違法業者対策

ファクタリング詐欺の手口と、被害にあったときの相談先【電話番号一覧】

最終更新 公開 約14分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • ファクタリング詐欺とは法律上の用語ではなく、ファクタリング(売掛債権の買取り)を名目にした違法な貸付けや、ファクタリングを口実に金銭をだまし取る行為の総称である。
  • 事業者向けで最も多く注意喚起されている手口は、債権の売買を装いながら償還請求権や買戻し、通帳の預かりなどで回収を確実にし、高い手数料を取る偽装ファクタリングで、金融庁と日本貸金業協会が注意を呼びかけている。
  • 日本貸金業協会は2017年12月4日の注意喚起で、償還請求権が付いている、通帳やキャッシュカードを預かる、代表者や家族に保証人を求める、契約書の写しを渡さないなど、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高い9つのケースを挙げている。
  • 警察庁の資料には、給与ファクタリングを名目にした無登録営業の検挙や、ファクタリング事業への投資を名目に約130人から約9,000万円をだまし取った出資法違反・詐欺の検挙が掲載されている。
  • 被害の相談先は、金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110)、日本貸金業協会(0570-051-051)、消費者ホットライン(188)、弁護士会のひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)などである。
早わかり表
代表的な手口偽装ファクタリング(債権の売買を装った高金利の貸付け)
個人向けの手口給与ファクタリング、先払い買取・後払い現金化など商取引を装った貸付け
そのほかの手口ファクタリング事業への投資名目の詐欺、悪質な取立て
危険なサイン償還請求権・買戻し、通帳・キャッシュカードの預かり、保証人の要求、契約書の控えを渡さない
公的な相談先金融庁 0570-016811/警察 #9110/日本貸金業協会 0570-051-051/消費者ホットライン 188
弁護士への相談ひまわりほっとダイヤル 0570-001-240(中小企業向け)/法テラス 0570-078374
ファクタリング単独の被害統計公的機関からは公表されていない(2026年9月時点)
目次
  1. ファクタリング詐欺の主な手口とは
  2. 手口1:ファクタリングを装ったヤミ金融(偽装ファクタリング)
  3. 手口2:給与ファクタリング・商取引を装った個人向けの貸付け
  4. 手口3:ファクタリング事業への投資を名目にした詐欺
  5. 手口4:脅しを伴う取立て
  6. 被害にあったかもしれないときにやること(7つの手順)
  7. 相談先の一覧:電話番号と受付時間
  8. 目的別:どこに相談すればいいか
  9. 数字で見るヤミ金融の被害と相談
  10. よくある誤解:「契約書にサインしたら取り戻せない」
  11. 利用者側の「詐欺」にも注意:架空債権・二重譲渡

ファクタリング詐欺の中心は、売掛債権の買取りを装って、実際には高い金利でお金を貸し付ける「偽装ファクタリング」です。金融庁は、ファクタリングを装って債権担保の貸付けを行うヤミ金融の事案が確認されているとして注意を呼びかけ、日本貸金業協会は危険なケースを9つ挙げています[1][3]。被害の疑いがあるときは、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110)、日本貸金業協会(0570-051-051)、消費者ホットライン(188)、弁護士会の窓口に相談できます。この記事では、公的機関が公表している手口と、被害にあったときの手順、目的別の相談先を整理します。

ファクタリング詐欺の主な手口とは

公的機関の資料で確認できる手口は、大きく5つに分かれます。事業者向けでは偽装ファクタリング、個人向けでは給与ファクタリングが中心で、ほかに投資名目の詐欺と悪質な取立てがあります。

手口 典型的な特徴 問題になる主な法律 公的な根拠
偽装ファクタリング(事業者向け) 債権の売買を装い、買戻し・償還請求・通帳の預かりで回収を確実にして高い手数料を取る 貸金業法(無登録営業)、出資法(高金利) 金融庁[1]、日本貸金業協会[3]
給与ファクタリング(個人向け) 給料を買い取るとして現金を渡し、給料日に本人から多く回収する 貸金業法、出資法 金融庁[4]、消費者庁[5]
商取引を装った貸付け(個人向け) 先払い買取・後払い現金化など、売買の形で実質的にお金を貸す 貸金業法、出資法 消費者庁[5]、警察庁[6]
ファクタリング事業への投資勧誘 「必ず増える」とうそを言って出資金を集める 出資法(預り金の禁止)、刑法(詐欺) 警察庁[6]
悪質な取立て 勤務先・家族・取引先への連絡や脅しで支払いを迫る 刑法(恐喝・脅迫)、貸金業法21条 金融庁[1]、貸金業法[9]

このほかに、利用者の側が架空の請求書で申し込むなど、利用者が加害者になる詐欺もあります。こちらは記事の最後の「利用者側の詐欺にも注意」で説明します。

手口1:ファクタリングを装ったヤミ金融(偽装ファクタリング)

偽装ファクタリングとは、ファクタリング(債権の売買)の形をとりながら、実態は売掛債権を担保にした貸付けである取引のことです。金融庁は、貸金業の登録を受けていない者がファクタリングを装って業として債権担保貸付けを行っている事案が確認されているとしています[1]。

金融庁のリーフレットは、被害が疑われる例として3つを挙げています[2]。1つ目は、買取代金が債権額に比べて著しく低い、または高額な手数料が差し引かれること。2つ目は、契約書に「売買契約」であることが定められていないこと。3つ目は、回収が売主に委託され、回収できない場合に売主の買戻しや買取業者の償還請求が行われることです[2]。

日本貸金業協会は2017年12月4日の注意喚起で、同年1月に「ファクタリング」を偽装したヤミ金融が大阪府警に逮捕されたとの報道があったと紹介しています[3]。協会によると、報道された事例では、利用者が売掛債権を業者に譲渡する一方で同じ業者から高金利で借入れをし、譲渡したはずの債権は結局戻ってきていました[3]。一連の取引は、売掛債権を担保にした無登録の違法な貸付けと判断されています[3]。

日本貸金業協会が挙げる「ヤミ金融の可能性が高い9つのケース」

日本貸金業協会は、売掛債権譲渡契約を結ぶときに次のいずれかに当てはまる場合は、ファクタリングを装ったヤミ金融の可能性が高くなるとしています[3]。

協会が挙げるケース なぜ危険か
1. 売掛債権譲渡契約に償還請求権が付いている 売掛先の不払いリスクを利用者が負い、債権を担保にした貸付けと同じ構造になる
2. 契約を結んだことを取引先に通知しない 利用者が回収して渡す形になり、発覚を避けるために買い戻さざるを得なくなる
3. 売掛金の振込予定の通帳・銀行印・キャッシュカードを預かる 入金を業者が直接押さえ、回収を確実にする手段になる
4. 金銭消費貸借契約を結び、代表者や家族に保証人を求める 売買ではなく貸付けの契約で、売買には不要な保証を取っている
5. 小切手・手形を担保に入れさせる 不払いに備えた担保で、業者がリスクを負っていないことを示す
6. 発行済み株式を譲渡担保にし、印鑑証明書と役員変更の登記委任状を出させる 返済が滞ったときに会社の経営権を奪える状態になる
7. 売掛金(現金)の受け渡しが送金ではなく手渡し 取引の記録が残らず、後から立証しにくい
8. 契約書の写し・領収書などを渡さない 契約内容と支払額を利用者が証明できなくなる
9. 手数料を年率に直すと、利息制限法の制限を超える高金利になっている 貸付けと判断されれば、上限金利を超える利息に当たる

協会は、これらに当てはまる場合は相手方の貸金業登録の有無を確認し、手数料が年率換算で事実上の高金利になっていないかに十分注意するよう求めています[3]。ただし、「貸金業法違反になるかどうかは、個別の事案ごとに検討する必要があります」とも書いています[3]。

手口2:給与ファクタリング・商取引を装った個人向けの貸付け

個人向けの手口は、給料や商品の売買を装って現金を渡し、後で多く回収するものです。金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融について、年利に換算すると「数百~千数百%」の利息になることや、勤務先への連絡などの違法な取立ての危険を挙げています[4]。

金融庁は、「借金ではありません」「ブラックOK」などの誘い文句に注意するよう求めています[4]。消費者庁も、給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に該当し、登録が必要だと明記し、先払い買取現金化や後払い現金化についても注意を呼びかけています[5]。

国民生活センターが2020年6月12日に公表した相談事例には、7万円を受け取って次の給料日に12万円を返す予定だったのに、期日前に勤務先と家族に取立ての電話がかかってきたケースがあります(相談者の計算で年利700%以上)[8]。個人事業主やフリーランスが、事業の売掛金ではなく給料を対象にした契約を勧められた場合も、同じ危険があります。詳しくは給料ファクタリング(給与ファクタリング)は違法で解説しています。

商取引を装う手口は形を変えて続いています。警察庁は、商品代金の先払いでスマートフォンやゲーム機を買い取ったように装って、全国の約1万2,800人に法定利息の約31倍から約140倍で貸し付けたとして、11人を2023年1月に検挙した事例を公表しています[6]。警察庁は、この手口を貸金業に該当すると特定して「全国で初めて検挙」したと書いています[6]。

手口3:ファクタリング事業への投資を名目にした詐欺

ファクタリングを利用する側ではなく、「ファクタリング事業に投資すれば儲かる」と出資を集める詐欺もあります。警察庁が公表した千葉県の事例では、マッチングアプリなどで知り合った若者らに対し、ファクタリング事業に運用する意思がないのに出資を勧誘していました[6]。

警察庁の資料によると、勧誘の文句は「ファクタリング会社に投資をすれば必ず金額が増えて戻ってくる。」「配当は、元金に対して多いときで5パーセントくらい上乗せされて戻ってくる。」「ファクタリング事業に投資するには、入会金が必要である。」などでした[6]。2020年1月から12月までに約130人から約9,000万円をだまし取るなどしたとして、2023年2月までに7人が出資法違反(預り金の禁止)と詐欺罪で検挙されています[6]。

手口4:脅しを伴う取立て

偽装ファクタリングや給与ファクタリングの被害では、勤務先・家族・取引先への連絡を材料にした取立てが問題になります。金融庁は、権利の実行であっても社会通念上許される程度を超えれば違法となり、恐喝罪や脅迫罪が成立しうると説明し、被害は警察に相談するよう呼びかけています[1]。

刑法は、財産などに害を加えると告げて人を脅迫した者を2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(222条)、人を恐喝して財物を交付させた者を10年以下の拘禁刑(249条)と定めています[10]。取引が貸付けと判断されれば、正当な理由のない勤務先への電話や訪問、借入れの事実を第三者に明らかにすることなどを禁じる貸金業法21条の取立て規制も問題になります[9]。

取立ての連絡は、日時・相手の名前・話の内容を記録し、メッセージや留守番電話を消さずに保存してください。身の危険を感じるときは、ためらわずに110番に通報してください。

被害にあったかもしれないときにやること(7つの手順)

被害の疑いがあるときは、追加の契約や支払いの約束をする前に、証拠をそろえて公的な窓口か弁護士に相談します。次の手順は、金融庁と日本貸金業協会の注意喚起で挙げられている要素をもとに、優先順位の高い順に並べたものです。

  1. 新しい契約をしない。 穴埋めのために別のファクタリングや借入れを重ねると、支払額が増えます。詳しくはやめられない状態から抜け出す方法で解説しています。
  2. 証拠をそろえる。 契約書、見積書、振込記録、通帳、業者とのメッセージ、ホームページや広告の画面を保存します。
  3. 業者の情報を書き出す。 商号・所在地・代表者名・電話番号・振込先口座を控えます。
  4. 支払った金額と受け取った金額を一覧にする。 手数料を年率に直すと、相談先が貸付けに当たるかを判断しやすくなります。
  5. 預けたものを確認する。 通帳・キャッシュカード・印鑑・手形・白紙の書類を渡していないかを確認します。
  6. 公的な窓口に相談する。 下の相談先一覧から、状況に合う窓口に電話します。
  7. 返還請求や契約の有効性は弁護士に相談する。 払ったお金を取り戻せるかは個別の法律判断です。

相談先の一覧:電話番号と受付時間

ファクタリングの被害は、内容に応じて金融庁、警察、日本貸金業協会、消費生活センター、弁護士会などに相談できます。金融庁も、ファクタリングの注意喚起のページで相談窓口を案内しています[1]。

窓口 電話番号 受付時間・内容
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(IP電話は03-5251-6811) 平日10時〜17時。ウェブでは24時間受付。あっせん・仲介・調停は行わない[11]
警察相談専用電話 #9110 悪質な取立てなどの相談。緊急時は110番[1]
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051-051(IP電話は050-3494-7988または03-5739-3861) 9時〜17時(土日祝・年末年始を除く)。貸金業に関する相談[12]
消費者ホットライン 188 最寄りの消費生活相談窓口を案内[1][8]
ひまわりほっとダイヤル(日本弁護士連合会) 0570-001-240 平日10時〜12時・13時〜16時。中小企業の弁護士相談の予約。一部地域を除き初回30分無料[14]
ひまわりお悩み110番(日本弁護士連合会) 0570-783-110 近くの弁護士会の法律相談センターにつながる。相談はおおむね30分、5,500円前後[15]
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 平日9時〜21時、土曜9時〜17時。法的トラブルの窓口案内[13]

各財務局の貸金業担当課の連絡先は、金融庁のリーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」の裏面に載っています[18]。法テラスの無料法律相談は、収入と資産が一定以下の人が対象で、1回30分、同じ問題につき3回まで利用できます[22]。

電話で相談するときに伝える5つのこと

相談の時間は限られています。ひまわりお悩み110番の法律相談はおおむね30分で[15]、金融庁の相談室も個別のトラブルでは他機関の紹介や論点の整理が中心です[11]。次の5点をメモにまとめてから電話すると、短い時間で必要な案内を受けられます。

  1. 業者の商号・所在地・電話番号と、知ったきっかけ(広告、SMS、紹介など)
  2. 契約日、売った債権の額面、受け取った金額、支払った(支払う約束の)金額と期日
  3. 契約書に書かれた買戻し・償還請求・保証・違約金の内容
  4. 取立ての内容(誰に、いつ、どんな言葉で連絡が来たか)
  5. 相談で知りたいこと(違法かどうか、取り戻せるか、取立てを止めたいか)

事業者の場合は、売掛先(取引先)への連絡をほのめかされることが支払いを急ぐ理由になりがちです。札幌高裁令和4年7月7日判決(金融庁が紹介)は、譲渡が発覚すると取引先の信頼を失うため売主が買い戻さざるを得なかった取引を、貸金規制の潜脱として公序良俗に反し無効と判断しました[1]。取引先への通知を材料に支払いを迫られている場合も、その事実を相談で伝えてください。

目的別:どこに相談すればいいか

相談先は、「今何に困っているか」で選びます。1つの窓口ですべてが解決するわけではないため、次の表を目安に複数を使い分けてください。

困っていること 最初の相談先 理由
契約した業者が偽装ファクタリングではないか知りたい 金融庁 金融サービス利用者相談室、日本貸金業協会 貸金業に当たるかの一般的な考え方や、論点の整理を相談できる[11][12]
脅迫的な取立て、勤務先・家族への連絡 警察相談専用電話 #9110(緊急時は110番) 恐喝・脅迫などの刑事事件になりうる[1]
個人(給与)の契約トラブル 消費者ホットライン 188 最寄りの消費生活相談窓口につながる[8]
払ったお金を取り戻したい、契約が有効か知りたい 弁護士(ひまわりほっとダイヤル、ひまわりお悩み110番、法テラス) 返還請求は個別の法律判断と代理が必要[14][15]
投資名目でお金を払ってしまった 警察相談専用電話 #9110、弁護士 詐欺・出資法違反の事件になりうる[6]

弁護士に相談するときの準備と費用の目安は、ファクタリングのトラブルを弁護士に相談するにはで詳しく解説しています。

数字で見るヤミ金融の被害と相談

ファクタリング単独の被害件数は公表されていませんが、上位の区分であるヤミ金融の検挙と相談の数字は公表されています。警察庁によると、2025年のヤミ金融事犯の検挙は550事件で、被害人員は1万225人、被害額は約102.5億円でした[7]。

指標 数値 期間・出典
ヤミ金融事犯の検挙事件数 550事件(無登録・高金利事犯49件、ヤミ金融関連事犯501件) 2025年、警察庁[7]
ヤミ金融事犯の被害人員・被害額 1万225人、約102.5億円 2025年、警察庁[7]
ヤミ金融事犯に関する相談受理件数 3,501件(2021年は5,099件) 2025年、警察庁[7]
金融サービス利用者相談室の「貸金等」の相談 669件(相談全体は1万5,418件) 2026年4〜6月、金融庁[19]
日本貸金業協会への「ヤミ金融・違法業者」の相談 230件(2024年度は208件) 2025年度、日本貸金業協会[20]

警察庁の資料では、ヤミ金融事犯に関する相談の87.3%がインターネットなどの非対面の手口で、相談者の41.6%が20〜30歳代です[7]。警察庁は、「通常の商取引を仮装して金銭を貸し付けるなどの手口」が発生しているとも記載しています[7]。統計の推移はファクタリング・ヤミ金トラブルの統計にまとめています。

よくある誤解:「契約書にサインしたら取り戻せない」

被害を受けた人が相談をためらう理由には、事実と違う思い込みがあります。次の表で、よく見かける説明と正しい理解を並べます。

よく見かける説明 正しい理解 根拠
「契約書にサインしたから、払ったお金は取り戻せない」 貸付けと判断され、過払金や支払額全額の返還が認められた裁判例がある 大阪地裁平成29年3月3日判決[16]、東京地裁令和3年2月9日判決[17]
「ファクタリングは借金ではないから、ヤミ金の相談窓口は関係ない」 実態が貸付けなら貸金業法の規制を受け、金融庁が相談窓口を案内している 金融庁[1]
「償還請求権付きでも、契約書に売買と書いてあれば問題ない」 金融庁は形式ではなく経済的な実態で判断するとしている 金融庁[1]
「取立てが厳しいのは払わない自分が悪いから仕方ない」 社会通念上許される程度を超えた取立ては、恐喝罪・脅迫罪が成立しうる 金融庁[1]、刑法222条・249条[10]

大阪地裁平成29年3月3日判決は、無登録の業者との取引を金銭消費貸借に準じるものとし、利息制限法で計算し直した過払金の返還を命じました[16]。東京地裁令和3年2月9日判決は、給与ファクタリングの業者に対し、利用者が支払った金額の全額返還を命じています[17]。結論は事実関係で変わるため、個別のケースは弁護士に相談してください。

利用者側の「詐欺」にも注意:架空債権・二重譲渡

ファクタリングの詐欺には、利用者の側が加害者になる形もあります。存在しない売掛金の請求書で申し込むことや、同じ売掛金を複数の会社に売ること(二重譲渡)、2社間ファクタリングで回収した売掛金を業者に渡さずに使うことです。

刑法246条は、人を欺いて財物を交付させた者を10年以下の拘禁刑と定め、252条は横領を5年以下、253条は業務上横領を10年以下の拘禁刑と定めています[10]。ファクタリングでのこれらの行為に詐欺罪や横領罪が成立するかを判断した判例は、当サイトの調査では特定できていないため、ここでは条文の紹介にとどめます。

資金繰りに追い詰められていても、架空の請求書や二重譲渡で資金を得ようとしないでください。回収金を使い込んでしまった場合の対処は2社間ファクタリングで払えないときの対処法で、二重譲渡の法的な責任はファクタリングの二重譲渡とはで解説しています。

被害を防ぐための記事一覧

よくある質問

Qファクタリング詐欺にはどんな手口がありますか?

A代表的なのは、債権の売買を装いながら、売掛先が払わなければ利用者が買い戻す約束や通帳の預かりで回収を確実にし、高い手数料を取る偽装ファクタリングです。個人の給与を買い取る給与ファクタリング、ファクタリング事業への投資を名目にした詐欺、脅しを伴う取立てもあります。いずれも金融庁や警察庁が注意喚起や検挙事例の公表をしています。

Qファクタリングの被害はどこに相談すればいいですか?

A偽装ファクタリングやヤミ金融の疑いは、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)や日本貸金業協会(0570-051-051)に相談できます。脅迫的な取立ては警察相談専用電話(#9110)、個人の契約トラブルは消費者ホットライン(188)です。払ったお金の返還や契約の有効性は、ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)などで弁護士に相談してください。

Qファクタリング業者が詐欺かどうか、どうやって見分けますか?

A日本貸金業協会は、償還請求権が付いている、取引先に通知しない、通帳・銀行印・キャッシュカードを預かる、代表者や家族を保証人にする、手形・小切手を担保に入れさせる、契約書の写しや領収書を渡さないなどを、ヤミ金融の可能性が高いケースに挙げています。1つでも当てはまれば、契約前に業者の実在と契約書の条項を確認してください。

Qファクタリング詐欺で払ったお金は取り戻せますか?

A取引が貸付けと判断され、返還が認められた裁判例があります。大阪地裁平成29年3月3日判決は利息制限法で計算し直した過払金の返還を命じ、東京地裁令和3年2月9日判決は給与ファクタリングの業者に支払額の全額返還を命じました。結論は事実関係で変わるため、契約書と振込記録をそろえて弁護士に相談してください。

Q取立ての電話が怖いときはどうすればいいですか?

A脅迫的な取立てを受けているときは、警察相談専用電話(#9110)に相談し、身の危険を感じるときは110番に通報してください。金融庁は、権利の実行であっても社会通念上許される程度を超えれば、恐喝罪や脅迫罪が成立しうると説明しています。電話の日時と内容を記録し、メッセージや録音を保存しておくと相談がスムーズです。

Q「ファクタリング会社に投資すれば必ず増える」という勧誘は本当ですか?

A警察庁の資料には、ファクタリング事業への投資を名目に「必ず金額が増えて戻ってくる」などとうそを言い、約130人から約9,000万円をだまし取ったとして、7人が出資法違反と詐欺罪で検挙された事例が載っています。元本や利益を約束して広く資金を集める勧誘は、その時点で相談窓口に確認してください。

Qファクタリングの被害件数の統計はありますか?

A2026年9月時点で、ファクタリング単独の相談件数や検挙件数は、金融庁・国民生活センター・警察庁・日本貸金業協会のいずれからも公表されていません。上位の区分では、警察庁によると2025年のヤミ金融事犯の検挙は550事件、被害額は約102.5億円、相談受理は3,501件でした。

Q被害回復を手伝うという連絡が来ました。信用して大丈夫ですか?

A取り戻しの手続きを代理して報酬を受け取れるのは、弁護士(一定の範囲では認定司法書士)に限られます。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を業として扱うことを禁じています。相手の名前と所属弁護士会を確かめ、不安なら弁護士会の窓口に直接相談してください。

出典・参考資料

  1. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
  2. 金融庁「事業者向けリーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(表面)」
  3. 日本貸金業協会「「ファクタリング」を装ったヤミ金融にご注意ください」(2017年12月4日)
  4. 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」
  5. 消費者庁「違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください!」
  6. 警察庁「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2024年4月)
  7. 警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2026年3月)
  8. 国民生活センター「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!」(2020年6月12日)
  9. e-Gov法令検索「貸金業法」
  10. e-Gov法令検索「刑法」
  11. 金融庁「金融サービス利用者相談室」
  12. 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センターについて」
  13. 日本司法支援センター(法テラス)「法テラス・サポートダイヤル」
  14. 日本弁護士連合会「ひまわりほっとダイヤルについて」
  15. 日本弁護士連合会「ひまわりお悩み110番」
  16. 裁判所「大阪地方裁判所 平成29年3月3日判決(平成26年(ワ)第11716号)」(2017年3月3日)
  17. 裁判所「東京地方裁判所 令和3年2月9日判決(令和2年(ワ)第11883号)」(2021年2月9日)
  18. 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(裏面:相談窓口)」
  19. 金融庁「金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等(2026年4〜6月)」(2026年9月11日)
  20. 日本貸金業協会「センターだより vol.62」(2026年5月31日)
  21. e-Gov法令検索「弁護士法」
  22. 日本司法支援センター(法テラス)「無料法律相談のご利用の流れ」
  23. e-Gov法令検索「利息制限法」
  24. e-Gov法令検索「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」

出典のURLと内容は2026年9月18日時点で確認しています。

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アンドファクタリング「ファクタリング詐欺の手口と、被害にあったときの相談先【電話番号一覧】」(https://factoring.co.jp/safety/fraud-and-help/、2026年9月18日更新)