銀行員と経営者が良い関係を築くことは、経営に色々なメリットをもたらします。
逆に、この両者の関係が悪化した場合、非常に好ましく無い状況を招いてしまうことでしょう。
銀行員と良い関係を築いておけば、融資などの銀行交渉を有利に進めることができるのですが、関係が悪化している状態では、圧倒的に不利な立場に立たされかねないのです。
そこで本稿では、銀行員と良い関係を築くために、経営者が実践していくべき事柄について解説していきます。
銀行員と経営者が親しくなるメリット
銀行と企業の関係は、会社対会社として考えるべきものであり、そこに私情がさしはさまれることはあまりありません。
融資交渉というものも、結局のところ銀行と会社の商談であり、ビジネスに徹したドライな関係が好ましいものとなります。
しかし、銀行員と経営者の関係は、人間対人間の関係になり得るものです。
融資を担当する銀行員も、その上席者も、支店長も、やはり人間です。
銀行員として、銀行の意を汲んだ動きを基本としますが、それでも私情によって動くこともよくあることなのです。
銀行員も人間ですから、親しい関係にある経営者と、そうではない経営者とでは、やはり稟議書の作成も力の入り方が違ってきます。
親しい経営者に対しては、信頼を壊したくない、もっと関係を深めたい、単に好きだから資金繰りに苦労してほしくないなど色々な理由から、できるだけ融資が通りやすいように稟議書を作ります。

平凡な稟議書になる可能性が高いのだ。
また、融資の判断に慎重にならざるを得ない会社の場合でも、経営者との親しさが大きく影響してきます。
このままでは融資はすんなり出ないけれども、こんな資料があれば融資が出る可能性が高まる・・・というような状況において、親しい関係があれば、「こんな資料を作ってもらえれば、融資が出やすくなりますよ」などのアドバイスが期待できます。
しかし、大して親しいわけでもなく、どうでもいい経営者ならば、「資料不足だな。まぁその程度の会社だろう」などと考え、資料不足のまま稟議を進め、融資も出ないという状況になりかねません。

アドバイスの有無によって融資が左右される状況では、非常に貴重なアドバイスとなるのですが、銀行員と経営者が親しいからこそ、銀行員も安心して資料を要求することができます。
もし、親しくない経営者ならばどうでしょうか。
親しくないために経営者の気性も分からず、場合によっては「最低限の資料は出しているじゃないか」「資料をくれくれと、要求の多いやつだ」などと不満をぶつけられる可能性もあります。
そのような面倒になるくらいならば、アドバイスはしない方がよいと考えても、何ら不思議ではありません。
さらに、経営者側から考えても、銀行員と親しければ融資交渉を進めやすくなります。
「金利はもう少し下がりませんか」「返済期間をこのくらいにしてもらえると助かりますが」といった要求も、比較的やりやすいのです。
親しい関係になければ、「厚かましいと思われるかも」といった気兼ねから、このような要求は簡単ではないでしょう。
銀行員と経営者が親しくなると、このようなメリットが期待できるのです。

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良い関係を築くための五か条
では、銀行員と良い関係を築くためには、どのようなことが大切なのでしょうか。
まず、銀行員は非常に信用を重んじるため、信用を失わないことが重要です。
また、銀行員が嫌う経営者像に当てはまらないような注意も必要です。
これによって、銀行員から嫌われることがなくなります。
嫌われないならば、人間同士の相性もあるでしょうが、良い関係を築いていく余地はいくらでもあります。
銀行員にとって厄介な経営者はいくらでもおり、むしろ良い関係を築きたいと思える経営者は少数派です。
したがって、嫌だという感情を芽生えさせない経営者は、銀行員にとっては付き合いやすくありがたい存在です。
嫌いではないことは「好きでも嫌いでもない」というよりも、むしろ「好きだ」という印象になることが多々あるのです。

ごまかさないという事は最低条件!
銀行は、お金を貸す側であり、お金を貸す行為を与信と言います。
これは、会社が取引先に掛け取引をした際にも、与信管理や与信限度額といった言葉を用いることがあるでしょう。
与信とは、その字の通り信用を与えることです。取引先に信用を与えることで、その信用によってお金を貸すのです。
では、その信用は何によって生まれるのかと言えば、ごまかさずに誠意をもって接するということです。
嘘をつかないのは当然として、伝えるべき重大な情報を隠そうとしたり、捻じ曲げて伝えたりしないということです。
これができない会社に対して、銀行は与信行為をすることができなくなります。
一旦はごまかしによって融資を引き出すことができたとしても、後でごまかしが発覚する可能性は十分にあります。
その場合には、銀行が追加融資をしなくなるのはもちろんのこと、内容によっては重大な背信行為と捉えて期限の利益をはく奪し、早期回収に乗り出す可能性もあります。
銀行員との信頼関係を築くためには、銀行員に対してごまかしをしないことが最低限の条件と言えるでしょう。

銀行員に対してごまかしをすれば、いずれ信用を失う可能性が高いです。
無理にごまかしや嘘、隠し立てなどをするのではなく、少なくとも欺くようなことはせず、必要に応じて適切に情報を伝え、相談や交渉をすることが大切です。
この積み重ねで、銀行員は嘘のない経営者だという印象を持ち、信頼につながり、好ましい関係が作られていきます。

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定期的に訪問して親しみと信頼につなげる
ごまかさないということにも通じますが、定期的に銀行を訪問することは重要なことです。
年に1回、決算書を提出する際に訪問するばかりではなく、月次事業報告書などを作成することによって、月1回など定期的に訪問するのです。
このようにすれば、会社はごまかしをすることができません。
銀行員も、ごまかしのない、情報開示に積極的な経営者と捉えて、信頼を寄せることでしょう。
嘘やごまかしがあるならば、後ろめたさや見抜かれることへの恐れから、できるだけ会うことを避けようとするものですから、積極的に会っていることが信頼につながるのです。

もちろん、よもやま話ではなく中身のある会話をするわけですが、それを繰り返すうちに顔なじみになっていきます。
年に数回しか訪れない経営者と、頻繁に訪問する経営者とでは、親しみの感じやすさは大きく異なります。
年に数回しか会わない人は、どこか他人のような気がしてならないものですが、頻繁に会う人に対しては親しみを感じるものなのです。
このため、資料を積極的に提供して信頼を勝ち取ると同時に、頻繁に顔を合わせるという点でも良い関係を作っていくことができます。
誠意を見せて信頼を勝ち取ろう
銀行員にとって、経営者の誠意は非常に重要な指標となります。
誠意のない経営者は、安定した経営を実現している経営者でも、銀行員は好ましいとは考えないものです。
誠意のなさは責任感のなさにもつながる要素であり、契約通りに返済を履行しないということにもつながる可能性があるからです。
銀行や銀行員が、融資先の会社や経営者に求める最大の要素は、きちんと返済ができるかどうかの一点に尽きます。
このため、誠意がない経営者は、返済という点において重大な欠点を抱えた経営者と考えることもできます。

誠意は口先だけで認められるものではなく、期日通りに返済する、つまり約束を守るということを繰り返す中で認められていくものです。
もし、資金繰りのトラブルにより、返済期日に入金できない場合には、できるだけ早いタイミングで銀行員に連絡を入れ、返済が困難な理由を正直に話しましょう。
改めて支払い可能な期日を伝えて入金を約束し、その約束をきちんと果たすことが重要です。
返済期日に遅れることは大問題ですが、そのフォローがしっかりとしていれば、信頼を大きく損なうことはありません。
最も悪いのが、返済期日に入金することができず、なおかつ連絡も入れない経営者です。
このような経営者は、入金が遅れても自ら連絡を入れず、銀行員から連絡を入れて、初めて説明しようとします。
中には、多忙や不在を理由に連絡に応じない経営者もいますが、そのような場合には関係が一気に崩れ去っても不思議ではありません。
約束を守れそうにない時には、きちんと連絡を入れてフォローしましょう。
それにより、責任感や律義さを評価されることもあり得ます。
例えば、商談の予定時間に5分遅れそうな場合、なにも連絡を入れずに遅れてしまえば、それだけで破談になりかねないほどの不信感を与えます。
しかし、きちんと連絡を入れて事情を説明し「申し訳ありません。5分ほど遅れてしまいそうです」などと連絡を入れておけば、不信感は吹き飛び、遅刻も気にならないものです。
場合によっては、「たった5分の遅刻でも連絡を入れてくるような、真面目な人物」という印象を与え、信頼につながる可能性もあるのです。

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見くびられるのはNGだが決して驕ってはならない
経営者にありがちで、銀行員に最も嫌われる態度が、驕った態度です。
経営者の中には、会社のトップに立つことで、多くの社員を従えていることから、自分が大物のような気分になってしまう人がいます。
このような経営者は、銀行から融資を受ける際に「借りてやる」といった態度で臨んで嫌われたり、銀行員を見下して嫌われることがよくあります。
経営者にとっては、銀行は取引先であり、銀行員は取引先の社員です。
さらに、融資担当者となれば、取引先の下っ端という印象を持つこともあり、軽く見てしまうのです。
しかし、支店の中でそれほど高い位置にいない融資担当者も、融資に与える影響は極めて大きいものがあります。
融資にあたって稟議書を作るのは融資担当者なのですから、経営者を嫌っているならば、そのような経営者の依頼する融資は通すまいとして稟議書を作り、融資を通さないこともできるわけです。
経営者にも、社長としての尊厳は必要ですから、あまりにも下手に出るのは問題です。

そこで、銀行員と接するときには丁寧に接することを心掛け、相談に乗ってもらうという態度を持つようにしましょう。
あくまでも社長として、丁寧な態度で相談をし、アドバイスを求めるならば、銀行員も嫌な気持ちにはなりませんし、見くびることもないでしょう。
そして、相談に乗ったり、アドバイスをしたりすれば、銀行員にも少なからず責任感が芽生えますから、アドバイスした会社を気に掛けるようになり、自然と密接な関係も生まれてきます。
平家物語の「驕れる者久しからず」の句は有名ですが、ビジネスの世界においても、驕る経営者はうまくいかないことが多いものです。
銀行員に対する驕った態度は、是非改めなければなりません。
信頼を得る為にはこちらから好きになる
銀行員と経営者が人間対人間の関係を築いていく上では、やはりお互いに苦手意識があってはいけません。
少なくとも、経営者側が銀行員に対して、嫌いだとか、苦手だとかの意識を持って接することは、良い関係を築く上での障害となります。
苦手意識を持っていると、相手が親身になってアドバイスしても、それがあまり良いアドバイスに聞こえないものです。
相手が好意的に接してきても、何か裏があるのではないかなどと思ってしまうこともあります。
こちらが信頼を寄せることが難しくなるのです。
「己人を信じて、人もまた己を信ず」というのは福沢諭吉の言葉ですが、自分から信頼を寄せなければ、信頼関係の構築は困難です。
銀行員から信頼を得ることは難しいですし、銀行員のほうから信頼を寄せてくれても、長続きはしません。
特に、銀行員は融資にあたって、信頼できそうな相手であるかどうかを見極めようとします。

経営者が銀行員に対して不信感を持っている場合、そのことを敏感につかみとるものです。
経営者が温和で、誰に対しても頭から不信感を抱かない人であれば、この点で問題はないでしょう。
また、銀行員が好ましい人柄であり、好意を寄せられる場合にも問題はありません。
気を付けるべきは、どうも虫が好かないと思ってしまう銀行員であった場合です。
その場合には、相手の良いところを積極的に見つけようとしたり、にこにこと接して敵対心を説いて相手からも笑顔を引き出し、和やかな雰囲気を作るなどの努力をしてみましょう。

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まとめ
銀行員と良い関係を築けない経営者は、銀行との付き合いの中で色々な損をすることとなります。
銀行員と良い関係を築くも、悪い関係を築くも経営者の心がけ次第なのですから、積極的に良い関係を作るようにすべきです。
保守的な組織である銀行と良好な関係を保つためには、色々と難しいところもあるものですが、人間としての銀行員と良好な関係を築くことは、心がけ次第で難しいことではありません。
普段からの心掛けで、関係を築いていくことが可能ですから、積極的に取り組むことをお勧めします。
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