損益計算書を工夫して銀行格付けをアップする方法とは?

銀行は、各融資先を独自に格付けし、融資先の評価や融資判断に役立てています。

これを、「銀行格付け」と言います。

銀行格付けを理解しておくと、銀行格付けを改善し、融資に役立てていくことも可能です。

特に、損益計算書や貸借対照表など、決算書が銀行格付けに与える影響が分かれば、その内容を工夫することで、格付けアップを図ることも可能です。

本稿では、銀行格付けアップのために損益計算書を役立てるポイントについて解説していきます。

銀行格付けと損益計算書

銀行は、金融庁の監督を受けて運営されています。

金融庁から銀行へなされている指導には、会社に大きな影響を与えるものが少なくありませんが、その一つに金融検査マニュアルというものがあります。

金融検査マニュアルとは、各融資先の業績や財務、その他の情報に基づいて債務者を区分するよう、銀行に求めるものです。

このマニュアルによって、銀行は取引する会社を「正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先」に区分し、融資判断に役立てています。

この区分のうち、融資を受けられるのは基本的に要注意先までだとされており、安定して融資を受けるためには、債務者区分を要注意先以上に維持する必要があります。

なお、債務者区分は明確なものであり、次の要素によって決められています。

  • 業績は赤字か黒字か
  • 債務超過ではないか
  • 延滞はないか
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どの銀行でも大きく判断が異なることはないわ。

しかし、各銀行は規模や使命などが異なります。

都市銀行よりも地方銀行の方が地域密着であり、信用金庫はその要素がより強いといった違いです。

このため、各銀行は債務者区分を基準として、さらに銀行内で独自に格付けを行うことで、銀行ごとの差異を反映しています。

銀行格付けは、融資の判断に大きな影響を与えます。

債務者区分は同じ正常先でも、銀行格付けによって「優良な正常先」「一般的な正常先」「要注意先に近い正常先」といった分け方がなされるからです。

債務者区分と銀行格付けの関係を簡単に表すと、以下のようなイメージとなります。

銀行格付け 債務者区分 概要
1~6 正常先 業績や財務状況に問題がない会社
7 要注意先 業績が下がっている、
軽微な延滞が起こっているなど、
今後の返済に注意を要する会社
8 要管理先 要注意先のうち、3ヶ月以上延滞している、
リスケジュールを依頼しているなど、
管理の必要がある会社
9 破綻懸念先 すぐに経営が破たんするわけではないが、
経営難に陥っており、
今後の破綻が懸念される会社
10 実質破綻先 法的な破綻に陥っているわけではないが、
実質的に破綻していると見なせる会社
10 破綻先 法的な破綻に陥っている会社

銀行は、融資先をこの表のように格付けし、管理しています。

できるだけ有利な条件で、安定的に融資を受けるためには、債務者区分を改善するのはもちろんのこと、銀行格付けも改善する必要があります

黒字であり、債務超過状態ではなく、延滞もない会社は正常先に区分されます。

CF レッド
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格付けで良い評価を受けるためには、決算書の充実が欠かせないぞ!

大まかな部分で良い債務者区分を勝ち取り、なおかつ決算書の細かな情報から良い銀行格付けを勝ち取っていくのです。

銀行員が、決算書をどのようにチェックしているかを知っていれば、銀行格付けにプラスやマイナスの影響を与える点も把握することができます。

その点を改善すれば、銀行格付けアップに役立つことでしょう。

本稿では、業績から銀行格付けアップを図るために、損益計算書のポイントを解説していきます。

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損益計算書のポイント

損益計算書とは、1年間の利益または損失の状況を表す資料です。

これを見ることによって、売上や経費、利益、損失などが分かります。

良い銀行格付けを勝ち取るためには、損益が黒字になっていることが最低限の条件です。

ここで赤字になってしまうと、銀行は債務者区分を引き下げ、銀行格付けもダウンすることになります。

ただし、赤字が一過性のものであり、実質的な返済能力にあまり問題が見られない場合などには、債務者区分は正常先に据え置き、銀行格付けがいくらかダウンするだけという場合もあります。

銀行格付けアップのためには、損益計算書の内容を、銀行にとって好ましいものに近づけていくことが大切です。

そのためには、損益計算書の各項目について、以下のポイントをチェックし、必要に応じて改善していくことが重要です。

売上の推移

銀行員は、過去3年分の損益計算書を比較し、売上高がどのように推移しているかを見ます。

この時、売上が順調に伸びているかどうか、売上が低下しているならばなぜか、その理由は深刻なものかどうかといったことをチェックします。

また、その会社の売上の推移だけではなく、その会社が属する業界での一般的な推移とも比較されます。

たとえ売上が伸びていたとしても、同業他社の平均と比較して伸び率が低い場合には、伸び悩みの原因はどこにあるのかを見られます。

期首商品棚卸高・期末商品棚卸高

期首商品棚卸高は、前期の貸借対照表の「商品残高」と一致している必要があります。

また、期末商品棚卸高は、今期の貸借対照表の「商品残高」と一致していなければなりません。

ここで誤差が見られる場合、粉飾を疑われることになるため、チェックしておく必要があります。

売上総利益

売上総利益とは、売上から原価を差し引いたものであり、「粗利」とも呼ばれるものです。

この中からあらゆる支払いをして、残ったものが純利益となります。

また、売上総利益率という指標もあります。

これは、売上総利益を売上高で割ったものであり、この推移を比較することによって、会社の収益力を判断するのに役立ちます。

一般管理費・販売費

一般管理費・販売費には、「役員報酬や従業員の給与、福利厚生、宣伝広告費、接待交際費、水道光熱費」など、様々な項目が含まれます。

銀行員は、過去の決算書を用いて各項目の推移をチェックします。

その会社が同じ事業を行っているならば、一般管理費・販売費はほとんど変化なく推移しているものです。

そのため、ある項目が急激に変化しているような場合には、その原因を特定して判断に役立てます。

一般管理費・販売費の中でも、特に詳しくチェックされるのが役員報酬・従業員給与・接待交際費・減価償却です。

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役員報酬

銀行は中小企業に対して、会社と代表者を一体と考えるのが普通です。

したがって、役員報酬も返済力の一部とみなします。

会社が返済困難に陥り、リスケジュールを依頼する際には、リストラ策のひとつとして役員報酬の削減を申し出ることが一般的ですが、これも役員報酬を以て返済力とみなすことの現れと言えます。

しかし、いくら会社と代表者が一体であり、代表者個人の収入を返済力の一部とみなすとしても、役員報酬が過大な場合には問題とされます。

役員報酬が大きいことによって会社の利益が圧迫されているような場合には問題なのです。

したがって、会社の規模や業界水準から考えて、役員報酬が適正であるかもチェックされます。

従業員給与

従業員の給与についても、会社の規模や業界水準から考えて適正であるかどうかをチェックします。

また、新規雇用に伴う増加、退職に伴う減少が反映されているかどうかもチェックされます。

接待交際費

接待交際費は、代表者の個人的な付き合いなどに流用されることも多いため、その会社の規模や業界水準と比較して適正であるかどうかをチェックされます。

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特に接待交際費は、10%が損金をならずに課税されることから、過大になっていると利益を圧迫することにつながるよ!

そのため、利益への影響度という観点からもチェックされることになります。

減価償却費

減価償却費は、主に法定限度額まで正しく計上されているかどうかを見られます。

これは、減価償却費を敢えて少なくすることで、利益を大きく見せかけるなどの操作が可能だからです。

もし、減価償却費が過少に計上されている場合には、限度額まで計上したものとみなして査定されるため、利益が目減りすることとなります。

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営業利益

営業利益とは、売上総利益から一般管理費・販売費を差し引いたものであり、これが赤字になっている場合には、その事業で利益が出ていないということになります、

そのため、銀行格付けに大きくマイナスの影響を与えます。

また、営業利益を売上高で割った「売上高営業利益率」という指標は、会社の収益力や管理効率を把握するために指標であり、こちらもチェックの対象となります。

支払利息

営業外費用の中でも、支払利息はよくチェックされる項目です。

というのも、借入額に対して利息が大きい場合には、ノンバンクなどで高金利の借り入れをしている可能性があるからです。

会社がいきなりノンバンクから借りることはあり得ず、普通の銀行では借りられなかったからこそ、ノンバンクで借りているのです。

業績や財務などに何らかの問題があり、銀行から融資を受けられなかったのですから、ノンバンクからの借り入れが発覚すると、銀行格付けに大きなマイナスとなります。

経常利益

経常利益は、営業外収益と営業外費用を考慮したうえでの利益です。

営業利益は本業での稼ぐ力を表すのに対し、経常利益は会社全体での稼ぐ力を表します。

経常利益が赤字の会社は融資を受けるのが困難とも言われるように、経常利益は銀行格付けに大きな影響を与える項目です。

特別利益・特別損失

特別利益・特別損失とは、臨時に発生する利益や損失のことです。

よくあるのは、不動産や有価証券の売却によるものです。

不動産や有価証券を売却し、利益が得られたならば特別利益に計上し、損失が発生したならば特別損失に計上します。

特別利益や特別損失は、あくまでも一時的なものであり、(内容にもよりますが)銀行格付けにもそれほど大きな影響を与えません。

しかし、特別利益や特別損失の内訳を精査し、他の項目に振り替えることで、銀行格付けアップに役立つ可能性があります。

例えば、特別利益のうち、営業外収益に振り替えられるものがあれば、経常利益を増やすことにつながります。

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営業費用のうち、特別損失に振り替えられるものがあれば、これも経常利益を増やすことにつながるよ!

当期純利益

当期純利益とは、経常利益に特別利益・特別損失を加味し、そこから税金を支払った結果、最終的に会社に残るお金のことです。

銀行は、会社の得た利益の中から返済を求めますが、これは当期純利益を返済力とみなすということです。

このため、当期純利益がマイナスになっている場合には、返済力がないと判断されます。

そのような状態では、新規融資が不可能であることは言うまでもありませんし、既存の融資にも危機感を持たれることとなり、銀行格付けには大きなマイナス評価となります。

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まとめ

以上のことから、損益計算書の各項目が銀行格付けにどのように影響するかが分かったと思います。

単に黒字になっているだけではなく、売上や利益の推移や経費の推移、経費の内訳などによっても判断し、格付けの材料としていくのです。

銀行格付けと損益計算書のポイントを理解していれば、よりプラスに評価される内容にすることもできます。

また、プラス材料に乏しい場合にも、マイナス評価をできるだけ受けないように工夫することも可能です。

ぜひ、損益計算書を銀行格付けアップに役立てることをお勧めします。