銀行との面談では、色々な意味で「貸しても大丈夫な相手であるか」を見ていきます。
このため、会社の業績や財務をより詳しく把握し、「貸しても大丈夫か(返済できるか)」を判断していくこととなります。
しかし、面談では会社の数字だけではなく、経営者の常識的な部分も見られています。
常識のない経営者であれば、常識的な付き合いをしていけない可能性があり、信頼関係も築けないかもしれません。
そのような相手に融資しないためにも、面談では常識についてチェックしているのです。
本稿では、常識を疑われないためにも、面談でやってはいけない基本的なことについて解説していきます。
面談では常識を見られている
銀行に融資を依頼すると、決算書その他の資料の提出を求められます。
銀行は、この資料によって会社の財務状況を分析し、収益力や返済力、財務の安定性などを把握することで、その会社に融資しても良いかどうか、融資するならばどのような条件で融資すべきかといったことを検討していきます。
とはいえ、資料ですべてが決まってしまうわけではありません。
会社が提出する資料の情報は、実態よりも良く見せようとして作られることが多く、場合によっては良くない情報を隠そうとして作られることもあり、会社の実態を適切に表していないことも多いのです。

また、資料には表れない情報も把握していく必要があるよ!
資料では融資しても問題ないように見えたとしても、資料に表れないところにリスクが潜んでいることもあるからです。
例えば、経営者が会社の実態をあまり理解していない、責任感に乏しい人間である、社員との付き合い方に問題があるなど、決算書や資金繰り表などの数字からは読み取れない問題が見つかることがあります。
そのため、面談に臨む経営者は、第一に資料をきちんと説明できなければ話になりません。
資料の内容を深く理解し、資料の数値の根拠やそれぞれの相関性なども含めて説明することで、融資にプラスの印象を与えられることもあります。
そして、定性的な面でマイナスの印象を持たれないように、常識的なふるまいも重要です。
常識的なふるまいをするといえば、簡単に聞こえるかもしれませんが、これは一般常識というよりも「銀行が経営者に求める常識」です。
銀行相手に面談するとなると、融資を受けたいという気持ちから余計なことをしてしまったり、銀行を甘く見て信用を失ったりしてしまうことがあります。
そうならないためには、本稿で紹介するポイントをしっかりと押さえてほしいと思います。

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面談用の服装はいらない
間違いやすいものの筆頭に挙げられるのが、面談時の服装だと思います。
まず、常識を疑われるような服装は絶対にNGです。
基本的に、銀行は会社の収益力や返済力などから融資の可否を判断するため、服装が審査に大きく影響するとは考えにくいです。
とはいえ、TPOに合わせた服装は重要であり、あまりにも常識外れと思われる服装をしていると、融資を見送ることもあります。
具体的には、仕事での服装だから問題ないだろうと考えて、あまりにもラフな格好で面談に臨むケースがあります。
やはり、「経営者としての常識」を疑われる行為は避けるべきです。
もっとも、場違いな服装をしないとしても、服装のセンスに悩んだり、高いスーツで行ったほうがいいと考えたりする経営者は意外と多いものです。
「面談」といえばきちんとした格好で臨むべきだというイメージがあるのだと思います。
しかし、これも間違った考え方です。
TPOをわきまえた格好であれば問題ないのですから、普段スーツを着ない経営者が、無理に高そうなスーツを着て面談する必要ないのです。

むしろ、そのような格好をしていたのでは、かえって違和感を与えてしまうかもしれないぞ!
例えば、いつもスーツではなく作業着を着ている経営者もいると思います。
そのような場合には、わざわざスーツを着るのではなく、作業着を着ていくことで仕事への愛着を感じさせることが多いです。
といっても、作業着は汚れやすい服装でもあります。
汚れた作業着で銀行に行けば、ほかの顧客を不快にさせてしまうこともあるでしょう。
これによって、「銀行側の迷惑を考えない、常識のない経営者」と思われる可能性が高いです。
したがって、慣れないスーツを避けて慣れた作業着を着ていくにしても、清潔感が重要と言えます。
このように、面談に行くときの服装は、
- 普段の仕事着でも問題ない
- ただし、清潔感や常識がなければならない
- 不快感や不信感を与える格好であれば、常識的な判断ができない人と思われる
- 常識的な判断ができなければ、常識的な付き合いも難しくなるため、融資を受けることが難しくなる
と考えるべきです。
常識的な範囲であれば普段の仕事着でも問題ありませんし、普段の仕事着がそうでないならば無難にスーツを選ぶようにしてください。

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時間厳守が鉄則
融資を申し入れて面談が決まると、面談日と面談時間が決められます。
この時間に銀行を訪問し、30分~1時間程度の面談を受けます。
面談時間は、融資の目的、それまでの銀行との付き合い、会社の状況などによって変わります。
面談では時間厳守が鉄則であり、10分くらい前には着くようにするべきです。
これは当たり前のことであり、時間は守るべきと考えている経営者がほとんどだと思います。
しかし、取引先との商談ではきちんと時間を守る経営者でも、銀行との面談では時間にルーズになる人がたまにいます。
銀行との面談で時間を守らない経営者は、以下のように考えていることが多いです。
あくまでも客である
まず、あくまでも自社は客であるという考え方が挙げられます。
つまり、
「わが社は、銀行から借りてやっているのだ。銀行はわが社と付き合うことで利益を得ており、あくまでもわが社は客である。貸せなければ銀行は利益が得られないのだから、少しくらい遅刻したところで、何の問題もないだろう」
という考え方です。
経営状況が非常に厳しい会社ならば、なんとしても融資を受けなければなりませんから、このような考え方によって銀行を不快にしたくないと思うはずです。
傲慢な考え方で遅刻することはありません。
しかし、経営状況が良好であり、銀行からスムーズに借りられる会社では、傲慢な考え方をすることもあります。
特に、銀行側から「借りませんか?」と融資提案をされている場合などには、この勘違いが多くなります。
自社の立場を分かってくれているだろう
次に、自社の立場を分かってくれているだろうという考え方です。
これは、
「今は非常に厳しい時期で、仕事も忙しい。面談時間には遅れてしまうけれども、銀行もこの状況はわかっているだろうし、問題ないだろう」
「わが社の経営は絶好調で、仕事も忙しい。面談時間に遅れたとしても、この忙しさだから仕方ないし、銀行もわかってくれるだろう」
という考え方です。
経営が非常に苦しい会社では、経営者は様々な対処に追われていることと思います。
例えば、取引先に売掛金の支払いを少し待ってもらうようにお願いしなければならず、予想以上に交渉が長引いて、面談に遅れてしまったとしましょう。
この時、苦しいことは銀行も承知の上だから問題ないだろうと考えるわけです。
また、会社が絶好調で忙しい場合も同様です。絶好調でたくさんの取引を処理していかなければならず、その忙しさによって面談に遅れてしまうわけですが、借りる側が好調であることは銀行にとっても好ましいことだと考え、面談時間を甘く考えてしまうのです。
時間を守れない人には貸せない
しかし、どんな理由があるにせよ、時間厳守は鉄則です。
なぜならば、「面談時間を守れない」ということは「約束を守れない」ということであり、会社と銀行の関係で重要となる信用の面で問題が生じるからです。
面談時間を守るためには、ただ時間に合わせて経営者自身が動けばいいだけです。
このため、面談の時間も守れない経営者であれば、毎月の返済期日も守れない可能性が高いと思われてしまいます。
また、面談の時間も守れないのに、事業計画が守れるとは思えないでしょう。
したがって、業績が好調な会社で、銀行から融資を提案しているのが事実であったとしても、面談時間を守れなければ銀行は大きくマイナスイメージを抱くこととなります。
会社の事情は関係ない
また、会社の事情を分かってくれるだろうというのも傲慢な考え方です。
経営難の会社でも、経営が順調な会社でも、それは面談に遅れる理由にはなりません。
経営難の会社であれば、融資を受けなければ経営は立ち行かないのですから、なんとしても面談に間に合うようにすべきです。
それができなければ、銀行は経営者の苦しい立場をくみ取るどころか、「優先順位が分かっていないから、資金繰りに困ることになるのだ」と考え、その会社を見放す気持ちになるかもしれません。

経営が好調な会社でも同じだ。
確かに、業績が好調で返済力も高ければ、銀行にとっても良いことです。しかし、それは面談に遅れていい理由にはなりません。
好調だからといって約束を軽視するような経営者では、好調な時にはうまくいっているように見えても、意外と敵を作っていることが多いものです。
不調の時には一斉に周りが退き、危機的状況に陥る可能性もあります。
このため、会社の事情がどうであったとしても、面談時間は厳守するのが鉄則なのです。
事情によってどうしても遅れそうであれば、必ず電話を入れて事情を述べて、少し遅れるならば待ってもらう、大幅に遅れるならば日を改めてもらうなどの対応を受けるべきです。
面談日時の変更は避ける
なお、冠婚葬祭などの急な事情がある場合を除いて、面談日時の変更をお願いするのもNGです。
銀行員は基本的に忙しいため、せっかく時間をとっているのに時間を変更されると、人の迷惑を考えない経営者だと思われてしまうことがあります。
また、資金繰りに厳しい会社であれば、「面談より大切な用事などないはずなのに、おかしいのではないか」という印象を持たれることもあります。
本当にどうしようもない場合を除いて、面談日時はしっかりと守りましょう。
日時を変更しなくても済むように、面談を中心にスケジュールを組んでおくのが無難です。

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手土産は不要
時間を守らない経営者は、銀行にとって論外といえるほど常識を欠いています。
といっても、気を使いすぎる経営者もあまり良いものではありません。
銀行員の忙しさを知っている経営者の中には、面談の時間をとってもらって申し訳ないと思う人もいます。
また、なんとしても融資を受けなければならない会社では、少しでもよい関係を築きたいと考える人もいます。
そのため、面談やその他の機会に銀行を訪問する際、手土産をもって訪問する経営者もいます。
中には、これまでの経営が非常に順調であり、銀行との付き合いをそれほど真剣に考えなくてもうまくいっていた会社で業績が悪化した場合に、「これまで通りの付き合いをどうぞよろしく・・・」という気持ちで手土産を持参するケースもあるようです。
しかし、銀行に菓子折りを持っていくのはよくありません。
「時間をとってくれてありがたい」「良い付き合いをしていきたい」といった気持ちを持つのは良いことですが、手土産は銀行員を困らせるからです。
経営者には何一つやましい気持ちがないとしても、銀行員は下心があるのではないかと思う可能性が高いです。
そのように警戒されると、痛くもない腹を探られることとなり、面談がうまくいきにくくなります。
手土産をもって銀行を訪問するのが普通であれば、そうすることが「常識的な態度」だと思います。
しかし、銀行にはそのような気遣いをしないのが普通ですから、下手に気を使わないことが大切です。
銀行からの手土産は?
手土産をもらうことを嫌う銀行が手土産を渡してくると言うことは、なにか特別な理由があるように思うかもしれません。
しかし、そのような警戒をする必要はありません。銀行が持ってくる手土産には、大した意味はないからです。
銀行では、手土産をもらうことを嫌いますが、支店で旅行に行った際などには顧客に手土産を買うことがしばしばあります。
それを渡すことに特に意味はありませんし、本当に「単なるお土産」でしかありません。
したがって、変に警戒する必要はありませんし、ありがたく受け取っておきましょう。
それを断ってしまっては角が立ちますし、少なくとも好印象を持っていないお客さんにはお土産など買わないのですから、そのように考えて受け取るようにしましょう。

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まとめ
銀行との面談では、経営者の常識的な部分も見られています。
解説を読んでみると、どれも当たり前のことばかりだと思うかもしれませんが、ここで失敗してしまう経営者も実際にいますし、知らず知らずのうちに間違いを犯していることもあるものです。
常識的な部分で疑われ、借りられるものが借りられなくなってしまえば、非常にもったいないことです。そのようなことがないためにも、面談では常識ある対応を意識してください。
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