銀行と付き合いの薄い経営者や、起業したばかりの経営者の中には、銀行との付き合い方が分からないという人が少なくありません。
付き合い方が分からない場合、銀行の仕組みが良くわかっていないことが多いものです。
仕組みが分かれば銀行が望むものも分かり、付き合い方が分かってきます。
そこで本稿にて、銀行の仕組みを勉強していきましょう。
金融機関の種類
では、銀行を含む金融機関の情報を見ていきましょう。
政府系金融機関
政府系金融機関とは、政府が100%出資して運営されている金融機関であり、日本政策金融公庫という名前でも知られています。
日本政策金融公庫では、中小企業や農林漁業者への融資制度が豊富です。
金利が低い、固定金利である、長期融資も見込めるなどのメリットがあります。
また、民間の銀行は創業融資や創業したての会社への融資を渋るものなのですが、日本政策金融公庫には創業融資制度があります。
全国に152の支店があり、相談すれば創業計画書の書き方や融資申込の流れなどを教えてくれます。
都市銀行
都市銀行とは、いわゆるメガバンクを含む大きな銀行のことで、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などがこれに当ります。
日本全国に支店を持ち、海外とも活発に取引をしています。
取引相手は主に大企業であり、中小企業への融資には消極的です。

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地方銀行
地方銀行とは、各都道府県にある銀行のことです。
千葉銀行、静岡銀行、福岡銀行と言うように、○○(地名)銀行という名前になっていることが多いです。
地方銀行では、自行の商圏内の大手から中小に至るあらゆる企業と取引をしています。
また企業だけではなく、地方自治体や公立学校などの集金や引落なども引き受けており、その地方では強い基盤を持っている銀行です。
その地方で活動することが前提であり、地域活性化への取り組みにも積極的です。
このため、少額の融資から高額の融資まで、あるいは信用保証協会保証付融資からプロパー融資まで、色々な形での融資を取り扱っています。
信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合とは、市町村単位で活動しており、狭い商圏で活動する金融機関です。
第一勧業信用組合、朝日信用金庫など、○○信用金庫、○○信用組合といった名前になっています。
信用金庫や信用組合も、地銀と同じく地元密着型の金融機関ですが、融資は基本的に保証協会保証付融資であり、金利は高めに設定されるのが普通です。

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銀行の特徴
銀行は、民間の組織ではあるものの、法律や制度によって画一的な仕組みを持っています。
各銀行における構造に大きな違いはありません。
したがって、銀行とうまく付き合いたいと思えば、色々な銀行と付き合っていく中で、自然とうまく付き合えるようになっていくことと思います。
銀行の構造は、まず支店があり、それよりも上に本部があるという構造です。
支店は、普通の会社で言うならば営業部に当り、企業は本部ではなく支店と付き合っていくことになります。
本部は、普通の会社における本社に当ると考えると良いでしょう。
また、本社で商品を考案し、支店で売るという構造になっています。
このように、銀行は一般の会社に当てはめて考えられる部分もあるのですが、中にはそうでない部分もあります。

ドラマ「半沢直樹」などと見た人は、銀行の特殊な体質を垣間見たことと思いますが、銀行は以下の通り、普通の会社には見られない構造を持っています。
- 組織が絶対的な存在であり、時に顧客を顧みないことがある。
- 支店内では支店長の裁量が大きい。
- リスクに非常に敏感であり、利益拡大よりもリスク回避を重視する。
- 銀行の投資対象、営業エリア、窓口時間、販売商品などが法律で規制されている。
- 債務者が返済不能となり、銀行は回収不能となったとしても、信用保証協会が回収を保証してくれる場合がある。
- 不正防止のために、2~3年で人事異動を行う。
このような特徴は、一般の会社では見られない特徴だと言ってよいでしょう。
これらの特徴は、銀行と交渉していく上で必ず知っておくべきものです。

つまり、自分がこれまで交渉してきた、相性の良い担当者が異動し、新しく担当になった銀行員との相性が悪ければ、銀行との付き合いがたちまち変化してしまうのです。
銀行員には、慎重なタイプと積極的なタイプがいるものです。
今までは積極的な担当者であるために融資に通りやすかったとしても、移動で慎重派の担当者に変わったために、融資が受けられなくなったということも普通にあることなのです。
また、ヒラの銀行員だけではなく、支店長も移動をします。
これまでは積極派の支店長だったものが、慎重派の支店長に変わったことで、その支店全体が融資に慎重になることもあります。
実際、資金調達に困っている経営者の話を聞いてみると、

という声をしばしば耳にします。
とはいえ、逆パターンもあります。
支店長や担当者が変わったことで融資を受けやすくなることもあるのです。
したがって、銀行の人事異動が会社に与える影響は、一概に悪いものばかりとは言えません。
このことから、「人事異動で支店長が変われば、全く別の銀行になったと思え」という考え方もあるほどです。
銀行と付き合っていく上で、この考え方は十分に知っておくべきことです。

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支店の周辺環境の影響も大きい
特に地方銀行や信用金庫に言えることですが、これらの銀行では、本部に近い支店の方が、他の支店よりも上に位置付けられます。
というのも、本部の周辺エリアには優良企業が多く、支店経営がラクに成り立つからです。
しかし、本部から離れたエリアの支店は、顧客選びに苦労し、ノルマ達成のためには積極的な営業を求められます。
これはあたかも、江戸時代に経済の中枢となる良い土地を天領として幕府が収め、そこから遠い土地は貧困に苦しみ、税金を納めるのにいつも苦労し、新田の開墾などを迫られていたことに似ています。
中枢から遠いエリアでは、いつも苦労が伴うのです。

まず、都会の大きな支店に対して、中小企業が交渉したところで、銀行はあまり見向きをしてくれません。
その他に優良企業との大きな取引がいくらでもあるのに、中小企業の小さな取引をする必要がないからです。
しかし、本部から離れたエリアならばどうでしょうか。
そのような小さな支店では、ノルマ達成のために積極的に融資先を求めていますから、中小企業が小さな取引の相談をしても、喜んで相談に乗ってくれますし、融資を出してくれる可能性も高まります。
このように、地域ごとの支店の違いを利用することも、資金調達では非常に役立つテクニックです。
得意分野も違う
また、支店ごとに得意な業種も違います。
支店ごとに、IT分野の融資に強い、医療分野の融資に強い、不動産分野の融資に強いなどの特徴があるのです。
ある支店に相談して断られたとしても、それは得意分野ではなかったからかもしれません。
他の支店に相談してみると、その支店の得意分野であったために理解が得られ、融資を受けられるということもあるかもしれません。
したがって、取引を検討している銀行の種類や特徴や地域、融資姿勢などを知ったうえで交渉していくことは、重要なことだと言えます。

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まとめ
一口に「金融機関」といっても色々な種類があり、それぞれに特徴があります。
まずは、自社の規模や目的に応じ、金融機関を使い分ける必要があります。
また、銀行における特殊な体質により、融資環境が大きく変化する可能性があります。
このような特殊な体質を知っておけば、融資環境の変化に備えたり、それを活用していける可能性もあります。
さらには、支店の地域からのアプローチも有効です。
本稿は短い記事ですが、その中で知り得た銀行の仕組みだけでも、銀行との交渉を有利に進めていくための材料が見つかったと思います。
当サイトでは銀行の仕組みについて、色々な角度から紹介していますから、ぜひもっと知識をつけ、交渉に活かしてみてください。