融資担当者が語る財務分析(6)経常収支からわかること

融資担当者に、財務分析の方法を色々と聞いてきましたが、本稿がラストとなります。

これまでは、主に貸借対照表を軸に財務分析を見てきましたが、融資担当者は最後に経常収支を確認していきます。

経常収支を見ることによって、それが赤字の場合には原因を特定し、資金繰りの様子を正確につかむことが可能です。

銀行員は、経常収支をどのように見ていくのかを知り、融資対策に活かしていきましょう。

経常利益で資金繰りが分かる

―――売上高と売上総利益率については既に解説していただきましたが、業績に関する部分では、他にどのような見方をするのでしょうか。

注目するのは経常収支ですね。

経常収支は、資金繰りを総合的に見ることができる指標として、かなり重視されています。

経常収支は、その会社の営業活動での資金収支を表すものです。

これを見れば資金状況がかなり正確に分かります。

経常収支が赤字になっているならば、融資担当者はなぜ赤字になっているのかを突き止める必要があります。

経営者からは、一時的な赤字だから問題ない、回復する見込みはあると説明されるかもしれません。

ですが、それを鵜呑みにするのではなく、銀行側として赤字の原因を把握するに越したことはありません。

CFイエロー
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赤字の原因が分かれば、会社の資金繰り状況も良く分かるわよ。

経常収支を計算は、簡単に言えば経常収入から経常支出を差し引くことで求めます。

経常収入は売上と営業外収益を足したもので、経常支出は販管費や仕入れ代金、営業外費用などを足したものです。

これをそのまま計算してもいいのですが、計算に必要となる色々な要素を正確に考えるとかなり複雑になることもあります。そこで、

経常収支≒償却前経常利益—運転資金の増加分

という、簡易的な計算式を用いることも多いです。

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―――あえて簡易的な計算式を用いるのはなぜでしょうか。

経常収支の計算式は複雑になることもありますが、今はパソコンを使えば簡単に計算することもできますから、その計算式を真面目に使って、自分の手で計算する必要はありません。

しかし、パソコンに計算させてみて、経常収支が赤字になったらその原因を特定する必要があるのですが、どのように算出したのかが分からなければ、推測しようがありません。

ですから、計算の方法は知っておく必要があります。

原因特定に役立つならば、複雑な計算よりも簡単な計算の方がいいですから、簡易的な計算式を用いるわけです。

―――この計算式を使うことで、どのようなことが分かるのでしょうか。

まず、経常収支は現金ベースで考えますから、黒字であれば基本的に危険視する必要はないでしょう。問題なのは、経常収支が赤字になっている時です。

経常収支が赤字になっているということは、赤字分だけ資金繰りにマイナスになっているのですから、これを無視することはできません。

融資の返済は利益の中から行うため、経常収支が赤字の会社は返済も不可能、よって融資も不可能と結論できます。

しかし、赤字の会社は少なくありませんし、赤字だから全て融資を断るわけにもいきません。

赤字の原因を探ってみると、融資しても問題ない赤字もあるものですから、そこを見極めるために赤字の原因を探っていくのです。

経常収支も経常利益も赤字であれば、原因は分かりやすいです。

経常利益が出ていないのですから、経常支出を差し引けばさらに赤字になるのは当然で、事業で儲かっていないから経常収支が赤字になったのだと考えることができます。

しかし、経常収支は赤字で、しかし経常利益は黒字ということも多いです。

なぜそうなっているのか、融資担当者は考えていくことになるのですが、そこで簡略化した計算式が役立ちます。

この計算式では、償却前経常利益から運転資金の増加分を差し引いて経常収支を求めています。

この計算式から分かりますが、経常利益が黒字なのに経常収支が赤字になっている場合、運転資金が増加していることが非常に多いのです。

経常利益が黒字であれば、ひとまず安心と考える経営者も多いと思います。

ともかく黒字だからよかったと思うのでしょう。

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しかし、その黒字以上に運転資金を必要としていれば、経常収支は赤字になるぞ。

したがって、経常収支が赤字になっている原因を探っていくことは、運転資金の増加が原因だった可能性が高いと言えます。

そこで、運転資金が増加した理由を探っていくと、会社の資金繰り状況が良く見えてくるというわけです。

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―――運転資金の増加の原因は、どのように見ていくのでしょうか。

すでにお話しした通り、運転資金は売掛債権と棚卸資産を足して、そこから買掛債務を差し引いて求めますね。

この計算式から考えると、運転資金が増加した原因は、売掛債権が増加した、棚卸資産が増加した、買掛債務が減少したという三つの可能性が考えられます。

このうちどれかが原因になっている、もしくは複数が原因になっているということです。

回転期間の時に話していますから、簡単に話しておくと、売掛債権が増えるのは販売先の支払いが遅れたり、不良債権が発生したりした場合です。

棚卸資産の増加は、仕入れすぎたり、不良在庫を抱えたりすると起こります。

買掛債務の減少は、債務の減少と言えば聞こえがいいかもしれませんが、支払いサイトを短縮されて債務が減少しているのですから、これも運転資金の増加につながります。

現金での仕入れが増えたことで、買掛債務は大幅に減ることもあります。

運転資金が増加したことで経常収支が赤字になっているならば、その会社はこのどれか一つ以上に必ず該当しています。

決算書からもどこに問題があるのかを把握することができると思いますが、具体的な原因については社長に直接確認してみることが大切です。

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―――経常収支の赤字は、融資にどれくらいマイナスになるでしょうか。

経常収支が赤字の会社は、返済力に問題ありとみなして、融資に大きくマイナスに捉えることもあります。

しかし、実際には経常収支が赤字だから危ない、経常収支が黒字だから安全とも言い切れません。

決算の結果は休日要因によって変わることがあるからです。

例えば、決算期日が3月31日として、売掛金の支払いも月末に定めていたとして、その日が休日であったとすれば、3月31日に入金されるべき支払いは金融機関の翌営業日になりますから4月以降となります。

このため、決算期日が休日であったことによって赤字になることがあります。

このように、本来は黒字になっていたかもしれない経常収支が、たまたま赤字になってしまうこともありますから、赤字だから必ず融資にマイナスとも限りません。

この点も踏まえて、銀行員は数期にわたって経常収支を確認していきます。

その結果、いつも経常収支が赤字であるとか、赤字になりがちだという場合には要注意とみなします。

経常収支が慢性的に赤字の会社では、安定していない会社と見るのが妥当です。

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経常利益も赤字で経常収支も赤字ならば、事業が全く上手くいっていないので、融資はかなり難しいだろう。

また、経常利益が黒字で経常収支が赤字の場合、運転資金の増加が問題になっている可能性が高いです。

運転資金が増加すれば資金繰りを圧迫します。

経験から言っても、経常収支が赤字の会社は資金繰りが悪くなっていると考えて間違いありません。

逆に言えば、資金繰りが順調で業績も安定している会社であれば、経常収支がいつも黒字になっているのが普通です。

このように、経常収支を見ることによって、資金繰りの良し悪しがかなり正確に見えてきます。経常収支が赤字になっている会社は、簡単には融資を受けられないと考えたほうがいいでしょう。

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まとめ

経常収支が赤字の会社は、大抵資金繰りが苦しくなっているものです。

逆に、経常収支が黒字の会社では、資金繰りに余裕があることが多いと言えます。

したがって、経常収支は資金繰りに大きく影響する要素であり、融資担当者も必ずチェックする項目です。

CF戦隊
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融資をスムーズに引き出すためにも、自社の経常収支について把握しておく必要があるよ!

そして、個々が黒字になるように経常利益を確保したり、運転資金の増加を防いだりすることが、融資対策に役立つことと思います。

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