債務超過で保証枠・担保枠もない。預金量を突破口にプロパー融資を引き出す交渉術

銀行と融資交渉をするとき、業績や財務が健全な会社はそれほど苦労することがないものの、業績が悪化傾向にある、赤字である、債務超過であるなどの問題を抱えていると、たちまち融資交渉が難航します。

特に債務超過は、会社の資産を全て売却しても負債を清算できない状況です。

銀行としては、返済できない会社に貸すようなリスクはできるだけ負いたくないため、債務超過の会社に貸すことを嫌います。

貸すとすれば、信用保証協会の保証や、何らかの担保で保全を図ったうえで貸そうとするでしょう。

しかし、債務超過であるうえに保証枠・担保枠もないとなれば、どうやって交渉すべきなのでしょうか。

この難しい交渉を、預金量に目をつけることで突破できる場合があります。

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中小融資の融資案件は難しい

銀行員はそれぞれ異なる業務に携わっています。

中でも、法人の相手を任されている銀行員は、会社が希望する色々な融資案件を取り扱っています。

業績も財務もよく、返済実績もある会社を相手にするならば、安心して融資案件に臨むことができるでしょう。

しかし、中小企業との融資交渉では、あまり状況のよくない会社を相手にすることも多く、銀行員も苦労することが多いようです。

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この辺のことについて、元銀行員(法人担当者)に話を聞いてみたよ!

―――中小企業との交渉では、難しい融資案件もあると思いますが、実際のところどうでしょうか。

元銀行員(法人担当者):そういう融資案件がある、というよりも、むしろそういう案件が大多数を占めています。

簡単に判断できる優良顧客というのは、全体の1~2割と言ったところでしょう。

―――20:80の法則というわけですね。

優良顧客20%が、銀行の収益の80%を生み出しているわけではありませんから、一概にそうは言えませんね。ただ、簡単に判断できない案件が非常に多いということは事実です。

 

―――難しい案件にも色々あると思いますが、特に「これは困った」というのはどんなものでしょうか。

私が現役のころに経験したもので、頭を抱えた案件はたくさんありましたが、やはり債務超過の会社との交渉は難しいと感じることが多いですね。

―――具体例を話していただけますか?

ある内装業者のケースで話してみましょう。実話です。

当行と15年ほど取引のある会社で、業績は安定せず、前々年はギリギリ黒字、前年は赤字といった感じでした。

赤字の時もあれば黒字の時もある、というのは中小企業にはよくあることですから、それだけで全て判断することはできません。実際、当年はまたギリギリ黒字という感じでしたしね。

ただ、黒字の年はギリギリ黒字、赤字の年は大きく赤字ということも多かったために、債務超過状態になっていたんです。

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―――なるほど、黒も赤も同じ幅ならまだしも、大きな赤字が多いとそうなりますね。

その会社、T社としておきますが、T社は当行がメインバンク、ほかには地元の信金一行と取引がありました。

業績が不安定だと、当然資金繰りも不安定になるわけから、メインバンクの当行にはしばしば融資の相談が持ち掛けられていました。

もちろん、業績が不安定というのも悪材料ですし、それに加えて債務超過なのですから、担保や保証協会の保証をつけて融資するほかありません。

最初はそれで対応していたのですが、いずれ担保も保証も枠が尽きてしまいました。返済が進んだら、空いた保証枠を使ってということを繰り返していたのですが、それもだんだんできなくなってきます。

そんな中で、運転資金の融資を申し込まれました。これは、大型案件の受注に伴って、いつもよりまとまった運転資金の希望でした。

大型案件を受注すれば、会社の業績には好影響ですから、社長は何とかして運転資金を引き出したい。銀行側も、取引先の会社の業績が良くなって、安心して取引できるようになれば、それに越したことはないのですから、できれば融資したいです。

とはいえ、債務超過で担保枠も保証枠もないのですから、「これは困った」と思いました。

銀行員の「困った」はチャンスでもある

―――貸したいけれども貸せないというジレンマですね。

その時の「困った」というのは、それだけじゃなかったんです。

私はその会社を担当していて、社長はしばしば融資を申し入れてきますから、そういう時、折に触れて私は「社長、もっと受注を増やしたほうがいいですよ。業績が安定させるように心がけてください」とお願いしていたんですね。

だから、社長としては、「いつも言われていた通り、大きな受注を取ってきたぞ、さあ貸してくれ」という感じで交渉に来ているんです。

とはいえ、大きな内装工事ですから、人件費や材料費など、色々な立替え費用が発生します。外注だって必要かもしれません。

―――T社にも、銀行にも、基本的にはプラスになるのですが、手放しにも喜べないと。

そうなんです。

工事代金の前受けでもできればよかったんですが、工事というのは進捗に合わせての支払い、あるいは完成してからの支払いになることが多く、前払いよりも後払いが主流でしょう?

ですから、ともかく工事を始めてしまわない以上、お金は入ってこないんです。そうである以上、立替え費用はどうしても発生するということですね。

―――受注活動を促していた手前、むげにも断れないでしょうね。

そうなんです。内心、そうじゃないんだよなあと思いました。資金繰りを意識しながら、受注活動をお願いしますと伝えていたつもりでしたからね。

しかし、大きな案件を受注したい社長の気持ちも良くわかりました。

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―――どのように交渉を進めたのですか?

まず、前向きな融資であることは間違いないです。社長もそこを強くアピールしてきましたし、それは事実です。

困っているのは、足元の業績が不安定であること。しかし、社長はこの受注で大幅黒字が見込めると主張しましたし、具体的な数値もまとめてくれていたので、そのことはよくわかりました。

前向きだから融資したいものの、足元の不安定さと債務超過によって、簡単に融資はできません。

そういう時、担保か保証をつけて融資すれば安心なのですが、それもなし。

となると、融資するならば保全を固めないままにプロパー融資を出すほかなく、T社にはちょっと厳しい内容です。

かなり悩みましたが、債務超過と不安定な業績、保全不足を理由に断ったほうがいいだろうと考えるようになりました。

―――それを覆すほどの何かがあったのですね?

まず、社長の熱意。何とか融資をお願いしたいと熱心にお願いされ、簡単には断れない、なんとか方法はないかという、いわば「足踏み状態」になったんです。

足踏みしながら可能性を探っていた時、上司から預金量に注目するようにアドバイスを受けました。

預金量というのは、返済力の一つの基準となります。極端な話、預金をそのまま返済に充ててしまえば、返済は完了します。危ない状況になったとき、銀行が口座を抑えてしまうこともできます。

メインバンクですから、それなりに預金がありますし、推移も確認することができます。これまで預金がどう動いてきたか、今どうなっているかという、今現在のリアルな返済力ともみなせるわけです。

―――なるほど、預金量までなら貸していいというわけですね。

そういうことです。稟議書には「広義の保全は充足している」などと書かれます。

それを返済力と見込んでいても、何かのきっかけで急に減ることもあるかもしれません。しかし、過去から現在まで、長期的に安定した預金があれば、急に減るよりも維持される可能性のほうが大きいです。

T社の場合、債務超過と業績不安定という部分だけを見れば、とても貸せない相手です。

しかし、そんな状態でも預金は一定をキープし続けていて、そういう意味では安定感があるとみなせました。

本当に財務的に滅茶苦茶な会社なら、預金が安定することはないですからね。

 

―――それで無担保のプロパー融資を実行したのですね。

はい。預金量相当のプロパー融資を出すことにしました。

ただし、社長には工事代金の振込先は当行にすること、工事代金の受領に合わせた返済計画を立てることを呑んでもらいました。

支払い時期に合わせて工事代金が当行に入れば、回収は容易ですからね。

―――このような交渉は、多くの中小企業に役立つものでしょうか?

その会社と銀行のそれまでの信頼関係もありますし、一概には言えませんが、預金平残を広義の保全とみなすのはどの銀行でも共通しています。ですから、同じような会社が融資交渉をする際には、

  • 前向きな理由で融資交渉に入ること
  • 具体的な数値計画も伝えて、銀行が「貸したいけれど難しい」と考えるように持ち込むこと
  • 預金量を根拠に交渉すること
  • 売上の入金先に指定するなどして、銀行に安心感を与えること

などを意識するといいと思います。

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まとめ

債務超過で業績も不安定で、担保余力も保証余力もないとなれば、八方ふさがりの状況に思えるでしょう。

そんな時、前向きな融資であるならば、ある程度の預金が確保されている銀行(多くの場合にはメインバンク)に交渉を持ち掛け、預金量を根拠に融資を依頼することで、交渉の道が開けてくる可能性があります。

困難な時こそ、交渉材料になりそうなものは何でも利用していきましょう。

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