最近、日本でも徐々にファクタリングが浸透してきました。
しかし、まだ十分とは言えない状況であり、ファクタリングがどのようなものであるかを知らない人も多いと思います。
そこで、本稿ではファクタリングについていろいろな角度から解説していきます。
ファクタリングとはなにかを解説し、メリットとデメリットも解説していきます。
ファクタリングとは?
当サイトでは、ファクタリングについて様々な角度から紹介しています。
本稿以外の記事もお読みいただいた方には少し退屈かもしれませんが、ファクタリングに対する知識がない人もいるでしょうから、まずはファクタリングの概要から述べていくこととします。
ファクタリングとは、自社が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことによって、資金調達を行う方法です。
従来は、企業の資金調達方法の多くは銀行やノンバンクからの借入、あるいは手形割引などだったのででしょう。

ファクタリングも、世界的にみると歴史はかなり古く、日本においても50年くらい前にはすでに存在していました。
しかし、日本の特殊な商習慣を原因としてなかなか定着しませんでした。
それが、最近になってようやく受け入れられるようになってきているのです。
本稿をお読みの方の中には、経営者の方や、企業の経営に深く携わっている人も多いかと思います。
また、志ある一般の社員の方にしても、企業経営の概要は理解されていることでしょう。
そのような方々にとっては、「売掛債権が資金調達の手段になる」ということの有意性がよくわかるのではないでしょうか。
企業と企業が取引をするにあたって、現金取引が行われることは少ないものです。
ほとんどの場合、掛け買いや掛け売りになるものです。
皆さんの会社でも、商品や原材料の仕入れを行うにあたって、現金で即買い取るということは少ないでしょう。
数ヶ月後の支払いを約束して買掛債務を負っていると思います。
同時に、皆さんの会社が取引先に商品・製品・サービスなどを販売するにあたっても、現金取引ではなく、数ヶ月後の支払いを約束して売掛債権が発生していることでしょう。

しかし、実際にその売上が回収され、資金として事業に活用していくことためには、売掛債権の決済期日まで待たなければなりません。
多くの場合、3~6ヶ月後の支払いになっていることと思います。
つまり、営業努力が実って販売を行ったとしても、その果実を収穫し、実際に活用できるまでに数ヶ月を待たなければならないのです。
売掛債権のリスク
販売によって発生した売掛債権には、いくつかのリスクが伴います。
それは、主に以下のようなリスクです。
回収までに時間がかかる
まず、上述のとおり、売掛債権は販売から回収までに時間がかかるのが普通です。
おおむね、3~6ヶ月の時間を要することになります。
このように、「回収までに時間がかかる」ということそのものが、売掛債権の内包するリスクといって差し支えないでしょう。
当然のことながら、売掛債権というものは、営業活動の結果として生じるものです。
その営業活動のためには、販売する商品や製品がなければならないわけです。
その商品や製品が発生するためには、次のようなコストがかかっています。
- 商品の仕入れコスト
- 製造のための原材料の仕入れコスト
- 製造コスト
- 売掛債権管理コスト
- 営業活動のためのコスト
自社で開発した製品を販売しているならば、そのために投じた研究開発費も、この売掛債権から回収していかなければなりません。
つまり、売掛債権を深く捉えると、「その売掛債権の発生のために、企業はすでに様々な負担を強いられている」ということが分かります。
売掛債権発生のために負担したコストは、売掛先が代金をきちんと支払って、初めて回収されるものです。
利益を考慮した営業活動を行っていれば、コストの回収とともに利益も得られるのです。
しかし、資金が潤沢でない企業が、ぎりぎりで運転資金を回している場合には、売掛債権の回収期間がリスクになることがあります。
経営をぎりぎりで回しているということは、売掛債権をきちんと回収し、それを更なる事業継続のために振り分けているということです。
しかし、企業経営には様々なイレギュラーな事態もつきものです。
ぎりぎりで回している企業にとっては、売掛債権の回収時期がまだ訪れていない時期に、なんらかの出費を強いられた場合には、たちまち資金ショートを起こしてしまうのです。
そのような場合には、資金ショート解消のために公的機関や銀行からの融資を受けようとするでしょう。
しかし、公的機関は融資のための条件が細かく、銀行は融資のために厳しい審査を設けています。

公的機関や銀行から融資を受けられないとなれば、ノンバンクのビジネスローンくらいしか融資を受けられる先はなくなります。

そのため、満足な融資を受けられず、さらには支払利息が非常に高くなります。
ノンバンクからの借入によって一時的には資金ショートを免れたとしても、その後の事業継続が厳しくなってしまう可能性が高いといえます。
もちろん、資金が潤沢な企業にとっては、売掛債権の回収期間がリスクとなることは少ないと思います。
これはリスクが少ないだけであって、決してノーリスクではありません。

また、資金的に潤沢な企業であったとしても、売掛債権の持つもう一つのリスクがあります。
すなわち貸し倒れのリスクというものは常に付きまとい、これが回収期間以上に大きなリスクとなっているのです。
貸し倒れになるかもしれない
貸し倒れのリスクは、回収期間よりも大きなリスクです。
売掛先が倒産や経営困難などの理由から貸し倒れとなってしまった場合を考えてみましょう。
本来の売上の一部しか回収できない、または全く回収できないことになりかねないからです。
貸し倒れの際には様々な法的手続きを行って回収を図ります。
しかし、そもそも売掛先は支払いができないからこそ倒産に至っているのです。
さらにはその中で他の債権者との回収競争にもなるため、全額を回収するなどというのは非常に困難なことなのです。
したがって、貸し倒れになってしまった場合には、その売掛債権が発生するために負担した様々なコストはほぼ回収できず、そのコスト分だけ損失となってしまいます。

たとえば1000万円分の売掛債権があり、これを10%の利益率で販売していたものが貸し倒れとなってしまった場合には、単純に1000万円分の損失が生まれます。
しかし、利益率が10%であることを考えると、この1000万円の損失を埋め合わせるためには、実に1億円分もの販売を行わなければならないのです。
1億円分の販売によって初めて相殺されるのです。
貸し倒れもなく順調に行っているならば、更なる利益を求めて営業活動をしていくという前向きなものですから、社員達のモチベーションも上がりやすいでしょう。
しかし、損失の埋め合わせのための営業活動となれば、社員のモチベーションは上がりにくく、ここでも悪影響が現れます。
また、貸し倒れにならずに回収していくことを前提として事業計画を立てているのが普通です。
貸し倒れが起きれば事業計画にも狂いが生じます。

さらに、上記のような悪影響をこうむるだけならばまだマシな方です。
場合によっては連鎖倒産という事態に陥る可能性もあります。
資金繰りがぎりぎりな企業にとって、貸し倒れによって損失が発生すると、たちまち資金ショートを起こす可能性が高いです。
その損失を埋め合わせるために事業を継続していくための体力がなかったならば、その時点で倒産になってしまうのです。

また取引先の倒産のあおりを受けて自社まで倒産してしまう連鎖倒産の憂き目を見ることになってしまうのです。
以上のように、売掛債権には回収までに一定の期間を要するという性質自体がリスクとなっています。
そのほか、貸し倒れの際には企業に多大な被害をもたらすリスクを持っているのです。

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運転資金枯渇を防げ!
次に、運転資金の観点から、売掛債権の重要性を把握していくために、運転資金の性質を詳しく見ていきましょう。
企業の経営が問題なく継続されて行くためには、仕入れ・生産・販売などのすべてのシーンにおいて、資金が円滑に循環していく必要があります。
理想的には、仕入れ代金に先立って売上代金を回収し、仕入れ代金に充てるという流れです
しかし、上記の通り実際には売掛債権には回収期間が伴うものですから、一般的には売上代金の回収の前に仕入れ代金の決済期日が訪れることになります。
さらには、多くの事業において原材料・仕掛品・製品を在庫として保有しておかなければ事業の継続は困難になりますから、資金不足が生じるということも一般的にあり得ることです。

運転資金が枯渇するということは、不足分の埋め合わせが不可能な状況のことであり、経営的には非常にまずい状況であるといえます。
運転資金は、以下の計算式で算出することになります。
運転資金=売掛債権(受取手形+売掛金)+棚卸資産-買掛債務(支払手形+買掛金)
この式を見れば分かりますが、販売済みで代金が未回収となっている売掛債権の総額と、販売前段階の在庫である棚卸資産の総額分は、少なくとも資金が必要であることが分かります。
その上で、買掛債務の総額は一定期間は支払いを猶予されていることから、その分を差し引いた金額が、事業を継続するために必要となる運転資金であるということが分かります。
もちろん、事業内容によっては前渡金や前受金など、売掛債権や買掛債務に準ずるものが発生することがあります。
その場合にはそれらを勘案した上で計算する必要があります。
運転資金の性質も色々ですが、ともかくこれが不足するという状況は、企業にとって明らかに好ましくない状況であるといえます。
そのため、運転資金を十分に確保した状態が好ましいのです。
しかし、売掛債権が貸し倒れなどになってしまえば、上記の数式における売掛債権の数値が小さくなり、したがって運転資金も少なくなります。
貸し倒れによって減少した売掛債権と棚卸資産の合計から買掛債務を差し引いたときにマイナスとなれば、それは間違いなく運転資金不足の状態であるといえます。

ですから、売掛債権に伴う様々なリスク(特に貸し倒れリスク)を、いかにして小さくするか、あるいはゼロにするかといった取り組みは非常に大切なことなのです。
売掛債権の流動化
「売掛債権流動化」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
これは、簡単にいうならば、本来ならば数ヶ月先にしか資金として得られない売掛債権を、流動性を高めることによって、決済期日前に資金化してしまうことです。
売掛債権流動化とは?
簡単にいってしまうならば、流動化とは流動性を高めることです。
売掛債権流動化とは読んで字の如く、売掛債権の流動性を高めることによって、資金繰りに活かすことです。
売掛債権の持つリスクの解消、そして運転資金の枯渇を防ぐためにも、ファクタリングが活きてきます。
企業の貸借対照表を見れば、売掛債権は流動資産の項目において、「手形および売掛金」として記載されていると思います。
流動資産に振り分けられれば、さぞかし活用しやすい資産にも思えるものでしょう。
しかし流動資産はあくまでも「1年以内に資金として活用可能な資産」のことであり、資金繰りに困ったタイミングですぐに活用できるものではありません。
- いかにして流動資産の流動性を高めるか
- 流動資産の中でも流動性が低い売掛債権の流動性を高めていくか

売掛債権の流動性が高まるということは、いわば売掛債権の回収期間が短くなるということです。
売掛債権の回収期間が短くなれば、企業が売上を回収してそれを活用していくための時期は早くなるということです。
したがって、売掛債権に回収期間が伴うリスクも軽減されます。
では、売掛債権の回収期間を早めて流動性を高めるためには、どのような方法が考えられるでしょうか。
一般的には、自社における売掛債権管理を改善し効率化していくことによって、流動性が高まります。
売掛債権の流動性が低くなる原因
これを考えるためには、売掛債権の回収期間が遅くなる、すなわち流動性が低くなる原因を考えるのが分かりやすいでしょう。
売掛債権の流動性が低くなる原因には、いくつかの原因が考えられます。
無理な営業活動

それぞれの部門のパワーバランスが適当ではなく、営業部門が力を持ちすぎている場合などには、売掛債権の流動性が低くなる可能性が高いです。
たとえば、営業部門の力が強く、他の部門による抑制が利かない場合、営業部門が無理な営業活動をする可能性があります。
売掛債権を回収することまで考えず、とにかく営業成績を伸ばすために、支払能力が低い取引先にも販売をしてしまうのです。
通常、取引を開始するためには、次のように無理のない販売を行うものです。
- 取引先の信用力をきちんと調査
- 取引の可否の設定
- 適正な与信限度額の設定
- 回収期間が伸びすぎないように交渉
しかし、営業部門が暴走し、無理な営業活動が行われたとなるとどうでしょう。
支払能力が低い企業に販売し、支払遅延や貸し倒れが続出することがあるのです。
したがって、これが原因である場合には、営業部門が経理部門と協調して営業活動を行うように、社内のパワーバランスを是正する必要があります。

支払能力の低い取引先には販売を行わず、与信限度額を適正に保ち、回収期間は取引先と自社の都合を考慮しながら最もよいところで折り合いをつけて販売するのです。
そうすれば、回収が延び延びになってしまったり、貸し倒れを起こしたりする可能性は大幅に低くなります。
経理部門の怠慢
この他、経理部門が原因となって売掛債権の流動性が低くなる可能性もあります。
経理部門は売掛債権の管理を行っているものであり、売掛金の回収に当たっては、支払期日に沿ってきちんと請求書を発行し、回収を進めて行くものです。

たとえば、支払期日に沿った請求が行われない、請求を行って反応がない場合にも放置してしまうなどしていれば、回収遅延の不良債権が多数出てしまうことでしょう。
また、取引先からしてみても、支払期日に支払わなくてもきちんと催促されないことが分かれば、支払優先度は下がり、なかなか支払ってもらえないということにもなりません。
これを改善するためには、売掛債権管理・回収マニュアルを作成し、そのマニュアルに沿った管理・回収を徹底させる必要があります。
- 支払期日に沿った請求書の送付を徹底
- 反応がなければ何日後に文書で催促を行う
- それでも反応がなければ何日後に電話で催促を行う
- それでも反応がなければ何日後に直接出向いて催促を行う
- それでも反応がなければどのような順序で法的手続きを取る

そうすれば、それぞれの売掛債権がきちんきちんと管理・回収されていき、少なくとも「知らない間に不良債権が発生していた」という状況はなくなることでしょう。
また、取引先に対しても、「この取引先は支払が遅れたらうるさいぞ」というプレッシャーを与えることになり、きちんと支払ってもらえる可能性も高まります。
そうなれば、従来と比較して明らかに不良債権も減るでしょうし、売掛債権の流動性は高まることになるのです。

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売掛債権の流動性を高める色々な方法
さて、売掛債権の流動性が低くなる原因から、売掛債権の流動性が高まる原因を探ってきたわけですが、これが不可能な企業も多いと思います。
営業部門と経理部門の協調や売掛債権の管理・回収マニュアルの徹底というものは、一朝一夕に成し遂げられるものではないからです。
自社においてこのような取り組みを始めればすぐに効果が表れるというものではないでしょう。
実際に取り組みながら様々な点を改善していき、時間をかけてじっくりと取り組んだとき、結果的に売掛債権の流動性が高まるのです。
- 現時点で売掛債権のリスクに困っている
- ま売掛債権の影響によって資金繰りが厳しくなっている
このような人にとって、この取り組みを進めて行く余裕がないこともあります。

自社の困難な状況の原因が売掛債権にある場合には、売掛債権を切り離せば状況は改善されます。
売掛債権を切り離すと同時に資金調達が行われれば、資金繰り困難も改善されるというわけです。
そのための方法としては、売掛債権証券化、売掛債権担保融資、ファクタリングの三つの方法があります。
本稿ではファクタリングが主題でありますから、売掛債権証券化と売掛債権担保融資は、ごく簡単に触れておくことにします。
売掛債権証券化
売掛債権というものは、そこからいずれは(支払期日を待てば)キャッシュフローが生まれるものです。
そのキャッシュフローを裏付けとして証券を発行し、投資家に販売し、資金調達を行うことを売掛債権証券化と言います。
しかしながら、証券の発行は自社では行えるものではありません。
もし売掛先が倒産してしまった場合には、その証券を購入した投資家が損害をこうむることになり、自社で弁済する必要があります。
自社が倒産してしまった場合には、投資家は自社の保有する売掛債権を保有しているわけですから、自社に対して債権を保有している債権者が、投資家の持つ売掛債権を差し押さえようとすることでしょう。
このような難しさがあることから、自社で売掛債権証券化を行うことは事実上不可能です。

SPVとは、企業から売掛債権を買い取り、それを証券化して投資家に転売している事業体のことです。
つまり、自社はSPVに売掛債権を譲渡してその対価を受け取ることで、売掛債権に伴うリスクを移転することができます。
譲渡によって資金を調達するということは、回収期間を待たずに資金調達が可能になるということです。

また、売掛債権はSPVの保有になるわけですから、貸し倒れの際にも自社ではそのリスクを負う必要がなくなるわけです。
売掛債権証券化を利用すれば、支払期日前に代金を回収できますから、売掛債権の流動性は飛躍的に高まることになります。
しかし、売掛債権証券化の契約内容を見てみると、ファクタリングに比べてリスク移転機能が劣っているケースが多々あることも、知っておく必要があります。
売掛債権担保融資
売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保として、金融機関から融資を受ける方法です。
企業の保有する資産のうち、不動産などを担保にして融資をうけることは一般的でしょう。
それと同じように売掛債権を担保として融資を受けるのです。
融資であるということは、当然ながら返済の義務はあるわけです。
万が一返済不能となった場合には、担保にしている売掛債権から回収を行うことになります。
売掛債権担保融資も、売掛債権を利用して、支払期日を待たずに資金を調達するのですから、売掛債権の流動性を飛躍的に高めることになります。
しかし、売掛債権担保融資では、あくまで売掛債権を担保にするだけで譲渡するわけではありません。
したがって、担保とした売掛債権が貸し倒れとなった場合には自社で弁済する必要があります。

しかし、売掛債権担保融資保証制度というものが2001年から開始され、企業が活用するケースは年々増えています。
というのも、売掛債権証券化やファクタリングに比べて手数料が低いからです。
とはいえ、貸し倒れのリスクは移転されないわけです。
手数料が低いもののリスクが残る売掛債権担保融資を利用するか、手数料がやや高いもののリスクが移転される売掛債権証券化やファクタリングを利用するか。
こういった問題は、利用する企業が置かれている状況によって異なることでしょう。
ファクタリング
売掛債権流動化の三つめのファクタリングですが、これは本稿の冒頭で概要を述べているため、割愛します。

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ファクタリングの流れ
では、ファクタリングの具体的な部分に触れて行くにあたり、ファクタリングの流れを解説していきましょう。
ファクタリングの流れは、売掛債権証券化や売掛債権担保融資と比較して、簡易な流れで進められます。
また、ファクタリングの契約の形態には2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあり、微妙な相違点があるため、それぞれについて紹介していきます。
2社間ファクタリングの流れ
まず、2社間ファクタリングの流れを見ていきましょう。
2社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社の2社の間だけで行われるファクタリングの形態です。
売掛債権の発生・ファクタリング申込
自社が取引先Aに1000万円分の商品を販売するにあたり、代金の支払いは後日として契約を結び、売掛債権が発生しました。
売掛債権の支払期日前に資金調達の必要が生じたため、ファクタリング会社にファクタリングの申し込みを行いました。
信用力調査
ファクタリング会社は申込を受け、買取料を決めるために、取引先Aに対して信用力を調査します。
信用力に応じて買取率を決定し、ファクタリングをする売掛債権の額面金額に買取率を乗じた、それを売掛債権額から差し引いたものが買取料となります。
買取率、買取料、最終的な買取金額、その他買い取りにあたっての諸条件の呈示をしてもらい、納得した場合にはファクタリング契約を結びます。
譲渡・支払い
この時点で売掛債権はファクタリング会社に譲渡されます。
買取代金がファクタリング会社から自社に支払われます。
ファクタリング会社への支払い
その後、支払期日になると取引先Aから自社に対して代金が支払われます。
自社は、これをスライドさせてファクタリング会社に支払い、ファクタリング契約は終了します。
3社間ファクタリングの流れ
次に、3社間ファクタリングの流れを見ていきましょう。
3社間ファクタリングとは、自社と売掛先とファクタリング会社の3社間で行われるファクタリングの形態です。
「譲渡・支払い」までは2社間ファクタリングと同じです。
売掛債権譲渡通知
取引先に売掛債権譲渡通知を行い、ファクタリングによって売掛債権が自社からファクタリング会社に移ったことを知らせます。
このとき、取引先には代金の支払口座を自社の口座からファクタリング会社の口座へと変更してもらうよう依頼し、承諾してもらいます。
もし、取引先が口座の変更を拒否した場合には、自社でファクタリング専用口座を開設し、そちらに支払ってもらうなどの手続きを行います。
ファクタリング会社への支払い
支払期日になると、取引先からファクタリング会社の口座へ、もしくは自社のファクタリング専用口座へと支払いが行われます。
自社の専用口座へ支払いが行われた場合には、その代金をそのままファクタリング会社の口座へとスライドさせ、ファクタリング契約が終了します。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングには、上記のような違いがあります。
つまり、売掛先に対して売掛債権の譲渡通知を行うかどうか、という点で大きな違いがあるのです。
日本においては、2社間ファクタリングが一般的です。
これは、日本においてはまだそれほどファクタリングが浸透しておらず、売掛債権を資金化することを売掛先がよく思わないことも多いからです。
不動産や有価証券など、売却によって資金調達を行うことが一般的とされているものであれば、売掛先が何とも思わないことも多いものです。
しかし、売掛債権をファクタリングによって資金化するということがあまり一般的ではないのです。
ファクタリングの事実を知られると、次のような感情を抱かせることになりかねません。
- 資金繰りに困っているのだではないか
- 経営困難に陥っているのではないか
- 取引を見直した方が良いのではないか

そこで、2社間ファクタリングの利用が多いのです。
2社間ファクタリングであれば、売掛先に通知を行わずにファクタリングが可能であることから、売掛先の反応を気にすることなく資金調達が可能なのです。
これに対して、3社間ファクタリングは欧米では一般的に行われています。
欧米ではファクタリングが企業に経済活動としてごく普通に利用されているため、ファクタリングを利用することによって売掛先が難色を示すということがないのです。
日本でも、最近はファクタリングが徐々に浸透していますから、いずれは3社間ファクタリングが一般的になるかもしれません。
償還請求権の有無
ファクタリングの流れにおいて無視できない、償還請求権についても触れておきましょう。

償還請求権留保(償還請求権あり)の場合
ファクタリングにおいて償還請求権留保(償還請求権あり)での取引をした場合を考えましょう。
売掛先が何らかの事情で支払不能となり、譲渡した売掛債権が貸し倒れになったとします。
その場合には、ファクタリングによって受け取った代金はすべてファクタリング会社に弁済しなければならないのです。
償還請求権放棄(償還請求権無し)の場合
逆に、償還請求権放棄(償還請求権無し)の取引をしているならば、ファクタリング会社には償還請求権がないということです。
譲渡した売掛債権が貸し倒れとなってしまった場合にも、弁済の必要はありません。

しかし、中には償還請求権留保での契約となる場合もありますから、これをきちんと確認した上で契約を結ぶ必要があります。
ファクタリングの手数料
ここで気になるのが、ファクタリングの手数料についてでしょう。
一口にファクタリングの手数料といっても、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのどちらを利用するかによっても異なります。

ファクタリングする売掛債権の信用力に応じて、売掛債権額の10~30%程度が手数料となり、3社間ファクタリングでは売掛債権額の1~5%が手数料になるのです。
なぜこのような違いがあるのかといえば、ファクタリング業者のリスクの違いにあります。
上記の流れを見てもわかる通り、2社間ファクタリングでは、売掛先の代金支払いはファクタリングを依頼した企業に行われ、そこからファクタリング業者に支払われます。
一方、3社間ファクタリングでは、売掛先の代金支払いはファクタリング会社にそのまま行われます。
したがって、2社間ファクタリングの場合には、売掛先が支払った代金を依頼企業が流用してしまうリスクがあるため、手数料が高めになっているのです。


手数料の内訳
さて、日本においてはほとんどの場合で2社間ファクタリングが利用されます。
また、10~30%という高めの手数料の内訳が気になることでしょう。そこで、手数料の内訳を簡単に見ておくことにします。
ファクタリングの手数料の内訳は、大きく分けると、
- 登記費用
- ファクタリング会社の報酬
- 紹介料
- 印紙代その他
となります。
手数料の大きな割合を登記費用が占めています。
司法書士などに手続きを依頼した際に発生するものであるため、ファクタリングする売掛債権の額がいくらであるかにかかわらず、固定費用として発生します。
仮に100万円の売掛債権をファクタリングし、20%の買取料がかかるとされた場合には、登記費用が8万円、ファクタリング会社の報酬が7万円、紹介料が3万円、印紙代その他が2万円といったところです。
以上が、ファクタリングの際の手数料の一般的な形態です。
実際には、契約するファクタリング会社によって異なる部分も出てくることでしょうから、ファクタリング会社に詳しく説明を受けながら契約を進めていくことになります。
ファクタリングのメリット
以上のことを踏まえて、ファクタリングによって得られるメリットを見ていきましょう。
早期の資金調達ができる
まず、何といっても資金調達が容易になるというメリットがあります。
資金調達の必要が生じたとき、公的融資や銀行融資では審査に時間がかかるため、早急な資金調達には対応できないことも多いものです。
また、審査が慎重であり厳しいことから、融資を申し込んだとしても拒否されてしまうことも少なくありません。
特に、資金調達が必要になっている理由を調査されたとき、事業成績や経営状態の悪化などのマイナス要素が見つかった場合には、基本的に融資は不可能となります。
そのようなマイナス要素がありながらも融資を受けるためには、不動産などの担保を十分に用意する必要がありますが、中小企業にはそれも容易ではないでしょう。

しかし、すでに述べたとおり、ノンバンクは公的融資や銀行融資と比較して非常に金利が高く、15%ないし18%の金利がかけられることもあります。
これでは、のちの経営に悪影響を及ぼすことは、容易に想像が付きます。
公的融資や銀行融資から低金利で借り入れが可能ならば、そちらを利用してもよいでしょう。

どのような企業でも、売掛債権は保有しているものです。
それをファクタリングすることによって、短時間のうちに資金調達するのが望ましいのです。
上記の通り、2社間ファクタリングでは、売掛債権の信用力に応じて10~30%の手数料がかかります。
平均をとって20%の手数料がかかると仮定すれば、100万円の売掛債権をファクタリングした場合には、80万円の資金調達ができるということです。
支払期日まで待てば満額を受け取ることができることを考えれば、手数料がもったいないと感じることもあるでしょう。

むしろ、20%の手数料を支払うことによって、数ヶ月後にしか回収されない(そして回収までの期間にコストもかかる)売掛債権が現金に変わり、同時に以下のような経営上のさまざまなメリットも得られるのです。
だからこそ、ファクタリングという資金調達方法が世界的に広く受け入れられており、日本でも徐々に浸透してきているのです。
少なくとも、従来から浸透しているノンバンクのビジネスローンや、リスクが残る手形割引などと比較すれば、間違いなくすぐれた方法といってよいでしょう。

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財務状態が改善する
次に、財務状態が改善するというメリットがあります。
しかも、財務状態が少し改善するというものではなく、いろいろな部分で大きな改善効果が得られます。
財務状態改善に本格的に取り組むことができる
まず、保有する売掛債権を一括でファクタリングをします。
まとまった資金を調達することができれば、財務状態を改善するための元手を得ることができます。
それまでは財務状態の改善を図るにしても、売掛債権をそのつど回収していき、売掛債権全体としては小額の資金をもって取り組まなければならなかったことでしょう。

しかし、売掛債権を一括でファクタリングしてまとまった資金を得ることができれば、大々的な改善を図ることができます。
たとえば、5000万円の売掛債権をファクタリングして4000万円の資金を調達し、3000万円は現金としての留保と事業継続のために充て、残る1000万円で買掛金の決済や借入金の返済を行えば、財務は大幅に圧縮されます。
買掛先の信用が得られ、今後の取引に好影響をもたらすのはもちろんのこと。
銀行などからの借入金を返済することができれば、その後の経営において支払利息の負担が小さくなります。
大幅な財務状態改善に取り組める、ということの意味もわかると思います。
オフバランス化
オフバランス化とは、貸借対照表の中から特定の項目を取り除くことによって、財務の効率化を図るものです。
財務が効率化されることによって、会社の資金繰りは容易になります。
銀行や取引先、上場企業ならば投資家から好感をもたれることにつながります。
とはいえ、貸借対照表のうちの特定の項目を、たとえ一つといえども取り除くことは簡単にはいかないものです。
しかし、ファクタリングを利用して売掛債権を現金に換えてしまえば、流動資産における現金の項目が増加します。

それによって財務が効率化し、また上記のように財務状態が改善すれば、それは企業にとって非常にメリットがあることなのです。
売掛債権回転率・売掛債権回転期間の改善
次に、売掛債権をファクタリングすれば、売掛債権回転率や売掛債権回転期間の改善につながります。
これらは売上債権回転率あるいは売上債権回転期間といわれることもありますが、同じ意味です。
売掛債権回転率とは、売上債権がどのくらいの効率で回収されているかを示すものです。
いわばその企業が営業活動に投じた資金を、どのくらいの効率で回収し、利益を上げているかをみるための指標であるといえます。
売掛債権回転率は、次の数式で算出します。
売掛債権回転率(%)=売上高÷売掛債権÷100
したがって、ファクタリングの利用によって売掛債権の総額が減少すれば、売掛債権回転率も向上することになります。
とりもなおさず、それは投じた資金と利益を効率よく回収しているということですから、結果的に財務状態が改善することになるのです。
次に、売掛債権回転期間ですが、これは、売掛債権が発生してから、平均してどれくらいの期間で回収できているかをみるための指標です。
売掛債権回転期間が長いということは、売掛債権が発生してもなかなか回収できないということです。

売掛債権回転期間は、次の数式で算出します。
売掛債権回転期間(ヶ月)=売掛債権÷売上高÷12ヶ月
ファクタリングの利用によって売掛債権の総額が減少すれば、売掛債権回転期間も短くなることが分かります。
もっとも、ファクタリングをすれば支払期日を待たずとも売掛債権を回収できるのですから、これは当然といえば当然のことです。

この効果が得られれば、銀行は融資の申し込みを受けた際の審査でプラス材料とみなします。
取引先が取引の安全性を図るために信用調査をした際にも、プラス材料とみなします。
つまり、その後の経営にも良い効果が表れるのです。
ファクタリングによる財務状態の改善効果には、このような効果もあるのです。
※売掛債権回転率と売掛債権回転期間を改善するためにファクタリングを利用する場合には、必ず償還請求権放棄でのファクタリングをする必要があります。
なぜならば、償還請求権留保でファクタリングを行った場合、万が一の場合にはファクタリング会社に弁済の必要が生じるため、売掛債権総額が減少したとはみなされないためです。
そのため、契約の際には十分注意して、償還請求権放棄での契約を結んでください。
リスクの移転につながる
繰り返しになりますが、ファクタリングにはリスクの移転効果もあります。
上記の通り売掛債権のリスクは、回収期間があることのリスク、そして貸し倒れになる可能性があることのリスクでした。
ファクタリングを行えば、売掛債権を支払期日前に資金化でき、売掛債権の支払期日を待つのは自社ではなくファクタリング会社になります。
つまり、回収期間によるリスクはなくなります。
また、償還請求権放棄での契約であれば、万が一貸し倒れになった場合にはファクタリング会社がそのリスクを負ってくれます。
貸し倒れリスクもファクタリング会社に移転できるのです。
従来においても、売掛債権の一種である受取手形を、銀行や手形割引業者によって資金化してもらうことで、支払期日を待たずに資金調達が可能でした。
しかし、手形割引では、手形が不渡りとなった場合には弁済の必要があります。

このほか、ファクタリングの形態として、信用保証ファクタリングというものがあります。
ここまで述べてきたような、売掛債権を買い取る形態のファクタリングは「買取ファクタリング」とも呼ばれる一般的なファクタリングの形態です。
ファクタリングには売掛債権に保険をかける「信用保証ファクタリング」というものも存在するのです。
信用保証ファクタリングでは、ファクタリング会社との契約にあたり、保険をかけたい売掛債権の信用力を調査します。

契約を結んで保証料を支払うと、万が一売掛先が倒産した場合には、保証限度額までの補てんを受けることができます。
売掛債権を資金化しなければならないほど資金繰りに困っていない企業が、リスクの移転だけを求めてファクタリングを利用したいと考える場合には、信用保証ファクタリングが向いているといえます。
経営資源を集中させられる
最後に、経営資源を集中させられるというメリットを挙げておきましょう。
経営資源とは、企業が経営に活用することができる、ヒトやカネなどのことを言います。
ファクタリングを利用して売掛債権をファクタリング会社に譲渡してしまえば、売掛債権の回収・管理にかかる手間は大幅に削減されます。
それにあたる人員は削減されますし、コストも削減されます。

その結果、本来ならば売掛債権の管理・回収に充てられるはずであったヒトやカネを、本業に集中させることができます。
このことによって、従来と比較して事業がやりやすくなるのは間違いありません。
ファクタリングのデメリット
しかし、よろずの物事には陰陽があるとおり、ファクタリングにもメリットばかりではなくデメリットもあります。
メリットと比較すればあまり気にならないデメリットばかりですが、一応紹介しておきましょう。
売掛債権が目減りする
これは、当然のデメリットといえるでしょう。ファクタリングのためには、売掛債権の信用力に応じた手数料を支払う必要があります。
そのため、本来の売掛債権額から手数料分だけ目減りすることになります。
支払期日まで待っていれば、満額を受け取ることができたものが目減りするのですから、これはデメリットといえるでしょう。
取引先への配慮が必要
2社間ファクタリングを利用しても、ファクタリングが絶対にばれないということはありません。
取引先が自社に対して調査を行った場合を考えてみましょう。
財務状況を見た時に売掛債権額が大幅に減少しており、さらに登記を確認すれば売掛債権の譲渡記録が出てくるため、取引先に知られる可能性があります。
取引先によっては、売掛債権を売ることによって資金繰りをしていることを、好ましく思わない可能性もあります。
しかし、ファクタリングを正しく利用していれば、ファクタリングによって資金繰りが改善します。
財務状態も改善し、リスクマネジメントも改善し、経営資源の集中によって事業がよりうまくいくようになります。
売掛債権額が減少したことからファクタリングの事実を知られたとしても、結果的に企業の体質そのものが改善されているのであれば、それを悪く思う取引先も少ないことでしょう。
今までの内容を踏まえ、ファクタリングを利用するかどうか検討してください。
貴社に良い結果をもたらす素晴らしいシステムであることには間違いありません。