資金繰り表の作り方|そのまま写して使える表形式のテンプレート付き
このテーマの基本:支払いサイトとは|入金サイクルの計算、短縮の交渉、取適法の60日ルール
広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針
この記事の要点
- 資金繰り表とは、月ごとの現金の収入と支出、月末に残る資金(翌月繰越)を一覧にして、資金が足りなくなる月を前もって知るための表である。
- 資金繰り表は損益計算書と違い、売上や経費を計上した月ではなく実際に入金・支払がある月に書くため、利益が出ていても資金が不足する月を見つけられる。
- 本記事のテンプレートは、前月繰越・売上入金・その他収入・仕入支払・人件費・その他経費・借入返済・差引過不足・翌月繰越の9項目を月次で3か月分並べた表で、差引過不足は収入の合計から支出の合計を引き、翌月繰越は前月繰越に差引過不足を足して求める。
- 日本政策金融公庫は資金繰り表の書式と記入例を公開しており、国民生活事業の書式は前月繰越金・経常収支・経常外収支・財務収支・翌月繰越金の順で構成されている。
- 源泉所得税は原則として給与を支払った月の翌月10日まで、厚生年金保険料などは対象月の翌月末日までに納めるため、資金繰り表ではこれらを実際の納付月の支出に書く。
| 資金繰り表とは | 月ごとの現金の収入・支出と月末残高を並べ、資金不足の月を事前に見つける表 |
|---|---|
| 基本の計算式 | 差引過不足=収入計-支出計/翌月繰越=前月繰越+差引過不足 |
| 書く月のルール | 売上・経費を計上した月ではなく、入金・支払がある月 |
| 本記事のテンプレート | 月次・3か月分・9項目(前月繰越〜翌月繰越)の表形式 |
| 公的な書式 | 日本政策金融公庫が国民生活事業・中小企業事業の資金繰り表と記入例を公開 |
| 税・社会保険料の支払月 | 源泉所得税は翌月10日(納期の特例は7月10日・1月20日)、厚生年金保険料等は翌月末日 |
目次
資金繰り表とは、月ごとの現金の収入と支出、月末に残る資金を一覧にして、資金が足りなくなる月を前もって見つけるための表です。この記事では、そのまま写して使える3か月分のテンプレートを表形式で示し、記入例、作り方の手順、税金や社会保険料を書く月、資金不足が見えたときの対処までを解説します。
資金繰り表は、支払いサイト(締め日から支払日までの期間)の違いで生まれる入金と支払のずれを、月単位で見える化する道具です。表の形に決まりはなく、日本政策金融公庫も資金繰り表の書式に「この書類に代わる資料を作成されていれば、そちらをご提出いただいてもかまいません」と書いています[3]。
資金繰り表とは(損益計算書との違い)
資金繰り表は、利益ではなく現金の残高を管理するための表です。損益計算書で黒字でも、売掛金の回収待ちや借入金の元金返済があると、手元の現金は減ることがあります。そのずれを月ごとに確認できるのが資金繰り表です。
| 比べる点 | 資金繰り表 | 損益計算書 |
|---|---|---|
| 何を表すか | 現金の収入・支出と月末残高 | 売上・費用と利益 |
| いつの月に書くか | 入金・支払がある(予定の)月 | 取引が発生した期間 |
| 売掛金の売上 | 入金された月に「売上入金」 | 納品・請求した期に売上 |
| 借入金の元金返済 | 支払った月に「借入返済」 | 費用にならない(利息だけが費用) |
| 在庫の仕入れ | 代金を払った月に「仕入支払」 | 売れた期に売上原価 |
| 減価償却費 | 書かない(現金が出ないため) | 費用に計上する |
| 主な目的 | 資金不足の月を事前に見つける | 儲かっているかを判断する |
キャッシュフロー計算書との違いは?
キャッシュフロー計算書は、決算期ごとの過去の現金の動きを営業・投資・財務の3つに分けて示す決算書類です。資金繰り表は、これから数か月の予定を月単位で書き、足りなくなる月を見つけることに主眼があります。過去を振り返る書類と、先を見通す表という違いです。
資金繰り表が必要になるのはどんな会社?
売上の入金より先に仕入・外注費・人件費を払う会社は、規模にかかわらず資金繰り表が役に立ちます。日本政策金融公庫の調査では、2025年に借入れをした小企業の最大の借入れの使いみち(複数回答)は「日常的な仕入・経費支払」が52.2%で最も多く、運転資金の需要が借入れの中心でした[5]。同公庫の2026年4〜6月期の調査では、小企業の資金繰りDI(「好転」-「悪化」)は▲19.9でした[6]。
そのまま写して使える資金繰り表のテンプレート(月次・3か月)
次の表が、紙にも表計算ソフトにもそのまま写して使える資金繰り表のテンプレートです。月次で3か月分、項目は9つです。金額の単位(円・千円・万円)を最初に決め、表の上に書いておきます。
| 項目 | 1か月目( 月) | 2か月目( 月) | 3か月目( 月) | 書く内容 |
|---|---|---|---|---|
| ①前月繰越 | 月初の現金・預金の残高。2か月目以降は前の月の⑨ | |||
| ②売上入金 | その月に入金される売上代金(現金売上、売掛金の回収、手形・でんさいの入金) | |||
| ③その他収入 | 借入れ、補助金・助成金、資産の売却、ファクタリングの手取り額など | |||
| ④仕入支払 | その月に支払う仕入代金・外注費(買掛金・支払手形の決済を含む) | |||
| ⑤人件費 | 給与・賞与・役員報酬、社会保険料・源泉所得税の納付 | |||
| ⑥その他経費 | 家賃、水道光熱費、通信費、保険料、税金の納付など | |||
| ⑦借入返済 | 借入金の元金と利息の返済額 | |||
| ⑧差引過不足 | (②+③)-(④+⑤+⑥+⑦) | |||
| ⑨翌月繰越 | ①+⑧。マイナスなら資金不足 |
表計算ソフトに写すときの式
表計算ソフトでは、A列に項目名、B〜D列に1〜3か月目を置き、1行目を見出しにすると、2行目〜10行目が①〜⑨になります。次の式を入れれば、①の最初の月と②〜⑦を入力するだけで⑧と⑨が自動で計算されます。
| 行 | 項目 | B列(1か月目)の式 | C列・D列(2・3か月目)の式 |
|---|---|---|---|
| 2 | ①前月繰越 | 手入力(月初の現預金残高) | C2に「=B10」、D2に「=C10」 |
| 3〜8 | ②〜⑦ | 手入力 | 手入力 |
| 9 | ⑧差引過不足 | =(B3+B4)-(B5+B6+B7+B8) | 列の記号をC・Dに変えた同じ式 |
| 10 | ⑨翌月繰越 | =B2+B9 | 列の記号をC・Dに変えた同じ式 |
項目を増やしたいときは?
9項目で足りなくなったら、金額の大きい支払から行を分けます。たとえば⑥その他経費から「税金の納付」、④仕入支払から「手形・でんさいの決済」、③その他収入から「借入れ」を独立させると、止められない支払と資金の出どころが一目でわかります。行を増やしても、⑧差引過不足は「収入の行の合計-支出の行の合計」、⑨翌月繰越は「①+⑧」という式は変わりません。
日本政策金融公庫の書式とはどう対応する?
日本政策金融公庫(国民生活事業)の資金繰り表は、前月繰越金、経常収支(収入・支出・差引過不足)、経常外収支、財務収支(借入金・借入金返済)、翌月繰越金の順に並んでいます[1][3]。本記事のテンプレートは、これを9項目に簡略化したものです。
| 本記事の項目 | 日本政策金融公庫の書式(国民生活事業)の項目 |
|---|---|
| ①前月繰越 | 前月繰越金 |
| ②売上入金 | 現金売上、売掛金回収、受取手形入金・割引 |
| ③その他収入 | 経常外収入、借入金(当公庫・その他) |
| ④仕入支払 | 現金仕入、買掛金支払、手形決済、外注加工費 |
| ⑤人件費 | 人件費 |
| ⑥その他経費 | 諸経費、支払利息(簡易版でない資金繰り表に行がある)、経常外支出 |
| ⑦借入返済 | 借入金返済(短期・長期) |
| ⑧差引過不足 | 公庫の書式では経常収支だけの差引(収入計-支出計)で、経常外収支と財務収支は別に計算する |
| ⑨翌月繰越 | 翌月繰越金(前月繰越金+差引過不足+経常外収支計+財務収支計) |
融資の申込みで資金繰り表を出すなら、申込先の書式に合わせると説明がスムーズです。日本政策金融公庫は中小企業事業向けにも、資金繰り表の簡易版と詳細版を作成手順・記載例付きで公開しています[2]。
資金繰り表の記入例(3か月分)
記入例では、2か月目に翌月繰越がマイナスになり、資金が足りなくなる月が見つかる流れを示します。数字はすべて仮定の例です。
| 項目 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|
| ①前月繰越 | 300 | 210 | -70 |
| ②売上入金 | 780 | 700 | 900 |
| ③その他収入 | 0 | 0 | 0 |
| ④仕入支払 | 420 | 450 | 400 |
| ⑤人件費 | 250 | 250 | 400 |
| ⑥その他経費 | 150 | 230 | 150 |
| ⑦借入返済 | 50 | 50 | 50 |
| ⑧差引過不足 | -90 | -280 | -100 |
| ⑨翌月繰越 | 210 | -70 | -170 |
この例では、11月末に70万円、12月末に170万円が足りません。10月の時点でこの表があれば、11月の支払日より前に手を打てます。
資金繰り表の作り方(8つの手順)
資金繰り表は、最初の月の現預金残高を入れ、入金と支払の予定を「いつ・いくら」で1行ずつ埋めていけば完成します。売上や経費の帳簿ではなく、請求書・契約書・返済予定表・納付書といった「支払日がわかる書類」を手元に置いて作ります。
- 期間と単位を決める。 まず月次で3か月分。年1回の税金や賞与まで見るなら12か月分に延ばす。
- ①前月繰越に現金・預金の残高を入れる。 すぐに引き出せない定期預金などは分けて考える。
- ②売上入金を、入金予定の月に書く。 取引先ごとの締め日と支払日から、どの月の売上がいつ入るかを決める。
- ③その他収入を書く。 借入れの実行予定、補助金・助成金の入金予定、資産の売却代金など。
- ④仕入支払を、支払予定の月に書く。 仕入先・外注先ごとの締め日と支払日で決める。
- ⑤人件費を書く。 給与の支給日の月に書き、社会保険料と源泉所得税は納付する月に書く。
- ⑥その他経費と⑦借入返済を書く。 家賃などの定額の支払、税金の納付、返済予定表の元金と利息。
- ⑧差引過不足と⑨翌月繰越を計算し、毎月実績と比べて先の月を書き直す。
売上入金の月はどう決める?
売上入金の月は、売上を計上した月に取引先の支払条件を当てはめて決めます。月末締め翌月末払いなら10月の売上は11月の入金、月末締め翌々月末払いなら12月の入金です。取引先ごとに条件が違うときは、取引先別に入金予定を出して合計します。締め日と支払日からの日数の数え方は支払いサイトとはで詳しく説明しています。
税金・社会保険料はどの月に書く?
税金と社会保険料は、発生した月ではなく納付期限の月に書きます。納付期限は制度で決まっているため、資金繰り表に最初から書き込んでおけます。
| 支払の種類 | 資金繰り表に書く月 | 根拠 |
|---|---|---|
| 源泉所得税(給与・一定の報酬) | 原則として給与などを支払った月の翌月(10日まで) | 国税庁 No.2505[7] |
| 源泉所得税(納期の特例を受けている場合) | 1〜6月分は7月(10日まで)、7〜12月分は翌年1月(20日まで) | 国税庁 No.2505[7] |
| 厚生年金保険料・健康保険料 | 対象月の翌月(末日まで)。4月分は5月末日 | 日本年金機構[9] |
| 消費税の中間納付 | 直前の年税額が48万円超400万円以下なら年1回、400万円超4,800万円以下なら年3回、4,800万円超なら年11回。各対象期間の末日の翌日から2か月以内 | 国税庁 No.6609[8] |
| 所得税の予定納税(個人事業主) | 予定納税基準額が15万円以上の人は、基準額の3分の1ずつを7月(1日〜31日)と11月(1日〜30日)に納付 | 国税庁 No.2040[16] |
源泉所得税の納期の特例は、給与の支給人員が常時10人未満の事業者が税務署に申請して使う制度です[7]。特例を使っている会社は、7月と1月に半年分をまとめて払うため、その月の⑤人件費が大きくなります。国税庁は、消費税の納税資金を計画的に積み立てる方法として、e-Taxに登録した口座から期日を指定して前もって納付できる「予納ダイレクト」を案内しており、簡易課税制度や2割特例を使う事業者向けに、年間の消費税額が20万円なら月々の積立額は約1.7万円という目安も示しています[10]。
個人事業主が資金繰り表を作るときは?
個人事業主は、事業の現金と生活費が同じ口座で動くことが多いため、生活費の引き出しを⑥その他経費とは別の行(たとえば「生活費」)に書くと、事業そのものの資金の過不足が見えます。所得税の予定納税がある人は、7月と11月に前年の申告納税額のおおむね3分の1ずつを納めるため[16]、その月の支出に書き込んでおきます。個人事業主の資金調達の選択肢は個人事業主・フリーランスのファクタリングでも整理しています。
資金繰り表を書くときのよくある間違い
資金繰り表の間違いの多くは、損益計算書の感覚で「計上した月」に書いてしまうことから起きます。次の表の6つを避ければ、表の精度は大きく上がります。
| よくある間違い | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 売上を請求した月の入金にする | 取引先の支払日の月に書く | 売掛金は支払日まで現金にならない |
| 減価償却費を支出に入れる | 入れない。設備代金は支払った月に書く | 減価償却費は現金が出ない費用の配分 |
| 借入金の元金返済を書き忘れる | 返済予定表の元金と利息を⑦に書く | 元金返済は損益計算書に出てこない |
| 税込・税抜が混ざる | 入金・支払とも実際に動く税込の金額で書く | 預かった消費税は納付月に出ていく |
| 年1回の支出を忘れる | 賞与・税金・保険料・車検などを12か月分の表で確認する | 特定の月だけ支出が大きくなる |
| 手形・でんさいを受け取った月に入金とする | 期日(割り引いたなら割引の月)に入金として書く | 期日まで現金にならない |
ファクタリングや借入れで入ったお金はどう書く?
借入れ・補助金・ファクタリングで入った現金は、③その他収入に書きます。ファクタリングで売掛金を売った場合は、元の入金予定月の②売上入金からその売掛金を消し、売却した月の③に手取り額を書きます。消し忘れると同じ売掛金を二重に数えることになり、翌月繰越が実際より多く見えます。
ファクタリングの仕組みはファクタリングとはで確認できます。
資金繰り表の見方(3つのチェックポイント)
資金繰り表でまず見るのは、⑨翌月繰越がマイナス、または自社で決めた下限を下回る月があるかどうかです。次に、⑧差引過不足のマイナスが続いていないか、売上が増える月に支出が先に膨らんでいないかを確認します。
手元の資金は何か月分あれば安心?
手元資金の十分さは、翌月繰越を「1か月の支出の合計」で割ると、何か月分の支払に耐えられるかで測れます。記入例の対策後の10月なら、翌月繰越510÷11月の支出990≒0.5か月分です。必要な水準は入金の安定度や借入れの余力で変わるため、自社で下限(たとえば翌月の給与・社会保険料・借入返済の合計)を決め、それを下回る月に印を付けておくと判断が早くなります。
「予定」と「実績」を並べるのはなぜ?
予定と実績を並べると、予定の精度が上がります。日本政策金融公庫の資金繰り表も、1列目を【実績】、2列目以降を【予定】として並べる形です[3]。毎月、終わった月の実績を入れ、予定とずれた理由(入金遅れ、想定外の支出など)を確認してから、次の月の予定を書き直します。
売上が伸びているのに翌月繰越が減るのはなぜ?
売上が伸びる時期は、増えた売上の分の仕入・外注費・人件費を、入金より先に払うため、翌月繰越が減ることがあります。これが続くと、利益が出ていても支払えなくなる黒字倒産につながります。売上増加に伴って必要になる資金の計算は運転資金とはで解説しています。
資金不足が近いときは日次の資金繰り表に切り替える
月次の資金繰り表は月末の残高しか示さないため、月の途中に起きる資金不足を見落とすことがあります。不足が見えた月は、入金日と支払日ごとに残高を追う日次の表に切り替えます。
次の表は、記入例の11月(前月繰越210、翌月繰越-70)を日ごとに分けた仮定の例です。人件費250は、給与200(25日払い)、源泉所得税20(10日納付)、社会保険料30(月末納付)に分けています。
| 日付 | 内容 | 入金 | 出金 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 11月1日 | 前月繰越 | 210 | ||
| 11月10日 | 源泉所得税の納付(10月の給与分) | 20 | 190 | |
| 11月20日 | 家賃・水道光熱費などの経費 | 150 | 40 | |
| 11月25日 | 給与の支払 | 200 | -160 | |
| 11月30日 | 売上入金 | 700 | 540 | |
| 11月30日 | 仕入支払・社会保険料・借入返済・税金の納付 | 610 | -70 |
月次の表では11月末の不足は70でしたが、日次で見ると25日の給与日に160が足りません。給与は労働基準法24条1項で「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められている支払で[17]、遅らせる選択肢はとりにくいため、不足の手当ては25日より前に終えておく必要があります。
資金不足が見えたときの対処
資金繰り表で不足が見えたら、不足する月より前に、影響が小さく費用の安い手段から順に手を打ちます。不足月の直前になるほど選べる手段が減り、費用も高くなります。
- 金融機関に早めに相談する。 資金繰り表を持参し、不足の時期・金額・理由を説明する。既存の借入れの返済条件の変更も相談できる。
- 公的融資を検討する。 日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤル(0120-154-505)で相談できる[14]。比較は日本政策金融公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け。
- 入金を早める。 請求書の発行を早める、前受金・中間金をお願いする、支払条件の見直しを交渉する。
- 支払の時期を相談する。 税金は税務署、厚生年金保険料等は年金事務所に、猶予の申請を相談できる。国税の換価の猶予は、納期限から6か月以内の申請などが要件で、猶予期間は原則1年以内です[11]。
- 売掛金を資金化する。 でんさいの割引やファクタリングを使う。ファクタリングは手数料の負担が大きいため、ファクタリング手数料の相場と手数料・実質年率シミュレーターで費用を確認してから使う。
金融機関に資金繰り表を出すときのポイントは?
金融機関に出す資金繰り表は、過去数か月の実績と今後の予定を並べ、数字の根拠を添えます。日本政策金融公庫の資金繰り表の書式にも、「売上高、売上原価、経費等の算出根拠」を書く欄があります[3]。売上入金の予定を取引先別に説明できること、通帳や試算表の数字と実績欄が一致していること、借りたお金を何に使い、どの入金で返すのかが表から読み取れることが、説明の要点です。
資金が足りない月が目前に迫っている場合の優先順位は、資金ショートを防ぐにはで詳しく解説しています。資金調達の手段を一覧で比べたい場合は資金調達の方法一覧を参照してください。
資金繰り表の作成を相談できる公的窓口
資金繰り表の作り方や、表から見えた課題の相談は、国が設置した無料の窓口でもできます。いずれも公式ページで名称と内容を確認できる窓口です。
| 窓口 | 内容 | 公式ページ |
|---|---|---|
| よろず支援拠点 | 国が全国47都道府県に設置した無料の経営相談所。課題の大小を問わず何度でも無料で相談できる[13] | yorozu.smrj.go.jp |
| 中小企業活性化協議会 | すべての都道府県に設置された公的機関。収益力改善支援では収益力改善アクションプランと簡易な収支・資金繰り計画の作成を支援する。相談無料・秘密厳守・事前予約制[12] | 中小企業庁のページ |
| 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル | 融資の相談・問い合わせ。0120-154-505(平日9時〜17時)[14] | jfc.go.jp |
中小企業活性化協議会は、民事再生や破産を申し立て済みの企業は対象外としています[12]。資金繰りが悪化してからではなく、資金繰り表で不足が見えた段階で相談するのが効果的です。
よくある質問
Q資金繰り表とは何ですか?
A資金繰り表とは、月ごとに現金がいくら入り、いくら出て、月末にいくら残るかを一覧にした表です。売上や経費を計上した月ではなく、実際に入金・支払がある月に書くのが特徴です。数か月先の残高がマイナスになる月を前もって見つけ、借入れや支払条件の見直しを早めに準備するために使います。
Q資金繰り表の基本の計算式は?
A資金繰り表の基本の計算式は、差引過不足=収入の合計(売上入金+その他収入)-支出の合計(仕入支払+人件費+その他経費+借入返済)と、翌月繰越=前月繰越+差引過不足の2つです。翌月繰越は、次の月の前月繰越になります。
Q資金繰り表は何か月先まで作ればいいですか?
Aまず3か月先まで作り、毎月1か月ずつ先に延ばしていくのが始めやすい方法です。賞与や税金など年1回・半年に1回の大きな支出まで見通すなら、12か月分に広げます。資金が足りない月が近い場合は、週単位や日単位の資金繰り表に切り替えます。
Q資金繰り表と損益計算書の違いは?
A損益計算書は、売上や費用を取引が発生した期間に計上して利益を計算する書類です。資金繰り表は、現金が実際に動いた(動く予定の)月に書きます。そのため、売掛金の回収待ちや借入金の元金返済、在庫の仕入れは、損益計算書と資金繰り表で表れ方が違います。
Q減価償却費は資金繰り表に入れますか?
A入れません。減価償却費は、過去に買った設備の代金を耐用年数にわたって費用に配分したもので、その月に現金は出ていきません。設備の代金は、実際に支払った月(分割なら各支払月)に支出として書きます。日本政策金融公庫の経営指標でも、諸経費は減価償却費などを除いた額として扱われています。
Q借入れやファクタリングで入ったお金はどこに書きますか?
A本記事のテンプレートでは、借入れ・補助金・ファクタリングの入金など、売上代金以外の収入を「その他収入」に書きます。ファクタリングで売掛金を売った場合は、その売掛金は元の入金予定月の「売上入金」から消し、手取り額を売却した月の「その他収入」に移します。借入れの返済は「借入返済」に書きます。
Q資金繰り表のテンプレートはどこで手に入りますか?
Aこの記事の表をそのまま写して使えます。公的な書式としては、日本政策金融公庫が国民生活事業向けに資金繰り表・簡易版・記入例を、中小企業事業向けに簡易版と詳細版(作成手順・記載例付き)を公開しています。融資を申し込む場合は、申込先の書式を使うと説明がスムーズです。
Q資金繰り表で資金不足がわかったらどうすればいいですか?
A不足する月と金額を確定したうえで、その月より前に金融機関へ相談し、入金を早める・支払条件を見直す・売掛金を資金化するなどの手を打ちます。税金や社会保険料を期限までに払えない見込みなら、税務署や年金事務所に猶予を相談できます。優先順位は資金ショートの記事で詳しく説明しています。
出典・参考資料
- 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】(資金繰り表・資金繰り表(簡易版)・記入例)」
- 日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード 中小企業の方【中小企業事業】(資金繰り表 簡易版・詳細版)」
- 日本政策金融公庫「資金繰り表(簡易版)Excel」
- 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査 利用の手引き」
- 日本政策金融公庫 総合研究所「小企業の借入に関する調査」(2026年2月26日)
- 日本政策金融公庫 総合研究所「全国中小企業動向調査結果(2026年4-6月期実績)」(2026年7月27日)
- 国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」
- 国税庁「No.6609 中間申告の方法」
- 日本年金機構「納付期限」
- 国税庁「納税に関する総合案内」
- 国税庁「国税の納税の猶予制度FAQ」(2024年11月)
- 中小企業庁「中小企業活性化協議会(収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援)」
- よろず支援拠点全国本部(中小企業基盤整備機構)「よろず支援拠点とは」
- 日本政策金融公庫「日本政策金融公庫(事業資金相談ダイヤル)」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- 国税庁「No.2040 予定納税」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。
この記事の更新履歴
- 公開
- 売掛金を売却したときの書き方の計算例の囲みが閉じ切れずに次の段落とつながっていた表示崩れを修正
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この記事を引用するとき
記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。
アンドファクタリング「資金繰り表の作り方|そのまま写して使える表形式のテンプレート付き」(https://factoring.co.jp/cash-flow/cash-flow-table/、2026年10月22日更新)