ABL融資(売掛債権担保融資)とは?ファクタリングとの違いと費用
このテーマの基本:ファクタリングと融資・ビジネスローンの違い|コストを年率に直して比べる
広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針
この記事の要点
- 売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保にして金融機関から借り入れる融資である。ABL(Asset Based Lending)は、売掛債権や在庫などの事業資産を担保にする融資の総称で、どちらも返済義務のある借入れである。
- ファクタリングは売掛債権を売る取引で、金融庁は法的には債権の売買(債権譲渡)契約だと説明している。売掛債権担保融資とファクタリングの最大の違いは、売掛債権を担保にして借りるか、売って手放すかである。
- 信用保証協会の流動資産担保融資保証制度(ABL保証)は、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れる際の保証で、保証限度額は2億円、保証割合は80%、保証料率は年0.68%である。この制度はファクタリングではない。
- 貸金業法と出資法は、売渡担保など債権の譲渡の形をとる金銭の交付も貸付けに含めている。ファクタリングと称していても、回収できなかったときに利用者が買い戻す契約など、実態が担保付きの貸付けと同じ取引は貸金業の規制を受ける。
- 会社の総財産を担保にする企業価値担保権は2026年5月25日に施行済みで、対象は会社に限られる。動産や債権の譲渡担保を定める譲渡担保法は2027年12月5日の施行予定で、2026年10月時点では未施行である。
| 売掛債権担保融資・ABLの性質 | 売掛債権などを担保にした借入れ。返済義務あり |
|---|---|
| ファクタリングの性質 | 売掛債権の売買(債権譲渡)。償還請求権なしなら返済義務なし |
| 信用保証協会のABL保証 | 保証限度額2億円・保証割合80%・保証料率年0.68%・保証人不要 |
| 債権譲渡登記 | 譲渡人は法人のみ。登録免許税1件7,500円(債権5,000個以下) |
| 企業価値担保権 | 2026年5月25日施行済み。対象は会社(事業性融資推進法) |
| 譲渡担保法 | 2027年12月5日施行予定(2026年10月時点で未施行) |
| 国内銀行の新規貸出約定平均金利 | 1.782%(2026年8月、日本銀行) |
目次
売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保にして金融機関から借り入れる融資で、ABL(Asset Based Lending)は売掛債権や在庫などの事業資産を担保にする融資の総称です。ファクタリングとの違いは、売掛債権を「担保にして借りる」か「売って手放す」かで、融資には返済義務があり、ファクタリングは償還請求権のない契約なら返済義務がありません。信用保証協会のABL保証は保証料率が年0.68%で[1]、コストは一般にファクタリングより大幅に低くなります。
この記事では、売掛債権担保融資・ABLとファクタリングの違いを比較表で整理し、信用保証協会の制度、費用の計算例、ファクタリングが担保付きの貸付けと判断される場合、2026年以降の新しい担保制度を解説します。
ABL融資(売掛債権担保融資)とは
売掛債権担保融資とは、事業者が持つ売掛債権を担保にして、金融機関から事業資金を借り入れる融資です。借りたお金は、売掛先の支払いの有無にかかわらず、利息を付けて返済します。
ABLとは、売掛債権や在庫(棚卸資産)など、事業の中で回転する資産を担保にする融資の総称です。不動産担保や経営者の個人保証に頼らず、事業そのものの資産を担保にする点に特徴があります。信用保証協会は、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れる際の保証制度を「流動資産担保融資保証制度(ABL保証)」として設けています[1]。
売掛債権を担保にするときは、債権を担保目的で譲渡する方法が使われ、法人は債権譲渡登記で第三者への対抗要件を備えられます。債権譲渡登記をすると、売掛先以外の第三者に対しては、確定日付のある通知があったものとみなされます[4]。登記の主な仕組みは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用できる人 | 譲渡人は法人に限られる。個人事業主は利用できない[5] |
| 対象の債権 | 金銭の支払を目的とする指名債権。債務者が特定していない将来債権も登記できる[5] |
| 登録免許税 | 1件7,500円(債権5,000個以下)、5,000個超は1万5,000円。延長登記は3,000円、抹消登記は1,000円[6] |
| 取り扱う登記所 | 全国の債権譲渡登記を東京法務局民事行政部債権登録課が取り扱う[5] |
| 存続期間 | 債務者がすべて特定している場合は50年、それ以外は10年まで(特別の事由がある場合を除く)[4] |
| 売掛先への主張 | 登記だけでは主張できない。登記事項証明書を交付した通知か、売掛先の承諾が必要[5] |
| 第三者からの確認 | 登記事項概要証明書・概要記録事項証明書は誰でも取得できる[7] |
登記の手続きと費用は「債権譲渡登記とは」で詳しく解説しています。
売掛債権担保融資・ABLとファクタリングの違い|比較表
売掛債権担保融資とファクタリングの最大の違いは、売掛債権を担保にして借りるか、売って手放すかです。この違いが、返済義務・コスト・審査・決算書の見え方の違いにつながります。
| 比較項目 | 売掛債権担保融資・ABL | ファクタリング |
|---|---|---|
| 法律上の性質 | 売掛債権などを担保にした金銭の借入れ | 売掛債権の売買(債権譲渡)[2] |
| 返済義務 | 元本と利息を返済する | 償還請求権のない契約なら返済義務なし[16] |
| 売掛先が倒産したとき | 借入れの返済義務は残る | ノンリコースならファクタリング会社が損失を負う |
| コスト | 金利+保証料(ABL保証は年0.68%)[1] | 手数料。OLTAは2〜9%[16]、ビートレーディングの平均は2社間10.3%・3社間6.8%[17] |
| 金利・手数料の上限 | 利息制限法で年15〜20%[10] | 売買なら上限規制はない。実態が貸付けなら同じ規制を受ける[2] |
| 調達できる額 | 担保評価額と返済能力の範囲。ABL保証は保証限度額2億円[1] | 売る売掛金の額面まで |
| 審査で見られる点 | 借り手の返済能力と、担保となる資産の評価 | 売掛先の信用力と債権の実在性が中心 |
| 資金化までの時間 | 申込み・審査・担保設定・実行の手続きを経る | 審査は1営業日以内に見積り回答、契約後は即日または翌営業日に振込と公表する会社がある[16] |
| 決算書上の扱い | 借入金(負債)が増える | 3要件を満たせば売掛金が減り、借入金は増えない[11] |
| 売掛先への通知 | 登記を使えば、売掛先への通知を留保したまま第三者対抗要件を備えられる[4] | 2社間は原則通知なし、3社間は承諾が必要 |
たとえば額面1,000万円・支払期日60日後の売掛金がある場合、ファクタリングで売れば手数料を引いた額が入り、60日後に売掛先が払う代金はファクタリング会社のものになります。売掛債権担保融資で借りれば、売掛金は自社に残り、60日後に売掛先から入金された代金などで借入れを返済します。
信用保証協会のABL保証(流動資産担保融資保証制度)とは
流動資産担保融資保証制度(ABL保証)とは、中小企業・小規模事業者が、自社の売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れる際に、信用保証協会が保証する制度です[1]。信用保証協会は2007年8月、それまでの売掛債権担保融資保証制度を拡充して、この制度の取扱いを始めました[1]。
| 項目 | 内容(全国信用保証協会連合会の公表)[1] |
|---|---|
| 保証限度額 | 2億円(金融機関からの借入限度額は2億5,000万円) |
| 保証割合 | 80%(部分保証) |
| 保証期間 | 根保証は1年、個別保証は1年以内 |
| 保証人 | 不要 |
| 担保 | 流動資産(売掛債権と棚卸資産)のみ。個別保証は売掛債権のみ |
| 保証料率 | 年0.68% |
保証割合が80%なので、残りの20%は金融機関が自らリスクを負って貸し出します。借入限度額2億5,000万円の80%が保証限度額2億円にあたります。保証協会付き融資の全体像は「信用保証協会の保証付き融資とは」で解説しています。
手続きの流れはどう違うか
売掛債権担保融資は、融資の審査と担保の設定という2つの手続きを経るため、ファクタリングより工程が多くなります。一般的な流れを並べると次のとおりです。
| 段階 | 売掛債権担保融資・ABL保証付き融資 | ファクタリング(2社間) |
|---|---|---|
| 1 相談・申込み | 取引のある金融機関に相談する | ファクタリング会社に申し込む |
| 2 資料の提出 | 決算書・事業計画に加え、担保にする売掛先の一覧や在庫の資料 | 請求書、入出金明細、本人確認書類など |
| 3 審査 | 金融機関の審査。ABL保証を使う場合は信用保証協会の保証審査も加わる | 売掛先の信用力と債権の実在性の審査 |
| 4 契約・担保設定 | 金銭消費貸借契約と、担保の設定(法人は債権譲渡登記を使える)[4] | 債権譲渡契約 |
| 5 資金の受取り | 融資の実行 | 買取代金の入金 |
| 6 その後 | 約定どおり返済する。ABL保証の保証期間は根保証1年・個別保証1年以内[1] | 支払期日に回収した代金を送金する |
売掛債権担保融資は時間がかかる代わりに、一度枠を設定すれば、根保証の期間中は繰り返し使えるのが利点です。資金が必要になってから申し込むのではなく、余裕のあるうちに取引金融機関に相談しておくことが大切です。
まだ発生していない売掛金も担保にしたり売ったりできるか
将来発生する売掛金も、担保にしたり売ったりできます。民法466条の6は、債権の譲渡は意思表示の時点で債権が発生していなくてもよく、債権が発生すれば譲受人が当然に取得すると定めています[3]。
債権譲渡登記も、債務者が特定していない将来債権について登記できます[5]。この登記は2005年10月3日施行の改正で可能になったもので[5]、継続的な取引から生まれる売掛金をまとめて担保にするABLで使われています。登記の存続期間は、債務者がすべて特定している場合は50年、それ以外は10年を超えられません(特別の事由がある場合を除く)[4]。
ファクタリングでも将来債権を買い取る会社はありますが、発生の見込みが高い債権に限られるのが一般的です。詳しくは「将来債権のファクタリング」で解説しています。
同じ売掛金をABLとファクタリングの両方に使うとどうなるか
ABLの担保に入れた売掛金を、さらにファクタリングで売ると、同じ債権を二重に譲渡したことになり、深刻なトラブルになります。債権譲渡の優劣は、登記の日時や確定日付のある通知の到達日時の先後で決まるため、後から譲り受けた側が債権を取得できないことがあります。
| 競合する手続き | 優劣の決め方 |
|---|---|
| 登記と登記 | 登記の日時の先後[5] |
| 登記と、確定日付のある通知 | 登記の日時と、通知が売掛先に到達した日時の先後[5] |
| 確定日付のある通知どうし | 通知が売掛先に到達した日時の先後(最高裁昭和49年3月7日判決)[20] |
債権譲渡登記には、年月日だけでなく時刻も記録されます[5]。また、会社ごとの債権譲渡登記の概要を記載した概要記録事項証明書は誰でも取得できるため[7]、ファクタリング会社や金融機関が審査で登記の有無を確認することがあります。ABLの担保に入れた売掛金は、担保契約で認められた範囲を超えて売らないでください。二重譲渡の責任は「ファクタリングの二重譲渡とは」で解説しています。
費用はどちらが安いか|計算例
同じ額を同じ期間だけ用意する場合、売掛債権担保融資の費用はファクタリングの手数料より大幅に低くなるのが一般的です。当運営事務局が確認した範囲ではABLの金利を集計した公表統計がないため、次の計算では国内銀行の新規貸出約定平均金利1.782%(2026年8月)[12]を仮に当てはめます。
融資の金利には法律上の上限があります。利息制限法は、元本10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%を上限とし、超える部分を無効としています[10]。ファクタリングの手数料は、売買である限りこの上限の対象外ですが、年率換算では上限を大きく超える水準になることがあります。
| 手段と条件 | 年率(ファクタリングは年率換算) | 出典・算出 |
|---|---|---|
| ABL保証の保証料率 | 0.68% | 全国信用保証協会連合会[1] |
| 国内銀行の新規貸出約定平均金利 | 1.782% | 2026年8月[12] |
| 手形割引業者(貸金業者)の平均約定金利 | 8.51% | 事業者向貸付、2025年3月末[21] |
| 利息制限法の上限(元本100万円以上) | 15% | 利息制限法1条[10] |
| ファクタリング 手数料2%・期日60日 | 約12.4% | 当運営事務局の算出 |
| ファクタリング 手数料5%・期日60日 | 約32.0% | 当運営事務局の算出 |
| ファクタリング 平均2社間10.3%・期日60日 | 約69.9% | ビートレーディングの平均値[17]から当運営事務局が算出 |
ファクタリングを融資の金利と比べる方法は「ファクタリングと融資・ビジネスローンの違い」で詳しく解説しています。
ファクタリングが「担保付きの貸付け」と判断される場合
ファクタリングと称していても、実態が売掛債権を担保にした貸付けと同じなら、貸金業の規制を受けます。貸金業法2条1項は、貸付けに「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付」を含めています[8]。出資法7条も、同じ方法による金銭の交付を貸付けとみなしています[9]。
金融庁は、契約書で債権譲渡(売買)と定めていても、経済的に貸付けと同様の機能を持つものは貸金業に該当するおそれがあるとしています[2]。例として、回収を利用者に任せ、回収できなかったときに利用者が債権を買い戻すことになっている契約を挙げています[2]。
| 判断の要素 | 担保付きの貸付けに近いとされる事情 | 売買に近いとされる事情 |
|---|---|---|
| 償還請求権・買戻し | 回収できないと利用者が買い戻す、または自己資金で払う[2] | 償還請求権がなく、買戻しも予定されていない[2] |
| 不払いのリスク | ファクタリング会社がほとんどリスクを負わない | 売掛先の無資力のリスクがファクタリング会社に移る |
| 表明保証 | 売掛先に支払能力があることを利用者に広く保証させる | — |
| 手数料の水準 | 買取代金が債権額に比べて著しく低い[18] | 担保目的を推認させるほど大きくない |
表は、金融庁が紹介する裁判例の判断要素を当運営事務局が整理したものです[2]。貸付けと判断されると、無登録営業は10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金の対象になり[8]、業として年20%を超える利息の契約は出資法の刑事罰の対象です[9]。詳しくは「ファクタリングと貸金業法・利息制限法・出資法の関係」をご覧ください。個別の契約の判断は弁護士に相談してください。
会計上はどう違うか
売掛債権担保融資は、借りた額が借入金として負債に計上され、担保にした売掛金も資産に残ります。ファクタリングは、会計上の要件を満たせば売掛金が消滅し、借入金は計上されません。
企業会計基準第10号は、(1)譲受人の権利が譲渡人とその債権者から法的に保全されている、(2)譲受人が権利を通常の方法で享受できる、(3)譲渡人が満期日前に買い戻す権利と義務を実質的に持っていない、の3要件をすべて満たすと、金融資産の支配が移転したとして消滅を認識するとしています[11]。消滅に伴って新たに生じた義務(リコース義務など)は、時価で計上します[11]。
償還請求権が付いているかどうかだけで、会計上の扱いが決まるわけではありません。金融商品会計に関する実務指針の設例では、買戻権とリコース義務が付いた譲渡でも、支配移転の要件を満たせば売掛金の消滅を認識し、リコース義務を新たな負債として時価で計上する考え方が示されています[22]。
借入金が増えないことはファクタリングの特徴ですが、手数料の分だけ利益が減ります。銀行が決算書をどう見るかは「ファクタリングを使うと決算書はどう見える?」で解説しています。具体的な会計処理は顧問の税理士・会計士に確認してください。
新しい担保制度|企業価値担保権と譲渡担保法
売掛債権などを担保にした融資の制度は、2026年以降に大きく変わりつつあります。会社の総財産を担保にする企業価値担保権は施行済みで、動産・債権の譲渡担保を定める譲渡担保法は施行前です。
| 制度 | 内容 | 状態(2026年10月時点) |
|---|---|---|
| 企業価値担保権(事業性融資推進法) | 会社の総財産(将来の財産を含む)を一体として担保にする物権[13] | 2026年5月25日施行済み[14] |
| 譲渡担保法 | 動産・債権などの譲渡担保契約の効力や実行、破産手続での扱いを定める[15] | 2027年12月5日施行予定(未施行) |
企業価値担保権は、不動産担保や個人保証に依存した融資慣行を是正し、会社の事業に必要な資金調達を円滑にすることを目的にしています[13]。企業価値担保権は商業登記簿に登記され、担保権者には制度の説明義務があります[14]。対象は会社法上の会社で、個人事業主は使えません[13]。企業価値担保権は、債務者と、内閣総理大臣の免許を受けた「企業価値担保権信託会社」との信託契約で設定され[13]、極度額の設定は任意です[14]。
売掛債権担保融資とファクタリングを組み合わせる方法
売掛債権担保融資とファクタリングは、担保に入れる売掛金と売る売掛金を分ければ併用できます。運転資金の中心を低コストの融資でまかない、融資では間に合わない一時的な不足だけをファクタリングで埋める考え方です。
併用するときは、どの売掛金を担保に入れ、どの売掛金を売ったかを一覧表で管理します。管理があいまいだと、担保に入れた売掛金を誤って売ってしまうおそれがあります。
個人事業主はどうすればよいか?
個人事業主は、債権譲渡登記を利用できません[5]。そのため、売掛債権を担保にした融資では、登記以外の方法で担保を設定できるかを金融機関に確認する必要があります。信用保証協会のABL保証は中小企業・小規模事業者を対象とする制度で[1]、利用できるかどうかは信用保証協会か取引金融機関に問い合わせます。
ファクタリングを使う場合も、個人事業主は登記を使わない2社間か、売掛先の承諾を得る3社間になります。企業価値担保権は会社だけが対象で、個人事業主は使えません[13]。個人事業主の資金調達の選択肢は「資金調達の方法一覧」で比べています。
どちらを選ぶべきか|場面別の使い分け
資金が必要になるまでに時間があり、コストを抑えたいなら売掛債権担保融資・ABL保証、急ぎで、売掛先の倒産リスクも移したいならファクタリングが選択肢です。
| 場面 | 選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 継続的に運転資金が不足している | 売掛債権担保融資・ABL保証 | 年率のコストが大幅に低く、繰り返し借りられる |
| 売掛債権と在庫がまとまってあり、担保にできる | ABL(ABL保証を含む) | 保証限度額2億円まで、保証人不要[1] |
| 数日以内に支払いがあり、融資が間に合わない | ファクタリング | 契約後即日または翌営業日の振込を公表する会社がある[16] |
| 売掛先の倒産が心配で、回収リスクを移したい | ファクタリング(償還請求権なし) | 融資では返済義務が残る |
| 個人事業主で、登記を使えない | 融資は金融機関に相談、ファクタリングは登記なしの2社間か3社間 | 債権譲渡登記は法人のみ[5] |
公的な融資との使い分けは「日本政策金融公庫・保証協会付き融資とファクタリングの使い分け」、償還請求権の考え方は「償還請求権(ノンリコース)とは」で解説しています。
よくある質問
Q売掛債権担保融資とは何ですか?
A売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保にして金融機関から借り入れる融資です。借入れなので、元本と利息を返済する義務があります。法人は債権譲渡登記を使って担保を設定でき、信用保証協会の流動資産担保融資保証制度(ABL保証)を使うこともできます。
QABLとファクタリングの違いは何ですか?
AABLは売掛債権や在庫を担保にして借りる融資で、ファクタリングは売掛債権を売る取引です。ABLは返済義務があり、金利と保証料がかかります。ファクタリングは償還請求権のない契約なら返済義務はありませんが、手数料を年率に直すと融資より大幅に高くなるのが一般的です。
Q信用保証協会でファクタリングはできますか?
A信用保証協会はファクタリングを扱っていません。信用保証協会の流動資産担保融資保証制度は、売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から借り入れる際の保証です。保証限度額は2億円、保証割合は80%、保証料率は年0.68%です。
Q売掛債権担保融資とファクタリングはどちらが安いですか?
A一般に、売掛債権担保融資のほうが安くなります。たとえば950万円を60日間、年1.782%の金利と年0.68%の保証料で借りると、費用は約3.8万円です。同じ950万円を、額面1,000万円の売掛金を手数料5%で売って用意すると、手数料は50万円かかります。
Q個人事業主も売掛債権担保融資を使えますか?
A信用保証協会の保証制度は中小企業・小規模事業者が対象で、個人事業主も対象になりえます。ただし債権譲渡登記は譲渡人が法人に限られるため、個人事業主は登記による担保の設定ができません。担保の設定方法は金融機関に確認してください。
Qファクタリングが担保付きの融資と判断されることはありますか?
Aあります。貸金業法と出資法は、売渡担保など債権の譲渡の形をとる金銭の交付も貸付けに含めています。金融庁は、回収できなかったときに利用者が債権を買い戻すことになっている契約などは、貸金業に該当するおそれがあるとしています。
Q企業価値担保権とは何ですか?ファクタリングの代わりになりますか?
A企業価値担保権は、会社の総財産を一体として担保にする権利で、2026年5月25日に施行されました。債権の売買ではなく、金融機関からの融資に使う担保の制度です。対象は会社に限られ、個人事業主は使えません。
出典・参考資料
- 全国信用保証協会連合会「さまざまな保証制度(流動資産担保融資保証制度)」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」
- 法務省「債権譲渡登記制度について」
- 法務省「登記手数料・登録免許税について(債権譲渡登記)」
- 法務省「登記事項証明書等の交付請求(債権譲渡登記)」
- e-Gov法令検索「貸金業法」
- e-Gov法令検索「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
- e-Gov法令検索「利息制限法」
- 企業会計基準委員会「企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」」
- 日本銀行「貸出約定平均金利の推移(2026年8月分)」(2026年10月)
- e-Gov法令検索「事業性融資の推進等に関する法律」
- 金融庁「企業価値担保権 制度の概要」
- e-Gov法令検索「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」
- OLTA株式会社「OLTAクラウドファクタリング(手数料・償還請求権・審査と振込の時間)」
- 株式会社ビートレーディング「よくある質問(手数料の平均値)」
- 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」」
- 三菱HCキャピタル株式会社「売掛債権ファクタリング(スキーム)」
- 裁判所「最高裁判所 昭和49年3月7日判決(昭和47年(オ)第596号)」
- 金融庁「貸金業関係資料集(業態別貸付金利)」(2025年11月)
- 企業会計基準委員会「移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」」
出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。
この記事の更新履歴
- 公開
- 国内銀行の新規貸出約定平均金利を2026年8月分(1.782%)に更新し、950万円・60日の売掛債権担保融資の費用の試算を約3万7,000円から約3万8,000円に再計算。title・最初のH2を検索語「ABL融資とは」に合わせて変更。比較表の資金化までの時間を、出典のない「最短当日」から他の比較記事と同じOLTAの公表値(審査1営業日以内・契約後即日または翌営業日振込)に統一。譲渡担保法の「未施行」の基準時点を2026年10月に更新
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この記事を引用するとき
記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。
アンドファクタリング「ABL融資(売掛債権担保融資)とは?ファクタリングとの違いと費用」(https://factoring.co.jp/compare/abl-receivable-backed-loan/、2026年10月22日更新)