資金調達の比較

でんさい(電子記録債権)とファクタリングの違い|割引・譲渡との使い分け

最終更新 公開 約16分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • でんさいとは、株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が扱う電子記録債権で、発生や譲渡に電子記録を必要とする金銭債権である。三菱UFJ銀行は、でんさいを支払・決済手段の一種、ファクタリングを売掛債権を支払期日前に売却して現金化するサービスと説明している。
  • でんさいの発生記録は2025年度に1,000万7,855件で初めて1,000万件を超え、金額は50兆915億円だった。利用者登録数は2026年9月末で58万5,095社である。
  • でんさいを割引や譲渡に使うと、原則として譲渡人を保証人とする保証記録がされ、支払企業が支払わなければ譲渡人が支払うことになる。償還請求権のないファクタリングでは、売掛先が支払わなくても利用者に支払義務はない。
  • でんさいは電子記録債権法で善意取得と人的抗弁の切断が定められており、譲渡制限の記録もできない。通常の売掛金は、民法468条により売掛先が譲渡人に対する抗弁を譲受人に主張でき、債務者対抗要件として通知か承諾が必要になる。
  • 取適法の対象取引では、でんさいの満期日を支払期日(給付の受領日から60日以内)内に設定する必要があり、発生記録手数料や入金手数料を受け取る側に負担させることはできない。
早わかり表
でんさいの法律上の性質電子記録債権(電子記録債権法2条1項)。発生・譲渡は記録で効力が生じる
ファクタリングの法律上の性質売掛債権の売買(民法の債権譲渡)
でんさいの発生記録(2025年度)1,000万7,855件・50兆915億円(初の1,000万件超)
でんさいを譲渡・割引したときの責任原則として譲渡人を保証人とする保証記録がされる
でんさいの割引各金融機関が独自の判断で提供(でんさいネットは取扱い状況を把握していない)
取適法での留意点満期日は支払期日内。発生記録手数料・入金手数料は委託事業者が負担
目次
  1. でんさいとファクタリングの違いとは
  2. でんさい(電子記録債権)とは
  3. 法律上の違い|抗弁・対抗要件・譲渡制限
  4. でんさいを期日前に資金化する方法
  5. 遡求(保証記録)の有無で何が変わるか
  6. コストで比べる|割引料とファクタリング手数料
  7. 売掛金とでんさい、どちらで受け取るほうが資金化しやすいか
  8. 手形からの移行と取適法で何が変わるか
  9. どちらを使うべきか|ケース別の使い分け

でんさいとファクタリングの違いは、でんさいが電子記録債権法にもとづく「支払手段」で、割引や譲渡をすると原則として保証人の責任が残るのに対し、ファクタリングは売掛債権の「売却」で、償還請求権のない契約なら売掛先が払わなくても責任が残らない点です。三菱UFJ銀行も、でんさいを「支払・決済手段の一種」、ファクタリングを売掛債権を支払期日前に売却して現金化するサービスと説明しています[14]。

紙の手形・小切手の交換が2027年3月31日で終わるのに合わせて[25]、でんさいで代金を受け取る事業者が増えています。この記事では、法律上の違い、資金化の方法、遡求の有無、コスト、取適法との関係を比べ、使い分けを整理します。融資を含めたコストの全体像は「ファクタリングと融資・ビジネスローンの違い」で比べています。

でんさいとファクタリングの違いとは

でんさいとファクタリングは、そもそも比べる対象の種類が違います。でんさいは「債権の形」(手形に代わる電子の債権)で、ファクタリングは「債権を売る取引」です。受け取ったでんさいを資金化する方法の一つとして、でんさいを買い取るファクタリングもあります。

比較項目 でんさい(電子記録債権) ファクタリング(売掛債権の売却)
性質 支払・決済手段[14] 資金調達の取引(債権の売買)[17]
根拠となる法律 電子記録債権法[1] 民法の債権譲渡[15]
期日前の資金化 金融機関での割引、取引先への譲渡[4] ファクタリング会社への売却
資金化したときの責任 原則として譲渡人が保証人になる[5] 償還請求権のない契約なら責任なし
資金化の相手 取引金融機関(割引は各金融機関が独自に提供)[6] ファクタリング会社
分割 1円単位で分割して使える[8] 債権ごと(会社によって一部買取も可)
売掛先・支払企業に知られるか 譲渡は記録されるが、支払企業への通知は不要 2社間は通知なし、3社間は承諾が必要
期日の入金 支払期日に自動で入金[4] 2社間は利用者が受け取って送金、3社間は売掛先が直接支払う
印紙税 課されない[3] 契約書の扱いは別途確認が必要(ファクタリング契約書に印紙は必要?)

たとえば額面100万円・支払期日60日後の代金を、でんさいで受け取った場合と、売掛金のまま持っている場合を比べます。でんさいなら、取引金融機関に割引を申し込み、割引料を引いた金額を受け取れます。売掛金なら、ファクタリング会社に売って手数料を引いた金額を受け取ります。支払企業が期日に払わなかったとき、でんさいの割引では保証人として100万円を支払う責任が残りますが、ノンリコースのファクタリングでは残りません。

でんさい(電子記録債権)とは

でんさいとは、手形に代わる電子の債権で、でんさいネットの記録原簿に記録することで発生・譲渡します。でんさいネットは2010年6月8日に全国銀行協会の100%子会社として設立され、2013年2月18日にサービスを始めました[2][3]。

電子記録債権法は、電子記録債権を「その発生又は譲渡についてこの法律の規定による電子記録を要件とする金銭債権」と定めています[1]。主な条文は次のとおりです。

条文 内容 実務での意味
2条1項 発生・譲渡に電子記録を要件とする金銭債権と定義 紙の証券がなく、記録が債権そのもの
15条 発生記録によって生じる 支払企業(債務者)などの請求で記録される
17条 譲渡記録をしなければ譲渡の効力を生じない 譲渡の手続きが記録に一本化される
19条・20条 善意取得と人的抗弁の切断(債務者を害することを知って取得した場合などの例外あり) 譲り受けた人は、原則として前の取引の事情を主張されない
43条1項 分割できる 必要な金額だけを割引・譲渡できる

でんさいの利用は急速に広がっています。2025年度の発生記録は1,000万7,855件(前年度比19.7%増)で初めて1,000万件を超え、金額は50兆915億円(同11.4%増)でした[13]。2013年度の24.6万件・1兆8,774億円から、12年で件数が約40倍になった計算です(でんさいネットの統計から算出)[13]。

指標 数値 時点
利用者登録数 58万5,095社 2026年9月末[13]
発生記録(件数・金額) 1,000万7,855件・50兆915億円 2025年度[13]
発生件数に占める中小企業・個人事業主 71.5%(715.9万件) 2025年度(当運営事務局の算出)[13]
譲渡記録 192万4,216件・9兆3,481億円 2025年度[13]
分割記録 36万4,634件・1兆4,161億円 2025年度[13]
支払不能 1,071件・22.4億円(前年度516件) 2025年度[13]

譲渡記録が年間192万件あることは、でんさいが支払手段として取引先に「回されて」いることを示しています。手形・でんさいの統計の推移は「手形・でんさいの統計」にまとめています。

でんさいと売掛金では、譲り受けた人の立場の強さが違います。でんさいは人的抗弁の切断などで譲受人が保護されるのに対し、売掛金は売掛先が元の取引の事情を主張できるため、ファクタリング会社は売掛先の抗弁や相殺のリスクを見て手数料を決めます。

論点 でんさい 売掛金(ファクタリング)
譲渡の効力 譲渡記録で生じる(17条)[1] 当事者の合意で生じる(民法466条1項)[15]
支払企業・第三者への対抗 記録で足りる 通知か承諾が必要、第三者には確定日付が必要(民法467条)[15]。法人は債権譲渡登記も使える[16]
支払企業の抗弁 人的抗弁は原則として切断される(20条)[1] 対抗要件を備えるまでに生じた事由を譲受人に主張できる(民法468条1項)[15]
相殺 記録上の債権として決済 対抗要件を備える前に取得した債権で相殺できる(民法469条1項)[15]
譲渡の制限 譲渡禁止の記録はできない。譲渡先を参加金融機関に限定することはできる[7] 譲渡制限の特約があっても譲渡は有効(民法466条2項)。ただし悪意・重過失の譲受人には履行を拒める(同3項)[15]

個別の債権で抗弁や相殺がどう扱われるかは、契約の内容によって変わります。具体的な判断は弁護士に相談してください。

債権譲渡登記と、でんさいの記録はどう違う?

債権譲渡登記は、すでにある売掛債権の「譲渡」を第三者に主張するための制度で、でんさいの記録は債権そのものを生み出し、移転させる仕組みです。動産・債権譲渡特例法は、法人が金銭債権を譲渡して登記したときは、債務者以外の第三者との関係では確定日付のある通知があったものとみなすと定めています[31]。ただし売掛先(債務者)に主張するには、登記事項証明書を交付した通知か、売掛先の承諾が別に必要です[16]。

登記を使えるのは法人に限られ、個人事業主は利用できません[16]。法務省は、登記は「債権の存在や譲渡の有効性を証明するものではありません」と明記しています[16]。これに対し、でんさいは発生記録によって生じ、譲渡記録によって譲渡の効力が生じるため[1]、記録を見れば債権の内容と持ち主がわかります。登記の費用や調べ方は「債権譲渡登記とは」で解説しています。

でんさいを期日前に資金化する方法

でんさいを期日前に資金化する方法は、金融機関での割引、取引先への譲渡、ファクタリング会社などによる買取、支払企業が導入する一括ファクタリングの4つです。保証人としての責任が残るかどうかで分かれます。

方法 相手 保証人の責任 条件・特徴
割引 取引金融機関 原則として残る[5] 各金融機関が独自に提供。三菱UFJ銀行は割引の開始に所定の審査がある[6][14]
譲渡 自社の仕入先など 原則として残る[5] 自社の支払に充てる。手形の裏書譲渡に相当[14]
ファクタリング会社などによる買取 リース会社・ファクタリング会社など ノンリコースで買い取るサービスがある[18] 三井住友ファイナンス&リースはでんさいをノンリコースで買取[18]。OLTAは電子記録債権を対象外[22]
一括ファクタリング(支払企業主導) 支払企業が契約した金融機関など サービスによる 支払企業が導入し、納入企業は単独では申し込めない[20][21]

支払企業が導入するサービスには、次のような例があります。三井住友銀行の「でんさいファクタリング支払サービス」では、仕入先はファクタリングかでんさいかを選んで受け取り、ファクタリングを使うときは支払企業の信用力を生かした短期プライムレート等の一律のレートで調達できるとしています[20]。みずほファクターの「電ペイ」では、特別目的会社が納入企業から電子記録債権をノンリコースで買い取ります[19]。三菱UFJ銀行の「でんさい一括ファクタリング」は、2026年2月10日現在で新規の取扱いを停止しています[21]。

割引と譲渡の具体的な手順、譲渡できない期間の数え方は「でんさいの割引・譲渡のやり方と手数料」で解説しています。支払企業が主導する仕組みは「一括ファクタリングとは」も参考にしてください。

遡求(保証記録)の有無で何が変わるか

でんさいを割引や譲渡に使うと、原則として保証人の責任が残るため、支払企業が払わなかったときのリスクは自社に戻ってきます。ノンリコースのファクタリングや買取を使えば、このリスクを移せます。

電子記録債権法は、電子記録保証を「電子記録債権に係る債務を主たる債務とする保証であって、保証記録をしたもの」と定めています(2条9項)[1]。でんさいを割引や譲渡に使ったときに残る責任は、この電子記録保証によるものです。

支払企業が期日に資金不足で支払わないと、支払不能でんさいになります。三菱UFJ銀行は、支払企業に手形の取引停止処分と同等のペナルティが科されると説明しています[14]。2025年度の支払不能は1,071件・22.4億円で、前年度の516件からほぼ倍増しました[13]。

会計でも違いが出ます。でんさいネットは、でんさいを割り引いた場合、保証記録の残高を「電子記録債権割引高」などとして偶発債務の内容を注記する取扱いを示しています[9]。償還請求権付きのファクタリング契約は、実態によっては貸付けと判断されるおそれもあります[17]。見分け方は「償還請求権(ノンリコース)とは」と「ファクタリングは違法?」で解説しています。

コストで比べる|割引料とファクタリング手数料

でんさいの割引料は年率の割引率で日割り計算され、ファクタリング手数料は1回ごとの率で決まります。同じ物差しで比べるには、ファクタリング手数料を受取額と日数で年率に換算します。

割引料の計算方法の一例として、三菱UFJファクターはでんさい一括ファクタリングの割引料を「割引希望金額(100円未満切捨て)×割引利率(%)×日数(両端入れ)÷365日」と公表しています[23]。でんさいネットは各金融機関の割引の取扱い状況を把握しておらず[6]、割引率を集計した公表統計は、当運営事務局の調査では確認できませんでした。参考として、主要行の短期プライムレートは2.375%です(2026年8月3日以降)[29]。

資金化の方法(額面100万円・期日まで60日) 費用 受取額に対する年率 保証人の責任
でんさいの割引(割引率 年3.0%と仮定) 約4,932円 約3.0% 原則として残る
ファクタリング(手数料2%) 20,000円 約12.4% ノンリコースなら残らない
ファクタリング(手数料5%) 50,000円 約32.0% ノンリコースなら残らない

割引料は「100万円×3.0%×60÷365」で計算し、日数の数え方(両端入れなど)や記録手数料は含めていません。手数料を仮に1,000円加え、日数を両端入れ(61日)で数えると、受取額に対する年率換算は約3.7%に上がります(計算の内訳は「でんさいの割引・譲渡のやり方と手数料」)。ファクタリングの年率換算は(手数料)÷受取額×365÷60で計算しています(当運営事務局の算出)。OLTAの公表手数料は2〜9%で[24]、各社の分布は「ファクタリング手数料の相場」にまとめています。自分の条件での計算は「手数料・実質年率の計算ツール」を使ってください。

コストだけで見ると割引が有利になりやすい一方、割引は保証人の責任が残り、ノンリコースのファクタリングはその責任を移せます。支払企業の信用力が高いなら割引、信用に不安があるならノンリコースの買取やファクタリング、という比べ方が基本です。

割引料以外にかかる手数料は?

でんさいでは、割引料のほかに、発生記録や譲渡記録などの記録請求の手数料や、入金にかかる手数料が金融機関ごとに設定されています。でんさいライトは基本手数料がかからない代わりに、記録請求1件ごとに手数料がかかります[32]。取適法の対象取引では、入金手数料(金融機関によって「受取手数料」「決済手数料」などの名称)を受け取る側が負担すると満額の受領にならないため、委託事業者が負担する必要があります[10]。手数料にかかるインボイスは、窓口金融機関が発行します[33]。

売掛金とでんさい、どちらで受け取るほうが資金化しやすいか

支払企業がでんさいに対応しているなら、でんさいで受け取ると、割引・譲渡・分割といった資金化の選択肢が増えます。ただし受け取る側もでんさいネットの参加金融機関と契約する必要があり、割引を受けられるかどうかは金融機関が決めます。

でんさいは支払期日に自動で入金され、期日前に譲渡や割引ができ、必要な分だけ分割して使えます[4]。三菱UFJ銀行は、でんさいの導入にあたって取引先もでんさいネットとの契約が必要だと案内しています[14]。インターネットバンキングの契約がなくても使える「でんさいライト」は、基本手数料が不要で[12]、2026年3月時点で263の金融機関が扱っています[26]。

でんさいの支払期日には、発生の時点で制限があります。支払企業(債務者)の請求で発生させる場合は、支払期日の3銀行営業日前まで発生させられます。債権者の請求による場合や、2023年1月の機能改善に対応していない金融機関を使う場合は、7銀行営業日前までに発生させる必要があります[11]。

手形からの移行と取適法で何が変わるか

手形の廃止と取適法の施行で、でんさいで代金を受け取る事業者は増えますが、取適法の対象取引では満期日と手数料の負担に新しいルールがあります。受け取る側は、満期日が支払期日内か、手数料を負担させられていないかを確認します。

全国銀行協会は、電子交換所での紙の手形・小切手の交換を2027年3月31日で終了します[25]。手形を振り出している企業は2025年度調査で17万3,179社あり、そのうち、でんさいネットと未契約の企業が53.1%、契約はあるが使っていない企業が21.0%です[26]。手形からの移行先として、でんさいの利用はさらに増える見込みです。

取適法(2026年1月1日施行)5条1項2号は、支払期日までに代金の額に相当する金銭と引き換えることが困難な支払手段を使うことを禁止しています[30]。公正取引委員会の運用基準は、その例として電子記録債権と一括決済方式を挙げています[28]。公正取引委員会と中小企業庁の要請(2026年9月2日)は、受領日から60日を超える満期を設定した電子記録債権での支払は原則として禁止されるとしています[27]。

でんさいネットは、取適法の対象取引ででんさいを使うときの留意点を次のように示しています[10]。

項目 取適法の対象取引での扱い
満期日 支払期日(受領日から60日以内)内に設定する。支払期日より後の満期は、支払側が割引料等を負担しても、受取側が自ら割引を受ける必要がある場合は使用できない
満期日が休業日の場合 事前に書面で合意があれば、2日間までの順延が認められる
入金手数料 受取側に負担させる場合は、委託事業者が手数料相当額を加えて支払い、満額を受け取れるようにする
発生記録手数料 債務者請求方式では委託事業者が負担し、代金から差し引けない
支払期日前の割引 支払期日までに満額が自動で入金される状態なら、満期日前の割引に制約はなく、割引手数料は受取側が負担する

どちらを使うべきか|ケース別の使い分け

でんさいで受け取っているなら、まず取引金融機関での割引を検討し、保証人の責任を避けたいときや割引を受けられないときに、ノンリコースの買取やファクタリングを比べるのが基本です。売掛金で受け取っているなら、ファクタリングか融資を比べます。

状況 検討する順番 理由
でんさいで受け取っていて、支払企業の信用が高い 金融機関での割引 → 譲渡 割引料は年率で低く、不払いのリスクも低い
でんさいで受け取っていて、支払企業の信用に不安がある ノンリコースの買取 → 割引 割引では保証人の責任が残る[5]
でんさいで受け取っているが、金融機関に割引を断られた ノンリコースの買取、一括ファクタリングの有無の確認 割引は各金融機関の判断[6]
売掛金(振込)で受け取っている ファクタリング、融資 でんさいの割引は使えない
支払企業がでんさい一括ファクタリング等を導入している 支払企業のサービスの条件を確認 支払企業の信用力を生かしたレートの例がある[20]
資金不足が毎月続いている 融資で資金繰りを立て直す 割引料・手数料が毎月かかり続ける

でんさいも売掛金も、資金化するたびに割引料や手数料の分だけ入金が減ります。毎月の資金不足が続いているなら、「資金繰り表の作り方」で原因を確かめ、融資を含めて検討してください。手形割引との違いは「ファクタリングと手形割引の違い」で比べています。

よくある質問

Qでんさいとファクタリングの違いは何ですか?

Aでんさいは電子記録債権法にもとづく支払手段で、受け取った側は期日前に金融機関で割引を受けたり、取引先に譲渡したりして資金化できます。ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却する取引です。でんさいを割引・譲渡すると原則として保証人としての責任が残りますが、償還請求権のないファクタリングなら売掛先が払わなくても支払義務はありません。

Qでんさいをファクタリングで売ることはできますか?

Aでんさいを買い取るサービスはあります。三井住友ファイナンス&リースはでんさいネットで発生した電子記録債権をノンリコースで買い取ると公表しています。一方、OLTAのように手形や電子記録債権を対象外とするファクタリング会社もあるため、申込み前に対象債権を確認してください。

Qでんさいの割引とファクタリングはどちらが安いですか?

Aでんさいの割引料は年率の割引率で日割り計算され、金融機関が審査のうえ個別に決めます。ファクタリング手数料は1回ごとの率で、手数料2%・支払期日まで60日なら年率換算で約12.4%です。割引率が年数%であれば、一般に割引のほうが低コストになりますが、割引では保証人としての責任が残る点を含めて比べてください。

Qでんさいを譲渡したら責任は残りますか?

A原則として残ります。でんさいネットは、手形の裏書人が遡求義務を負うのと同様に、でんさいを譲渡する場合は原則として譲渡人を保証人とする保証記録も記録される仕組みにしています。譲受人が保証を不要とする場合は、保証記録をしないこともできます。

Qでんさいで受け取るには何が必要ですか?

A受け取る側も、でんさいネットの参加金融機関と利用契約を結ぶ必要があります。インターネットバンキングを使っていない場合は、基本手数料がかからない「でんさいライト」を使えます。でんさいライトは2026年3月時点で263の金融機関が扱っています。

Qでんさいの支払企業が支払わなかったらどうなりますか?

A支払期日に資金不足で支払われないと、支払不能でんさいになり、支払企業には手形の取引停止処分と同等のペナルティが科されます。2025年度の支払不能は1,071件でした。割引や譲渡をしていた場合は、保証人として支払を求められることがあります。

Q取適法ででんさいの使い方は変わりましたか?

A取適法の対象取引では、でんさいの満期日を支払期日(給付の受領日から60日以内)内に設定する必要があります。入金手数料や発生記録手数料を受け取る側に負担させることもできません。支払期日内に満額が自動で入金される状態なら、受け取る側が満期日前に割引をすることに制約はなく、その割引料は受け取る側が負担します。

出典・参考資料

  1. e-Gov法令検索「電子記録債権法」
  2. でんさいネット「会社概要」
  3. でんさいネット「でんさいとは」
  4. でんさいネット「でんさいのメリット 受取利用編」
  5. でんさいネット「よくあるご質問「『譲渡保証記録』について教えてください。」」
  6. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいを手形のように割り引いてもらうことはできますか。」」
  7. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいの譲渡を制限することはできますか。」」
  8. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいの(分割)譲渡に何か制限はありますか。」」
  9. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいを取引金融機関に割引に出した場合の会計上の取扱い」」
  10. でんさいネット「よくあるご質問「取適法において、でんさいを支払手段として利用するに当たって留意すべき事項」」
  11. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいの支払期日に何か制限はありますか。」」
  12. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいライトとは何ですか。」」
  13. でんさいネット「統計情報(請求等取扱高)」(2026年10月15日掲載分(2026年9月分))
  14. 三菱UFJ銀行「でんさい(電子記録債権)」
  15. e-Gov法令検索「民法」
  16. 法務省「債権譲渡登記制度について」
  17. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  18. 三井住友ファイナンス&リース株式会社「ファクタリング(でんさいファクタリング)」
  19. みずほファクター株式会社「よくあるご質問(電ペイ)」
  20. 三井住友銀行「でんさいファクタリング支払サービス」
  21. 三菱UFJ銀行「でんさい一括ファクタリング」
  22. OLTA株式会社「よくある質問(手形・電子記録債権の取扱い)」
  23. 三菱UFJファクター株式会社「でんさい一括ファクタリング よくあるご質問(割引料の計算式)」
  24. OLTA株式会社「OLTAクラウドファクタリング(手数料)」
  25. 全国銀行協会「手形・小切手の交換廃止日について(2026年6月18日)」
  26. 全国銀行協会「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書(2025年度)」(2026年3月)
  27. 公正取引委員会「約束手形の利用廃止等に向けた要請(2026年9月2日)」
  28. 公正取引委員会「取適法の運用基準」
  29. 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年10月16日更新)
  30. e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」
  31. e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」
  32. でんさいネット「よくあるご質問「でんさいライトの利用手数料はいくらですか。」」
  33. でんさいネット「よくあるご質問「でんさい取引に係る手数料に関するインボイスは、どこから発行されますか。」」

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開
  •  でんさいの利用者登録数を2026年9月末の58万5,095社に更新(要点・表)。コスト比較表の割引の例(年3.0%・60日・手数料なしで約3.0%)が、でんさい割引の記事の例(手数料1,000円・両端入れ61日で約3.7%)と前提が違うことを本文に明記し、数字の食い違いに見えないようにした

内容の誤りや古くなった情報にお気づきの場合は、お問い合わせからご連絡ください。確認のうえ訂正し、この欄に記録します。

この記事を引用するとき

記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。

アンドファクタリング「でんさい(電子記録債権)とファクタリングの違い|割引・譲渡との使い分け」(https://factoring.co.jp/compare/factoring-vs-densai/、2026年10月22日更新)