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債務者区分低下を防ぐための金融検査マニュアルの知識

金融庁が作成した金融検査マニュアルは、銀行が会社の債務者区分を決定する上での方針となっています。

このため、金融検査マニュアルを知ることによって、債務者区分の維持や向上、低下の緩和に役立てられる場合があります。

債務者区分は、銀行の融資判断の根拠にもなるものであり、会社の資金繰りに大きな影響を与えます。

その債務者区分が悪化しないためにも、本稿で金融検査マニュアルの知識を身につけ、役立てていきましょう。

金融検査マニュアルとは?

銀行の運営と、各会社の融資に大きく影響を与えているものの中に、「金融検査マニュアル」というものがあります。

これは元来、金融庁が銀行への指導のマニュアルとして、金融庁の職員のために作ったものです。

銀行に対して何を指導するのかといえば、融資などの取引する会社をどのように評価し、どのように付き合っていくかということを指導するものです。

具体的には、主に債務者区分をどのように決定し、融資などの判断はどうしていくべきかということが指導されています。

銀行は、金融庁の監督の下で運営していく必要があります。

したがって、金融検査マニュアルは本来金融庁の職員が用いるためのマニュアルですが、それを以て指導されるのですから、銀行にとってもマニュアルとしての機能を持つこととなります。

したがって、金融検査マニュアルは、「金融庁→金融庁職員→銀行」という流れで、金融庁の見方・考え方を伝えるものだと言えます。

ここから一歩踏み込むと、中小企業にとっても金融検査マニュアルが役立ちます。

銀行が金融検査マニュアルによって取引先の会社を評価し、融資の判断に役立てているのですから、会社側も金融検査マニュアルの内容を理解することで、銀行から良い債務者区分を勝ち取り、悪い債務者区分を避けるためのヒントが得られるのです。

したがって、金融検査マニュアルを知る上では、まず「金融庁→金融庁職員→銀行→会社」という流れを意識し、金融庁の見方・考え方を学び、債務者区分の低下防止や向上に努めていくのだと考えてください。

なお、金融検査マニュアルには、初期に作られたものと、中小企業向けのものがあります。

初期に作られたものは、主に銀行と大企業の関係について述べたものであり、中小企業との関係には言及されておらず、むしろ大企業への方針が中小企業にも当てはめられるなどの不都合がありました。

そこで、中小企業向けのものが作られることとなりました。

したがって、本稿で取り上げている「金融検査マニュアル」とは、正式名称を「金融検査マニュアル別冊[中小企業編]」という資料のことだと考えてください。

このマニュアルは公開されており、ネット上でも確認することができます。

→ https://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/y1-01.pdf

 

金融検査マニュアルが債務者区分維持に役立つ理由

金融検査マニュアルを利用するにあたり、金融庁は銀行に対して、以下のことを注意するように求めています。

 

債務者区分を画一的に判断しないこと

まず、債務者区分を画一的に判断しすぎないことです。

債務者区分の判断は、基本的な枠組みだけを考えると、一期赤字である、二期以上連続赤字である、債務超過である、延滞があるが3ヶ月未満である、3ヶ月以上の延滞がある、6ヶ月以上の延滞がある、リスケジュールをしているなどの要素をもとに、これら単体あるいは複合で判断していきます。

例えば、当期が赤字の会社は正常先から要注意先に引き下げる、債務超過で少しでも延滞がある会社は破綻懸念先に引き下げる、というような考え方です。

しかし、金融庁の考え方では、あまりに画一的なものではならないとしています。

特定の事象だけを見て債務者区分を決めてしまうのではなく、経営実態を総合的に考えて判断することを求めているのです。

 

債務者区分にポジティブな要素を積極的に取り上げること

さらに、債務者区分を画一的に判断しないようにするとともに、経営実態の中にポジティブな要素が見つかれば、それを積極的に取り上げて、債務者区分を引き下げずに維持することや、引き下げるにしても2ランクダウンではなく1ランクダウンにすることなどを求めています。

例えば、業績や財務内容に問題がある会社でも、技術力や販売力が高い会社ならば、債務者区分を引き下げずに維持するなどの対応を求めています。

 
 
以上のことから分かるのが、金融検査マニュアルは中小企業にとってプラスになるものだということです。

銀行から見てみれば、取引先会社の信用状況を数種類に区分して、融資判断などに役立てていくにあたり、画一的であればあるほど簡単に運用することができます。

また、銀行を監督する金融庁から指導されているマニュアルであり、さらに銀行が保守的な体質であることを考えても、銀行はこれを画一的に、厳格に守っていくはずです。

しかし、もしマニュアルが厳格に守られてしまえば、おそらく混乱をきたします。

世の中の中小企業の多くは、業績や財務状態に何らかの問題を抱えているものだからです。

仮に、それぞれの問題に応じて厳格に債務者区分を引き下げるとすれば、多くの会社が要注意先以下の債務者区分に位置付けられ、要管理先以下に位置付けられる会社も多くなります。

その結果、融資を受けられずに資金繰りに困る会社が多発してしまうことになります。

これに対処するために、金融庁は、中小企業の財務や業績が基本的に安定しにくいものであることを前提とし、あまり厳格にしてはいけないと考えているのです。

簡単に言えば、金融庁から銀行に対し、「中小企業は多少問題があっても、多少は甘く見てあげなさい」と指導がなされているとも言えます。

 

金融検査マニュアルの活かし方

といっても、金融庁は、なんでもかんでも「甘く見てあげなさい」と言っているわけではありません。

上記の通り、「経営実態を総合的に考えて、ポジティブな要素を勘案することによって、ケースバイケースで甘く見てあげなさい」と言っているのです。

その「ケースバイケース」の部分を、金融検査マニュアルでは詳しく書いています。

たくさんの事例を挙げ、「こんな場合には債務者区分を下げてはいけない」、「こんな場合には、本来2ランクダウンのところを1ランクダウンに止めるべきだ」などの指導をしています。

会社としては、金融検査マニュアルの事例を読むことで、ランクダウンを免れたり、ランクアップにつなげたりする考え方を知ることが大切です。

それを知っていれば、自社で債務者区分が下がりそうな事態になったとき、

今回の自社の状況は、金融検査マニュアルの事例5に類似していると思われるので、その点をご検討ください。

などとお願いすることができるのです。

また、税理士に依頼し、この旨を決算書に注記してもらうことで、債務者区分の引き下げを免れられることもあります。

このほか、債務者区分の引き上げを検討すべき事例を知っていれば、自社の経営計画にあらかじめ組み入れて取り組むことで、早期に債務者区分の引き上げを検討してもらえる可能性があります。

 

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金融検査マニュアルの事例を学ぼう

では、ここからは実際に、金融検査マニュアルの中で金融庁が「このような場合には、無暗に債務者区分を引き下げるべきではない」としている事例とはどのようなものかを見ていきましょう。

なお、金融検査マニュアルに掲載されている事例は28に及びますが、ここでそのすべてを解説していては冗長となるので、いくつかの事例とポイントを解説していきます。

それにより、金融庁の見方・考え方が分かれば、自社にも当てはめていくことができると思います。

 

事例1:代表者の貸し付けを資本金とみなすことで、要注意先を免れたケース

会社の状況

事例1で取り上げられているのは、家電販売店です。

5年前、近所に大型の家電量販店が進出してきたことから、売上が年々下がっていき、今では2期連続の赤字と債務超過に陥っています。

しかし、この会社は銀行返済を滞りなく行なっています。

リスケジュールも行っていません。

それは、経営者が会社をつぶしたくないという意思が強く、さらに個人的に賃貸物件を多数所有しており、そこからの賃貸収入があるため、経営者個人お金を会社に貸し付けて、銀行への返済に充てているからです。

また、この会社では、地域の同業他社と連携した取り組みと、アフターサービスへの注力によって大型家電量販店に対抗し、赤字は縮小傾向にあります。

金融庁の判断

この事例に対して、金融庁は以下のような判断をしています。

  1.  会社の業績や財務状態からは返済能力を見込めないが、経営実態を見ると、経営者から会社への貸し付けによって、実際に返済を続けている。
  2. 経営者から会社への貸付金ではあるが、実質的には会社の自己資本に相当すると考えられる。
  3. そのように見た場合、会社の自己資本は厚くなり、債務超過状態も解消される。
  4. 実質的に十分な資産超過状態にあり、赤字は解消されつつあり、経営者には今後も正常な返済を続ける余力がある。
  5. したがって、債務者区分は正常先に該当する可能性が高い。

 

活用のポイント

赤字と債務超過状態という二つの症状を抱えているこの会社は、普通に判断するならば債務者区分を引き下げられます。

正常先であったとすれば、良くても要注意先への引き下げとなるでしょう。

もし少しでも延滞などをすれば、破綻懸念先に区分されてもおかしくない状況です。

特に、赤字で債務超過状態であれば、返済のためのお金を捻出することは難しいため、多くの会社は延滞を起こし、債務者区分を大幅に引き下げられることとなります。

しかし、この会社では経営者個人が会社にお金を貸し付けて返済を行ってきました。

これにより、会社の資産と個人の資産を合わせれば、債務超過状態は解消されることから、金融庁は正常先に相当する可能性が高いと判断したわけです。

もっとも、経営者が会社に貸し付けていたお金を、いずれ回収しようと考えているならば、これは自己資本ではなく貸付金となってしまい、債務超過状態は解消されません。

そのため、債務者区分の引き下げが妥当となります。

したがって、会社が赤字や債務超過に陥ったとき、経営者に十分な個人資産があれば、それを会社に貸し付けて会社の自己資本としましょう。

銀行に対しては、「金融検査マニュアルの事例1に該当すると思われます」とアピールすることで、債務者区分の引き下げを免れられるかもしれません。

 

事例2:会社と経営者を一体とみなすことによって、破綻懸念先を免れたケース

会社の状況

事例2で取り上げられている会社は、不動産業者です。

不動産の仲介と賃貸、戸建て分譲を手掛けています。

最近は、景気の低迷によって仲介案件や戸建て分譲が減少し、売上は赤字に陥っています。

また、バブル期に手掛けたプロジェクトが頓挫し、売るに売れなくなっている土地の含み損によって実質債務超過に陥っています。

さらに、バブル期のプロジェクトにおける借入金も、土地が売却できないために延滞を繰り返した経緯があります。

しかし、最近ようやく、経営者個人の預金から返済が行われるようになっています。

なおこの経営者は、個人的に所有する不動産や預金を1億円以上保有しています。

 

金融庁の判断

この事例に対して、金融庁は以下のように判断しています。

  1. この会社では、バブル期に取得した土地が売るに売れなくなっており、それによる延滞を起こしている。
    つまり、会社の財務状況にも、返済の履行状況にも問題があり、通常ならば要注意先以下に区分される。
  2. さらに、長期の延滞と実質債務超過であることから、破綻懸念先に区分されてもおかしくない。
  3. しかし、中小企業の債務者区分では、代表者の個人資産も十分に考えて判断すべきである。
  4. この経営者は、会社の実質債務超過額を上回るだけの、多額の資産を持っている。
    さらに、その資産を会社に提供する意思もあり、実際に個人の預金から返済を行っている。
  5. このことから、今後も個人資産から返済を行う意思があるならば、会社と経営者の資産を一体とみなし、要注意先に相当する可能性が高い。

 

活用のポイント

経営者の個人資産を会社に提供するという点では、事例1と似ています。

しかし、事例2の会社は、長期にわたって延滞を続けており、なおかつ債務超過状態にあるのですから、破綻懸念先以下に区分されても仕方ない状況です。

それでも、経営者の個人資産を会社に提供することで、債務超過状態を解消することができ、さらに経営者にその意思も実績もあるため、破綻懸念先に区分するのではなく、要注意先に区分すべきだと解釈しています。

実際に、金融機関は中小企業に対して、会社と経営者の資産を一体とみなす傾向があります。

そのため、このような金融庁の解釈を取り入れ、債務者区分を修正する可能性があります。

したがって、会社が破綻懸念先以下に陥りそうな場合であり、個人資産を所有しており、個人資産によって支払いをしてきた経緯があるならば、銀行にアピールできるポイントとなります。

 

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事例3:大幅な赤字と債務超過を一過性のものとみなし、正常先を維持したケース

会社の状況

ある水産加工業者では、水産業の不況にもかかわらず順調な経営を続けてきた会社です。

地域からの信望も厚く、地域活性化のために、銀行から2000万円の借入をして、水産品販売施設に出資しました。

しかし、台風の影響によって施設が壊滅的な被害を受け、プロジェクトは頓挫することとなりました。

このため、会社は出資分を減算処理しなければならず、決算は赤字と債務超過に陥りました。

ただし、会社自体の事業は順調であり、返済も滞っていません。

また、今後も返済を続ける意思があります。

 

金融庁の判断

金融庁は、以下のような判断をしています。

  1. 中小企業の債務者区分は、キャッシュフローの状況を重要視しつつ、赤字や債務超過の原因も考慮したうえで決めていく必要がある。
  2. この会社は、あくまでも一時的・外部的な要因によって、大幅な赤字と債務超過状態に陥った。
  3. したがって、本業は順調であり、会社のキャッシュフローも悪化しておらず、今後も返済は正常に行われると考えられる。
  4. 以上のことから、債務者区分は正常先に相当する可能性が高い。

 

活用のポイント

通常であれば、大幅な赤字と債務超過状態であれば、債務者区分は要注意先以下となります。

しかし、それが一時的で外部的な影響によるものであり、本業でのキャッシュフローから正常な返済が見込まれるならば、債務者区分を引き下げるのではなく、正常先のまま維持すべきだとしています。

また金融庁は、この事例の解説において、中小企業の財務状況は一般的に脆弱であり、一時的な赤字に陥ることがしばしばあるため、きめ細かく検証していくように求めています。

したがって、会社が一時的・外部的な要因で赤字や債務超過に陥った場合には、その旨を銀行に訴えることで、債務者区分の引き下げを防げる可能性があります。

もちろん、これは自然災害の時だけではなく、土地や株式などの価値が、外部的な要因で急激に下がった場合なども同様です。

その場合には、決算書の特別損失を正しく計上し、金融機関にもきちんと説明しましょう。

ただし、外部的な要因であったとしても、それによって本業のキャッシュフローに悪影響が出てしまえば、「一時的なもの」とはみなされませんから、キャッシュフローに悪影響がないことも条件となります。

 

事例4:身内の支援によって、破綻懸念先を免れたケース

会社の状況

事例4では、パン屋が取り上げられています。

このパン屋は、自宅兼パン屋として開業したもので、開業後は順調だったものの、最近では大幅な赤字経営に陥っています。

経営者個人の資産は自宅兼店舗くらいしかなく、個人的な預金からの返済も見込めず、銀行への返済が滞りがちとなっています。

最近では、3ヶ月以上の延滞に陥りました。

経営者は銀行にリスケジュールを依頼したのですが、その際、経営者の長男が遅延金を一括で支払い、リスケ後に返済が滞った場合には長男が支払うと申し出たため、銀行は月々の返済額を半分に減らすことに合意しました。

なお、長男はサラリーマンであり、支援のための十分な資力があります。

 

金融庁の判断

金融庁の判断を見ていきましょう。

  1. 中小企業の債務者区分は、会社の財務状況だけではなく、総合的に判断すべきである。
    経営者が親密な関係の人から支援を受けられる場合には、その点も考慮する必要がある。
  2. このパン屋では、売上は低迷し、赤字に陥り、返済は遅れ、リスケジュールも依頼しており、今後経営難に陥る可能性が高い。
    したがって、破綻懸念先に区分すべきである。
  3. しかし、遅延金を長男が支払い、リスケ後の返済に問題が生じた場合にも支援を表明している。
    そして、この長男には支援を行えるだけの年収がある。
  4. これらのことから、要注意先に該当する可能性が高いと判断できる。

 

活用のポイント

このパン屋は、赤字に陥り、3ヶ月以上の延滞を起こし、リスケも依頼しています。

このような会社は、リスケを受け入れても再建の見込みが薄く、破綻懸念先に区分されるのが普通です。

しかし、身内から支援を得られることによって、回収に問題がなくなるならば、破綻懸念先ではなく要注意先に区分すべきだという判断です。

ただし、この事例のように、経営に直接関係ない人の支援を債務者区分に反映するためには、残債の大きさや支払額、経営者との関係性などから、その支援者が果たして本当に支援できるかどうかをしっかりと考えるべきだとも書かれています。

したがって、資力のある身内から支援を受けられる場合には、それを銀行にアピールすることで、債務者区分の引き下げを緩和できる可能性があります。

しかし、その際には支援者の財務状況などもチェックされるため、効果がない可能性もあると考えてください。

 

事例5:技術力を評価されて、破綻懸念先を免れたケース

会社の状況

事例5の会社は、高い技術力を持っている繊維会社です。

中国から安価な商品が大量に輸入されたことによって、価格競争に耐えられず、連続赤字と債務超過に陥っています。

しかし、技術力の高さには定評があり、繊維以外の分野でも応用していくことが期待され、実際に大手製紙会社との共同研究もしています。

順調に推移すれば、研究している製品は二年以内に製造可能になるとして、業界紙などでもよく知られています。

なお、この事実は、銀行が会社を定期的に訪問していることや、業界について調査していることから、裏付けは取れています。

 

金融庁の判断

この事例に対して、金融庁は以下のような判断を下しています。

  1. 現在、この会社は業績不振によって赤字と債務超過状態に陥っているため、今後、業績回復の見込みが薄いならば、経営破綻に陥る可能性は高く、債務者区分は経営破綻先が妥当である。
  2. しかし、中小企業の債務者区分は、技術などの潜在能力・競争力なども考慮し、総合的に判断しなければならない。
  3. この会社は、十分な技術力を持っており、今後この技術によって、事業の継続性や収益性に大きなプラスになる可能性が高い。
  4. さらに、その事実は、会社訪問や業界への調査を通じて銀行も把握している。
  5. これらのことから、総合的に考えて、今後の事業の継続性や収益性の向上が十分に見込まれるならば、債権者区分は要注意先とするのが妥当である。

 

活用のポイント

通常ならば、連続赤字と債務超過に陥っている会社は、経営破綻の疑いが濃厚であり、破綻懸念先に区分されるのが普通です。

しかし、この会社のように高い技術力を持っており、さらにその技術力が認められているという事実や、収益につながっていく可能性が高いことが分かっているならば、破綻懸念先を免れられる可能性があります。

ただし、この事例のように、金融機関が技術力を分析・評価してくれることは、あまりありません。

なぜならば、銀行員は多忙であり、それぞれの会社の技術力に目を向けている暇などないからです。

したがって、自社が破綻懸念先に分類されそうな状況に陥ったとき、技術力に自信があるならば、それを会社側から積極的にアピールしていく必要があります。

具体的には、特許や実用新案などによって証明したり、技術力が認められて補助金を受けている、業界紙で取り上げられているなどの事実から証明するのが効果的です。

さらに、その技術力が今後の経営にどのようなプラスをもたらしてくのか、具体的な数値計画を提出することができれば、銀行が納得する可能性が高まります。

 
なお、技術力だけではなく、販売力などにも同じことが言えます。

現状は債務者区分引き下げが妥当という状況でも、高い販売力を持っているならば、新商品の拡販によって一気に業績が立ち直る可能性もあります。

このような場合には、販売力が高いことや、新商品と販売力の相乗効果を見込めることが納得できる材料・計画によって、銀行を説得することが有効となります。

 

事例6:経営改善計画によって、破綻懸念先へのダウンを免れたケース

会社の状況

あるラーメン店では、それまでは業績が良かったものの、その地域でのラーメン店の出店が相次ぎ、競争が激化したことで売上が悪化し、4期連続赤字と2期連続の債務超過に陥っています。

開業資金や改装資金として銀行から融資を受けていましたが、その返済が困難になり、リスケジュールも依頼することとなりました。

これに対して銀行は、経営改善計画の提出を求めたところ、店舗の改装や新メニューの追加などによって黒字化する計画を提出し、リスケを認められました。

その後、計画の効果は徐々に表れており、1年間で経営改善計画の8割を達成するまでになりました。

ただし、これによって赤字は縮小しているものの、大幅な債務超過状態は解消されていない状況です。

 

金融庁の判断

金融庁の解釈を見てみましょう。

  1. 売上減少による連続の赤字、大幅な債務超過状態に陥っていることから、返済能力があるとは考えにくく、債務者区分は破綻懸念先が妥当である。
  2. また、リスケジュールによって返済緩和を実施している状況からも、今後返済能力の改善が見込めない場合には、破綻懸念先となる可能性が高い。
  3. しかし、この会社が作った経営改善計画には合理性があり、実現可能性も高く、実際に1年間で計画の8割を達成している。
  4. 以上のことから、このまま推移すれば2年後には返済の再開が可能となるなど、業況の改善が認められる場合には、要注意先に相当する可能性が高い。

 

活用のポイント

この会社は、4期連続の赤字や大幅な債務超過であることから、銀行が破綻懸念先と考えるのが普通の状況です。

しかし、このような大問題を抱えている会社でも、経営改善計画を作成し、合理性と実現性が高いと銀行が認めており、なおかつ計画が順調に進捗していた場合には、破綻懸念先を免れられる可能性があります。

もし、現在自社がこの会社のように大変まずい状況にあり、事例1~5のような材料によって銀行を納得させることもできないならば、頼るべき最後のツールは経営改善計画です。

経営改善計画が認められれば、債務者区分の大幅な低下を防ぐことができるかもしれません。

ただし、状況が状況だけに、銀行を納得させる経営改善計画を作るのは容易ではありません。

したがって、作成にあたっては、専門家の協力を仰ぐ必要があります。

 

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事例を読んで

ここまで、計6つの事例を読んできました。

金融検査マニュアルには、全28の事例が載っているため、もっと深く知りたい場合にはぜひ読んでみるべきです。

これらの事例を見てみると、一つの大きな結論に至ります。

それは、
 

本来ならば、債務者区分を引き下げるべき問題を抱えていても、それなりの材料がある会社は、それをアピールすることで債務者区分の引き下げを免れたり、緩和したりできる可能性がある。
 
ということです。

その材料には、経営者から会社への貸付金、経営者個人が会社に提供できる資産、一時的で外部的な要因であるという事実、身内の資力、技術力や販売力、経営改善計画など、色々な材料が考えられます。

自社の状況が債務者区分引き下げに該当しそうだと思ったら、それを食い止めるだけの材料がないかを探してみて、見つかればアピールすることを心がけましょう。

そのような材料がないという会社もあるでしょうが、その場合には経営改善計画を材料にすることができます。

材料がなければ材料を作る、くらいの気概で臨んでこそ、債権者区分の悪化を防ぐことができるのです。

 

まとめ

会社にとって、債務者区分は非常に重要なものです。

債務者区分は、銀行の融資判断に大きな影響を与えるものであり、債務者区分の悪化によって融資を受けられなくなれば、会社の資金繰りに大きな打撃となります。

そうならないように、金融検査マニュアルをしっかりと理解し、債務者区分の維持や向上、低下の緩和に役立てていきましょう。

本稿で紹介した以外の事例についても、ぜひ目を通してみてください。

 

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