会社とは、成長し発展していくべきものですが、多くの会社が衰退していき、倒産していきます。
その中で生き残っていくためには、会社が成長し続けるためにも、利益を適切に投資に回していくことが重要です。
いわば、経営は利益の再投資の繰り返しでもあるのです。
しかし、そのためには正しい知識と方法によって投資する必要があります。
本稿では、利益を投資に回すことの重要性と、具体的な方法について解説していきます。
経営とは何か?
「経営とは何か」という命題は、非常に大きなものと思います。
経営者ごとに信条は異なりますから、経営とはこうであるという思いは異なることでしょう。
そして、その中には複数の正解があると思います。
何を軸として経営を捉えるかという問題であるとも思います。
私の知り合いの社長にこの問いを投げかけた時、こんなことを言っていました。
経営とは何か、それは色々なことが言えると思うけれども、経営者はマグロのようなものだと思う。
経営者という立場になったときから、ずっと泳ぎ続けなければならない。
止まったら、それは死ぬ時だ。
経営者も経営も、そういうものだと思う。
だから、経営とは成長を続けるために走り続けることだと思う。
これは大切な視点だと思います。
経営者となり会社を切り盛りしていくということは、
ただ漫然と会社を生き延びさせることではありません。
というよりも、漫然とした態度では、生き残りは困難でしょう。
会社は常に発展し続ける必要があり、その姿勢が失われたときから衰退が始まります。

そうならないためにも、確保した利益の再投資を繰り返していかなければならないわ。
端的に言って、経営は利益の再投資の繰り返しだとも言えるのです。
したがって、会社を発展させるためにはどうするべきか、特に利益の使い道をどのように考えていくかを知っておくことは、経営者にとってとても大切なことだと言えます。
節税の大小
会社の発展のためには利益の再投資を繰り返す必要があるわけですが、そのためには再投資に回す利益の確保が重要です。
このため、資金繰りを見直すことで利益を圧迫している要素を取り除き、再投資に回せる部分を増やしていくことが大切と言えます。
では、何が利益を圧迫しているのかというと、それには当然ながら色々な要素が挙げられると思います。
そんな中で、多くの会社が特に陥りやすいものを挙げるならば、節税が利益を圧迫しているケースが非常に多いです。
もちろん、節税策も様々ですし、会社の置かれている状況や利益の量によって、特定の節税策でも効果が得られたり、逆効果になってしまったりすることがあります。
そのため、節税を一概に論じることはできません。
そこで、節税を大小という目線で見ることにより、利益を圧迫する節税を明らかにしていく必要があります。

小さな節税と大きな節税という観点で見てみると、利益を圧迫する節税が分かりやすくなるんだ。
小さな節税とは
これは、社長や税理士は節税と思って取り組んでいても、実際には利益の垂れ流しに過ぎないということが多々あります。
例えば、
- 経費と称して重要ではないことにお金を使ったり
- 無計画に保険を契約したり
- 利益に見合わない役員報酬を支払ったりすること
これが、小さな節税に当ります。
このような意義の小さな節税に取り組んでいると、利益が流出してしまい、再投資に回すことはできません。
そのために会社の成長は止まってしまい、衰退を始めることとなるのです。
大きな節税とは
では、大きな節税とはどのようなものでしょうか。
上記の考え方によっても分かると思いますが、
適切な節税を図りつつも無駄な出費を防ぎ、確保した利益を再投資に回し、小さな節税をやめることで生じる法人税は潔く支払うことです。
成長を続ける会社とは、再投資に回すべき利益をきちんと稼いでいる会社のことです。
利益があがれば、当然支払うべき法人税も増えますが、それを問題視することはありません。
必要以上に法人税を嫌うことなく、借入総額の1%くらいの法人税は支払えるだけの利益をだすことを目指します。
これが、銀行からの評価にもつながり、投資に回す資金を融資によって賄うことも可能となります。
もっとも、利益を出しすぎることも問題です。
大きく利益を上げることはよさそうに見えるかもしれませんが、大きすぎる利益は無駄な法人税を生みます。
そのような無駄を防ぐためにも、稼いだ利益を再投資に回していくということが大きな節税です。
一般的な節税策を過信しない
社長や税理士が一般的に取り組んでいる節税策には、多くの問題があるものです。
上記の通り、節税のつもりで経費を垂れ流していることも多いのです。
これは、社長から相談を受ける税理士の立場に問題があると思います。

税理士は税務のプロであり、経営のプロではないんだ。
したがって、たとえ利益を減らしても節税になるならば職務に忠実であったということもできます。
会社の成長のためには、そのような考え方は間違いなのですが、発展を前提とした節税に取り組める税理士は少数派です。
会社を成長させ続けるためには、一般的な節税策を過信することなく、大きな節税を意識することが大切です。
どこに投資する?
会社の商品やサービスというものは、時間と共に陳腐化していくものです。
時間と共に顧客が飽きてくれば人気が落ちていきますし、他社の新商品に顧客を奪われることもあり、徐々に売れなくなっていくのです。
商品やサービスだけではありません。
従業員にしても、適切な昇給がなければ会社を去っていくのが普通です。
福利厚生の充実も欠かせません。
他にも、投資といえば機械の導入や店舗の増設などの設備投資、すなわちハード面での投資をイメージしがちですが、ソフト面の投資も考える必要があります。
ソフト面の投資とは、人材の採用や社員教育、新商品や新技術の開発・研究、宣伝などのことであり、これも重要な投資であることが分かるでしょう。
そこで、会社の現状を維持するため、できれば更なる発展を期するためには、自社の商品やサービス、従業員、その他に投資していくこととなります。
大きな括りで考えるならば、会社の発展のために使われる経費はすべて投資だと言ってよいでしょう。
利益は前倒しを意識する
利益を確保する節税などについては、当サイトで詳しく述べています。
ここで詳しく解説すると膨大な量になってしまうため、単に
「小さな節税によって利益の流出を招くことなく、大きな節税によって会社を発展させるべき」
とだけ書いておきます。

利益を確保するために、正しい節税に関する知識とともに重要となるのが、利益の出し方よ。
利益は、1年間の会計期間を通じて出るものですが、1年を通じて平均的な利益が出ることを目指すのではなく、できるだけ会計期間の前半で確保できるように工夫することが大切です。
なぜかと言えば、1年を通じて平均的に利益を出していると、利益の再投資がうまくいかないからです。
会計期間が半分経過した時、稼いだ利益は600です。
その後も毎月100の利益が出ると予測できますが、経営にはトラブルがつきものですから、それまでに稼いだ600の利益を投資に回すという判断が難しくなります。
しかし、同じように年間の利益が1200でも、最初の半年で900まで利益を稼いでしまい、残りの期間で300を稼いでいたらどうでしょうか。
年間で期待できる利益を早めに稼いでしまったことによって、確保した利益を投資に回すという判断ができます。
このように、利益の再投資のためには、稼ぐべき利益を早いタイミングで稼ぐことも大切なのです。

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適切な再投資のために
利益の再投資を正しく行なうためには、再投資に回す金額が適切でなければなりません。
それを決めるのは、いくら稼いでいるかということです。
適切な再投資よりも少なければ会社の成長が鈍化し、多ければ会社の安定性に支障が出ます。

だからこそ、儲かっている額を把握したうえで、投資に回してよい額を把握する必要があるんだ。
再投資の対象を正しく選ぶことや、投資するに足るアイデアであることなども重要なことです。
ですが、たとえそれらが正しかったとしても、投資額を誤れば思わぬマイナスをもたらします。
このことから、適切な再投資のためには、利益予測をできるだけ正確に行うことが重要だと言えます。
上記のように、利益ではできるだけ前倒しで稼いでいくべきですが、正確に利益を予測できるからこそ、
「これくらい前倒しで稼いだのだから、これくらいは再投資に回せる」
と正しく判断することができます。
逆に、利益予測ができていなければ、
「こんなに利益が出るなんて思っていなかった。どこにお金を使ったらいいだろうか?」
と考え、誤った投資をしてしまうことにもつながります。
正しい利益予測のためには、現状を正確に把握することが重要です。
例えば、
など、自社の現状を色々な点で正確に把握していてこそ、今期はどれくらい利益が出そうかという予測もできるのです。
もし、現状を把握できていないならば、正しい利益予測は不可能です。
というよりも、行き当たりばったりの経営をしてきたからこそ、現状を把握できていないのであって、それも成長を鈍らせる大きな原因となります。
- 現状を把握できないから行き当たりばったりになっているのか
- 行き当たりばったりだから現状を把握できないのか
鶏が先か卵が後かといった話になるかもしれませんが、いずれにしてもそのような会社は資金繰りに行き詰ることになるでしょう。
適切な再投資を考える余裕などありません。
そうならないためにも、自社の現状を正確に把握し、利益の再投資を可能にしていかなければなりません。
月次試算表を作ろう
当サイトではしばしば述べていることですが、利益がどのようになっているかを正確に把握するためにも、月次試算表を作ることが重要です。
この時に作るべき月次試算表は、売上や経費だけを計上する曖昧で簡易的なものではなく、経営判断に役立つ情報が盛り込まれたものでなければなりません。
データを関連付ける
まず、試算表で重要となるのは、売上と売上原価がちゃんと関連付けられていることです。
これが最低限必要の情報と言えます。
例えば、
試算表に使われているデータのうち、
- 売上は月末締めのデータ
- 売上原価に関するもの(仕入費や外注費など)は毎月15日締めのデータを使う
というように、売上と売上原価が関連づけられていない試算表は、経営判断を狂わせます。
売上と売上原価が関連付けられたデータであって、初めて正確な利益の状況を把握することができ、それが正確な利益予測につながるのです。
棚卸を把握する
月次試算表では、棚卸も考慮しなければ意味がありません。
棚卸を考慮しない試算表を作っている会社も少なくありませんし、中小企業では棚卸の負担を嫌うことが多いため、この傾向が特に顕著です。
しかし、棚卸を無視した試算表は、自社の正確な実態を把握するために役立たないのです。
なぜならば、仕入れたものがどれくらい売れたのかを把握できず、利益の把握もできないからです。
人件費も忘れない
人件費も、試算表に盛り込むべき情報です。
月初から月末までの間に、どれくらいの人件費が支払われたかを把握することは、利益予測に大変役立ちます。

上記に留意した試算表では、売上原価と人件費を正確に把握するのに役立つわよ。
中小企業のほとんどは、売上原価と人件費が経費全体の70%以上を占めていることから、この二点を正確に把握しておくと、利益全体をかなり正しく把握できるようになります。
自社の業務に適した現状把握を
ただし、利益を把握するといっても、会社ごとにお金の流れは異なるものです。
したがって、現状の把握方法にも大きな違いがあって当然です。
資金の流れが特殊な業種と言えば、成果を出すまでの期間が長い業種です。
例えば、建設業ならば受注から完成までに数か月の時間がかかるものですし、ソフトウェアの開発などでも同じことが言えます。
完成までに長い時間がかかるならば、まとまった費用が先行します。
材料費はたくさんかかりますし、完成までの長い期間中、社員への給料を支払い続け、外注費用などもかさむでしょう。
もちろん、納品してから売上を全て回収するのではなく、作業の進捗に応じて分割で支払ってもらえることも多いです。

現状を把握するとき、このような取引をどう考えるかが非常に重要となるんだ。
このような取引を税法で考えるならば、途中での入金は考慮せず、完成引渡しの時に売上が発生すると考えます。
このため、会社の会計でも税法と同じように処理をし、工事の途中で受け取った代金や経費を完成引渡しの際にまとめて計上するのが普通です。
しかし、会社の現状を正確に把握する上では、これはよい処理とは言えません。
このような原則に則って処理すること自体は悪くないのですが、社長の現状把握という意味では不都合です。
例えば、着手から完成まで4か月かかる案件であったとするならば、その4ヶ月間の利益を試算表で確認することができないといった不都合が起こるのです。
したがって、このような業種でありながら、会計基準で利益を把握しようとすると、正しく利益を把握することが困難となり、当然経営判断も鈍ります。
このような業種でも、
- 作業の進捗に応じて受け取った代金はその都度売上として計上
- それまでにかかった経費はそこで同時に計上
こちらの方が利益の把握には役立ちます。
長期間を要する作業でありながら、取引条件によって完成引渡しのときに一括払いだと決められている場合にも、同じことが言えます。
この場合には、完成までにかかる期間で売上代金を均等に割って月々の売上と考え、その月の経費と対応させて利益の把握に役立てていくことが大切です。
上記において、利益はできるだけ早い月に計上することが大切だと書きましたが、その意味においても、分割で利益を計上することによって、利益を先取りしていくことが大切だと言えます。
もちろん、このような方法で処理すれば、税法の原則からは外れることになります。
しかし、利益を正確に把握し、それに基づいて税金を納めているのですから、これによって問題視されてペナルティを課せられるといったトラブルにはなりません。
試算表で現状把握に努め、利益確保と再投資を繰り返す
以上のように、試算表を毎月作り、利益の状況をチェックしていくと、会社の稼ぐ力を数字で確認することができます。

それによって利益予測ができるようになり、投資額の判断も正確になるぞ。
同時に、毎月どれくらいの利益が出ているかを逐一確認する習慣をつけることで、その月はどれくらい稼いだか、つまり再投資の結果がどのように出ているかを把握することもできます。
これが、投資した内容に間違いはなかったか、より効果の高い投資のためにはどうするべきかといった反省につながり、再投資の効果はますます高まっていきます。
したがって、ここまでの内容をまとめると、会社が発展を続けていくためには
- しっかり稼ぎ、無駄な出費を省いて利益を確保する。
- 利益を再投資に回し
(あるいは、利益を背景に銀行から融資を受け、投資に回し)、大きな節税を図る。 - 毎月試算表で、再投資の成果を確認する。
という流れを繰り返していくことが分かります。

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ルールある投資を
上記の通り、利益を再投資するにあたって必要なことは、
- 利益を確保すること
- 投資する額を適切に図ること
の二点です。
しかし、投資額を決める方法は、単に利益予測によるものだけではありません。
確かにそれも欠かすことのできない視点ですが、それに加えて適切な投資ルールを設け、そのルールの中で投資額を決めていくことも大切です。

投資といえば色々な投資があるわね。
個人が資産運用のために行う株式投資や債券投資、不動産投資なども投資と言えますし、会社が戦略の一つとして他社の株式を保有することや、賃貸や転売を目的として不動産を購入することも投資と言えます。
また、会社が成長のために機械や不動産を購入したり、社員教育に取り組んだりするのも投資と言えます。
投資にも色々あることが分かりますが、それらは投資である以上、いくつかの共通した性質を持っています。
そして、
- 投資してもよいのか
- 投資すべきではないのか
- 投資するならば投資額はいくらにするのか
といった判断も、類似したルールによって判断することができます。
会社が利益を投資するとき、投資しても問題ない額をルールに沿って決めていくためには、まず検討している投資を
- リターンが明らかな投資
- リターンが不明な投資
の二パターンに分類し、そこから投資額を設定していく必要があります。
個人の資産運用としての投資でも、期待できるリターンによって判断することがセオリーであり、期待できるリターンと予測されるリスクを秤にかけて判断します。
その一方で、リターンが不明な投資が必要となる場合もあり、この点では個人の投資でも会社の投資でも同じであると言えます。
リターンが明らかな投資
リターンが明らかな投資とは、その投資をした場合、どれくらいのリターンが見込めるかが明らかになっている投資です。
例えば、会社が機械をリースしている場合、その機械を購入するという投資が考えられます。
その場合、それまで支払っていたリース料がいらなくなるというリターンが期待できます。
実際の投資では、自社の得た利益だけで機械設備などを購入することは難しいです。
また可能であったとしても自己資金を大きく減らすことになって好ましくないため、利益を背景に銀行から融資を受けて購入することになるでしょう。
その場合には、リース料を支払う必要がなくなり、その分を銀行への返済に充てることができます。
したがって、
というリターンを期待できる投資ということが分かります。
このように、リターンが明らかな投資の計算は簡単です。

リターンの計算が明らかであれば、その範囲内で投資することによって、リスクを負うこともないんだ。
また、リターンが明らかな範囲内で行う投資であるからこそ、銀行に融資を依頼したときに審査に通りやすくなりますし、返済に困る危険性も極めて低い投資と言えます。
リターンが不明な投資
上記のように、リターンが明らかな投資においては、適切な投資額を簡単に考えることができます。
しかし、リターンが不明な投資をする場合には、適切な投資額の考え方は異なります。
リターンが不明な投資には色々ありますが、例えば社員教育がそれに当たるでしょう。
他にも、
- 宣伝広告費や接待交際費
- 研究開発費
など、売上に効果が期待できるものの、どれくらいの効果(リターン)が不明な投資は経営につきものです。
社員教育は、売上への効果を期待して行うものですが、売上との因果関係は間接的であり、正確なリターンは不明です。
会社を作るのは社員であると考えて、社員に対する人間的な部分での教育を施す会社もありますが、これなどは売上への直接的な効果は一層不明ですし、即効性も期待できません。

それでも、投資の一種と考えることができるんだ。
このようにリターンが不明な投資を行う場合の投資額を考えるならば、安全性を十分に考慮する必要があります。
大きな額を想定してしまうと、利益を圧迫することになるからです。
具体的には、
キャッシュフロー計算書に記載されている営業キャッシュフローを確認し、
そこから1年以内に銀行に返済する予定額を差し引いたものを、安全な投資額と考えます。
営業キャッシュフローとは、会社が本業の営業で稼いだキャッシュです。
本業以外から生じる収益を考慮しないため、これが再投資に充てる資金の裏付けとなります。
したがって、この営業キャッシュフローから銀行返済分を差し引いた金額の範囲内で投資に回すならば、どう転んでも赤字にはなりません。
これを、リターンが不明な投資に回せる額の上限と考えましょう。
この上限を超えてしまうと、決算書が赤字になったり、自己資金が大きく減ってしまったりすることになりかねません。
もし、自社の営業キャッシュフローを確認したとき、銀行への返済額の方が大きいことが分かれば、その会社はリターンが不明な投資に回す資金はないことが分かります。
そのような会社は、冒険的な投資は控えてリターンの明らかな投資にお金を回し、会社の成長につなげていくことが大切です。

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税制優遇措置について
利益を確保し、利益に見合う適切な投資額を設定して再投資を行い、会社の成長を促していくことを解説してきました。
最後に見ていきたいのが、投資の際に使える税制優遇措置です。
利益を確保して法人税もきちんと支払えば、銀行融資を受けやすくなります。
つまり、利益を背景に融資を引き出すわけですが、融資を受けて投資に回せば、手元資金を減らさずに投資することができ、それを経費化すれば節税効果も得ることができます。
その上で更に有利に進めていくためには、投資を行った企業に対する税制優遇措置を利用することも重要です。
2018年現在、中小企業経営強化税制という優遇措置が利用可能となっています。
この優遇措置では
- 機械装置:160万円以上
- 工具・器具・備品:30万円以上
- 建物付属設備:60万円以上
- ソフトウェア:70万円以上
という条件をクリアする投資を行った会社に対し、その購入費全体を一度に経費にできる優遇措置です。
全額を即時償却しなかった場合にも、取得価格の最大10%の税額控除を受けることができます。
さらに、取得資産の償却資産税は50%の軽減となります。
また、この優遇措置を利用できる中小企業は、青色申告書を提出しており、資本金は1億円以下であり、従業員数は1000人以下であり、なおかつ指定事業のために設備を購入した場合に限られます。
この優遇措置を受けるためには、経済産業局などに経営力向上計画を提出し、中小企業等経営強化法の認定を受ける必要があります。
といっても、これは簡単な計画内容をフォーマットに記入していくだけで、それほど難しいものではありません。

メリットの大きい制度なので、是非利用したいものだ。
その他のおすすめ制度
また、中小企業経営強化税制を利用できない場合には、中小企業投資促進税制を検討してみましょう。
これは、以前から続いている制度であり、優遇の対象となる資産は狭くなっていますし、特別償却も取得価格の30%が上限となっています。
このため、中小企業経営強化税制よりもメリットが少ない税制ではありますが、認定を受けなくてもよいというメリットがあります
また、特別償却の上限が低いとはいえ、償却の時期によっては、普通償却と合わせて取得価格の半分程度まで経費化することも可能です。
以上のような優遇措置を的確に利用していくことで、確保した利益に対して支払うべき税金を小さくすることができるのです。
つまり、先ほど確認した
- しっかり稼ぎ、無駄な出費を省いて利益を確保する。
- 利益を再投資に回し(あるいは、利益を背景に銀行から融資を受け、投資に回し)、大きな節税を図る。
- 毎月試算表で、再投資の成果を確認する。
という流れで考えると、
- しっかり稼ぎ、無駄な出費を省いて利益を確保する。
- 利益を再投資に回し(あるいは、利益を背景に銀行から融資を受け、投資に回し)、大きな節税を図る。
- 投資結果に応じて、使える税制優遇措置はしっかりと利用し、更なる節税メリットを受ける。
- 毎月試算表で、再投資の成果を確認する。
という流れを繰り返すことによって、会社を成長させていくと言えるでしょう。

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まとめ
本稿で解説してきた通り、利益を無駄に流出させることをやめ、利益を確保して投資を図り、それが更なる利益を生んでいくならば、会社は発展していくことができます。
それをやらない会社は、現状維持に止まります。
それどころか、衰退していくことになります。
経営とは、利益の再投資の繰り返しなのです。
その繰り返しにしても、より正しい方法によって繰り返すならば、効果は高まっていきます。
やがて利益は大きくなっていき、必要な額を確保しても利益が余っているような場合には、社長が十分な役員報酬を受け取ることもできます。
会社が成長を続けるための仕組みを作り、その結果として役員報酬もしっかり受け取れるように、利益と投資を正しく進めていってほしいと思います。
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