銀行の与信判断は機械的。決算書によるスコアリングの仕組みを知る

会社が融資を受けるにあたって、決算書は非常に重要な資料となります。

もちろん、銀行は決算書を鵜呑みにしませんし、決算書以外の情報も与信判断に役立てます。

しかし、基本となる決算書で問題がある会社では、融資を受けることが困難になることは事実であり、機械的な与信判断を受ける可能性があることは認識しておくべきです。

本稿では、銀行の与信判断の考え方を、決算書とスコアリングの仕組みから解説していきます。

融資の基本は決算書にあり

銀行に融資を申し入れたとき、決算書は必ず徴求される資料です。

融資を申し入れた時点で求められるのは勿論のこと、借入れのある銀行に対しては、毎年決算期に提出しているはずです。

当然ながら、決算書は融資判断に大きく影響していることが分かるわね。

したがって、どのような内容の決算書ならば融資を受けられるか、審査に通りやすいのかなどを知りたいと思っている経営者は多いはずです。

決算書と融資の関係を学ぶにあたって、苦手意識を抱く人は多いことでしょう。

自社の決算書を積極的に読もうとする経営者はあまりいないもので、読もうとしても気後れしてしまう人が多いと思います。

確かに、決算書には細かい数字がたくさん並んでおり、これを深く理解するのは困難です。

細かい数字も、深く理解すればするほどいいのは事実ですが、まずは気後れすることなく、「いい決算書とはどのようなものか」ということについて、普遍的な、全体的な、基本的な考え方を学んでいくべきです。

決算書の発想は常識的

いい決算書とはどのようなもので、悪い決算書とはどのようなものか、この基本的な発想は、決して難しいものではありません。

なぜならば、この発想は至極常識的なものだからです。

決算書が常識的なものと言われれば、首をかしげる人もいるでしょう。

そこで、以下のように考えてみましょう。

例えばあなたが、AさんとBさんから「新型スマホを買いたいから10万円貸してほしい」と頼まれたとします。

Aさんは、新型スマホを買うだけの現金を持っていないものの、10万円をはるかに上回る財産を持っています。

一方、Bさんは、10万円の現金も持っていなければ、財産もありません。

この時、AさんとBさんのどちらに貸したいでしょうか。

特別な理由がない限り、つまり常識的に考えて、Aさんに貸したいと思うのが普通です。

Aさんならば、10万円の返済が難しい場合にも、財産を現金化することで返済してもらうことができます。

このケースでは、財産があるかどうかを基準として、常識的な判断を導いています。

ほかにも、

  • 借金が少ないAさん
  • 借金が多いBさん
  • 年収が高いAさん
  • 年収が低いBさん
  • 収入が安定しているAさん
  • 不安定なBさん
  • お金をいつも返してくれるAさん
  • 返してくれなかった過去があるBさん

などを比較しても、常識的に考えてAさんに貸すのが普通です。

このように、お金をどちらに貸すかという単純なケースで考えてみると、財産がある、収入がある、借金が少ないといった属性を持つ人のほうが、「返済してくれる可能性が高い」と判断できるため、融資するにふさわしいと考えることができます。

個人間の貸し借りでは、このようにいたって常識的な判断となりますが、銀行と会社の関係でも同じことだね。

銀行も、常識的に考えて貸して問題ないと思われる会社には、融資したいと考えます。

そして、この常識的な判断の根拠となる資料が、決算書なのです。

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スコアリングとは?

もちろん、全てが上記のAさんとBさんのように、非常に分かりやすいケースばかりではありません。

基本的には常識的な判断になると言っても、貸すべき相手と貸すべきではない相手が、完全に二極化するとは限りません。

実際の融資の現場では、もっと複雑な判断が求められます。

例えば、

  • 財産はあるが借金が多い
  • 収入は多いが財産が少ない
  • 収益が伸びているが過去に延滞歴がある
  • 収入が不安定だが借金は少ない

などなど、簡単ではないケースが普通です。

このような複雑なケースでも、常識的な判断が根底にありますが、判断は難しくなります。

判断が難しければ、とりあえず融資は見送るという判断もあり得ますが、そうとばかりは言っていられません。

銀行と会社が長年付き合ってきたならば、複雑なパターンだからといって、すぐに取引先を見捨てるわけにもいきません。

そもそも、お金を貸すことによって、金融の円滑化を担っている銀行が、複雑なパターンだからといって、すぐに融資を見送ることはできないのです。

そこで、銀行はスコアリングという方法を考え出しました。1社ずつ個別に評価することは、非常に手間のかかる作業です。

しかし、決算書の内容を点数化して評価できるシステムを作れば、複雑な状況の会社も明確に点数化し、融資すべき・融資すべきではないという判断ができるわけです。

これも、個人の例で考えてみるとよくわかります。

年収が多ければ多いほど、きちんと返済してもらえる可能性は高いため、スコアは高くなります。

年収3000万円以上ならば10点、2000万円以上ならば8点、1000万円以上ならば6点といった塩梅です。

財産にしても、総資産1億円以上ならば10点、8000万円以上ならば8点、借金ならば年収の5%未満が10点、10%未満が8点、といったスコアリングが可能です。

このように、基準を作ったうえでそれぞれの人を点数化していくと、Aさんは80点だから融資しても大丈夫、Bさんも50点だから貸せる(少し慎重になる)、Cさんは20点だから融資は難しい、といった判断ができます。

「銀行はスコアリングの結果によって判断している」と聞けば、会社には理解できない方法で判断しているように見えるかもしれません。

しかし、上記のような常識的な考え方によって判断しているのです。

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融資条件もスコアリングの影響を受ける

ここまで読んで、銀行は会社の決算書を受けて、スコアリングによる評価を行い、融資判断に役立てている、その評価は多分に常識的なものである、ということが分かったと思います。

では、スコアリングの評価が、実際の融資にどのように影響してくるのでしょうか。

例えば、ある銀行では、決算書によってスコアリングを行った結果、30点以上の会社には融資する方針を立てたとします。

しかし、スコアが30点の会社と90点の会社があった場合、どちらも30点以上だから同じ条件で融資するというわけにはいきません。

どちらの会社も、スコア的には融資できるレベルですが、両社の内容には大きな差があります。

そこで、まったく同じように融資していたのでは、その貸し方は合理的であるとは言えません。

だからこそ、「融資条件」というものがあるんだ。

融資上限額、貸付金利、返済期間、担保の有無などを変化させるなどにより、スコアの違いを貸付条件に反映していくのです。

この場合にも、スコアリングが役に立ちます。

融資条件を1社ごとに細かく検討していくことは、非常に手間がかかります。

しかし、スコアリングの点数によって、

「スコアが○~○点の会社ならば、融資上限はいくら、金利はいくら、返済期間はこう」

と決めやすくなるのです。

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スコアリングが融資条件を左右する例

実際、銀行は取引している会社を、スコアリングの結果に応じてグループ分けしています。

それぞれのグループごとに、1年間でグループへの貸付がどれくらい貸し倒れになるかを調査し、

「スコアリング80点以上のAグループでは、年間の貸し倒れは融資総額の0.5%、60点以上80点未満のBグループでは、年間の貸し倒れは融資総額の1%」

といったデータを集めています。

そして、集まったデータを用いて、融資条件を変えることによって、リスクヘッジを図るのね。

例えば、スコアリングが60点以上80点未満のBグループにおいて、1年間で1%の貸し倒れが発生する場合、その貸し倒れによる損失は、融資条件をどのように変化させることでリスクを吸収できるでしょうか。

この時、Bグループへの融資総額が100億円であれば、年間の貸し倒れは1億円です。

この損失は、金利を1%上げることで吸収できます。年利1%の上昇により、利息収入が1億円多くなるため、リスクをカバーできるというわけです。

このような実態を知れば、経営状況があまり良くない会社に対して、銀行が高めの金利を要求してくる理由が分かると思います。

同時に、成績が良い会社では、非常に低い金利で融資を受けられる理由もわかるでしょう。

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まとめ:システマチックな与信判断に適応する

決算書の内容によって金利が変化する背景には、このような理由があるのです。

決算書の見方は基本的に常識にのっとったものであり、なおかつ決算書をスコアリングした結果、融資条件の決められ方も常識的なものであることが、よくわかると思います。

このようにシステマチックで、合理的で、ある意味では融通が利かない融資方針に対し、金融庁は「定性的な(数字に表れない)要素も重視しなさい」と指導していますが、現実的に全ての会社に対してそのような評価は困難であるため、スコアリングによる機械的な評価がなされるケースも非常に多いです。

決算書に表れない強みを磨いていくことも大切です。

しかし、自社が融資を受ける場合に、機械的な評価を受けている可能性が非常に高いものという前提に立って、良い決算書を作る努力をしていくことが大切だと言えます。

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