融資を引き出す創業計画書の書き方を徹底解説

起業する際にはまだ実績もなく、民間の金融機関では借りられる可能性が非常に低いため、日本政策金融公庫から借りたり、制度融資を利用して借りる必要があります。

この時に必要となる資料の中でも、最も重要なものが創業計画書です。

創業計画書の内容から、融資すべき案件かどうかを判断することになるため、創業計画書を正しく作らなければ融資を受けることはできず、したがって起業することもできません。

では、創業計画書はどのように書けば良いのでしょうか。

本稿では、創業計画書の全般にわたる書き方を徹底的に解説していきます。

目次

まずは必要な書類を把握しておこう

日本政策金融公庫や制度融資から融資を受ける際には、様々な書類を求められます。

必要書類を大きく分けると、以下の三種類となります。

  • 融資を申し込むために必要となる書類
  • 面接などを通して求められる書類
  • 必須ではないものの、融資に有利になる可能性がある書類

資料の多くは、インターネットからダウンロードすることができます。

したがって、全ての資料を窓口に出向いたり、問い合わせたりして取り寄せるのではなく、ダウンロードできるものはダウンロードして入手することによって、スピーディに資料を揃えていくことができます。

本稿で学んでいく創業計画書も、その書式は日本政策金融公庫や保証協会のサイトからダウンロードすることができます。

創業計画書の書き方「創業の目的と動機」

では、ここから創業計画書の書き方を見ていきましょう。

創業計画書で最初に求められるのは、創業の目的と動機です。

なぜこれが聞かれるのかと言えば、これによって起業する理由や熱意を知ることができるからです。

起業の理由は人それぞれです。

社会貢献のために情熱をもって臨む人もいれば、儲かりそうなアイデアだと思って起業する人もいるでしょう。

今の会社には将来性がないと思って、起業によって生活を確立したい人もいると思います。

しかし、起業する理由は異なっても、ノープランでテキトーに起業しようとする人はいません。

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何か理由があって事業を選び、起業しようとしているのだ!

さらに、すぐに潰れてもいいと思って起業するわけではなく、起業すればできるだけ長期間にわたって取り組んでいきたいと考えているはずです。

その中で、社会貢献や個人的な利益を求めていくのです。

つまり、その事業を選んだ理由や、長期間にわたって取り組みたいと考えている理由が、創業の目的や動機によって明らかになるのです。

ここでブレているようならば、その起業が成功するとは思えません。

金融機関としては、具体的な計画はさておき、最初にこれを知りたいと考えて当然です。

動機を考えよう

この項目は「創業の目的と動機」となっていますが、動機から考えるのが良いでしょう。

なぜならば、動機はスタートであり、目的はゴールだからです。

動機に書くべきことは、事業に対する思いです。

例えば、その事業を通して社会にどのように貢献していきたいのか、といったことが動機になります。

単に個人的なお金儲けをしたいという動機の人もいるかもしれませんが、公的な融資制度を利用するのですから、やはり公的な貢献を動機とした起業が望まれます

もちろん、会社の第一の目的は利益を上げることであり、個人的な利益を求めてはいけないということではありません。

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しかし、個人的な利益だけを求める会社がうまくいかないのも事実よ。

社会と接する中で利益は生まれるものなのですから、社会的に意義ある会社でなければ、やがて経営が困難になる可能性が高いのです。

したがって、個人的な利益を求めるという動機では、融資しにくいと思われてしまいます。

個人的利益を第一の目的にしている人も、個人的利益を度外視した場合に、その事業が社会にもたらす利益を考えてください。

それが、創業を通して会社が成し遂げていく役割となります。

そして、それが事業の推進力にもなります。

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目的を考えよう

次に、ゴールにあたる「創業の目的」を書いていきましょう。

動機はスタート地点であり、起業する人の主観的な思いを書くものだと言えます。

しかし、目的はそうではありません。

目的とは、その事業を通して成し遂げたいこと、社会にもたらしたい影響であり、同時に社会からみて好ましい影響であり、客観性をもって考えるべきものです。

目的が明確であれば、融資も出しやすくなるものです。

例えば、特定のお客さんに商品やサービスを提供し、それを通して具体的な貢献を目指すという目的を持っていたとします。

その目的に説得力があり、納得できるものであれば、それは商品やサービスがお客さんに支持され、会社の利益にもなると考えられるため、融資を出す理由になるのです。

したがって、創業の目的を考えるにあたっては、創業後にターゲットとしていく顧客層の思考や行動を踏まえましょう。

決して独りよがりではない、客観性のある目的を作っていくことが大切です。

創業計画書の書き方「事業の経験」

次に、創業する事業の経験を問われる項目を書いていきます。

経験を問う理由は、それによって「その人がその事業を行う必然性」を把握するためです。

例えば、飲食店でシェフとして長年働いていた人が、自分のレストランを持つという創業計画を立てたとしましょう。

この場合には、経験や実績があり、ノウハウやスキルもあるため、事業を成功に導ける資質があります。

そして、その能力を背景とアイデアを以てレストランを開業するのですから、その人でなければならない必然性があります。

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もし、全くの未経験である分野で起業しようとするならば、そこに必然性はないだろう。

独創的なアイデアだけでは事業は成功しにくいものですし、他に経験やノウハウなどがあるうえで開業したい適任者はいくらでもいるのです。

金融機関は、そのような必然性のある人に融資したいと考えるでしょう。

日本政策金融公庫の「新創業融資」などでも、起業しようとしている事業に6年以上携わった経験があることを条件としています。

このことからも、過去の経験が求められていることが分かると思います。

経歴と強みをアピールする

この項目を書く際のポイントを見ていきましょう。

ここでは、事業の経験を略歴と共に記載し、資格なども記載します。

いわば、就職活動における履歴書のような役割と言えます。

就職活動のために履歴書を書く際には、何も考えずに略歴や資格などを書くのではなく、希望する会社の理念や事業内容に関連付けて書こうとするはずです。

創業計画書でも同じで、自分の経験やノウハウやスキルをアピールするつもりで、創業しようとしている事業に略歴や資格を関連付けることを意識しましょう。

これは、自分の強みをアピールするということでもありますが、長所や強みといったものは自分ではわかりにくいものです。

そこで、ここでの記載内容に戸惑いを感じている人は、以下のように考えてみてください。

技術力から考えてみる

技術力は、事業の成功のために重要です。

その事業を進めるうえで役立つ特殊な技術を証明するために、資格などを持っているならば、それは強みとなります。

ただし、具体的であればあるほど良く、例えば単に調理師免許を持っているというだけでは強みになりにくいものの、一般の調理師にはまねできない調理技術を持っている場合に強みとなります。

もちろん、独自技術を開発して事業を立ち上げようとしているならば、特許権なども大きな強みとなります。

スキルから考えてみる

スキルは、事業に直接関係あるスキルはもちろんのこと、個人的な資質に関するものでも構いません。

例えば、これまで務めてきた会社での経験から、

  • 接客スキルには自信がある
  • 部下の教育を得意としている
  • プレゼンテーションの能力に定評がある
  • ITスキルを実務の中で磨いてきた

などが考えられます。

資格などのように目に見えるものではありませんが、これも間違いなく強みとなります。

ノウハウから考えてみる

ノウハウも、これまでの経験から蓄積されていくもので、その意味ではスキルと似ています。

しかし、スキルは実務に伴う技術的な意味合いが強いのに対し、ノウハウは実務の能率化などに役立つ方法的な意味合いが強いものです。

例えば、それまでの経験を通して、

  • 効率的に仕入れるためのノウハウ、
  • 在庫管理を適切に行うためのノウハウ、
  • 新規顧客獲得のためのノウハウ、
  • リピーター獲得のためのノウハウ、
  • 銀行交渉のノウハウ、
  • 専門家との協力体制を築くためのノウハウ

など、色々なノウハウが考えられます。

以上のような強みを考えて、創業計画書に反映していきましょう。

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より具体的に強みを知るためには、過去の実績をリストアップしていくのも良い方法よ!

上記の通り、金融機関は、過去の経験や実績が豊富なほど事業が成功する確率が高く、融資する価値も高いと考えます。

したがって、過去の実績をリストアップしてみて、アピールポイントを探していくのです。

例えば、

  • 企画を考案してある商品の売上を2倍に伸ばした
  • 企画によってある商品のブランド的地位を築いた
  • 自分の開発した商品がテレビで取り上げられた
  • 調査に携わって多くのデータを蓄積している

など、色々な実績が考えられます。

そのような実績があるならば、事業を推進していく実力があると印象付けることができます。

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経験が不足している場合には?

ただし、中には経験が乏しい状態で起業しようとしている人もいるでしょう。

例えば、実務経験のない人が、学生時代に温めたアイデアによって、卒業と同時に創業するようなパターンです。

このような場合には、過去の経験を強みとすることは難しいです。

しかし、自分の経歴を洗い出してみると、その事業と関連付けられる部分が見つかるかもしれません。

未経験だからこそ、思いがけない斬新な観点から事業計画を立てられることもあります。

他にも、全く別の業界で事業を立ち上げようとする人もいるでしょう。

例えば、化粧品会社で宣伝業務に携わっていた人が、レストランを開業するような場合です。

その場合にも、経験が不足していると思われがちですが、やはり経歴や経験を新規事業に関連付けることができます。

化粧品会社で宣伝業務に携わっていたならば、女性のニーズに関する知識が豊富であり、流行などにも敏感でしょう。

そのため、レストランの顧客ターゲットを女性に絞ることで、強みとなるかもしれません。

創業計画書の書き方「取扱商品・サービス」

次に、その事業で販売する商品やサービスについて説明していきます。

経営の柱であるヒト・モノ・カネのモノにあたる部分を説明していきます。

創業時は資金繰りが厳しく、商売の規模も小さいため、商品やサービスが重要です。

極端に言えば、できるだけ初期投資がかからず、利益率が高く、売上の回収もしやすいような商品であれば最高だと言えるでしょう。

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そのような完璧なものではなくとも、商品が優れていることが重要だ!

商品が優れていれば、ネット社会の現代ではSNSなどで拡散されて販促につながる可能性が十分にあります。

つまり、その商品そのものが広告塔となるのです。

したがって、創業してから販売する商品・サービスにはこだわりや強みがなければ、創業してもうまくいくはずはなく、融資が出ることもありません。

創業計画書では、取り扱う商品とサービス、そしてセールスポイントの記載を求められます。

日本政策金融公庫の創業計画書は、記載欄の上段に商品とサービスの名前、内容、値段を記載し、下段にセールスポイントを記載します。

信用保証協会の創業計画書では、強みとセールスポイントをまとめて書きます。

名前・内容・値段

まず、商品とサービスの名前ですが、ネーミングと売上は密接な関係にあります。

そのため、創業計画書に記載する名前も魅力的であるに越したことはありません。

内容は、それによって売れるものだとアピールする必要があります。

そのためには、その商品・サービスのメリットやターゲットなどを明らかにすると書きやすいでしょう。

例えば、他社製品にはない性能、優れたデザイン性などの眼に見える部分のほか、こだわりぬいた素材や産地などもアピールポイントとなります。

値段も、商品の人気に大きく影響します。

商品の値段設定によって、低価格路線か高価格路線かに分かれますから、会社のコンセプトや方向性にも大きな影響を与えます。

もし、値段設定を間違ってしまえば、それによってうまくいかなくなる可能性もあります。

価格設定にあたっては、低価格路線・高価格路線のいずれかに方向を定めておきます。

低価格路線ならば原価を抑える戦略を、高価格路線ならば付加価値を上げる戦略などを考えます。

戦略が決まれば価格も見えてくるでしょう。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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強みとセールスポイント

商品の強みとセールスポイントを記載する際には、それによって商品が売れる根拠を示すことを意識しましょう。それを考えるにあたっては、

  • どんなメリットがあるか?
  • どんな付加価値があるか?
  • 時間的価値はあるか?
  • 安全的価値はあるか?
  • ブランド価値はあるか?

といった観点から考えると分かりやすいと思います。

上記のポイントを踏まえて、「なぜ売れるのか?」という根拠を考えてみましょう。

すると、

「なぜお客さんは買ってくれるのか?」

  • →「この商品のこんなメリットを評価してくれるからだ」
  • →「原価を抑えて他社の商品よりも安いし、品質も劣らないからだ」
  • →「ただ商品を売るだけではなく、無料相談サービスも充実しているからだ」
  • →「受注から〇時間以内の発送をモットーとしているからだ」
  • →「セキュリティ性能にすぐれているからだ」
  • →「有名大学と提携して開発しており、ブランド価値があるからだ」

など、色々な考えが浮かぶと思います。

それが、そのまま強みやセールスポイントとなります。

創業計画書の書き方「必要資金」

必要資金とは、創業のために必要となる資金のことで、融資を希望する金額でもあります。

ここでは、単純に金額の多寡を伝えるだけではなく、資金使途を伝える意味合いもあります。

したがって、必要資金の欄では、その資金使途を通して、創業計画の現実性や本気度を知ってもらい、計画のためにはそれだけの資金が必要だとアピールすることを意識する必要があります。

資金使途は、民間の金融機関でも、公的金融機関でも非常に重要視される部分です。

なぜならば、資金使途が明らかでなければ、融資したお金が事業と関係ないところで使われてしまったり、事業と関係があっても効果の見込めないところで使われたりする可能性があるからです。

そうなれば、せっかく融資したお金が利益に結び付かず、起業がうまくいかず、融資金の回収も困難になるかもしれません。

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だからこそ、資金使途には敏感になるのだ!

開業資金の融資で、資金使途として認められるのは、開業準備資金とつなぎ資金だけです。

事業が軌道に乗らない時期の赤字補填資金や、生活資金などは対象とはならないので注意が必要です。

あくまでも、事業のための資金なのです。

資金使途を記載する際には、設備資金と運転資金に分けて考える必要があります。

設備資金

資金使途のうち設備資金は、店舗を借りるための保証金や、開業のための内装工事、必要となる機材などを揃えるための資金のことです。

設備資金を記載するためには、業者から見積もりを取った上で正確に記載し、見積書も添付します。

店舗や事務所を借りるならば、契約書の写しも添付します。

融資を希望する必要資金のうち、設備資金は見積書や契約書などによって証明できるため、納得されやすいことが特徴です。

資金使途違反に注意

もちろん、融資を受けたからには、伝えた通りに使わなければ資金使途違反となります。

設備資金として融資を受けておきながら、計画を変更して一部の設備を購入せず、浮いたお金を自由に使ったとなれば、立派な資金使途違反です。

また、融資を受けた後にもっと安い業者を見つけて乗り換えた場合にも、資金使途違反となります。

資金使途違反を犯した会社は、その後公庫や保証協会を利用して融資を受けることが困難となり、場合によっては一括返済を求められることになります。

起業後は、いずれ民間の金融機関から融資を引き出していくこととなり、取引実績のないうちは信用保証協会の保証も必要になることでしょう。

つまり、資金使途違反によって保証協会の協力を得られなくなると、民間の金融機関からの融資が困難となります。

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かといって公庫からも借りられないのだから、経営を続けることが困難となるよ。

また、資金に乏しい起業間もないタイミングで、資金使途違反に問われて一括返済を求められても、返済は不可能です。

つまり、資金使途違反を犯してしまえば、それによって経営破綻に陥る可能性もあります。

そうならないためにも、創業計画書を作る際には本当に必要な資金使途を記載すること、計画段階で見積書を十分に比較し、最も条件の良い業者を見つけておくことを考えましょう。

運転資金

運転資金は、設備資金のように使い方が厳密に決まっているものではありません。

したがって、事業を始めてから商品を販売するまでに必要となる資金、そして売上を回収するまでに必要となるつなぎ資金を見積もった上で記載していきます。

簡単に考えるならば、開業にあたって必要となる経費のうち、設備投資に含まれないものは全て運転資金と考えるのが良いでしょう。

開業のためには、色々な設備を整えるだけでは不十分です。

色々な消耗品をまとめ買いしておく必要もあるでしょうし、従業員への給料や光熱費、事務所家賃などの経費も確保しておく必要があります。

宣伝広告費やホームページ制作費、交通費なども、ある程度は見積もっておくべきです。

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これらを適切に見積もったものを、運転資金として記載していくよ!

設備資金のように、見積書や契約書などの明確な根拠がないだけに、審査は厳しく行われます。

その金額が本当に必要であり、返済は可能かという視点で審査されますから、審査結果によっては満額の融資が下りないこともあります。

このため、資金繰りに余裕を持たせたいからと言って、余計に運転資金を計上していても、認められない可能性が高いです。

また、本当に必要な経費を記載し忘れると、開業後の資金繰りに困るかもしれません。

したがって、運転資金を計算する際には、必要なだけの経費を漏れなく記載することを心がけましょう。

創業計画書の書き方「自己資金」

次に、日本政策金融公庫の創業計画書では「必要な資金と調達の方法」、信用保証協会の創業計画書では「自己資金・借入金」という項目があります。

この項目では、自己資金として準備する金額を記載することによって、不足額を明確にします。

起業にあたっては、設備資金や運転資金が必要であり、そのために資金調達が必要です。

資金調達の方法は、次の4つが考えられます。

  • 第三者から出資してもらう
  • 第三者から借りる
  • 補助金や助成金を受ける
  • 自分で用意する

このうち、第三者からの出資を受ける、補助金・助成金をもらう、自分で用意するという方法で準備した資金は返済の必要がありません。

そのため、万が一うまくいかなかった場合に返済不能となるリスクがないため、可能な限り集めたい資金と言えます。

しかし、これから創業する人の多くは実績などもなく、出資を受けることは難しいです。

補助金も倍率が高いため需給は難しく、受給できるにしても発生した経費を後払いで補助する仕組みですから、先払いするための資金が必要です。

したがって、創業のために必要な資金は、自己資金と融資によって多くを賄うのが普通です。

自己資金とは?

創業にあたって、自己資金をそれほどたくさん用意できない人も多いですし、それが普通と考えるかもしれません。

しかし、自己資金をある程度出すことは、融資にできるだけ頼らずに身銭を切るということでもあり、本気度が現れる部分でもあります。

開業の際に用意する自己資金は、これまでに貯蓄しておいたお金、両親や兄弟などから借りたものの、「ある時払いの催促なし」で返済の必要性がそれほどないお金を自己資金とします。

自分の貯蓄を出したり、家族などの身近な人を巻き込んだりして自己資金として起業に臨むならば、それは本気度が高いということができるでしょう。

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しかし、これはなにも、自分の貯蓄を100%はたいて自己資金を作るということではないわ!

起業しても必ずうまくいくとは限らないのですから、万が一に備えて定期預金などの個人資産は取っておく必要があります。

したがって、基本的には金融機関から借りられるだけ借りて、創業資金を賄うべきです。

これが基本であって、融資を受けられる部分まで自己資金で賄う必要はありません。

儲けられるかどうかも分からない段階で、たくさん借金を作るのは怖いと感じる人もいるでしょうが、それは考え方が逆です。

創業後間もないときは信頼も実績も乏しく、資金調達が困難なのですから、そのような中で借りられるだけ借りておかなければ、資金繰りが行き詰って経営が破たんする可能性も高いのです。

儲けられるか分からない段階だからこそ、借りられるだけ借りると考えてください。

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そして、それだけの融資を引き出すために、自己資金を使うのだ。

日本政策金融公庫では、自己資金の9倍が融資上限となり、制度融資では自己資金と同額が融資条件となります。

公的金融機関では、自己資金の量に応じて本気度を量るうえで、このような制限を設けていると言えます。

自己資金ゼロで、身銭を切らずに創業を計画している人から、本気度はあまり感じられません。

だからこそ、融資もできません。

準備できる自己資金が少ない人も、本気度はそれほど感じられないため、融資上限額も小さくなります。

自己資金をある程度準備し、それなりに身銭を切って創業に臨むからこそ、本気度も感じられ、融資上限も引き上げられるのです。

したがって、創業資金を3000万円必要としているならば、例えば自己資金として400万円準備します。

制度融資から400万円の融資を受け、さらに日本政策金融公庫から2200万円の融資を受けることといった形で3000万円を準備することができます。

創業計画書の書き方「取引先と回収条件」

創業計画書では、取引先についての記載も必要です。

日本政策金融公庫の創業計画書では「取引先・取引条件等」、信用保証協会の創業計画書では「販売先・仕入先」となっています。

すでに取引先がある程度分かっている場合には、それについて記載します。

シェアや掛け取引の割合、回収・支払い条件なども分かっているならば、それを記載すると良いでしょう。

販売先が分からない場合

しかし、これから開業するという段階なのですから、販売先もこれから開拓していくものであり、計画段階では明確でないことも多いと思います。

小売店や飲食店などを開業するならば、誰がお客さんになるかなど事前に分かるはずもありません。

その場合には、ターゲットとなるお客さんや販売先を記載し、シェアや回収・支払い条件や掛け取引の割合などについても、予測で書きます。

例えば、飲食店を開業するならば、一般個人がターゲットとなります。

その場合には、販売先を「一般個人(地元客)」「一般個人(観光客)」などに区別し、できるだけ具体的に書くのが良いでしょう。

シェアや掛け取引の割合なども予測ですが、クレジットカード払いが30%くらいだろうと予測するならば、掛け取引の割合は「30%」などと記載します。

仕入先

なおここでは、仕入先についても記載する必要があります。

仕入先や外注先、仕入れのシェア、掛け取引の割合、支払い条件などについて書きます。

考え方としては、販売先を記載するときと同じような感覚で良いでしょう。

ただし、仕入先を記載する際には、そこに事業の継続性という観点が必要となります。

戦略を以て販売し、売上と利益を確保したとしても、一回きりではなく、会社はそれを繰り返していく必要があります。

そのためには継続的に仕入れる必要があり、そのような取引先を確保しているのかということを見られるのです。

いくら仕入れても、販売先がなくて販売できなければ意味はないです。

そして、いくら販売先があって販売ができても、仕入先や外注先が安定していなければ継続は不可能です。

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この意味において、販売先と仕入先は両輪のような関係にあるよ。

仕入先・外注先を書く際には、商品や原材料を仕入れる相手となる業者、あるいは商品の制作を外注する業者などについて記載していきます。

それがしっかり書かれていれば、金融機関は継続性のある事業とみなすことができ、評価につながります。

また、仕入先との取引条件を記載することで、融資を希望する運転資金の裏付けにもなります。

考え方のポイント

取引先と回収条件の記載を通して、事業の実現性や資金繰りの様子が見えてきます。

例えば、取引先と回収(支払い)条件の予測を記載すれば、その事業でターゲットとする顧客層や、取引する会社が明らかになりますし、事業戦略なども分かります。

また、予測している取引先を記載できるということは、それだけ事業計画に具体性や実現性があるということでもあります。

計画段階だから取引先の予測などできないと考えているならば、創業計画書の内容としてはかなりネガティブなもとになってしまいます。

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このほか、回収(支払い)条件が予測できていれば、資金繰り計画も立てやすくなるよ!

回収条件において、回収期間が長ければ運転資金は多く必要となり、回収期間が短ければ運転資金は少なくてもいいかもしれません。

支払い条件でも、同じように考えることができます。

つまり、ここの記載によって予測される資金繰りが分かるのです。

金融機関も、このような考え方でこの部分を見ていくため、マイナスの印象を与える記載にならないようにしましょう。

創業計画書の書き方「収支計画」

次に、収支計画を設定します。これは、売上や利益や経費などをひっくるめた、損益の見通しのことです。

創業計画書の中でも、収支計画は非常に重要です。

なぜならば、事業に期待する損益の状況がここに現れるからです。

ここで売上が見込めなければ利益も得られず、事業は成り立ちません。

また、金融機関への返済は利益の中から行うのですから、返済に見合うだけの売上や利益がなければ返済もできないのです。

創業計画書の収支計画は、まず売上目標を記載していきます。

初年度と2年目以降の売上目標を記載するのですが、これはあくまでも予測です。

ここで言う2年目以降の売上とは、事業が軌道に乗った後の売上予測のことです。

創業してすぐに売上が安定することはほとんどなく、軌道に乗る以前と以降では売上にも大きな差が出ます。

そこで、初年度に軌道に乗る前の売上を、2年目以降に軌道に乗った後の売上を記載することで、売上をどこまで伸ばそうとしているのか、つまり売上目標を金融機関に伝えます。

ただし、売上計画を立てることは、決して簡単ではありません。

開業資金の予測を立てる時は、何にいくらかかるかという計画を立てるだけであり、それほど難しくありません。

これに対し、売上は自分が決めるものではなく、購入してくれる相手があって決まるものですから、予測が難しいのです。

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しかし、だからといって安易に決めてしまうのもいけないのだ。

「これくらいの売上があったらいいな」という希望的観測で記入してしまう人もいますが、それは希望であって計画ではありません。

そこで、現実的な売上計画を立てることを意識しましょう。

売上は、商品やサービスの単価に、販売数をかけて算出するものですから、販売を予定している商品ごとに現実的な販売数を予測し、全体での売上を計画します。

販売数の予測法

もちろん、販売数の予測は簡単ではありません。

販売数を予測するためには、以下の観点から考えます。

販売数の予測は、販売戦略をどのように考えているかによっても変わります。

販売戦略と販売数の予測は、以下のように考えます。

特定の事業者に対して、こちらから積極的に営業をかけて販売する(飛び込み営業など)

この方法では、創業計画の段階で見込み客がある程度決まっていると思います。

仮注文をもらっている場合もあります。

したがって、見込み客の数や取引内容から販売数を予測し、売上計画を立てることができます。

不特定多数の相手に対して情報を発信し、求めに応じて販売する

(不特定多数にチラシを配布する、インターネット広告を出稿するなど)

この場合には、商圏内人口から予測する場合と、店舗の規模から予測する場合があります。

商圏内人口から予測するならば、現地の人の流れや、近隣の商業施設にヒアリングするなどして、

商圏内人口×ひと月あたりの来店頻度×自社への入店率

から予測します。

次に、店舗の規模から予測数する場合には、

席数×稼働率×1営業日の目標回転数×営業日

として計算します。

稼働率は、60~80%くらいで考えます。

たとえ満席にする自信があったとしても、4人がけの席に2人で座ったりするケースもありますから、稼働率を100%としてはいけません。

目標回転数は、1時間当たりの平均回転率の予測に、営業時間をかけて計算します。

不特定多数に対して積極的にアプローチし、見込み客を作って販売する

(セミナー参加者に営業をかける、メルマガ会員に営業をかけるなど)

この場合には、販売の可能性がある潜在的な顧客、たとえばメルマガ会員などを基準に、そのなかで顧客になる割合から予測します。したがって、

潜在顧客数×実際に販売につながる割合

として販売数を予測します。

上記の方法に当てはまらない場合

上記の3通りの予測方法に当てはまらない場合には、以下の中から最適なものを選んで売上を予測してみてください。

  • 商品単価×市場規模×自社のシェア(目標)
  • 面積当たりの売上目標×面積
  • 営業マン(販売員)一人あたりの売上目標×営業マン(販売員)の人数
  • 設備の生産能力×設備の数×稼働日数

収支計算の考え方

さて、今ここでは、収支計画を立てようとしているわけですが、そもそも収支計算とは、「その事業年度の損益を集計したもの」です。

このようにシンプルに考えて、売上がどれくらいであり、原価や経費はどれくらいであり、利益はどれくらいになるという予測をやっていけばよいことが分かります。

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収支計算では、売上と費用を紐づけて考える必要があるよ!

また、資産や負債、そして資本金は収支計算に含めてはいけません。

収支計算は、売上から費用を差し引き、あくまでも損益を計算するものだと考えましょう。

売上原価

収支計算のためには、売上原価と販管費を計算する必要があります。

また、販管費よりも売上原価の方が利益に与える影響が大きいことから、この二つは分けて考える必要があります。

ここで記載する売上原価の予測値は、

売上原価=商品1つあたりの売上原価×販売予測数

として計算します。上記で割り出した販売数の予測を、ここで用います。

ではその商品1つあたりの売上原価はどのように考えるのでしょうか。

これは、事業内容によって異なります。

【自社で商品を作る場合】

起業を予定している事業が製造業や建設業であれば、自社で作る商品を販売することになります。

この場合、同じ商品を繰り返し生産して販売する事業であれば、

商品1つあたりの原価=商品1つあたりの材料費+商品1つあたりの人件費+商品1つあたりのその他経費

として計算します。その上で、販売予測数と掛け合わせます。

もし、オーダーメイドの商品を売っているならば、注文1件あたりの原価が異なります。

その場合には、そのオーダーメイドの注文を1件ごとに、材料費と人件費とその他経費を足して原価を算出し、全注文の合計を売上原価とします。

【他社から商品を仕入れる場合】

小売業などであれば、他社から仕入れた商品を販売します。

この場合には、商品1つあたりではなく、売上原価をそのまま計算します。

売上原価を計算するためには、取扱商品を売上の高い順に3グループに分けます。

最も売上が高いグループの原価率を標準原価率(会社全体の平均的な原価率。そのグループの予測原価を販売予定価格で割って算出する)として用います。

その上で、

売上原価=予測売上高×標準原価率

として売上原価を算出します。

【製造も仕入れも行わないサービス業の場合】

サービス業の計算は特殊ですが、簡単です。

まず、コンサルタントや人材派遣業といった、製造も仕入れも発生しないサービス業では、売上原価はかかりません。

したがって、売上原価は0円として計算します。

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一方、仕入れが必要となるサービス業ならば、それを原価とするよ!

レストランならば食材などの仕入れが必要であり、美容院ならばシャンプーやパーマ液などを仕入れます。

その場合、それぞれを売上原価として計上し、残りの費用を後述の販管費として処理します。

なお、売上原価と言えば、仕入れ代金だけを考えがちですが、実際には売上を得るために直接かかるコストのことです。

したがって、仕入れにあたって必要となった運送料、仕入れた原材料を製品に加工するために働く工場スタッフの人件費、完成した商品を梱包するための費用なども売上原価となります。

販管費

販管費は、商品を販売する際に必要となる販売費と、会社を管理するために必要となる管理費などのことです。

業種によって発生する費用には違いがありますが、創業計画書にあらかじめ設けられている項目(人件費、家賃、支払利息、光熱費など)を埋めていくようにします。

売上総利益・営業利益

売上総利益(粗利)の欄には、売上から売上原価を差し引いたものを記載します。

ここで売上総利益が大きいことが分かれば、事業の実現性も高まります。

営業利益は、売上総利益から販管費を差し引いたものを記載します。

売上総利益だけではなく営業利益も確保できなければ、事業そのものの収益性を評価することはできません。

いくら売上総利益が確保でいていたとしても、色々な経費で粗利を食いつぶしていては意味がないのです。

経費を洗い出す

収支計画では、経費の予測が非常に重要です。

ここで読みを誤り、本当に必要な金額よりも少なく見積もってしまい、十分な融資を受けなかったとすれば、資金ショートのリスクが高まってしまうからです。

そこで、経費を以下のように綿密に考えてください。

人件費

創業にあたって必要となる人件費ですが、自分に支払う役員報酬もここに含みます。

従業員を雇うならばその人件費を記載し、賞与の支払いも決めているならば、年間の賞与支給額を12で割って、1ヶ月当たりの人件費に含んでおきます。

このほか、会社が負担する健康保険料や厚生年金、労働保険や労災保険などを考慮するほか、社員に支給する交通手当、求人募集日、研修費なども漏れなく加算しておく必要があります。

家賃

ここには、店舗や事務所の家賃を記載します。

そのほかにも、在庫を保管する倉庫をレンタルしているならば、その家賃も含まれます。

駐車場代なども同じです。

支払利息

融資を受けて創業するのですから、支払利息も発生します。

創業計画書を作っている段階では、融資を受けられる額や融資条件も決まっておらず、正確な支払利息はわかりません。

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そこで、借入予定額と返済期間、借入金利を仮定して計算することになるよ!

借入予定額は、希望額を満額借りられたと仮定します。

返済期間も、自分が希望する期間で考えて構いません。

返済をラクにするためには、できるだけ長期間かけて返済する計画が好ましいです。

金利は、日本政策金融公庫や信用保証協会のサイトを参考に、希望する融資制度の種類や、担保や保証人の有無などから、どれくらいの金利になるか見当をつけて、予測に用います。

その他の経費

その他の経費も重要です。

創業と、予想外の経費によって苦しむことがないためにも、その他の経費を十分に考える必要があるのです。

したがって、次のような項目をもれなく計上していきましょう。

  • 広告出稿費用
  • 折込チラシ制作費
  • ホームページ制作費・管理費
  • カタログ製作費
  • 試供品製作費
  • サンプル配布費用
  • 展示会開催日
  • ダイレクトメール製作費・発送費
  • 配送費
  • 代理店手数料
  • 紹介手数料
  • 保険料
  • 消耗品費
  • 組合費
  • 新聞図書費
  • 修繕費・・・などなど

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収支計画の要とは

収支計画は、自信たっぷりに計画するのではなく、ギリギリ事業を継続できるラインで計画することが大切です。

そのためには、売上予測の際には「これくらいの売上は堅いだろう」と思えるところから、さらに2~6割目減りした数値で見積もるのがポイントです。

売上原価やその他の経費も、あとで思わぬ経費が発生して資金難に陥ることがないように、思いつく費用は全て洗い出すことが重要です。

なお、収支計画は、日本政策金融公庫の創業計画書では月単位、信用保証協会の創業計画書では年単位で記載する点にも注意してください。

まとめ

本稿で、創業計画書の書き方を徹底的に見てきました。

本稿の内容は、日本政策金融公庫と信用保証協会の、どちらの創業計画書にも対応したものです。

そのため、創業計画書をダウンロードしたのち、本稿と照らし合わせながら創業計画書の記載を進めていけるようになっています。

起業を成功させるのは非常に難しく、起業後に思ってもいなかった困難に見舞われることも多々あります。

しかし、計画段階で成功の見込みがなければ、起業は失敗に終わるでしょう。

難しいからこそ、計画段階で実現性が見込めなければならないのです。

そうでなければ、金融機関も融資してくれることはありません。

創業融資を引き出すためにも、創業計画書は念入りに作ってほしいと思います。

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