「決算書を作ったけど、これでいいの?」と悩んでいる人へ

会社は毎年、決算期に決算書を作成する必要があります。

決算書は、会社の業績や財務に関する情報をまとめた資料であり、銀行に融資を申し入れた際には必ず提出を求められます。

ところが、「決算書は作っているし、銀行にも求められれば提出するけど、この決算書でいいのかな?」と思っている人もいることでしょう。

本稿では、そのような人の悩みにこたえるために、決算書の基本的な見方を解説していきます。

決算書は化粧されるのが普通

銀行から融資を受ける際には、いくつかの資料を求められます。

その中でも最も重要な資料が決算書であり、銀行は決算書の情報から財務を分析することによって、会社の安定性や収益力、返済力などを判断していきます。

もっとも、会社の情報をそのまま真っ正直に記載するのではなく、できるだけ見栄えをよくするために化粧する会社がほとんどですから、銀行も決算書の内容を鵜呑みにするわけではありません

しかし、逆に言えば、これは「銀行からの印象をよくするために、決算書に化粧するのが普通」ということでもあります。

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もちろん、行き過ぎた化粧によって粉飾をみなされてしまっては元も子もないわ!

会計ルールの範囲内で化粧をし、印象をよくするように努力することは大切です。

銀行が融資に回せる財源には限りがあり、融資を依頼してくるたくさんの会社の中から、よい取引ができそうな会社を選んで融資していきます。

それらの会社の多くが、みな化粧をほどこした決算書で融資交渉に挑んでいる中で、自社だけ何の工夫もない決算書で交渉していくならば、その時点で不利な立場に立たされる可能性が高いです。

したがって、決算書を作成する際には、その基本を理解し、見栄えをよくすることが大切といえます。

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決算書の基本

決算書とは、損益計算書と貸借対照表によって作られる資料です。

キャッシュフロー計算書も決算書の一部ですが、銀行員が特に重視すべきは損益計算書と貸借対照表です。

キャッシュフロー計算書は損益計算書と貸借対照表の情報をもとに作られるものですから、重要性はやや低くなります。

損益計算書と貸借対照表を簡単に説明すると、以下のようになります。

損益計算書の有益な見方

損益計算書とは、その期の会社の業績を表す資料であり、売上と費用と利益を計算するものです。

簡単に説明すれば、損益計算書は5つの数字から作られています。

  • 売上総利益(粗利益)=売上高-売上原価(売り上げた金額から仕入などの原価を引く)
  • 営業利益=売上総利益-販管費(事業を継続するために必要となる、原価以外の費用(人件費や店舗家賃など)を引く)
  • 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用(本業以外の収益や費用(賃貸収入や助成金、利息支払など)を合算する)
  • 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失(突発的に発生する臨時の収入や支出(株や不動産の売却益、売却損など)を合算する)
  • 当期純利益=税引前当期純利益-税金(法人税や事業性などを差し引く)

この5つの数字は、それぞれが関連していることが分かると思いますが、すべての出発点になるのは売上高です。

分かりやすいように5つの数字に分けていますが、最終的な利益は当期純利益であり、売上高を出発点として計算していくと、

当期純利益=売上高-売上原価-販管費+営業外収益-営業外費用+特別利益-特別損失-税金

となるのです。

しかし、このような知識だけでは、せっかく損益計算書を作っても経営を考える役に立てることはできませんし、融資に役立つように見栄えを要することもできません。

そこで、損益計算書から経営の内容を考えるにあたり、有益な見方を三つ紹介しておきましょう。

粗利益率が安定しているか

粗利益率は大きく変動することが少ない数値であるため、前期比で増減が1%以上になっている場合、異常値とみなして原因を特定する必要があります。

社員一人当たりの粗利益額

社員一人当たりの業績への貢献を見ると同時に、無理が生じていないかを把握するために必要な情報です。

粗利益を社員数で割って計算しますが、正社員は1人、非正社員は0.3~0.5人として計算します。

目安となるのは80万円で、理想は100万円です。

一人当たりの粗利益額が80~100万円を超えている場合、新規雇用を検討していきます。

80万円に満たない場合、80万円に近づけるように工夫する必要があるでしょう。

固定費の推移

固定費とは、事業のために必ず必要となる費用のことであり、これをいかにコントロールするかによって、業績と財務に大きな影響をもたらします。

原材料や商品の仕入れ費用、外注費、運送費といった費用は、取引先との交渉次第で変わることが多く、また事業の忙しさによって水道光熱費は変動します。

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変動費はコントロールするのが難しいものだ!

しかし、工場や店舗の家賃や固定資産税などの税金、あるいは支払利息、保険料などの固定費は変動が少なく、基本的には発生当初の金額を長期的に支払っていきます。

発生当初の段階で、経営者は、はたしてその金額でいいのか、あるいは固定費として支払い続けてよいものかどうかといった判断をしていきます。

しっかり検討したうえで発生している固定費ならば、予算を組むことも簡単ですし、大きな問題にはなりにくいものです。

しかし、あまり考えずに行き当たりばったりの経営をしていると、予算と実績が乖離する状況となり、損益計算書の見栄えも悪くなります。

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もちろん、以上の点を押さえておけば損益計算書は100%理解したとは言えないないよ!

しかし融資対策を踏まえた損益計算書を理解するためには、このポイントを押さえておくことが単純でよいと思います。

貸借対照表の全体像をつかむ

貸借対照表は、お金の流れを把握するために作られる資料であり、資産・負債・純資産の情報から、決算期の時点での財務状況を表しています。

貸借対照表では、それぞれの情報がどのように整理されているかを簡単に見ていくと、全体像をつかむことができます。

借方の欄

貸借対照表は、表の左側が借方となっており、資産を表しています。

ここでは、会社がどんなことにお金を使ってきたかを表している部分です。

利益や銀行融資によって調達した資金が、

  • 現金及び預金として保有されていたり
  • 仕入によって在庫に置き換わったり
  • その在庫を販売して売掛金に変わったり
  • 不動産や機械設備や車両といった固定資産を購入したり

いろいろなお金の使い方をしてきた結果が、借方に記載されているのです。

貸方の欄

右は貸方となっており、負債と資本を表しています。

貸方は、事業のために必要な資金をどのように集めてきたかを表している部分です。

  • 創業時に準備した資金
  • 得られた利益を留保している資金
  • 銀行融資によって調達した短期借入金や長期借入金
  • 少人数私募債によって調達した資金
  • 買掛金や支払手形として取引先に一時的に立て替えてもらっている資金

などが記載されています。

貸方の欄は「総資本」と呼ばれることもあり、負債の部は借入金をはじめとした、返済の必要がある「他人資本」、純資産の部は出資金や利益剰余金などの、返済の必要がない「自己資本」であり、その合計が総資本です。

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貸借対照表では、以上の情報を決算期にまとめるものよ!

ちなみに、貸借対照表では借方と貸方の合計が釣り合っていることから、貸借対照表のことを「バランスシート」とも言います。

キャッシュに注目!

貸借対照表には、いろいろな勘定科目が記載されているため、注目ポイントが分かりにくいものです。

その中で一番注目したいのはキャッシュの部分であり、科目では「現金および預金」となっている部分です。

資金繰りを安定させ、堅実な経営をしていくために最も重要なのはキャッシュであり、これは多いほうが好ましいと言えます。

もちろん、どれくらい多ければよいかに関しては、

  • とにかく多ければ多いほど良い
  • 多すぎても問題だけれども、固定費の6か月分、月商の3か月分などを目安に、たくさん保有しておくべきだ

などと意見が分かれます。

多ければ多いほどいいという意見については、少ないよりも断然良い状態ですから、ある意味で間違いではありません。

しかし、いくら多いほどいいといっても、安全と言えるだけのキャッシュを確保し、そのうえさらにたくさんのキャッシュを積んでいくならば、資金の使い方に無駄があるとも言えます。

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キャッシュは多ければ多いほどよいものの、無限にプールしていくのでは無駄だ!

固定費の6か月分や月商の3か月分など、一般的に優秀だとされるレベルでの確保を目指すのがよいでしょう。

固定費と月商という、異なる基準で考えていることについては、どちらを基準として考えても構いません。

銀行がキャッシュから資金繰りの安定性を量るときには、月商を基準にするのが一般的であり、最低でも月商1か月分、できれば月商2か月分、月商3か月分あれば文句なしという見方をしています。

一方、税理士やコンサルタントの指南書を調べていくと、固定費を基準として考えているケースも多くみられます。

これはおそらく、経営者が資金繰りとキャッシュの関係を考えるとき、固定費基準のほうが考えやすいからだと思われます。

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固定費とキャッシュの関係

事業に必要となる費用は、大きく分けると固定費と変動費に分けることができます。

両者の意味についてはすでに簡単に触れていますが、固定費は会社が事業を続けるうえで固定的にかかる費用であり、変動費とは事業の状況に応じて変動する費用のことです。

固定費と変動費を使うことで、損益分岐点などを把握することができるため、経営計画を立てるためには必須の知識ですし、銀行員も必ずチェックします。

固定費について大雑把にとらえると、売上の変化によって変わる原価以外の経費は固定費と考えることができます。

固定費の代表的なものに人件費がありますが、これは基本的には毎月同じ給料を支払うわけですし、退職金や福利厚生費なども含めて固定費と考えることができます。

ほかにも、家賃やリース料、広告宣伝費などが固定費となりますが、人件費とその他の経費で比較した場合、人件費のほうが大きくなるのが普通です。

この固定費ですが、固定して発生する費用であることから、事業を回していく以上はこの固定の支払いを避けることはできません

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固定費の支払いができないとすれば、資金繰りは危機的な状況だと言えるわ。

社員に対して、「資金繰りが厳しいから、今月の給料はちょっと待ってくれないか」といっている状況ですから、そのマズさが分かることでしょう。

もし、会社の保有しているキャッシュが固定費の3か月以下になっている場合、一般的に危険ラインにあると考えられます。

最低限必要な資金を確実にプールして、事業の行き詰まりを防ぐためにも、固定費は4~5か月分程度は確保していくべきなのです。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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キャッシュが多ければ積極的な経営ができる

もし、固定費の6か月分程度のキャッシュを確保していれば、資金繰りは非常に安定した状態となります。

積極的な販促を展開すると、取引が拡大して仕入れや製造も増え、必要な運転資金は増加しますが、それでも資金繰りが危険に陥ることはありません。

もちろん、販促に伴って生産力や販売力を高める必要が生じた場合にも、銀行に手元資金による安全性を評価してもらい、設備投資資金を引き出せる可能性が高まります。

キャッシュを増やすことで資金繰りを安定させ、積極的な経営も可能としてくためには、経営者が会社の資金状況を常に気にかけておくことが大切です。

そのためには、毎年の決算で作った貸借対照表から読み取るだけでは不十分ですから、月次決算によって毎月のキャッシュを把握していくべきです。

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まとめ

本稿では、損益計算書と貸借対照表の見方を簡単に説明し、着目するポイントや、どのような状態が好ましいのかということについても簡単に触れてきました。

もちろん、これは基本的な見方であり、融資交渉に役立てるための決算書の作り方や、経営に本当に役立てるための見方などについては、もっと深く勉強する必要があります。

ぜひ、本稿を基礎知識の一つとして、経営の知識を深めていってほしいと思います。

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