銀行から融資を受けるにあたって、融資審査を受けるために、色々な資料を提出する必要があります。
その中核をなすのが決算書です。
この時、銀行が喜ぶ決算書にするために気を付けるべき点はいくつもありますが、最低限外せないポイントがあります。
提出前にそれらのポイントを確認することによって、初歩的なミスを避け、銀行の印象がマイナスになるのを防ぐことができます。
本稿では、提出前に簡単に確認できる最低限のポイントを選んで挙げていきます。
是非、提出前に参考にしてみてください。
貸借対照表をチェック
まず、貸借対照表のチェックポイントを見ていきましょう。
純資産がプラスになっているか
貸借対照表の純資産がマイナスになっているということは、債務超過に陥っているということです。
財務状態が非常に悪く、このような会社に融資をすると回収困難に陥るリスクが高くなってしまうため、融資に通らなくなります。

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借入金の記載方法
貸借対照表の中で、チェックすべきは借入金です。
借入金が大きければ、それだけ純資産が小さくなるわけですから、この項目を軽く見てはいけません。
貸借対照表の負債の部に記載される借入金は、色々な種類の借入金があると思います。
例えば、役員や株主からの借り入れがある場合もあるでしょうし、当然ながら銀行からの借入金もあるでしょう。
このとき、全ての借入金をひとまとめにして計上するのではなく、できるだけ別々に計上することによって、全体の借入金を小さく見せるのがポイントです。
というのも、役員や株主からの借入金は「役員長期借入金」という名目で計上することが可能です。
一方、銀行からの借入金は「長期借入金」として計上することになります。

しかし金融庁は銀行に対して、役員や株主からの借入金は早期に返済する必要がないため、負債ではなく資本としてみなすように指導しています。
つまり、全てを長期借入金としてひとまとめにするのではなく、役員長期借入金という名目で別項目を設けておくことで、負債を減らして資本を増やすことができます。
それにより、銀行はプラスの評価をするようになります。

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損益計算書をチェック
次に、損益計算書のすぐチェックできるポイントを見ていきます。
当期純利益はプラスか
損益計算書の当期純利益の項目がプラスになっていれば、利益をきちんと出しているということが分かります。
これは、大きければ大きいほど融資を受けやすく、融資額も大きくなりやすいです。
これは、銀行が融資をしたとき、利益の中から回収していくからです。
純利益がマイナスであれば回収は困難になりますから、融資が下りにくくなるのは当然のことです。
しかし、銀行が「これだけの利益があれば十分だ」と考える水準はどの程度なのでしょうか。
それは、経常利益を見ることによって判断していきます。

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経常利益はプラスか
経常利益を考えるにあたり、経常利益の算出方法を簡単に見ておきましょう。
企業の利益には、経常利益の他に営業利益というものがあり、これは営業活動によって得た利益のことです。
具体的には、商品を仕入れて販売したり、原材料を仕入れて製品を製造して販売したりして、そこで得た売上から「仕入れ値」を差し引き(売上総利益)ます。
そこから人件費・広告費・在庫管理費・光熱費・運送費などの様々なコストを差し引いたものが営業利益です。
営業利益に受取利息を加え、借入金などの支払い利息を差し引くと、それが経常利益になります。
ちなみに当期純利益とは、経常利益に特別利益・特別損失を考慮したうえで、法人税などを控除したものです。
これによって、所有している不動産を売却するなどした場合、経常利益よりも当期純利益が大幅に上回ることもあります。
銀行が融資の判断をするとき、借入限度額は「経常利益の10~20倍」もしくは「年商の2分の1~3分の1」で判断し、どちらか低い方を借入限度額に設定します。

す経常利益の10倍ならば1億円ですが、年商の3分の1では3333万円です。
この場合、低い方で判断し、約3000万円が借入限度額になります。
もちろん、経常利益が赤字になっていると、その10~20倍も当然マイナスですから、融資は難しくなります。
そうならないためにも、当期純利益だけではなく経常利益をプラスにすることが重要です。
当期純利益だけならば、資産を売るなどしてプラスにすることができますが、経常利益がマイナスならば融資はほぼ不可能になるのです。
その他の項目
最後にその他の項目として、銀行が嫌う決算書はどのようなものかを知っておくと役立つと思います。
すぐに確認可能なものとしては、以下のようなものがあります。
- 売掛金が増加している
- 棚卸資産が増加している
- 仮払金が増加している
- 貸付金が増加している
これらの項目を備えていると、必ずしも銀行がマイナスの評価をするとは限りません。

例えば、売掛金が増加していれば、架空の売掛金が計上されていることや、不良債権が増加している可能性を疑われます。
棚卸資産が増加していれば、不良在庫や売れ残りを抱えている可能性を疑われます。
仮払金や貸付金は、粉飾決算に使われやすい項目であることから、これも銀行がかなり嫌う項目です。
もしこれらの傾向がみられるならば、改善策を税理士に相談しましょう。
銀行に質問されたときに、問題ある売掛金・棚卸資産ではないこと、また不正でないことなどを、きちんと答えられるように準備しておく必要があります。

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まとめ
決算書で簡単にチェックできるポイントを書いてきました。
もちろん、銀行は決算書をかなり詳しく見ますし、本稿で指摘した部分をカバーしていれば融資を受けられるというような甘いものではありません。
しかし、ごくごく基本的なチェックポイントを知っておけば、銀行が決算書を見る時の基本的な姿勢が分かってくるものです。
最低限のチェックは経営者自身でも可能になると思います。
これまで融資を受けるのに苦労してきた人も、案外基本的なところに問題があったと気づくかもしれません。
本稿によって、そのような気づきがあれば幸いです。