銀行の評価は「取引振り」によって大きく変わる。具体例で学ぶ

銀行が、取引先の会社を評価する基準は色々あります。多くの経営者は、業績や財務が評価の基準になっていると思うかもしれません。

確かに、業績や財務が良好であるに越したことはないのですが、銀行の評価はそれだけでは決まりません。

取引先の会社が、銀行にとってどれだけの収益をもたらしてくれるか、これも重要なポイントとなります。

そこで知っておきたいのが、「取引振り」を融資交渉に活用する観点です。

本稿では、困難な融資交渉を成功させた実例とともに、取引振りの重要性を解説していきます。

取引振りとは

銀行員の間で使われる用語に「取引振り」という言葉があるわ。

これは、広い意味では「取引先の会社とどのような取引関係にあるか」狭い意味では「取引先の会社と、融資以外にどのような取引関係にあるか」を意味しています。

銀行員が稟議書などで用いる場合には、主に後者の意味で用いられます。

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取引振りの重要性

銀行と会社の関係において、取引振りは非常に大きな意味を持っています。

なぜならば、銀行にとっての収益源は、融資に伴って得られる利息収入だけではなく、融資先との関係の中で生まれる包括的な収益で見るからです。

銀行から融資を受けている会社から見ると、銀行は会社に融資をする、会社は利息をつけて返済する、銀行は利息で儲かる、両者ともに利益がある、という関係に見えるかもしれません。

しかし、銀行経営は利息収入だけで成り立っているわけではなく、「取引振りが充実している」ことが非常に重要となります。

これは、具体例で考えるとよくわかります。

具体例を考える

ある銀行は、A社とB社の両方に1億円の融資をしています。

貸し倒れリスクや融資条件などはどちらも同じで、金利は2%と仮定しましょう。

この時、A社とB社がきちんと返済することによって、銀行は年間200万円の利息収入を得ることができます。

しかし、A社は取引振りが充実、B社は融資以外の取引が一切ないとすれば、銀行にとっての両社の収益性は大きく異なります。

A社から期待できる収益には、融資に伴う利息収入以外にも、売上金の入金や様々な支払い口座として使うことで手数料が得られ、為替手数料なども得られ、年間で数百万円、数千万円の収益が期待できます。

一方、B社から期待できる利益は、どう転んでも年間の利息収入200万円以上になることはありません

銀行が、A社とB社のどちらを優良顧客であるとみなすかと言えば、もちろん収益性の高いA社だ!

今後、支援を申し入れたときにも、銀行はA社を積極的に支援するでしょうし、囲い込みのために良い条件で融資することも多いはずです。

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取引振りを意識した融資交渉を

このように考えると、銀行にとって取引振りが重要であることが分かると思います。

取引振りを意識して交渉すれば、融資を受けられる可能性も高まります。

なぜ、取引振りが充実することで融資交渉に役立つのか、それは単に収益性の点から考えてもよくわかりますが、銀行のリスクヘッジの観点から考えてもよくわかります。

リスクヘッジの観点から

A社とB社のケースで再び考えてみましょう。

この両社に1億円ずつ融資したとき、年間200万円の利息収入が期待できます。ただし、年間200万円を儲けたとしても、貸し倒れになれば9800万円の損失にもなります。

このリスクがあるからこそ、銀行は担保などの保全を求めるわけですが、担保もなく、保証協会からの保証枠もない会社は無担保プロパー融資を受けるほかなく、銀行にとってはリスクの高い融資となります。

特にB社の場合、何の保証もないまま、200万円の利息収入のために1億円をリスクにさらすのですから、よほど業績や財務に強みがなければ、銀行は融資を嫌うでしょう。

 

しかしA社の場合、200万円の利息収入のほか、取引振りの充実から発生する様々な収入が得られます。

多少リスクが高いとしても、それに見合うだけのリターンが期待できると考えて、積極的に融資する銀行も多いはずです。

このように、銀行にとって取引振りとは、高い収益性が期待できるだけではなく、その収益性がリスクヘッジにつながることでもあります。

取引振りは、銀行が積極的に融資を検討するに足る、強力な交渉カードとなるのです。

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取引振りを交渉カードにする具体例

取引振りを交渉カードにすることで、困難な状況でも融資を引き出した実際の例を紹介しよう!

C社は電子部品の製造会社であり、業歴は40年と長く、国内での営業基盤は確立されている中小企業です。

しかし、当時C社は直近の数年間では業績悪化が著しく、苦戦を強いられていました。原因は、電子部品製造の拠点が中国に移ったことで、価格競争が激化したためです。C社も数年前から生産拠点を中国に移していましたが、それに伴う出費も大きく、資金繰りはラクではありません。

業績も安定したとは言えず、財務的にも苦しく、銀行としては懸念が多い会社であったと言えます。

増加運転資金を申し入れ、しかし保全不足

そんな時にC社は、国内大手企業から大型の受注を獲得し、それに伴って増加する運転資金をカバーするため、準主力行のB行に4000万円の増加運転資金を申し入れました。

この大手からの受注は継続される見通しも立っており、業績に大きな好影響が期待できます。

前向きな融資案件であることは間違いありません。

しかし、B行はメインバンクでもなく、すでに相当の無担保融資を実行していました。不動産などの担保はメインバンクに独占されていたためです。

それ以上の追加融資のためには保全が必要な状況です。

しかし、信用保証協会の保証枠もすでに使い切っています。それに加えて、業績も不安定、財務的にも苦しい状況です。

融資以外に一切の取引がなかったB行としては、あえてリスクの高い融資を出す合理的な理由がどこにもなく、融資には消極的でした。

取引振りが突破口に

こんなとき、準主力行は融資を断るのが普通ですが、その際の常套句は、「メインバンクから融資を受けてはどうですか?」というものです。

準主力行としては、支援できるだけの理由もないのだし、メインバンクが支援すべきだろうということです。これは、銀行にとって一般的な考え方です。

しかし、C社はすでにメインバンクにも融資を断られていました。何ら保全を提供できず、状況も良くないC社にこれ以上の支援はできないと突き放したのです。

メインバンクが手を引いた会社は、大きな後ろ盾を失う格好になりますから、準主力以下の銀行も素早く手を引くのが普通です。B行もそのように考えました。

ところが、ここでC社は起死回生の交渉を持ち掛けるのだ!

すなわち、

「経営計画書からもわかる通り、今回の取引でわが社の業績は大きく改善される見通しです。融資さえ受けられれば当面の資金繰りに問題はありません。

それに加えて、この販路が拓かれることでで、年間○千万円の輸出為替が発生します。新たに発生する輸出為替をB行さんにお願いすれば、大幅に預金も増えると思います。

4000万円の運転資金を融資していただくことで、当社の輸出為替と、それに伴う預金を提供することができます。融資額以上の預金増加は確実ですし、保全につながると考えますが、融資を検討していただけませんか」

と持ち掛けたのです。

銀行員は、保全がない限り融資はできないという考え方です。しかし、融資すれば保全を確保できることも事実です。

本来、保全を確保した後に融資を実行するのが普通であり、保全を確保するために融資を実行するのは順番が逆です。

しかし、結果的に保全確保につながること、そして何より、これまでは融資以外に全く付き合いがなかった状態から、融資以外に色々なメリットがある関係になれるため、銀行員は積極的に検討するようになりました。

また、結果的な保全の充足、取引振りの充実という交渉材料は、稟議に関わる人が納得するための合理的な理由にもなり、融資実行にこぎつけることができました。

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まとめ

C社の例のように、取引振りを交渉カードにすることで、銀行の懸念する保全不足をカバーできる場合があります。

銀行に、どれだけの旨味を与えられるかによって、交渉の成否は変わってくるでしょう。

しかし、明らかに保全が不足しており、経営も苦しく、メインバンクさえ見放した会社でさえ、取引振りを交渉材料にすることで、資金調達に成功することがあるのです。

このような交渉を知っておくと、銀行にとって付き合いたい相手と思わせることができ、付き合いがスムーズになります。

ぜひ、交渉の手段として知っておくと良いでしょう。

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