銀行の融資審査では、そもそもその会社や経営者が融資対象になるかどうかということを真っ先に調べます。
そこで審査した結果、融資に値しないとわかったならば、その他の項目を審査する必要はなくなります。
銀行は、会社や経営者が反社会的な色彩を帯びていることを非常に嫌います。
- 反社会的勢力とかかわっている
- 社会問題を起こしている
- 経営者に犯罪歴がある
などの場合には、銀行の使命から考えて、絶対に融資しないのです。
本稿では、会社や経営者の背景を銀行がどう見るのかを解説していきます。
会社と経営者の背景とは
銀行が融資の審査をする際に、最も基本的な審査項目として、会社と経営者の背景を審査します。
最も基本的ということは、そこでコケてしまえば融資はほぼ不可能ということです。
ある意味で最も優先順位が高い項目であるとも言えます。
会社と経営者の背景については、以下の要素を審査します。
業種
銀行が融資できる業種であるかどうかを審査します。
例えば風俗業や金融業は融資を受けられない場合が多いです。
商業登録簿の目的欄なども審査の対象になります。
反社会的勢力とのかかわり
暴力団や犯罪者など、反社会的勢力とのかかわりがある会社には融資は出ません。
ヤクザが“シノギ”で経営している企業舎弟などは、いくら表向きがクリーンでも融資は受けられません。
- 会社が反社会的勢力の一部である
- 反社会的勢力と取引がある
- 経営者が反社会的勢力の構成員である
- 反社会的勢力と交際がある
など、あらゆる場合がNGとなります
社会問題
会社の背景として、その会社が社会問題を起こしている場合には、融資を受けることが難しくなります。
例えば労働問題を起こしている、公害をもたらしているなどです。
そのような社会問題を起こしてしまっているならば、経緯と今後の対策を資料にまとめて提出し、その内容によっては融資を受けられることもあります。
許認可
業種によっては、許認可が必要です。
例えばリサイクルショップを経営しているのに、古物商許可を受けていないとなれば無許可営業です。
犯罪になりますから、銀行は絶対に融資してくれることはありません。
特定の資格が必要となる業種ならば、資格の更新を忘れないようにしなければなりません。

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事務所
会社が事務所を利用していることを証明するために、本社事務所を所有している場合には不動産登記簿を、事務所が賃貸ならば賃貸契約書を見られることがあります。
経営者の実権
経営者がきちんとその会社を経営しているかどうか、裏の経営者が実権を握っているならば、その経営者の背景はどうであるかなどを審査します。
犯罪
経営者に犯罪歴がある場合、融資を受けることは極めて困難になります。
銀行はコンプライアンスがしっかりしていますから、犯罪のニオイがするのもNGです。
過去の貸し倒れ
経営者が過去に別の会社を経営し、貸し倒れを起こしている場合にも融資が難しくなります。

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では、会社と経営者の背景について、銀行が注目するポイントを詳しく見ていきましょう。
会社の背景
まず会社の背景についてですが、これは主に、
- 融資を出せる業種であるか
- 社会問題を引き起こしていないか
- 許認可を取っているか
- 事務所に問題はないか
などについて審査していきます。
許認可と事務所については、上記の説明でほぼ事足りますから、ここでは、1~3について解説していきます。
業種
銀行は融資依頼を受けた時、その会社が融資できる業種であるかどうかを調べます。
そもそも融資できない業種ならば、その他の審査をする必要がないからです。
信用保証協会では、次の業種には信用保証をしないとしています。
- 農林水産業
- 風俗業
- 金融業
- 宗教法人、
- NPO法人を除く非営利団体、
- 有限責任事業組合(LLP)
このうち農林水産業は、日本政策金融公庫の農林水産事業から融資を受けたり、農業協同組合や漁業協同組合から融資を受けることができます。
しかし、それ以外の業種は銀行、信用保証協会、公的金融機関の全てから融資を受けることがほぼ不可能です。
また、メインの事業では融資可能な事業であり、一部にこれらの事業を含んでいる場合にも、融資できない可能性が高いです。

反社会的勢力とかかわり
ここでいう反社会的勢力とは、暴力団や暴力団に関連する企業、総会屋などを指します。
会社自体が反社会的勢力であれば、銀行は絶対に融資することはありません。
もちろん、何らかの関係がある場合にも融資は受けられませんし、関係を疑われるだけでも融資はかなり出づらくなります。
特に、最近は暴力団への圧力がかなり強まっています。
法的な圧力が強まっており、暴力団に資金が流れないようにする仕組みがかなり整っています。
反社会的勢力に資金を流れないようになっているのですから、銀行も融資をするはずがないのです。
また、全国銀行協会の行動憲章にも、
「市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力とは断固として対決し、関係遮断を徹底する。」
と明記されています。
反社会的勢力や、それと関係している会社に融資してしまうと、銀行はこの行動憲章に反することになります。

社会問題
労働問題や公害などの社会問題を引き起こしている会社も、融資を受けることは難しいです。
全国銀行協会の行動憲章には、
「銀行のもつ公共的使命の重みを常に認識し、健全な業務運営を通じて揺るぎない信頼の確立を図る。」
「あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会的規範にもとることのない、誠実かつ公正な企業活動を遂行する。」
「資源の効率的な利用や廃棄物の削減を実践するとともに、環境保全に寄与する金融サービスを提供するなど、環境問題に積極的に取り組む。」
「銀行が社会の中においてこそ存続・発展し得る存在であることを自覚し、社会とともに歩む『良き企業市民』として、積極的に社会貢献活動に取り組む。」
等と記載されております。
- 公共的使命を認識していること
- 社会的規範に真面目であること
- 環境問題に取り組んでいること
社会貢献を前提にしていることが分かります。
労働問題や環境問題など、社会問題にも色々ありますが、それらを引き起こしている会社に融資してしまうと、銀行は行動憲章に反することになります。

銀行は、会社の背景について、上記のような要素について審査します。
いくら財務内容や業績が良い会社でも、これらの要素で問題とみなされる会社は、融資を受けることは非常に困難です。
もし、反社会的勢力と小規模ながら取引があるならば、その取引は排除しましょう。
社会問題があるならば、問題の経緯と改善計画などを提示し、銀行の説得を試みましょう。
それによって、融資を受けられる可能性が出てきます。

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経営者の背景
経営者の背景では、
- 反社会的勢力とのかかわっていないか
- 経営者に犯罪歴や貸し倒れ歴がないか
- 経営者の実権はどうか
などについて審査していきます。
反社会勢力
これは、会社の背景で解説したことと同じです。
経営者が反社会勢力の構成員であれば、融資を受けることは不可能です。
また、反社会勢力の構成員と交際があるだけでも、融資を受けることが困難になります。
犯罪歴
経営者に犯罪歴がある場合は、会社の背景における社会問題とおおよそ同じ解釈が可能です。
犯罪歴があるということは、
- 過去に公共性を犯したこと
- 法令やルールを破って社会規範から外れたこと
- 社会と共に歩む良き市民たるを得なかったこと
などの証明になり、銀行の行動憲章に反します。
過去に罪を犯した人でも、更生して社会復帰し、立派な市民になることはありますが、銀行の立場を考えると、更生した人にも融資が難しいことは間違いありません。
また、犯罪ではありませんが、過去にその経営者が他の会社で貸し倒れを起こしていれば、それは銀行にとっては犯罪級の出来事ですから、融資を出すのは困難になります。

経営者の実権
経営者の背景で注目したいのは、表の経営者とは別に裏に真の経営者がいないかということです。
経営者が反社会的勢力の構成員である、あるいは犯罪歴がある、あるいは過去に貸し倒れを起こしているなどの事情がある場合には、裏の経営者に回って実権を握り、表向きはクリーンな人物を経営者とする場合があります。
表向きの経営者に配偶者や知人を据えるというパターンがよく見られます。

したがって、代表者として融資を依頼してきた人に対し、その人が本当の経営者であるのかどうか、ヒアリングによって情報を集めていきます。
例えば、事業について色々とヒアリングしていったところ、うまく答えられなかったならば、銀行は裏の経営者がいる可能性を疑います。
銀行の調査能力は高いですから、疑われて調査されれば、隠し通すことは困難です。
銀行は、なぜ表の経営者を立てて裏の経営者が実権を握っているのか、その理由を非常に気にするものです。
裏の経営者が、反社会的勢力とのかかわりがある、犯罪歴がある、過去に貸し倒れを起こしているなどの場合には、銀行は融資しません。
特に多いのが、裏の経営者が過去に貸し倒れを起こしているケースです。
裏の経営者が過去に貸し倒れを起こして融資が受けられないため、妻や親戚、知人などを表の経営者として自分が実権を握るのです。
この場合も、銀行が調べればバレてしまうため、融資は受けられません。

例えば、真の経営者は会社勤めをしていて、勤めている会社では副業が禁止されている場合です。
親が法人として経営していた不動産を相続し、会社への配慮から表の経営者になれない場合などが、それに当たります。
いくら財務内容や業績が良い会社でも、経営者の背景に問題がある場合には、融資は受けられません。
会社の背景ならば改善のしようもありますが、経営者自身に問題がある場合には改善が困難であり、どう工夫しても融資を受けることは困難です。
反社会的勢力の元構成員である、犯罪歴があるなどは調べればわかってしまうことです。
裏の経営者として実権を握っている理由がネガティブなものであれば、それも調べられてアウトになります。
しいて言えば、経営者が反社会的勢力と深く付き合っていないものの、交際を疑われる可能性があるならば、その可能性を排除しましょう。
経営者に犯罪歴がないものの、ちょっとまかり間違えば犯罪になりそうな要素があるならばその要素を排除するのです。
真っ当な理由があって裏の経営者に回っているならば、その理由をきちんと銀行に説明するなどによって、融資を受けられる可能性があります。

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まとめ
会社や経営者の背景によって、融資の審査が大きく影響されることが分かったと思います。
反社会的勢力とのかかわりや社会問題、経営者の犯罪歴や貸し倒れ歴など、救いがたい要素をもっていれば、どれほど財務内容や業績が良くても融資は不可能です。
融資の審査項目のうち、最も基本的かつ重要度の高い要素とも言えるのです。
融資を受けたいならば、銀行から疑われるような要素は徹底的に排除していくことが大切です。