銀行から融資を受けるためには、銀行とうまく交渉していく必要があると言われます。
そのことを認識している経営者も多いことと思います。
しかし、具体的な交渉方法となると、いまいちピンとこなかったり、的を射ていない交渉をしてしまっているケースも多いものです。
そこで本稿では、銀行と交渉して金利や返済条件を自社に有利なものとするための、具体的な交渉方法についてお伝えしていきます。
融資交渉の二つの基本
銀行との具体的な交渉方法と言われても、あまりピンとこない人が多いと思います。
経営者の中には、銀行の提示する金利や返済期間などの条件をそのまま受け入れるだけで、それが交渉できるものであることを知らない人もいます。
また、知っていてもどうすればいいのかよくわからないというのが、正直なところでしょう。
基本的に銀行有利から始まる
まず知っておきたいのは、最初に提示される融資条件は、基本的に銀行側に有利な条件になっているということです。
そこに交渉の余地があります。
金利や返済期間といった条件は、会社の資金繰りに大きく影響するものですから、交渉の余地があるならば交渉したほうが良いに違いありません。
しかし、それらの条件を交渉するということは、あくまでも自社に少しでも有利になるように交渉することです。
銀行側から見れば、銀行側の利益が減ることになってしまいますから、銀行から金利などの条件変更を提示することはありません。

一行取引は不利
次に、一行取引、つまり特定の銀行としか取引していないという状況はかなり不利です。
なぜならば、上記のように銀行側に有利な条件を提示してくるのは、銀行側が強気だからです。
その条件でも断られないと思っているからです。
一行取引の場合には、その銀行以外に会社が借りられる場所はないのですから、他行にシェアを奪われる危険性もありませんし、より一層強気に出てくることでしょう。
会社としても、融資条件を交渉したところで、「ならば融資しません」と言われれば困ったことになりますから、余裕のある交渉などできるはずがありません。
そこで重要となるのが、複数の銀行取引することです。
そうすれば、他行にシェアを奪われるという懸念が生じますから、自行を優先的に利用してもらうために、できるだけよい融資条件を提示してくれます。
また、自社がよりよい条件を求めて交渉した際にも、受け入れてもらえる可能性が高まります。


もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。
アクセルファクターについての関連記事はこちら
交渉に適しているのはいつか
上記は基本中の基本で、ここから交渉の具体的なところに入っていきます。
したがって、複数の銀行と取引しており、交渉の余地がある状態であると仮定して、以下を読み進めてください。
交渉に適したタイミング
まず、気になるのが交渉すべきタイミングです。
交渉のタイミングとしておすすめできるのは、折り返し融資のタイミングと、新規借入のタイミングです。
折り返し融資とは、一旦借入をし、返済を続けていくうちに融資残高が減ってきたら、当初の融資額まで借入を増やすことです。
銀行は、元金に利息を乗せた返済によって利益を上げています。
全額を返済されてしうと、月々の返済がなくなると利益はゼロになってしまいます。
だからこそ、融資残高が減ってくると、当初の借入額か、それより多い額へと再度融資するように動いてくるのです。
したがって、まず折り返し融資のタイミングが、融資交渉をしやすいタイミングだと言えるでしょう。
もちろん、一旦返済してしまった銀行に対して新規借入を申し込む場合にも、融資交渉はしやすいです。
銀行は、すでに返済実績が相当ある取引先への融資には積極的になりますから、折り返し融資や完済後の新規借入の取引先には融資をしやすいです。
その時に、「複数の銀行にお願いしている」と伝えることで、銀行員は稟議書に「他行の条件を考慮して」という理由を記載することで、金利や返済期間などの条件を、会社側に有利なものにしてくれるのです。
逆に、もっとも嫌がられるタイミングは、融資の返済がまだそれほど進んでいないタイミングでの交渉です。
これでは、返済期間中に融資条件を変更してくれと言っているのですから、言ってみればリスケジュールに近いものがあります。
銀行は、基本的に約束を守らない人を嫌いますから、このような交渉はNGです。
あくまでも、折り返し融資や新規融資などのタイミングで交渉し、次回の融資は会社により有利な条件で受けるということを意識してください。

もし貴社が、新型コロナウイルスで売上が低迷しているなら、この人達が救済してくれるゾ!
交渉に適した月
次に、交渉に適した月ですが、月によって適不適があります。
というのも、金利条件は年間を通じて変わりますし、銀行が忙しく交渉どころではない月もあるからです。
まず、決算月である3月や中間決済の9月、年末の12月はキャンペーンを行なうこともあり、交渉に適しています。
逆に、キャンペーン直後は一段落したという感じで、モチベーションが下がっているというケースが見られますから、交渉にはやや不適です。

異動の時期は引き継ぎに忙しく、支店長の方針に順応するための時間も必要ですから、交渉には適していません。
したがって、3月・9月・12月のキャンペーンを狙うことがポイントですが、融資の申し込みから実行までには1ヶ月くらいかかるため、申し込みは2月・8月・11月に行ないます。
早めに融資条件の交渉を始め、3月・9月・12月に良い条件で融資が出るのを目指すのが良いでしょう。
なお、銀行に頭を下げるのはあまり良くないと書きました。
したがって、銀行に融資を申し込む際にも、窓口に出向くことなく、電話をして担当者に出向いてもらうのがベターです。
銀行は、経営者から出向いてきて交渉してくると、業績が悪化して返済条件を変更しに来たと考える傾向があるからです。

半年弱で50億円積み上げたOLTA、クラウドファクタリング「3兆円市場」目指してChatworkと連携するなど、この資金調達方法がすごい。

大手企業ともパートナー提携していて非常に安心よ♪
OLTAのサイトはこちらから→ https://www.olta.co.jp/
決算報告に出向く
条件を交渉する際に最も良いのは、銀行に一斉に声をかけて競わせることです。
決算直後に担当者が決算書を取りに来たら、銀行に条件出しをしてもらいます。
決算直後を年に一回の機会と考えて交渉する会社は、銀行からよい条件で融資を引き出せている傾向があります。
つまり、決算説明というのは、単に決算内容を説明する機会だと捉えるのではなく、年に1回の資金調達のために決算説明をすると考えるのです。
したがって、決算後は複数の銀行に決算報告に出向いて、決算報告をしましょう。
銀行に出向いてお金を貸してくださいと頭を下げるのはいけませんが、決算報告は銀行も望んでいることなので、アポを取って出向けば邪険に扱われることはありません。
むしろ銀行は、各取引先に対しての取引方針を、決算書をもとにして、年に一回作っています。
決算説明をする会社は、実際に面談しながら決算書について説明することができるため、内容を銀行員の独断で悪く判断されることもありませんから、決算説明をしない会社よりも借入に有利になります。

- 2期分の売上を比較しながら、増減などについて社長自らが説明する
- 細かい数字は、会計事務所や経理担当者を同席させて説明すればよい
- 今期の予定調達額を答える
決算報告は、基本的にこの流れで行います。
2に関しては、社長自ら全ての数字を把握して説明できれば良いのですが、それは難しい場合もあるでしょう。
無理に挑戦して明解な説明ができないならば、経理担当者などを連れていき、「細かいことは経理担当者から説明します」などと言っておけば良いでしょう。
売上説明などを卒なくこなしていれば、それで「部下にまかせっきりだ」「数字に疎い社長だ」などとは思われません。
また、今期の予定調達額は事前に計算しておき、銀行から聞かれたらすぐに答えられるようにしておくことも大切です。
このとき、融資担当者だけではなく、融資担当役席や支店長などの上席者に同席してもらうのが望ましいでしょう。
普段は担当者とのみ接しているでしょうが、それだけでは人事異動で担当者が異動してしまった時に困ることになります。
そこで、複数人の上席者に対しても自社をアピールすることができれば、人事異動に備えることができます。

したがって、そのような人達にアピールすると、自社の良さをよく理解し、融資条件の交渉が有利になることもあります。
このほか、支店長の方針は支店の方針とほぼイコールですから、支店長と直接話をすることで、自社の融資に前向きであるかどうかを見極めることも可能となります。
以上のように、複数の銀行の支店長に決算説明をし、資金調達計画を伝え、それぞれ条件を出してもらいましょう。
最も条件の良い銀行から借りるのです。
年に一回、定期的にこのような取り組みを行なえば、銀行に対して貸してくださいと頭を下げる必要はなくなります。
むしろ、銀行は他行の動向を気にしますから、「ぜひうちから借りてください」と言ってくるになります。
銀行が「ぜひ借りてください」と言ってくるようになれば、自社から「いくら貸してください」と必要調達額を伝える必要もなくなります。
あくまでも、貸したいのは銀行だというスタンスを以って、「今期の調達予定は○○万円を考えています。良い提案あれば、ご提示ください」というように交渉していけるのです。
銀行は、「貸してください」と言ってくる大量の会社を相手にし、その審査に追われています。
逆に、銀行が「借りてください」と言える、審査の手間がかからない会社は、銀行にとってありがたい存在でもあります。
もちろん、会社は銀行からの資金供給で成り立つ側面がありますから、「借りてやる」「借りてやっている」などと考えるのは間違っています。
会社は銀行からかりてありがたい、しかし銀行も自社からの利息で儲けているということを認識し、対等の立場で交渉していくことが大切なのです。

業界最大手の資金調達プロなら、10社のうち9社で資金繰りが改善しています。
資金調達プロに関する関連記事はこちら
まとめ
本稿では、銀行の融資条件は基本的に銀行側に有利なものであることをお伝えしました。
そして、複数の銀行と取引していなければ条件交渉は難しいことを前提に、融資交渉の具体的な方法について書いてきました。
本稿の内容を参考に、適しているタイミングで交渉をしましょう。
できれば、決算に合わせて複数の銀行に決算報告に出向くのが良い方法です。
そのような取り組みを通して、何れ銀行が自社に「借りてほしい」と考えるようになればしめたものです。