銀行に融資を申し込むときには、口頭で融資を申し入れるだけで、わざわざ借入申込書を作る人はあまりいないと思います。
しかし、作る必要がないからといって、まったく無視すべきものではありません。
借入申込書を作成すると、自社が必要としている融資の内容を明確にすることができ、融資交渉に役立つからです。
本稿では、借入申込書を融資交渉に役立てるために、その作り方について解説していきます。
借入申込書とは?
希望する条件や資金使途、業績の見通しなどを記載することによって、どのような融資を、どのような理由で、どのような見通しで必要としているのかを説明することを目的としています。
もっとも、銀行に融資を申し込むときには、口頭で申し入れることがほとんどです。
わざわざ借入申込書を作っている会社は少ないでしょう。
また、借入申込書を作らないのが普通であるため、詳細な借入申込書を作って借入れを申し込むと、銀行員が警戒してしまうこともあります。
しかし、借入申込書を作成しておくと、必要としている融資の内容をはっきりと理解することができます。
借入れにあたって、必要な金額や希望する条件、資金使途や業績の見通しなどを簡単にしか理解しておらず、そのために融資交渉に失敗する経営者は少なくありません。

そのような状態で融資交渉を始めても、失敗する可能性が高いわ。
借入申込書の作成を通して融資の内容を整理し、しっかり理解しておけば、銀行員との対話をスムーズに進めることができます。
したがって、実際の借入れ依頼は口頭で行い、借入申込書を提出しないとしても、借入申込書を作っておくことをお勧めします。
それによって内容を整理しておき、融資交渉の際に自分用の資料として持っておけば必ず役立ちます。

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借入申込書の作り方
では、借入申込書はどのように作ればよいのでしょうか。
具体的な書き方を見ていきましょう。
借入希望金額と資金使途
借入希望額は、銀行に希望する借入額のことです。
資金使途とは、借り入れた資金の使い道のことです。
これらの書き方は、
必要資金総額 〇〇千円
自己資金 〇〇千円
借入希望金額 〇〇千円
資金使途 経常運転資金。
大手取引先のA社から、今回に限り、売掛金回収条件を1ヶ月ずらすように要請を受けており、仕入れ費用が不足しているため。
という形で書きます。
つまり、今回はいくらの資金需要が発生しており、自己資金でいくらまかなうことが可能であり、その差額としていくらの借入れを希望しており、借り入れた資金は何に使うのかを書くのです。
借入申込書の最重要箇所
借入希望金額を明らかにしないまま融資を希望する経営者もおり、
などと考えるわけですが、それではうまくいくはずがありません。
銀行は、必要資金総額と資金使途の整合性を重視しており、自己資金も勘案したうえでいくらの借入れを希望しているのかを知りたいのです。
それがあいまいでは話になりませんし、借入希望額が必要資金総額を上回っているのは論外です。
上記の例では、必要資金総額が4000万円ならば、借入希望額も4000万円となるべきです。
もし借入希望額を5000万円とするならば、必要資金総額との差額である1000万円は使途不明金ということになります。

銀行は、融資した資金が事業に活かされ、利益につながり、きちんと返済されることを期待しているんだ。
それを知るためには、資金使途は何であり、その資金使途に資金を投入すれば利益につながるかどうか、そのためにいくらの借入れを希望しており、希望額は資金使途から見て妥当であるかを検討していきます。
必要資金総額や借入希望金額があいまいであれば、資金使途もおのずからあいまいとなって、融資を出すことはできなくなります。
したがって、借入申込書の中でも、資金使途と借入希望金額は最も重要なところです。

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資金使途は具体的に
また、資金使途はできるだけ具体的に書くべきです。
ここを「運転資金」「設備資金」など、簡単に考えるだけの経営者も多いのですが、それでは交渉にマイナスとなります。
上記の通り、銀行員は資金使途を見て、融資の妥当性や貸し倒れリスクを図っていくため、資金使途はできるだけ詳しく書くべきです。
融資の妥当性については特に重視されます。
資金使途について詳しく検討したとき、矛盾が生じれば「妥当ではない」と考えるわけですが、銀行員にとってはこれがかなり重要です。
というのも、融資を希望してくる会社の中には、
- 赤字を埋め合わせるための資金
- 社長の個人的な借金返済のための資金
- 大量の不良在庫を整理するための資金
など、銀行が嫌う資金を必要としており、「運転資金」「設備資金」といった名目で融資を引き出そうとする会社もあるからです。
そのような会社に融資してしまえば、融資した資金は利益につながらず、貸し倒れに陥るリスクがかなり高くなってしまいます。
だからこそ、融資の妥当性を重視するのです。
したがって、銀行交渉では、資金使途について詳しく聞かれることも多いです。
その時、あいまいに考えている人はしっかりと説明することができず、融資の妥当性を納得してもらうことができず、融資を受けられない可能性があります。
資金使途を書く際には、できるだけ詳しく書くことを意識してください。
希望条件
次に、借り入れの希望条件を設定していきます。
書き方は、
借入期間 ○ヶ月(○年)
希望金利 ○%
希望金利体系 変動金利
提供可能担保 無担保
といった形で書きます。
借入希望日は、資金が必要となる日に設定するのではなく、やや前倒しに設定します。
必要な日に設定してしまうと、万が一手違いがあった場合などに支払いができなくなってしまいます。
借入期間は、資金使途によって大きく変わります。
まとまった運転資金や設備資金など、融資金額が大きければ長期融資になることが多く、比較的小規模な運転資金や一時資金などは短期融資になるのが普通です。
銀行は、基本的に長期の融資を嫌います。
なぜならば、融資期間が長ければ長いほど、融資期間中に経営状態が悪化して返済困難になる可能性が高まるからです。
したがって、一時資金の融資を希望しているのに借入期間は長期で希望するなど、「この社長は銀行のことが分かっていないな」と思われてしまう条件設定は避けなければなりません。
希望金利は、過去の借入金利、自社の業況、金利情勢などを参考にして設定します。
貸出金の利回りと預金の利回りの差が銀行の収入になりますから、低すぎる金利設定では融資を受けられなくなります。
低めの金利に設定するならば、そのための根拠も明らかにしておき、借入申込書に記載しておくべきです。
希望金利体系には、
の3種類があります。
短期融資ならば固定金利に設定できることもありますが、銀行は変動金利での融資を好むため、変動金利に設定されることがほとんどです。
これは、銀行は金利リスクを減らしたいと考えているからであって、その点を汲み取ることも大切です。
担保についても、何を担保として借入れを希望するのか、あるいは無担保での借入れを希望するのか、といった希望条件を書いていきます。短期融資の場合、返済財源が明確であれば、無担保融資になることも多いです。
長期融資の場合には、不動産を担保にしたり、信用保証協会の保証をつけて融資することがほとんどです。

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返済原資と返済方法
返済原資と返済方法は、銀行にとっては「きちんと回収できるかどうか」を見定める重要なポイントとなるため、十分な説明が求められます。
書き方としては、
売上代金回収により、元金均等分割返済にて毎月830千円を60回。最終回のみ1,030千円とする(5000万円を5年間で返済する場合)
といった書き方になります。
短期融資では一括返済か元金均等分割返済、長期融資ならば元金均等分割返済となります。
元利均等方式での返済は基本的にありません。

ここで重要となるのは、返済原資をしっかりと証明し、提示する返済方法での返済が可能であることを説明することだ。
短期融資ならば、売上代金を引き当てることがほとんどですから、どの売上代金を返済に充てるのかを明確にする必要があります。
長期融資ならば、長期的に安定した返済が求められます。
例えば、設備資金を借り入れて長期の返済を続けるならば、導入する設備から得られる利益の見込みを説明し、返済計画に問題がないことを理解してもらう必要があります。
今後の見通し
最後に、今後の見通しについて説明します。
今後の見通しは銀行にとって、「貸し倒れにならないよう、安全に推移していくか」という貸し倒れリスクを量るために重要な視点です。
また、「今後、この会社とどんな付き合いをしていけるか」という、採算性を量るための視点でもあります。
見通しは、足元の業績などから判断して、
などと記載します。また、中長期的な展望が明らかであれば、もっと長い目での見通しを記載するのも効果的です。
過去の実績については、動かすことができないものです。
もしそれが良くないものであれば、銀行は融資に慎重になります。
そこで、今後の見通しを具体的な数値で示しながら説明し、改善されることをアピールすることができれば、交渉にプラスとなります。

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まとめ
借入申込書で大切なのは、借入希望額・資金使途、返済原資・返済方法、今後の見通しです。
資金使途が明らかであり、借入希望額も妥当であり、返済原資や返済方法にも納得でき、今後の見通しにも問題がなければ、融資を受けられる可能性はかなり高いでしょう。
それを明らかにするためにも、借入申込書を作ってから銀行交渉に臨むようにしましょう。

何も準備せずに交渉するよりも、はるかにスムーズな交渉ができるはずだよ!
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