を足したものです。金利は保証料とは別に金融機関に払うもので、協会の公表資料には金利の水準は示されていません。参考として、日本銀行の統計では2026年8月の新規貸出約定平均金利は国内銀行1.782%、信用金庫2.254%です[22]。

では、途中で完済したら保証料は戻る?分割で払える?

戻る場合があります。東京信用保証協会は、最終約定期限の前に保証付融資を完済した場合、規定により保証料の一部を返戻することがあるとしています[24]。ただし計算結果が1,000円以下なら返戻の対象外で、完済の報告が著しく遅れた場合や返済状況によっては返戻できないことがあります[24]。

保証料は、申込み時などに「信用保証料分割支払承認依頼書」を出し、協会が承認すれば分割で払えます[25]。同協会の計算例では、貸付金額2,000万円・保証期間10年・保証料154万5,750円を5回に分け、貸付時35%、満1年後30%、満2年後20%、満3年後10%、満4年後5%の割合で払います[25]。なお、東京都制度融資で保証料の補助を受ける場合は分割払いを使えません[25]。

項目 東京信用保証協会の取扱い
繰上完済時の返戻 規定により一部を返戻することがある。1,000円以下は対象外[24]
分割払い 承認されれば可能。例:5回払いで35%・30%・20%・10%・5%[25]
有担保割引 担保の提供で0.1%割引となる場合がある[26]
会計参与・会計監査の割引 0.1%割引。個人事業者・組合・医療法人・NPO法人などは対象外[26]

責任共有制度とは?80%保証と100%保証

責任共有制度とは、信用保証協会と金融機関が融資のリスクを分け合う制度で、2007年10月に導入されました[6]。原則として、協会が融資額の80%を保証し、残りの20%は金融機関が負担します[4]。

金融機関は、次のどちらかの方式を選びます[4]。

  1. 部分保証方式:個別の貸付金の80%を協会が保証する
  2. 負担金方式:保証時点では100%保証だが、代位弁済の状況に応じて金融機関が協会に負担金を払い、部分保証と同等の負担を負う

原則としてすべての保証が責任共有制度の対象ですが、例外として、セーフティネット保証1〜4号・6号、災害関係保証、創業関連保証、小口零細企業保証、危機関連保証などは対象外です[4]。これらは100%保証です[13]。

申込みから融資実行までの流れと必要書類

保証の申込みは、金融機関の窓口を経由する方法と、信用保証協会に直接申し込む方法があります[8]。地方自治体や商工会・商工会議所などで受け付けている地域もあります[8]。

  1. 保証の申込み:金融機関経由なら、融資の申込みと同時に保証を申し込む。協会に直接申し込む場合は、協会が保証を適切と判断すると金融機関に融資をあっせんする[16]
  2. 保証審査:協会が審査する。訪問や面談を行う場合がある[8]
  3. 保証承諾:協会が金融機関に「信用保証書」を発行する[8]
  4. 融資実行:信用保証書の条件で融資が実行され、信用保証委託契約書を出し、保証料を払う[8]
  5. 返済:返済条件に従って金融機関に返済する[8]

東京信用保証協会は、審査の適正化のために株式会社日本信用情報機構と全国銀行個人信用情報センターに加盟していると公表しています[16]。

金融機関経由と、協会に直接申し込む方法の違いは?

金融機関経由保証は、事業者が金融機関に借入れを申し込み、金融機関がその借入れの保証を協会に依頼する方式です[7]。協会斡旋保証は、事業者が都道府県、市区町村、商工会議所、信用保証協会などの窓口に保証を申し込む方式です[7]。協会に直接申し込んだ場合でも、協会の保証承諾とは別に金融機関の融資審査があります[16]。

金融機関と取引がなくても、協会に申し込むことはできます[9]。金融機関の審査の見られ方は「銀行融資の審査の仕組み」で解説しています。

経営者保証は必要?不要にできる条件

連帯保証人は必要となる場合がありますが、法人代表者以外の連帯保証人は原則不要で、個人事業主は連帯保証人が原則不要です[2]。法人代表者の保証(経営者保証)も、一定の条件を満たせば不要にできます[11]。

取扱い 主な要件 保証料
金融機関連携型 申込金融機関に経営者保証なし・無担保のプロパー融資残高がある、直近決算で債務超過でなく直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でない、法人と経営者の一体性の解消を金融機関が確認している、など 上乗せなし
財務要件を満たす場合 直近決算期で一定の財務要件を満たしている 上乗せなし
不動産担保で保全される場合 法人または経営者の不動産の担保提供があり、十分な保全が図られている 上乗せなし
事業者選択型経営者保証非提供制度 過去2年間決算書等を金融機関に提出、代表者への貸付金等がなく役員報酬が適切、債務超過でないか2期連続赤字でないか(いずれかまたは両方)、継続的な充足の誓約など5要件 上乗せあり(東京信用保証協会では0.25%または0.45%[13])

出典:全国信用保証協会連合会[11]

「経営者保証改革プログラム」では、2021年度の無担保保険の利用(法人)で経営者保証の徴求比率が92%だったことを示し、2024年4月から事業者選択型の制度を始めることや、ABL保証で経営者保証の徴求を廃止することが示されました[18]。事業者選択型経営者保証非提供制度は、2024年3月15日に施行されています[28]。創業時については、創業後5年未満の法人などが経営者保証なしで使える「スタートアップ創出促進保証」が2023年3月15日に始まりました[27]。

保証協会付き融資を断られる主な理由は?

断られる理由は、大きく「制度の対象外」「過去の信用事故」「判断材料の不足」の3つに分けられます。東京信用保証協会は、利用できない例を次のように公表しています[15]。

分類 利用できない例(東京信用保証協会)
制度の対象外 反社会的勢力、農林・漁業、性風俗関連特殊営業、金融業(一部を除く)、学校法人、宗教法人、非営利団体(NPO法人を除く)、LLPなど
過去の信用事故 協会の代位弁済を受けて求償債務が残っている、協会に対して求償権の保証人として保証債務を負っている、銀行取引停止処分を受けている(原則として1回目の不渡・支払不能から6か月を経過していない場合を含む)
手続中・休眠 破産・民事再生・会社更生などの法的手続中(申立中を含む)や私的整理手続中、みなし解散した休眠会社
返済・申告 保証付融資やプロパー融資に延滞などの債務不履行がある、確定申告をしていない
判断材料の不足 事業実態・資金使途・返済能力を判断する資料を出せない

同協会は、粉飾決算や融通手形の操作をしている場合、税金を滞納し完納の見通しがない場合も取り扱えないとしています[15]。法人の代表者が銀行取引停止処分を受けている場合は、原則として法人も利用できません[15]。

一方で、全国信用保証協会連合会は、赤字だけを理由に保証を断ることはなく、赤字の原因、経営意欲、事業計画などを総合的に検討すると説明しています[9]。限度額の枠が埋まっている場合も、新たな保証は受けられません。借り手の保証付融資の合計で限度額が管理されるためです[2]。

審査に通らないときの選択肢は?

保証協会付き融資を断られたときは、資金不足の原因が「赤字」か「入金のずれ」かで、次の手段を選びます。

選択肢 向いている状況 確認しておくこと
日本政策金融公庫 民間金融機関で借りにくい小規模事業者・創業者 制度ごとの金利と要件(「公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け」)
経営改善計画の策定支援(405事業) 延滞・返済条件の変更中など、金融支援を伴う経営改善が必要 認定経営革新等支援機関への費用の2/3を補助(通常枠のDD・計画策定は上限200万円)[19]
売掛債権・在庫を担保にした借入(ABL) 売掛金や在庫はあるが、不動産担保がない 保証付きならABL保証(年0.68%)[5]。「売掛債権担保融資・ABLとファクタリングの違い」
ファクタリング 売掛金の入金待ちで一時的に資金が足りない 年率換算のコスト、償還請求権の有無(「ファクタリングとは」)
売掛先・仕入先との条件見直し 入金が遅く支払が早い 取適法の対象取引は支払期日が受領から60日以内(「取適法とファクタリング」)

資金繰りの環境も確認しておきましょう。中小企業庁の資料では、民間ゼロゼロ融資(件数ベース)は2026年3月末で、返済条件を変更したものが5.1%、代位弁済に至ったものが3.6%でした[20]。返済条件の変更中の会社の資金繰りは「債務超過・返済条件の変更(リスケ)中の会社のファクタリング」で解説しています。

「信用保証協会のファクタリング」はある?ABL保証との違い

信用保証協会はファクタリングを提供していません。協会にあるのは、売掛債権や棚卸資産を担保にして金融機関から「借入を行う際に、保証を行う」流動資産担保融資保証制度(ABL保証)です[5]。これは借入れへの保証で、売掛金を売って代金を受け取るファクタリングとは取引の形が違います。

比べる点 ABL保証付きの借入 ファクタリング
法的な性質 金銭の借入れ(売掛債権などは担保) 売掛債権の売買(債権譲渡)[21]
返済義務 あり(期日に返済) 原則として売掛金の回収で完結(契約の内容による)
保証限度額・上限 保証2億円(借入2億5,000万円)[5] 売掛金の額面が上限
費用 金利+保証料年0.68%[5] 手数料(「ファクタリング手数料の相場」)
保証期間 根保証1年間、個別保証1年以内[5] 売掛金の支払期日まで
担保・保証人 担保は流動資産のみ(個別保証は売掛債権のみ)、保証人不要[5] 担保・保証人は不要(契約の内容による)

信用保証協会は2007年8月から、売掛債権担保融資保証制度を拡充する形でこの制度を始めました[5]。

信用保証制度の主な沿革

信用保証制度は、1937年に東京信用保証協会が設立されたことに始まります[6]。2000年代以降は、料率の弾力化、責任共有制度、経営支援の業務追加など、中小企業の状況に応じた見直しが続いています。

年月 出来事
1937年8月 わが国初の信用保証協会として、東京信用保証協会が設立[6]
1950年12月 中小企業信用保険法が公布・施行(信用保険制度の創設)[6]
1953年8月 信用保証協会法が公布・施行[6]
2006年4月 保証料率の弾力化を実施[6]
2007年8月 流動資産担保融資保証制度(ABL保証)の取扱いを開始[5]
2007年10月 責任共有制度を導入[6]
2018年4月 信用保証協会法の改正で、保証利用企業への経営支援などを業務に追加[6]
2022年12月 「経営者保証改革プログラム」を公表。創業時の経営者保証を求めない保証制度、事業者選択型の制度、ABL保証での経営者保証徴求の廃止などの方針を示す[18]
2023年3月 経営者保証を不要とする創業時の「スタートアップ創出促進保証」を開始(3月15日)[27]
2024年3月 事業者選択型経営者保証非提供制度を施行(3月15日)[28]

保証協会付き融資と、ほかの資金調達手段の全体像は「資金調達の方法一覧」で比較しています。

よくある質問

Q信用保証協会の保証付き融資とは何ですか?

A中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金を借りるときに、公的機関である信用保証協会が保証人になる融資です。借り手が返済できなくなると協会が金融機関に代わりに弁済し、その後は借り手が協会に返済します。借り手は保証の対価として信用保証料を払います。

Q信用保証協会の保証料はいくらですか?

A保証料率は経営状況に応じた9つの区分から決まります。東京信用保証協会の料率表(2026年6月23日版)では、一般保証で保証付融資の合計が1,000万円超・無担保の場合、年0.45〜1.90%です。保証料は貸付金額×料率×保証期間(月数)÷12に、分割返済の場合は分割係数を掛けて計算します。

Q信用保証協会はいくらまで保証してくれますか?

A一般保証の限度額は、普通保険の限度額2億円と無担保保険の限度額8,000万円を合わせた2億8,000万円(組合は4億8,000万円)です。これは1企業あたりの保証付融資の合計で、複数の金融機関で使っていても合算されます。セーフティネット保証などは別枠です。

Q赤字決算でも信用保証協会の保証は受けられますか?

A全国信用保証協会連合会は、赤字だけを理由に保証を断ることはないとしています。赤字の原因、経営意欲、事業計画などを総合的に検討して判断します。ただし審査の結果、希望に添えない場合もあります。

Q信用保証協会の審査に通らない主な理由は?

A東京信用保証協会は、利用できない例として、代位弁済を受けて求償債務が残っている、銀行取引停止処分を受けている、法的・私的整理の手続中、延滞がある、確定申告をしていない、判断資料を出せない、などを挙げています。粉飾決算や、完納の見通しがない税金滞納も取り扱えないとしています。

Q信用保証協会付き融資で経営者保証は必要ですか?

A法人代表者以外の連帯保証人は原則不要で、個人事業主は連帯保証人が原則不要です。法人代表者についても、金融機関と連携した取扱いや、一定の財務要件を満たす場合などは経営者保証を不要にできます。保証料率の上乗せを条件に経営者保証を提供しない「事業者選択型経営者保証非提供制度」もあります。

Q信用保証協会でファクタリングは使えますか?

A信用保証協会はファクタリング(売掛金の買取り)を行っていません。協会にあるのは、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れる際の保証(流動資産担保融資保証制度、ABL保証)で、保証限度額2億円、保証料率は年0.68%です。売掛金を売るファクタリングとは取引の形が異なります。

Q保証協会付き融資を断られたら、ほかに何がありますか?

A日本政策金融公庫への相談、売掛債権などを担保にするABL、経営改善計画の策定支援(費用の2/3補助)、ファクタリング、売掛先との支払条件の見直しなどがあります。資金不足の原因が赤字なのか、入金のずれなのかで選ぶ手段が変わります。

出典・参考資料

  1. 全国信用保証協会連合会「信用保証協会と信用保証制度」
  2. 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」
  3. 全国信用保証協会連合会「信用保証料」
  4. 全国信用保証協会連合会「信用保証制度を支えるしくみ(責任共有制度・信用補完制度・信用保険制度)」
  5. 全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度(ABL保証・小口零細企業保証制度ほか)」
  6. 全国信用保証協会連合会「信用保証制度の沿革」
  7. 全国信用保証協会連合会「信用保証協会用語」
  8. 全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」
  9. 全国信用保証協会連合会「よくあるご質問」
  10. 全国信用保証協会連合会「経営に支障が生じている方(セーフティネット保証・危機関連保証)」
  11. 全国信用保証協会連合会「経営者保証を不要とする取扱い・事業者選択型経営者保証非提供制度」
  12. 全国信用保証協会連合会「信用保証実績の推移」(2026年8月27日更新)
  13. 東京信用保証協会「信用保証料率表(2026年6月23日版)」
  14. 東京信用保証協会「信用保証料の計算例」
  15. 東京信用保証協会「ご利用いただけない中小企業とは」(2026年2月6日更新)
  16. 東京信用保証協会「保証手続きの流れ」
  17. e-Gov法令検索「中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号)」
  18. 経済産業省・金融庁・財務省「経営者保証改革プログラム」(2022年12月23日)
  19. 中小企業庁「経営改善計画策定支援」
  20. 中小企業庁「中小企業政策審議会 金融小委員会(第16回)資料3」(2026年6月2日)
  21. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  22. 日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月分)」(2026年10月2日)
  23. 全国信用保証協会連合会「初めての融資と信用保証」
  24. 東京信用保証協会「信用保証料の返戻手続」
  25. 東京信用保証協会「信用保証料の分割支払」
  26. 東京信用保証協会「信用保証料率の割引」
  27. 中小企業庁「経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。」(2025年2月3日更新)
  28. 島根県「事業者選択型経営者保証非提供制度について」

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開(旧サイトの信用保証協会関連の記事群を統合し、全国信用保証協会連合会・東京信用保証協会・中小企業庁などの公式情報にもとづいて全面的に書き直し)
  •  参考に示す新規貸出約定平均金利を2026年8月分(国内銀行1.782%・信用金庫2.254%)に更新し、出典を8月分の資料に差し替え。訂正:一般保証の限度額の内訳を、全国信用保証協会連合会の表記どおり「普通保険・無担保保険の限度額」に修正。沿革の「予定として公表」の行を、実際の開始日(スタートアップ創出促進保証 2023年3月15日、事業者選択型経営者保証非提供制度 2024年3月15日)に差し替え、限度額の表にスタートアップ創出促進保証を追加。危機関連保証の状況を2026年10月22日の確認時点に更新

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アンドファクタリング「信用保証協会の保証付き融資とは|仕組み・保証料・審査に通らないときの選択肢」(https://factoring.co.jp/compare/credit-guarantee/、2026年10月22日更新)