銀行員が融資を判断する際には、会社の業績や財務を分析し、収益力や返済力を中心に判断を下します。
しかし、決算書などからくみ取れる定量的な情報だけではなく、数字にはあらわされない定性的な情報も判断材料となっています。
特に、社長の素質や気質が融資に影響することがありますが、社長の贅沢が銀行員のよくないイメージにつながることもあります。
本稿では、特に立派な自宅や別荘に焦点をあてて、元銀行員に話を聞いていきます。
贅沢な自宅はどうみられる?
おっしゃる通りです。
以前もお話しした通り、社長が一時的な好業績で浮かれて贅沢をし、それに慣れてしまって、会社の資金繰りに悪影響が出ることがあります。
ほかにも、取引先にもあまりいいイメージを持たれませんね。
※社長の贅沢の悪影響について、詳しくはこちら
―――贅沢というと、簡単に言えば思い切りよくお金を使う、といったことだと思います。高級品や高級車などがそうでしょう。
ただし、贅沢の中にも資産価値が見込めるものがあると思うのですが、銀行員はそれをどう見るのでしょうか。
資産価値があると言っても、色々でしょう。
高級腕時計や高級車には、確かに資産価値がありますから、換金することでいざという時に役立ちます。
しかし、資産価値を見込んでそれらを買うというのは、ちょっとおかしいですね。
腕時計のバイヤーが、値上がり益を期待して高級腕時計を買うならば、それは贅沢というよりも投資です。
しかし、ほとんどの社長は個人的な趣味や見栄で買っていますから、投資ではなく贅沢です。
そこで資産価値がどうこうというならば、現金のまま持っていればいいんですよ。
必要以上に高い腕時計や車を買っても、いざという時に売ろうとすれば買値を下回って売却損が出るでしょう。
それなら、現金のままもっておいたほうがずっと資産価値がありますよ。
インフレを考えても、価値が目減りするリスクはかなり小さいんですからね。

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銀行が審査するとき、自宅はチェックしますね。
中小企業は会社と社長を一体とみなしますから、融資の際には会社の不動産だけではなく、社長の不動産を担保として設定することがあります。
例えば5000万円の融資に担保を設定するとき、社長が5000万円の自宅を持っていて、住宅ローンもなく担保も設定されていなければ、それを担保にすることでひとまず安心という感じです。
あまり褒められたことではないでしょうね。
定性的なことを言えば、分不相応に贅沢な自宅を構えている社長は、金銭感覚を疑う必要があります。
事業規模と釣り合わない、豪勢な自宅を構えているとなると、やはりどこか感覚がおかしいのでは、と思うわけです。
それに、さっきも言った通り、中小企業は会社と社長を一体とみなします。
会社の事業規模と釣り合わないほど贅沢な自宅を構えているならば、社長はちょっと背伸びをして、負担の大きい住宅ローンを組んでいる可能性が高いですね。
会社の業績が好調で、役員報酬もしっかりもらって、住宅ローンもしっかり払えるときはいいですよ。
でも、会社の業績が落ちてきて、役員報酬も減らす必要が出てきて、住宅ローンの支払いが厳しくなってきたらどうでしょうか。
会社はなんとかやりくりできているのに、社長の個人的な家計のやりくりが難しいという状況になるかもしれません。
すると、無理のある役員報酬を出したり、会社から社長に貸し付けたりして、資金繰りが悪化する可能性が出てきます。
もちろんです。
苦戦している会社でも、しっかりと努力している会社ならば、銀行も支援したいと思うものです。
努力しているからこそ、いずれ立ち直ってきちんと返済される可能性もありますし、他の金融機関が支援を躊躇しやすいタイミングだからこそ、取引を深めるチャンスともいえます。
会社がしっかり取り組んでこそ、銀行も貸し倒れリスクを負うわけです。
しかし、苦戦している状況で役員報酬をカットしない、社長に貸し付けているといった会社は、とても努力しているとは言えませんよね。
特に役員貸付金なんて、返済の見込みが薄いですから、資産価値なしとみなします。
印象は悪いですし、いいことなんて一つもありません。
また、豪華な自宅には資産価値があるかもしれませんが、おそらく住宅ローンの残債もまだまだ大きいでしょうから、資金調達に活用することも難しいでしょう。
社長は改善に奔走しているつもりかもしれませんけど、その前にやるべきことがあるでしょう、と思うんです。
贅沢な自宅なんか構えて、家計が苦しくなって、会社の資金繰りにも迷惑をかけて、そんな会社には貸せません。

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ケースバイケースで選ぶべき方法は違いますが、いっそ自宅を売ってしまうという方法がいいかもしれませんね。
住宅ローンが残っている限り生活は苦しいままで、会社にも負担がかかります。
ならば、任意売却などで自宅を売ってしまって、住宅ローンも完済して、賃貸物件に住めばいいでしょう。
もちろん、住宅ローンの返済がどれくらい進んでいるか、不動産市場がどうであるかなど、色々な条件によって最適な方法は変わります。
分不相応に贅沢な不動産には買い手も付きにくいでしょうし。
なんにせよ、そのような贅沢な自宅は、最初から持たないほうが吉ということですね。
別荘はもっとひどい
いや、別荘はもっと問題でしょう。
会社がうまくいって、経営者としての自信もついて、成功者として振る舞いたい、そんなときに別荘を買う社長は少なくありません。
しかし、これはかなり無意味なお金の使い方です。
別荘なんて、年に数回しか使わないのですから、自宅よりもはるかに無駄でマイナスも大きいです。
贅沢な自宅の場合、そこには社長が居住しているわけですから、住宅ローンを使うことができますね。
低金利で、長期返済で、社長に負担が軽めのローンになっているはずです。
それでさえ、いずれ社長の個人財政、ひいては会社の財政に悪影響をもたらすことがあるんです。
ほとんどの場合、住宅ローンを組んで自宅を購入して、まだ余裕があるから別荘を買うわけでしょう。
となると、住宅ローンは使えません。
というより、居住目的ではありませんから、住宅ローンではなくセカンドハウスローンなどを使うことになります。
アパートローンよりはマシですが、セカンドハウスローンは住宅ローンに比べて、金利や返済期間などの設定が厳しめになっています。
住宅ローンで買った贅沢な自宅、セカンドハウスローンで買った別荘という二重の返済負担を、完済まで何十年も続けていくことになるのです。
よほど余裕がある人でなければ、別荘を購入するのは間違っているんです。
会社の好況時にこのような負債を背負えば、会社の業績が低迷したとき、もっとまずいことになるでしょう。

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もちろんそうです。
自宅ならばまだしも、別荘ですからね。
ローンの支払いが苦しいからと言って売ろうとしても、買い手なんてなかなか見つからないでしょう。
別荘を買えるほど豊かな人は限られますし、ミドルクラスの人もセカンドハウスローンを組んでまで買うことは少ないです。
それに別荘は、自宅と違って年に何回かしか使わないわけでしょう。維持にもお金がかかります。税金もかかります。
そんなものを買う人は、かなり限られてくるんです。
なかなか買い手がつかなければ、売値を下げるほかありません。不動産情報サイトなどを見ると、別荘が信じられないくらいの安値で売られていることがあるでしょう?
あれは、別荘を買うべきでないのに買ってしまった人が、仕方なく手放そうとしているんです。
もちろん、それではローンを完済できないから、売るに売れずローンを払い続ける人もいます。
言い方は悪いですが、一部の富裕層を除いて、別荘なんてババ抜きのババでしかありません
プラスにはなりませんし、マイナスになることも多いと思っていいでしょう。
こんな不動産を持っていると、危ない印象を持つ銀行員は多いでしょうね。
本当に豊かな人が持っているならば、「さすがにこの人は違う」と思いますが、中小企業の社長となると危なさしか感じません。
別荘は人里離れたところにありますから、担保価値も低いですしね。
社長の個人資産だからといって、会社の資金繰りには全く役立ちません。
それもあまり意味はないでしょう。
余裕のある会社が別荘を買って、保養施設として使っているケースもあります。
しかし、これも頻繁に使う機会はありませんから、業績にプラスの影響は少ないでしょう。
それでいて、財務へのマイナスの影響は大きいです。
購入費用の負担、税金や管理費の負担がありますし、担保としても役立ちません。
保養施設にすることでプラスの影響を期待しても、マイナスのほうが大きくなってしまうでしょうから、社長の経営感覚を疑ってしまいます。
別荘にお金を使うくらいならば、もっと効果的な投資をしたほうが良いでしょう。
社員に還元したければ、賞与などで還元したほうが士気も高まり、しっかりとプラスになります。

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まとめ
銀行員は、社長の金銭感覚も判断材料としています。
特に、自宅や別荘という大きな買い物となると、それが社長個人の家計を圧迫し、会社にも悪影響を及ぼすことがあるため、かなり厳しい見方をしていることが分かりました。
マイホームを買う場合には、あくまでも分相応を心掛け、別荘の購入などは考えないほうがよさそうです。
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