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一括ファクタリングとは|支払企業が導入する仕組みと取適法での扱い

最終更新 公開 約14分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • 一括ファクタリングとは、支払企業・納入企業・ファクタリング会社の三者で契約し、納入企業が支払企業に対する売掛金を支払期日前に資金化したり、決済日に一括して受け取ったりできるようにする決済の仕組みである。
  • 2026年1月1日に施行された取適法(中小受託取引適正化法)は、支払期日までに代金の満額に相当する金銭と引き換えることが困難な一括決済方式の使用を、支払遅延として禁止している。
  • 公正取引委員会の運用基準によると、決済日が支払期日より後で割引を受ける必要がある方式と、受託事業者が受取手数料等を負担する方式が「引き換えることが困難であるもの」に当たる。
  • 取適法の規制の名宛人は委託事業者(発注側)であり、受託事業者が自分の売掛金をファクタリング会社に売ること自体を禁じる規定ではない。
  • 三菱UFJ銀行は「でんさい一括ファクタリング」について、2026年2月10日現在で新規取り扱いを停止していると公式サイトに記載している。
早わかり表
主導する人支払企業(発注側)。納入企業は案内を受けて加入する
契約の形支払企業・納入企業・金融機関などの三者契約
取適法での位置づけ一括決済方式(債権譲渡担保・ファクタリング・併存的債務引受の3方式)の1つ
禁止されるもの支払期日までに代金の満額を現金で得ることが困難な使い方(2026年1月1日施行)
受取手数料の負担受託事業者に負担させると、合意があっても支払遅延(取適法Q&A Q81)
支払期日給付の受領日から60日以内(取適法3条1項)
取扱いの動き三菱UFJ銀行「でんさい一括ファクタリング」は新規取扱停止(2026年2月10日現在)
目次
  1. 一括ファクタリングとは?支払企業が導入する決済の仕組み
  2. 一括ファクタリングの流れ
  3. 通常のファクタリングとの違い
  4. 取適法で一括ファクタリングはどう扱われるか
  5. 下請法の時代から何が変わったか
  6. 取扱いの動き:でんさいとの組み合わせと新規取扱停止
  7. 取適法に合っているかの判断フロー
  8. 納入企業(受注側)が確認すること
  9. 支払企業(発注側)が導入・見直すときの注意
  10. 会計・税務の扱い

一括ファクタリングとは、支払企業(発注側)が金融機関などのファクタリング会社と契約して導入する決済の仕組みです。納入企業(受注側)は、売掛金を支払期日前に資金化したり、決済日に一括して受け取ったりできます。納入企業が単独で申し込む通常のファクタリングと違い、支払企業が主導します。2026年1月1日施行の取適法(中小受託取引適正化法)は、支払期日までに代金の満額を現金で得ることが困難な一括決済方式を、支払遅延として禁止しました[1][5]。

一括ファクタリングとは?支払企業が導入する決済の仕組み

一括ファクタリングは、支払企業が手形の代わりに導入してきた決済手段で、納入企業から見ると「支払企業の信用で売掛金を早く現金にできる仕組み」です。提供会社の公式サイトでは、次のように説明されています。

  • セイノーフィナンシャル:「支払企業(債務者)、納入企業(債権者)、及び当社(ファクタリング会社)が三社間契約を結び、一括で行う決済システム」。手形発行事務や印紙税の軽減が目的[11]
  • 三菱UFJ銀行:「でんさいのサービスにファクタリングサービスをセットした商品」。納入企業は審査手続きなしで、ノンリコース(償還請求権なし)での買取を利用できる。導入時は支払企業に銀行の審査がある[9]
  • 三井住友銀行:「従来の一括ファクタリングとでんさいを組み合わせた決済サービス」。仕入先は「支払企業の信用力をいかした資金調達(短期プライムレート等、一律のレートでの調達)」ができる[10]

取適法の規則(明示規則)は、手形や現金以外の支払手段として「一括決済方式」を定め、3つの方式に分けています[2]。

方式(明示規則1条1項5号) 納入企業(中小受託事業者)がお金を受け取る方法
債権譲渡担保方式 代金債権を担保に、金融機関から代金相当額の貸付けを受ける
ファクタリング方式 代金債権を金融機関に譲渡し、金融機関から代金相当額の支払いを受ける
併存的債務引受方式 代金債務を委託事業者と共に負った金融機関から、代金相当額の支払いを受ける

出典:明示規則1条1項5号の要約[2]。銀行などが「一括ファクタリング」の名前で提供しているサービスは、このうちファクタリング方式にあたると考えられます。公正取引委員会のQ&Aは、債権を信託銀行に信託譲渡し、信託受益権を投資家に販売する「信託方式」も、いわゆるファクタリング方式に該当するとしています[4]。

一括ファクタリングの流れ

一括ファクタリングの流れは、支払企業が買掛金のデータをファクタリング会社に送り、ファクタリング会社が納入企業に支払う点が特徴です。セイノーフィナンシャルは、支払企業が債権譲渡の承諾と買掛金データの送信を行い、同社が買取金額を支払うと説明しています[11]。

  1. 支払企業が金融機関などと契約し、仕入先(納入企業)に加入を案内する
  2. 納入企業が加入し、三者で契約する(債権譲渡の承諾を含む)
  3. 納入企業が納品し、支払企業が検収して買掛金を確定する
  4. 支払企業が買掛金のデータをファクタリング会社に送る
  5. 納入企業は、決済日を待って満額を受け取るか、決済日より前に資金化を申し込む
  6. 決済日に、支払企業がファクタリング会社へ代金を支払う
当事者 主な役割 得られるもの
支払企業(発注側) 導入・審査を受ける、買掛金データの送信、決済日の支払い 手形の発行事務や印紙税の削減[11]、支払事務の一本化
納入企業(受注側) 加入、納品・請求 決済日の一括入金、期日前の資金化の選択肢
ファクタリング会社(金融機関など) 債権の買取、支払代行 支払企業の信用にもとづく取引

三井住友銀行のサービスでは、仕入先は受取方法をファクタリングかでんさいかから選べ、三井住友銀行以外の口座でも受け取れると案内されています[10]。

通常のファクタリングとの違い

一括ファクタリングと通常のファクタリングの違いは、「誰が主導し、誰の信用力で条件が決まるか」です。通常のファクタリングは納入企業が自分で申し込み、売掛先(支払企業)の信用力と債権の実在性を審査されます。

比較項目 一括ファクタリング 通常のファクタリング
主導する人 支払企業(発注側) 納入企業(受注側)
申込み 支払企業が導入し、納入企業は加入する 納入企業が単独で申し込む
審査 導入時に支払企業を審査。三菱UFJ銀行の例では納入企業の利用時は審査手続きなし[9] 売掛先の信用力と債権の実在性を審査
資金化のコストの基準 支払企業の信用力(例:短期プライムレート等の一律レート)[10] 会社ごとの手数料。手数料の相場を参照
支払企業に知られるか 支払企業が当事者なので当然知っている 2社間なら通知しない
取適法での位置づけ 委託事業者の支払手段として規制の対象[3] 受託事業者が自分の債権を売る取引で、取適法の禁止対象ではない[1]

資金化のコストは、両者で大きく違います。日本銀行によると、主要行の短期プライムレート(最頻値)は2026年8月3日から年2.375%で、2026年10月8日現在のデータでも変わっていません[14]。三井住友銀行の一律レートが短期プライムレートと同じという意味ではありませんが、支払企業の信用にもとづくレートの水準感をつかむ目安になります。

取適法で一括ファクタリングはどう扱われるか

取適法は一括ファクタリングそのものを禁止していません。禁止しているのは、委託事業者(発注側)が、支払期日までに代金の満額に相当する金銭と引き換えることが困難な一括決済方式を使うことです。これは支払遅延(5条1項2号)にあたります[1][3]。

公正取引委員会は取適法の特設ページで、電子記録債権やファクタリングについても、支払期日までに代金に相当する金銭(手数料等を含む満額)を得ることが困難なものは禁止されると説明しています[5]。振込手数料を中小受託事業者に負担させることも禁止です[5]。

「引き換えることが困難」とは何を指す?

運用基準は、「引き換えることが困難であるもの」を、金銭による支払と同等の経済的効果が生じるとはいえない支払手段と説明し、2つの例を挙げています[3]。

  1. 決済日(満期日)が代金の支払期日より後に来るため、中小受託事業者が支払期日に現金を受け取るには、担保にして融資を受けて利息を払ったり、割引を受けたりする必要があるもの
  2. 中小受託事業者が、支払手段の決済に伴って生じる受取手数料等を負担する必要があるもの

決済日が支払期日以前に来る方式は、使うことが認められています[3]。ただし、決済日までに支払不能等が生じて現金を受け取れない場合は「支払わない」ことに当たるため、委託事業者は支払期日までに代金を支払う必要があります[3]。

使い方ごとの判断は?

運用基準とQ&Aにもとづく判断を、使い方ごとに整理すると次のとおりです。

一括決済方式の使い方 取適法上の扱い 根拠
決済日が支払期日以前で、受取手数料などの負担もない 使用できる 運用基準[3]
決済日が支払期日より後で、期日に現金を得るには割引が必要 支払遅延として違反 運用基準[3]、Q&A Q80[4]
決済日が支払期日より後。割引料相当額を委託事業者が上乗せして払う 受託事業者に割引を受ける等の行為が必要なら、通常は違反 Q&A Q80[4]
決済に伴う受取手数料・システム手数料を受託事業者に負担させる 合意の有無にかかわらず支払遅延として違反 Q&A Q81[4]、運用基準の違反行為事例2-16[3]
受取手数料を一時的に負担させるが、支払期日までに委託事業者が補填する 事前の書面合意(電磁的記録を含む)と7条記録があれば可 Q&A Q82[4]
信託方式(信託受益権を投資家に販売) ファクタリング方式に該当し、制度自体は禁止されない Q&A Q140[4]

運用基準の違反行為事例2-16は、支払期日以前に決済日が来る一括決済方式を使いながら、決済に伴う受取手数料を中小受託事業者に負担させていたケースです[3]。決済日の設定が正しくても、手数料の負担で違反になる点に注意してください。

60日を超える決済日はどうなる?

取適法の対象取引では、支払期日は給付の受領日から60日以内に定めなければなりません(3条1項)[1]。公正取引委員会と中小企業庁は2026年9月2日の要請で、受領日から60日を超える満期を設定した電子記録債権や一括決済方式での支払いは、原則として禁止されると明記しました[6]。

60日は、給付を受領した日を1日目として数えます。支払期日を定めなかった場合は受領日が、60日を超えて定めた場合は「受領日から起算して60日を経過した日の前日」が支払期日とみなされます(3条2項)[1]。

運用基準は、「毎月末日納品締切、翌々月10日支払」のような月単位の締切制度で、締切後30日以内に支払期日を定めていないために受領日から60日目までに支払わない場合も、支払遅延に当たるとしています[3]。締め日と決済日の組み合わせで60日を超えないか、カレンダーで確認してください。

下請法の時代から何が変わったか

一括決済方式のルールは、下請法時代の「行政指導の基準」から、取適法の「禁止規定」へと強まりました。2024年に60日基準が導入され、2026年1月1日に満額を得ることが困難な方式が法律で禁止されています。

時期 一括決済方式に関するルール 状態(2026年10月22日時点)
1966年〜 繊維業90日・その他の業種120日を超えるサイトの手形等を「割引困難な手形」等として指導[7] 下請法時代の運用
2024年4月30日 中小企業庁が要請:サイトを60日以内に、加入は下請事業者の自由な意思で、親事業者・下請事業者・金融機関の三者契約を徹底[7] 公表済
2024年11月1日〜 サイト60日超の手形・一括決済方式・電子記録債権を、下請法上の指導の対象に[7] 下請法時代の運用
2026年1月1日 取適法施行。手形払を禁止、満額の現金化が困難な一括決済方式・電子記録債権も禁止[1][5] 施行済
2026年9月2日 公取委・中企庁が事業者団体・金融機関に要請。60日超の満期の一括決済方式は原則禁止と明記[6] 公表済
2026年9月30日 多くの金融機関が設定した手形・小切手の最終振出期限[6] 経過
2027年3月31日 電子交換所での手形・小切手の交換を廃止[6] 未到来
2027年4月1日 支払告示の施行。取適法の対象外でも、製造委託等の代金を受領日から60日を経過してなお支払わないことを禁止[13] 未施行

中小企業庁の「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査」は、2025年10月〜2026年3月の取引を対象にしています[8]。この調査では、支払手段に「電子記録債権・ファクタリング等」を使う割合が9.5%、支払期日が60日を超える割合が6.6%(うち手形・電子記録債権・ファクタリング等が4.2%)でした[8]。手形等で支払いを受ける企業のうち、割引料等(ファクタリング手数料を含む)を受注側が負担している割合は24.3%です[8]。

公正取引委員会の令和7年度の運用状況では、違反類型で最も多いのは「支払遅延」の3,787件で、実体規定違反の52.4%を占めました[15]。

取扱いの動き:でんさいとの組み合わせと新規取扱停止

一括ファクタリングは、でんさい(電子記録債権)と組み合わせたサービスへの切り替えと、新規取扱の停止という2つの動きが公式サイトで確認できます。

  • 三菱UFJ銀行:公式サイトに「でんさい一括ファクタリングは、新規取り扱いを停止しております。(2026年2月10日現在)」と記載[9]。停止の理由は同ページに書かれていません
  • 三井住友銀行:一括ファクタリングとでんさいを組み合わせた「でんさいファクタリング支払サービス」を案内[10]
  • セイノーフィナンシャル:物流グループの会社として一括ファクタリングサービスを提供[11]

でんさい割引と一括ファクタリングの資金化は何が違う?

組み合わせ型のサービスでは、納入企業は「でんさいのまま持つ・割り引く」か「ファクタリングで資金化する」かを選べます。両者は、資金化したときに納入企業に責任が残るかどうかが違います。

比較項目 でんさいの割引・譲渡 一括ファクタリングのファクタリング機能
法律上の形 電子記録債権の譲渡(譲渡記録で効力が生じる) 売掛債権の譲渡
納入企業に残る責任 原則として譲渡人を保証人とする「譲渡保証記録」がされる(保証を不要とする記録もできる)[16] 三菱UFJ銀行の例ではノンリコースでの買取[9]
審査 割引は取引金融機関の審査による 三菱UFJ銀行の例では利用時の審査手続きなし[9]
資金化のレート 取引金融機関の割引料 支払企業の信用力にもとづく一律レートの例がある[10]

でんさいを割り引いた後に支払企業が支払わなかった場合、譲渡保証記録があれば、納入企業は保証人として支払う責任を負いえます[16]。どちらで資金化するかを選ぶときは、手数料の差だけでなく、この責任の有無も比べてください。

支払企業にとっては、手形からの切り替えが急がれる段階です。公正取引委員会と中小企業庁によると、電子交換所での手形・小切手の交換は2027年3月31日に廃止され、多くの金融機関は2026年9月30日を手形・小切手の最終振出期限に設定していました[6]。全国銀行協会は、最終振出期限を設けた金融機関では、10月1日以降は原則として手形・小切手による当座勘定からの支払ができなくなると案内しています[17]。期限は金融機関ごとに違うため、取引金融機関の扱いを確認してください。手形廃止の日程は約束手形の廃止はいつ?、でんさいとの違いはでんさいとファクタリングの違いで解説しています。

取適法に合っているかの判断フロー

一括ファクタリングが取適法に合っているかは、次の順番で確認します。対象取引かどうかから始め、決済日、手数料、記録の順に見ていきます。

  1. 取引は取適法の対象か:製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託で、資本金基準か従業員基準(製造委託等は300人、役務提供委託等は100人)に当たるかを確認します[5]。対象外なら、2027年4月1日以降は支払告示の60日ルールも確認します[13]。
  2. 決済日は支払期日以前か:支払期日(受領日から60日以内)より後なら、受託事業者が割引を受ける等の行為を要する限り違反です[3][4]。
  3. 受取手数料・システム手数料を受託事業者が負担していないか:負担させれば、合意があっても違反です[4]。一時的な負担は、書面合意と支払期日までの補填が条件です[4]。
  4. 決済日までに支払不能等が起きたときの手当てがあるか:委託事業者は支払期日までに代金を支払う必要があります[3]。
  5. 明示と記録ができているか:明示には、金融機関の名称、貸付けまたは支払いを受けられる額とその期間の始期、金融機関に支払う期日を記載します(明示規則1条1項5号)[2]。7条の記録には、支払期日に満額の現金を受領した状態が確保されていることを記録します(Q&A Q71)[4]。

納入企業(受注側)が確認すること

納入企業は、一括ファクタリングに加入する前に「支払期日に満額を受け取れるか」と「自分で払う費用が何か」を確認してください。加入は、中小企業庁が2024年に求めたとおり、自由な意思によるものです[7]。

決済日が支払期日以前の方式で、納入企業が自分の判断で決済日より前に資金化する場合の割引料について、運用基準とQ&Aは直接取り上げていません(2026年9月18日に確認した範囲)。疑問がある場合は、公正取引委員会の相談窓口や弁護士に確認してください。

支払企業(発注側)が導入・見直すときの注意

支払企業は、取適法の対象取引で一括ファクタリングを使うなら、決済日と手数料負担の設計を見直す必要があります。対象かどうかは資本金だけでなく従業員数でも判定されるため、以前は下請法の対象外だった取引が対象になっている可能性があります[5]。

見直す項目 取適法の要求 根拠
決済日 支払期日(受領日から60日以内)以前にする 3条1項・運用基準[1][3]
受取手数料・システム手数料 中小受託事業者に負担させない Q&A Q81[4]
振込手数料 合意の有無にかかわらず、代金から差し引かない 運用基準(減額)[3]
明示事項 金融機関名、受け取れる額と期間の始期、金融機関へ支払う期日 明示規則1条1項5号[2]
記録 満額の現金を受領した状態の確保を記録 Q&A Q71[4]

会計・税務の扱い

納入企業が一括ファクタリングで決済日より前に資金化するのは、売掛債権の譲渡です。国税庁の消費税法基本通達6-3-1は、「金銭債権の買取又は立替払に係る差益」を対価とする役務の提供を非課税としています[12]。割引料に消費税はかかりません。

決済日に満額を受け取るだけなら、受け取る相手が支払企業からファクタリング会社に変わるだけで、売上の金額は変わりません。仕訳の具体例はファクタリングの仕訳と勘定科目、消費税の考え方はファクタリング手数料に消費税はかかる?で解説しています。個別の会計・税務処理は税理士に確認してください。

よくある質問

Q一括ファクタリングとは何ですか?

A一括ファクタリングとは、支払企業が金融機関などと契約して導入し、納入企業の売掛金を期日前に資金化したり、決済日に一括して支払ったりする決済の仕組みです。支払企業・納入企業・ファクタリング会社の三者で契約します。納入企業が単独で申し込む通常のファクタリングとは、主導する人が違います。

Q一括ファクタリングは取適法で禁止されましたか?

A一括ファクタリングそのものは禁止されていません。取適法が禁止しているのは、委託事業者が、支払期日までに代金の満額を現金で得ることが困難な一括決済方式で支払うことです。公正取引委員会のQ&Aも、信託を用いた方式について、制度自体は禁止されるものではないと説明しています。

Q一括ファクタリングの手数料は誰が負担しますか?

A取適法の対象取引では、決済に伴う受取手数料やシステム手数料を中小受託事業者に負担させることは、合意の有無にかかわらず支払遅延として違反になります。一時的に負担させる場合は、事前の書面合意のうえで、委託事業者が支払期日までに補填する必要があります。

Q決済日が支払期日より後の一括ファクタリングは使えますか?

A取適法の対象取引では、受託事業者が支払期日に現金を受け取るために割引を受ける等の行為を要するなら、支払遅延として違反になります。委託事業者が割引料を上乗せして払う場合も、受託事業者に割引の手続きが必要なら、通常は違反と考えられるとQ&Aは説明しています。

Q納入企業から一括ファクタリングに申し込めますか?

A一括ファクタリングは支払企業が導入する仕組みなので、納入企業は支払企業から案内を受けて加入します。三菱UFJ銀行の説明でも、導入時に審査を受けるのは支払企業です。自社だけで売掛金を資金化したい場合は、通常のファクタリングを検討します。

Q三菱UFJ銀行のでんさい一括ファクタリングは使えますか?

A三菱UFJ銀行は公式サイトで「でんさい一括ファクタリングは、新規取り扱いを停止しております。(2026年2月10日現在)」と記載しています。停止の理由や既存利用者の扱いは同ページに書かれていないため、銀行に直接確認してください。

Q一括ファクタリングとでんさいの違いは何ですか?

Aでんさいは、電子記録によって発生・譲渡する電子記録債権です。一括ファクタリングは、売掛金の債権譲渡を使った決済の仕組みです。両者を組み合わせたサービスもあり、三井住友銀行は一括ファクタリングとでんさいを組み合わせた決済サービスを案内しています。

Q取適法の対象外の取引なら、一括ファクタリングに制限はありませんか?

A取適法の対象外でも、2027年4月1日に施行される支払告示により、製造委託等の代金を給付の受領日から60日を経過してなお支払わないことが禁止されます。国等や取引上の地位が劣っていない相手などは除かれます。個別の該当性は弁護士や公正取引委員会に確認してください。

出典・参考資料

  1. e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」
  2. e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第四条の明示に関する規則(令和7年公正取引委員会規則第8号)」
  3. 公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」
  4. 公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」
  5. 公正取引委員会「取適法(改正下請法)特設ページ」
  6. 公正取引委員会・中小企業庁「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について」(2026年9月2日)
  7. 経済産業省・中小企業庁「約束手形等の交付から満期日までの期間の短縮を事業者団体に要請します」(2024年4月30日)
  8. 経済産業省・中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査の結果を公表します」(2026年6月26日)
  9. 三菱UFJ銀行「でんさい一括ファクタリング(でん括)」
  10. 三井住友銀行「でんさいファクタリング支払サービス」
  11. セイノーフィナンシャル株式会社「一括ファクタリングサービス」
  12. 国税庁「消費税法基本通達 第6章第3節 利子を対価とする貸付金等関係」
  13. 公正取引委員会「製造委託等に係る代金の支払に関する特定の不公正な取引方法(令和8年公正取引委員会告示第3号)」
  14. 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」
  15. 公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(2026年6月10日)
  16. 株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)「よくあるご質問「『譲渡保証記録』について教えてください。」」
  17. 全国銀行協会「紙の手形・小切手利用廃止へ(特設サイト)」

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開
  •  手形・小切手の最終振出期限(2026年9月30日)を経過済みとして過去形に修正し、全国銀行協会の特設サイトを出典に追加。年表に最終振出期限と交換廃止(2027年3月31日)の行を追加し、状態の基準日を2026年10月22日に更新。短期プライムレート2.375%が2026年10月8日現在も同じことを日本銀行の公表で再確認

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この記事を引用するとき

記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。

アンドファクタリング「一括ファクタリングとは|支払企業が導入する仕組みと取適法での扱い」(https://factoring.co.jp/types/bulk-factoring/、2026年10月22日更新)