誰でも簡単に理解できるように財務の仕組みを解説してみました。

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※本記事はプロモーションを含みます。

順調な経営のためには、色々な知識が必要となります。

中でも、会社の資金繰りをうまく回していったり、銀行交渉のための計画を作成したりするにあたって、財務の仕組みをきちんと理解しておくことが重要です。

損益計算書や貸借対照表のそれぞれのいみを、別個になんとなく理解している人は多いと思います。

しかし、財務の仕組みを理解するためには、その知識では不十分です。

本稿では、誰でも財務の基本的な仕組みを理解できるように、易しく解説していきます。

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財務を理解するための流れ

財務の仕組みを理解すると言えば、簿記の知識が必要だと考える人もいると思いますが、日商簿記検定に合格するための知識は必要ありません

もちろん、あるに越したことはないと思いますが、簿記の知識はあくまでも会計処理のための知識という側面が強く、簿記だけの知識で財務を理解しようとすれば、見方に偏りが生じることもあります。

偏った見方をせずにバランスよく理解するためには、

  1. 損益計算書と貸借対照表の関係を理解する
  2. 損益計算書を理解する
  3. 貸借対照表を理解する
  4. 安定性の考え方を理解する

という流れで理解していくのが良いでしょう。

銀行が融資判断をする際には、その会社がきちんと返済できる財務状況にあるかどうかを知るために、決算書を分析していきます。

決算書を構成する損益計算書と貸借対照表を分析していくわけですが、この二つについてしっかり理解していくと、財務の仕組みがわかってきます。

損益計算書と貸借対照表の関係、それぞれ個別の見方、それをもとにした安定性の考え方を学んでいくことで、財務の仕組みを理解していきましょう

損益計算書と貸借対照表の関係を理解する

まず、損益計算書と貸借対照表の関係を理解するところから始めましょう。

そもそも企業活動とは何かと言えば、それは

「自己資金や融資や出資などによって調達した資金を運用し、利益を出していく活動」

のことです。では、利益とは何かと言えば、それは

「調達した資金を運用して得た収入から、かかった費用を差し引いたもの」

のことです。この企業活動の結果としての業績を表すのが損益計算書であり、財務状況を表すのが貸借対照表です。

会社を設立するシーンを考える

企業活動の基本を踏まえて、損益計算書と貸借対照表の関係を理解するには、会社を設立するシーンをイメージするのが分かりやすいです。

会社の設立は、事業に必要な資金を準備するところから始まります

自分の貯金で自己資金を準備し、足りない部分は身近な人からの支援(出資)を募ります。

それでも足りない資金は、日本政策金融公庫を始めとした金融機関からの融資によって調達します。

 

資金調達に成功したら、その資金で事業に必要な環境を整えます

営業活動や出荷に必要な車両を購入したり、調理器具や事務用品などを買いそろえたり、商品や原材料を仕入れたりします。

事業環境を整えるにあたって購入したものは、全て会社の資産となります

資産を全て揃えたら、事業開始の準備は整い、いよいよ会社を設立だ!

しかし、設立した瞬間の会社は、まだ事業のための資産を揃えただけの状態であり、営業を開始したわけではありません。

どこかに商品を販売して売上を回収するという段階ではなく、売上や費用は発生していない状態です。

 

既に述べた通り、企業活動とは「調達資金を運用して利益を出す活動」であり、利益とは「活動によって得た収入からかかった費用を差し引いたもの」です。

つまり、会社を設立した直後は、損益と呼べるものは全く発生しておらず、損益計算書も存在しません。

この時点では、資産内容を表す貸借対照表が存在しているだけです。

その後、利益を得るための活動が開始されると、販売によって売上が発生し、人件費や光熱費などの費用も発生し、代金を回収して費用を差し引いた分が利益となり、損益が計算されるようになります。

 

経済活動を繰り返して1年が経過すると、会社は決算を行うよ!

まず、1年間の総売上から総経費を差し引いて、1年間の総利益を確認します。

この利益によって納税額が確定し、利益から税金を差し引いたものが翌期に向けて会社に留保されるお金となります。上場企業が株主に対して配当金を支払うのも、このタイミングです。

このような損益の状況をまとめた資料が、損益計算書です。

 

設立直後の1年前は、設立にあたって調達した資金で資産を揃えただけの状態でした。

そこへ、1年間の事業の結果として得られた利益が資産に加わり、第二期の事業で運用される資産が増えることになります(黒字の場合)。

このような変化は、貸借対照表に反映されます。

以上のことから、一般に「決算書」と呼ばれるものは、

  • 会社が1年間を通じて取り組んできた営業活動の結果を表す「損益計算書」
  • 企業活動の結果として、次の期に引き継がれる資産内容を示す「貸借対照表」

から成り立っていることが分かります。

毎年毎年、会社はこれを繰り返していき、衰退したり成長したりしていくのです。

損益計算書と貸借対照表の関係をこのように理解しておくと、財務の仕組みを理解しやすくなります。

時間のレンジの違いに注目

注目すべきは、損益計算書と貸借対照表は時間のレンジが異なるということです。

損益計算書は、1年間の営業活動の結果を表しているものであり、時間のレンジは1年間に限定されています

しかし、貸借対照表は次の期に引き継がれる資産内容、つまり翌期開始時点での資産内容を表しているものです。

今期の貸借対照表と翌期の貸借対照表は、今期の内部留保によって繋がれ、翌期の内部留保は翌々期へと繋がれます。

これにより、貸借対照表は設立から現在までの活動の結果が示されており、時間のレンジは損益計算書よりもずっと広いものと言えます。

本来は一体だが別々にする必要がある

しかしながら、別の見方をするならば、損益計算書と貸借対照表の違いはこれだけとも言えます。

損益計算書と貸借対照表のどちらにおいても、最終的な利益は同額が計上されており、どちらか一方の資料だけを見ても、利益を知ることは可能です。

この意味において、両者は一体のものだと言えます。

損益計算書は、この利益を算出する根拠となる色々な要素を、性質ごとに並べ替えているのです。

最終的な利益すなわちその会社の収益力は、その会社の返済力に直結する数字です。

したがって、返済力を大な判断基準と捉えている銀行融資では、損益計算書と貸借対照表のどちらかだけを見てもよさそうなものです。

しかし実際に、銀行は両方の提出を求めるのだ!

 

これはなぜかと言えば、決算内容は程度の差はあれども化粧されるものであり、会社の事態を正確に把握して正しい融資判断をするためには、化粧されていない素顔を知る必要があるからです。

そのため、最終的な利益だけで判断することはできず、もっと細かい要素まで見ていく必要があるのです。

最終的な利益だけではなく、そこに至った中身を詳しく見ていくと、素顔が見えてきます。

一口に利益といっても、それだけで収益力が分かるわけではありません。返済力の根拠となる収益力とは、その会社の事業における稼ぐ力のことです。

 

事業で得た利益は収益力と返済力の源泉となりますが、最終的な利益にはそれ以外の利益、例えば資産の売却や保険の返戻金なども含まれることがあります。

事業以外の特別収入は、利益ではあるものの収益力・返済力としては考えにくい性質の利益であり、銀行の判断ではこれを考慮する必要があります。

また、売上から差し引かれる費用の性質も色々です。

事業のために必要となった費用もあれば、事業とは無関係の費用もあります。

事故や災害によって特別損失が発生することもありますし、売却した資産の売却損が計上されることもあります。

事業と無関係の費用については、収益力とは切り離して考える必要があります。

このように、会社で発生している収入や費用は色々な性質を持っています。単純に「収入や収益力・返済力を詳しく知ることはできません。

だからこそ、会社の活動報告である決算書では、損益計算書と貸借対照表の両方を作成することが求められるのです。

損益計算書の中身

損益計算書で、収入と費用を性質によって整理する意味を知るためには、それぞれの項目を銀行員がどのように見ているか、いくつか例を知っておくのが良いと思います。

損益計算書を分析するとき、銀行員は以下のようなポイントに注目しています。

売上高が急増している

→合理的な増加要因が不明な場合、架空売り上げの計上や押込み販売の疑いあり。

期末棚卸が増加している

→過去の棚卸勘定と比較してみて、明らかに増加している場合には、不良在庫や架空在庫が疑われる。利益の水増しや赤字隠しの可能性もある。

人件費が急増している

→役員報酬が急増しているならば、経営者の個人的な懐具合に異変があったのかもしれない。

利益と納税額のバランスがおかしい

→利益操作されている可能性が高い。

ほんの一例に過ぎませんが、このような見方によって融資判断や与信管理に役立てています。

単に、最終的な利益だけではわからない会社の実態が見えてくることがあるのです。

このように、損益計算書と貸借対照表は、根っこの部分では一体のものなのですが、あえて二種類の資料に分けて会社の情報を詳しく伝えていくものなのです。

財務の基本構造を箱で理解する

以上のことを踏まえて、財務の構造を理解していきましょう。

財務の基本構造は「箱」で考えるのがおすすめです。

財務の基本構造を正しく理解できない人は、これを勘定科目と金額で考えてしまうことが多いのですが、箱で考えて構造を掴み、その後で数字を見ていく方が分かりやすいです。

財務の基本構造を箱で考える方法を簡単に説明してみましょう。

会社が設立された直後は、営業活動を行っていないため損益計算書は存在しません。つまり財務は、

【貸借対照表】      【損益計算書】

資産
負債 資本

となっています。

そこから1年間事業を行い、利益が発生すると損益計算書の作成も可能となります。すなわち、

【貸借対照表】      【損益計算書】

資産
負債 資本 利益
利益 費用
収入

となります。

貸借対照表の利益は、その期の最終的な利益を翌期に繰り越すものであり、損益計算書の利益と一致します。

したがって、貸借対照表と損益計算書は本来一体のものと見ることもでき、

資産 費用
負債 資本 収入

とも考えることができます。

これが、貸借対照表と損益計算書の関係であり、別々にも一体にも見ることができると分かるでしょう。

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