手元資金を出発点とし、経営を立て直していくための流れとは

毎年1万件弱の企業が倒産している現代において、経営の改善に迫られている経営者も多いのではないでしょうか。

経営改善で難しいのは、どこを出発点とし、どのような流れで改善していくべきかということで、そこを間違えると倒産の危険性が高まります。

経営改善を迫られている会社ごとに状況も違うでしょうし、改善の進め方にも色々あると思います。

しかし、明確な出発点と流れを示せるものとしては、手元資金を出発点とする考え方があります。

本稿では、手元資金を出発点とする経営改善の考え方、進め方について解説していきます。

資金不足の解消と手元資金の重要性とは

中小企業は、基本的に資金不足に陥りやすいものです。

規模がそれほど大きくはありませんから、売上が伸び悩んで利益が確保できず、手元資金が不足することもあるでしょう。

取引先が限られていれば、信用に不安がある相手とも掛け取引をしなければならず、貸し倒れによって手元資金を大きく損なうこともあります。

取引先よりも立場が弱いために、良くない条件で取引せざるを得ず、それが資金繰りを圧迫することもあります。

とにかく資金繰りに困ることが多く、不足している資金を融資によって賄おうと考えるのですが、資金繰り困難であれば簡単に融資を受けることも難しいものです。

融資条件が悪くなったり、保証協会の保証をつけることで保証料が発生したりと、却って資金繰りを圧迫してしまうこともあります。

このように、中小企業にとって資金不足は悩みの種ですが、資金不足が更なる資金不足を呼び、悪循環に陥ることも多いのです。

安定した経営のためには、資金不足を解消することが非常に重要だと言えます。

手元資金はあらゆる好循環を生む

逆に、手元資金が潤沢であれば、会社経営は非常にラクになります。

お金の心配がないという、経営者の精神的なメリットだけではなく、色々な好循環を呼び込みます。

 

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まず、手元資金が潤沢ならば、資金繰りがラクになるのは当然のことよ!

大きなトラブルに見舞われても、手元資金でそのショックを吸収することができ、信用不安を引き起こすこともありません。

また、手元資金が潤沢であるということは、支払能力が高いということです。

取引先から見れば、貸し倒れリスクの少ない会社であり、取引したい会社とみなすことができるのですから、取引先の拡大にもつながります。

取引の際に手元資金を活用し、例えば取引単位を増やすことを条件に単価を下げるなどの交渉をすれば、それが利益増加につながることも期待できます。

ほかにも、売上を伸ばすための絶好の機会、例えば規模の大きな会社から取引するチャンスがあったときにも、手元資金が役立ちます

大きく取引をするためには、これまで以上に製造や仕入れを増やす必要があるわけですが、そのために必要な運転資金も増加します。

手元資金が乏しい会社では、このような運転資金増に耐えられずに取引のチャンスを逃すこともあるのですが、手元資金が潤沢であればその心配もありません。

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もちろん、手元資金によって会社の支払能力は高まることは、融資にも良い影響を与えるのだ。

銀行はそのような会社に対して、手元資金からも貸し倒れリスクが低いと判断することができるからです。

これにより、プロパー融資を引き出して保証料負担をカットしたり、好条件での融資を引き出して金利負担を軽減したりすることができます。

以上のように、手元資金が乏しいことは会社に大きなマイナスとなり、逆に潤沢であることは会社にとって大きなプラスとなります。

当サイトを見ている人は、誰もが経営を安定させたい、経営をもっと順調なものにしたいと考えていると思いますが、そのためには手元資金を厚くすることが必要不可欠と言えるのです。

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もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。

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手元資金は月商2~3ヶ月分が必要

手元資金が潤沢である、手元資金が厚いなど色々な表現をしますが、これはどれくらいの手元資金のことを指すのでしょうか。

一般的に、月商2~3ヶ月分の手元資金を確保しておけば、上記のような好循環も生まれ、経営環境は見違えて良くなるでしょう。

現在の会社の手元資金はどれくらいか、確認してみてください。

手元資金とは、すぐに使える現金のことであり、会社の資産項目で言えば現金・預金がこれに当ります。

有価証券なども流動性の高い資産ですが、手元資金を考える時には現預金だけを考えます。

月商1ヶ月分未満:危険

手元資金がいくらあるかをチェックした時、月商1ヶ月分未満ならばかなり危険です。

ほとんどの会社が掛け取引をしていますが、これにより売掛金の回収ができなかったり、手形が不渡りになったりする可能性が常にあります。

月商が1ヶ月分未満の会社では、そのようなトラブルの際にたちまち資金がショートする危険性があります。

月商1ヶ月分:最低ライン

次に、月商1ヶ月程度を確保している場合ですが、これは手元資金が潤沢とは言えないものの、ひとまずセーフというレベルです。

銀行が融資の可否を審査する際にも、手元資金が月商の1ヶ月分ある状態を最低ラインとして考えています。

月商が1ヶ月分あるならば、トラブルが起こっても何とかなる場合が多いです。

しかし、大きなトラブルには対応できない可能性もありますし、手元資金によって好循環を生んでいくほどのインパクトはありません

月商2ヶ月分:良好

月商2ヶ月分の手元資金があれば、良好な状態と言えるでしょう。

色々なトラブルに対応することができますし、手元資金が良い影響をもたらすこともあります。

現在、月商1ヶ月分程度あるいはそれ以下の手元資金しか確保していない会社は、まず月商2ヶ月分を目指すのが良いでしょう。

月商3ヶ月分:優良

月商3ヶ月分も確保しているならば、それは優良な状態と言ってよいでしょう。

どのようなトラブルにもほとんど対応できるでしょうし、これまで述べたような好循環が生まれる可能性も高いです。

月商2ヶ月分を確保した会社では、月商3ヶ月分を確保することを目指したいものです。

月商3ヶ月分超:却って問題あり

しかし、手元資金はできるだけ多く貯め込めばいいというものでもありません。

月商3ヶ月分くらいあるのは非常に好ましい状態ですが、それ以上に溜め込んでもあまり意味はなく、却って資金を活用できずに持て余している状態になります。

過剰に溜め込んでいる状態では、資金を活用できていないことから経営能力が低いなどのイメージにつながることもあるため、そうならないように注意する必要があります。

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会社が抱える問題には色々なものがあるよ!

その問題によって経営環境が不健全である会社では、そのために利益を損ない、手元資金がなかなか確保できない状態に陥るのが普通です。

手元資金が潤沢である会社は、その事実だけでも経営環境が健全であることの証拠となるのです。

健全な経営を目指すことは、手元資金に余裕があり、安定していて信用に足る会社を目指すということでもありますから、手元資金の重要性は推して知るべしです。

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手元資金を増やすための流れ

手元資金の重要性、そして確保すべき量が分かったところで、そのための方策を学んでいきましょう。

手元資金が1ヶ月未満であり、危険ゾーンにある会社でも、お金の管理をしっかり行うことによって、手元資金を月商2ヶ月分、3ヶ月分と増やしていくことが可能です。

もちろん、これは闇雲に資金を溜め込もうとするのではなく、資金が流出してしまう原因を特定し、手元資金を増やしていく流れを作っていくことが大切です。

まずは「よくある勘違い」をなくそう

手元資金を増やそうとするとき、陥りやすい勘違いがあります。それは、

「手元資金を増やすためには利益をたくさん確保する必要がある。そのためには売上を伸ばす必要があるから、もっと営業努力をしていこう」

などの勘違いです。

確かに、売上が伸びて、利益も増えていくならば、結果的に手元資金を確保できるように見えるかもしれません。

しかし、売上を増やすためには必要経費も増えます。売上を伸ばすのは簡単なことではなく、営業活動に伴う出費もかさむでしょう。

また、売上を伸ばすためには仕入れや製造も増やす必要があり、それによって手元資金をさらに減っていくわけですから、手元資金が乏しい会社がとるべき道ではありません

無駄な出費を減らそう

それより大切なこと、手元資金に乏しい会社がまずやるべきことは、無駄な出費を徹底的に削減していくことです。

無駄な出費というと、製造費や人件費などの削減をイメージしがちですが、それよりも真っ先に削れるものから削っていきます。

手元資金に乏しい会社では、すぐに削るべき無駄な出費を抱えている可能性が高いです。特に、

  • 役員報酬
  • 保険料

の二点は、真っ先に削減すべき出費です。

役員報酬や保険料を支払うことで、節税を図る会社は多いと思います。

これらは損金とすることができますから、会社の利益を役員報酬や保険料に回すことで、法人税を減らすことにつながるのです。

しかし、節税について正しく考えてみると、これが手元資金を圧迫していることに気づくでしょう。

役員報酬にしろ、保険料にしろ、利益から回しているのは厳然たる事実です。

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それを支払わないようにすれば、会社には確実に現金が残るのよ!

役員報酬や保険料を支払っている会社は、節税につながるから、たとえ手元にのこる利益を減らしてもそうするべきだと考えていることが多いです。

しかしそれが間違いであることは、以下のような例をみれば明らかです。

無駄な節税が会社を苦しめる

分かりやすく計算するために、ここでは、会社の利益は1000万円、法人税は26%、法人税を支払わないために1000万円を損金にすると考えます。

この場合、節税しなかった時に支払うべき法人税は260万円で、手元には740万円が残ることになります。

一方、260万円の税金を支払わないために、役員報酬や保険料の支払いで1000万円を損金とすれば、法人税は0円となります。260万円の法人税は支払わなくて済みました。

260万円の法人税を支払って740万円の手元資金が残る場合と、1000万円の経費を支払って手元に全く残らない場合を比較してみましょう。

どう見ても前者の方が、手元資金が増えることが分かります。

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これは、条件を変えてみても同じだ!

法人税を減らすためには、減った税金以上の経費を計上しなければならないのですから、そうなって当然なのです。

さらに言うならば、役員報酬を支払えば、受け取った役員の支払う所得税が増えます

保険料は、あらかじめ損金に計上できる割合が決まっており、例えば1/2損金タイプならば支払った保険料の半額しか損金になりません。

そして、解約して返戻金を受け取った場合、その返戻金は課税対象となり、結局税金を取られてしまいます

今、節税すべきかを考える

このように、多くの会社が取り入れている節税策の中には、結局あまり効果がなかったり、結局損をしたりするものが多いのです。

ならば、世の節税策は全て無意味かと言うと、そうとも言い切れません。

利益をたくさん出していて、手元資金も十分に確保している会社にとっては、社員の福利厚生のために社員旅行を実施したり、社宅規程を設けたりして節税につなげたり、あるいは役員報酬を支払うようにしたり、貯蓄性の高い保険に加入したりすることは、意味のあることだと思います。

また、今期の利益が非常に大きくなり、来期は利益が少なくなることが予測できる場合などには、利益の平均化を兼ねて、来期に発生が予定されている経費を今期に先取りしてしまうのも、良い節税策だと思います。

しかし、経営を立て直す段階の会社は手元資金に乏しく、どうにか確保していきたいと考えているのですから、そのような節税をすべきではありません。

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儲けを節税によって流出させることなく、法人税をきちんと支払ってでも、利益を手元に残すことを考えるべきだ。

そうすることで、少なくともこれまで節税に回してきたお金は利益として残り、税金を支払いながら手元資金を積んでいくことができるのです。

目指すべき流れは・・・

役員報酬や保険料によって節税を図り、利益を目減りさせてきた会社にとって、それをやめるだけでも大きな前進になるでしょう。

法人税の支払額は増えますが、それはきちんと稼いだことの証拠であり、手元に残るお金も増えます。

これまで、法人税をできるだけ支払わないために、税理士に相談してきた会社では、利益がほとんど出ていない状態や、赤字の状態に持ち込んできたことと思います。

それをやめて利益をきちんと計上すれば、法人税も発生する代わりに手元資金も増えていきます。

もちろん、ただ出費を減らして手元資金を貯めていくだけではなく、稼ぐべき利益をきちんと稼ぐ、可能ならば利益を伸ばしていくことも重要です。

そのためには、試算表を作成し、それに基づく計画的な経営も重要となります。

このような方針は、銀行にとっても好ましいことです。

利益がほとんど出ていない、あるいは赤字の決算書をつくっていたのでは、銀行は健全な会社とはみなしません。

それが節税のためであったとしても、書類上利益が出ていないことは事実であり、それでは稼ぐ力がない」という評価は避けられないのです。

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もし、無駄な節税をやめて、きちんと法人税も支払ったならば、銀行の評価はどうなるだろうか。

利益が出ているからこそ法人税を支払っているのであって、これが「稼ぐ力がある」という評価につながります。

きちんと法人税を支払い、稼げる会社として評価を受け、残った利益によって手元資金も増やしていくならば、融資を受けられる可能性は高まります。

融資を受けられるようになれば、手元資金を減らすことなく融資によって資金需要を賄うことができ、経営は安定に近づいていきます。

また、銀行からしっかり評価され、良い付き合いをしていけるようになれば、融資条件も良くなっていきます。

その資金をプールして返済に充て、なおかつ定期的に融資を引き出す流れを作っていけば、実質的な無借金経営を行うことも可能です。

ここまでくれば、借入金の返済によっても手元資金を減らすことはなく、月商3ヶ月分の手元資金は確保できるでしょうし、それを崩すことなくキープし続けることも可能になるでしょう。

その後は、起こるべくして起こった好循環を維持していくだけです。

手元資金は充分にキープし、銀行からの融資も容易となり、ますます資金繰りは安定していきます。

複数の銀行が積極的に融資したいと考えれば、銀行間で競争が起こり、プロパー融資も受けられるようになるでしょう。

ここまでくれば、必要に応じて節税に取り組んでいく機会も出てくると思います。

手元資金を増やす流れ

以上のことから、目指すべき流れは、

無駄な出費をカットする(特に節税を見直す)

  • 法人税を支払い、残った利益をキープする
  • 同時に、試算表によって計画的な経営を心掛け、利益も確保する
  • 銀行からの評価が上がり、融資を受けやすくなる。融資によっても手元資金が厚くなる
  • 借入条件も良くなっていき、ますますお金に困らない経営が実現する

となります。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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利益を確保するための月次試算表

無駄な出費、特に節税による出費をカットして利益を残し、手元資金を増やしていくことについては、すでに詳しく述べました。

しかし、いくらこのような取り組みをしても、肝心の利益が出ていなければどうしようもありません。

利益が不十分であれば、出費を減らしても手元に残る利益は少なく、手元資金もなかなか増えていきません。

そこで、これと同時に取り組むべきことは、毎月必ず試算表を作ることです。

これにより、目標を設定したうえで利益を着実に確保していくことが重要です。

必ず社長主導で取り組もう

この時に大切なのが、月次試算表の導入には必ず社長が関わるということです。

社長自らが試算表を作成しないとしても、試算表の確認にはきちんとかかわることが大切です。

税理士などに試算表を作成してもらう場合にも、その確認を他人任せにするのではなく、社長自らが必ず毎月チェックするのです。

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月次試算表の効果は、当サイトでもしばしば述べてきたことだが、成功した会社の事例からも明らかだよ!

かの有名なユニクロにしても、月次試算表を必ず作成しており、しかもその作成は翌月の5営業日を期限としているそうです。

柳井社長自らが主導して月次決算を導入したことも有名です。

経営のことを本当に理解しており、会社を良くしたいと最も情熱的に考えているのは社長です。

税理士は、会社の依頼に応じて税務の相談に乗ってくれますが、経営のことを真剣に考えているわけではありません。

社内の経理担当者も、会社のことを思う気持ちはあるかもしれませんが、どれくらいの利益を目標にしたいとか、どれくらいの手元資金を確保したいとか、ゆくゆくはこんな会社にしていきたい、事業を通してこんな社会貢献をしていきたいなどとは考えません。

社長ほどの熱量はないのが普通なのです。

だからこそ、社長が月次試算表の必要性を理解し、導入に深くかかわっていくことが大切です。

月次試算表を取り入れてみると、意外な事実を目の当たりにする社長は多いと思います。

それまで、毎月の状況を確認せず、年に1回の決算だけで確認していた社長は、毎月の状況を初めて知ることになります。

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その時、予想していたよりも利益が出ていないということに初めて気づかされるのだ。

そのことに気付いただけでも、すでに効果は表れています。

毎月どれくらい稼いでいるかが分からなければ、毎月稼ぐべき目標も分かりません。

利益の目標がない月が12ヶ月繰り返され、決算を迎えたらどうでしょうか。

今年も思ったほど利益が出なかったという、残念な結果になる可能性が高いです。

しかし、毎月の利益の状況が把握できれば、

  • 毎月どれくらい稼ぐべきなのか
  • そのためにはどれくらい稼ぎが足りないのか
  • ならばどうすべきか

という目標も立てられます。

目標利益達成を目指して1ヶ月間取り組み、それが12ヶ月にわたって繰り返されたならば、決算の結果も良くなることが十分に期待できます。

月次試算表を作成する流れ

以上のように、利益を残して手元資金を確保できる環境を作り、銀行からの信用も高めていくことを目指します。

その流れを作っていくにあたって欠いてはならない視点は、時間を稼ぎ、スピーディに取り組むという視点です。

時間を稼ごう

初期の段階では、時間と共に手元資金を増やしていくというよりも、手元資金を増やすためにも時間を稼ぐという視点が大切です。

なぜ時間稼ぎが重要なのかといえば、正しい判断のためです。

手元資金が乏しい会社は、余裕がないために失敗が許されず、臆病になりがちです。経営判断も鈍くなります。

臆病になり、過剰な心配をしてしまい、正常な判断ができなくなり、さらにその判断さえも鈍いようでは、経営の立て直しは不可能です。

だからこそ、正しい判断をするためにも、その時点で集められる資金をできるだけ集めて、臆病に陥らないようにし、できるだけ早く流れに乗ることを目指します。

状況が良くない会社が、集められる資金をかき集めていくためには、なりふり構わずに取り組む必要があります。

役員報酬のカットや保険の解約はこれまでも述べた通りですが、役員から会社に貸し付けることなども検討してみてください。

そして、実際の取り組みや計画を携えて銀行を訪ね、融資を依頼します。

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保証協会付融資でもいいので、借りられるならば借りて、手元資金を増やして時間稼ぎを図るよ!

また、初期にあたるこの段階で、できるだけ膿を出しきってしまうことも大切です。

それが、利益を確保できる環境につながっていきます。

例えば、減価償却資産の耐用年数を精査して、償却不足が見つかればまとめて解消するのが良いでしょう。

過年度の償却不足は特別損失になるため、経常利益には影響しません。

これによって、翌期以降の減価償却負担を軽減することができます。

同様の観点から、不良債権も同時に償却するのがおすすめです

それにより、一時的に利益の減少や損失の拡大を招いたとしても、経営が立ち直るための体制を整えることができます。

せっかく稼いだ時間を無駄にしないためにも、これらの取り組みはスピーディに行うべきです。

これまで述べてきた方策を小出しにするのではなく、出費のカットは一気に行い、膿出しも一気に行い、月次試算表も早急に導入し、融資交渉もどしどし進めるのがポイントです。

膿出しが融資に効く

なりふり構わず手元資金を確保し、稼いだ時間で対策をまとめて実施していくなかで、膿出しに躊躇してしまう社長も多いと思います。

ただでさえ苦しい状況ですから、臭いものにはできるだけフタをしておきたいというのが、正直なところでしょう。

しかし、膿を出すことは銀行へのアピールになります。

これまで、あまり健全とは言えない経営をしてきた会社でも、決算期に銀行と面談する際に月次試算表を見せながら、

「今期からは資金繰りを改め、利益を残せる経営を目指していくことにしました。月次試算表を見ていただければわかる通り、無駄な出費はできるだけカットし、利益目標も設定して取り組んできました。

今期は、減価償却不足や不良債権も処理したため、満足のいく結果とはなりませんでした。しかし、それによって来期はこれくらいの利益を見込んでいます」

といった説明をするのです。

ただ膿出しをして、特に説明もなく決算書を提出すれば、会社の取り組みが評価されることはありませんし、決算内容が悪いという印象を持たれるだけかもしれません。

 

CF レッド
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しかし、きちんとこのような説明をすれば、銀行の評価は高まるものだ!

役員報酬をカットしていること、償却不足の解消や不良債権の清算などに取り組んでいることは、銀行に対して「経営改善のために、わが社はこれだけ血を流しました。これからよろしくお願いします」というアピールになるのです。

時間稼ぎとスピーディな取り組みの果てに

上記のように取り組んでいくにあたり、目標とすべきペースにも触れておきましょう。

今期の目標

まず、一念発起してこのような取り組みを始め、無駄な節税のカット、様々な膿出し、手元資金をかき集めての時間稼ぎ、月次試算表による目標設定という4点を、取り組みを開始した今期のうちに完了してしまうことを目標とします。

その上で決算を迎え、上記のような銀行へのアピールも行います。

もちろん、取り組み開始が既に期末近いならば、今期の残りと翌期を通しての取り組みとなるでしょう。

翌期の目標

翌期からの一年間は、それ以上の取り組みを進めていきます。

今期中に上記4点の整理理を進めていくと、その他の部分にも削るべき出費が見つかるはずです。

例えば、不採算事業があれば廃止し、それと同時に人員削減も実施すれば、経費削減効果は大きいでしょう。

そして、取り組みから二度目の決算を迎えるころには、利益が出始めている状態を目標とします。

計画的な経営改善に取り組むならば、これは現実的に可能な目標です。

翌々期の目標

翌期に利益が出始めると、銀行との交渉もかなりやりやすくなります。

それまでにも、銀行に融資をお願いする機会はあるはずですが、なりふり構わず融資を依頼していたころと比較すると、確かに交渉しやすくなっているはずです。

銀行は、それまでの融資交渉を通して最も苦しい時期を知っており、膿出しを含めた取り組みも知っています。

その会社が、苦しい時期を経て経営を着実に改善していき、利益も出るようになった上で融資を頼んでくるのです。

会社が上向いていく様子を見てきただけに、好意的に融資を検討してくれるはずです。

以上のように、翌期の結果を踏まえて、翌々期以降は融資も引き出しやすくなり、借入金を増やしていくことができます。

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増加運転資金の融資を受けることで、売上増加を図ることもできるわ。

利益が出てきたことで手元資金が増えていき、融資を受けることでも手元資金は厚くなります。

取り組みを始めたころと比べて、手元資金が増え、経営もかなり安定してきたことが分かると思います。

決算報告を通して複数の銀行に融資を依頼し、より好意的に見てくれる銀行はどこか、付き合いを深めるべき銀行はどこか、あるいは新規に銀行を開拓すべきかといったことも考える余裕ができます。

手元資金が厚くなれば、それをメイン銀行の口座に集中させるのもよいでしょう。そ

うすれば、最も支援が期待できる、すなわち良い条件で多額の融資が期待できるメイン銀行から、プロパー融資を引き出せる可能性も出てきます。

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翌々期にはプロパー融資を見据えて銀行交渉を進めていくことができるのだ。

取り組みを始めてから2年が経過した翌々期には、このような目標を見据えて進めていきます。

順調にいけば、3年が経過したころには、手元資金は月商の3ヶ月分を確保し、利益もきちんと出ていることでしょう。

つまり、財務的にも、業績的にも非常に好ましい、優秀な会社に生まれ変わっているのです。

経営改善の波及効果について

優秀な会社に生まれ変われば、他にも色々な可能性が広がり、好循環の波に乗ることが期待できます。

例えば、帝国データバンクなどの調査会社に情報を提供すれば、調査会社のデータに優良企業として掲載されます。

銀行員が会社に営業をかけて融資を提案する際には、調査会社の情報を参考にするため、これによって銀行側から営業をかけてくる状況を作っていくことができます。

そうなれば、新規の取引銀行を増やしていくこともできますし、さらに有利な環境で銀行と交渉していくことができるでしょう。

他には、銀行に社債を引き受けてもらうことも期待できます。

社債は、満期に元金を一括返済する性質の負債であり、それまでは金利を支払えばよいため、使い方によっては資金繰りに効果的です。

優秀な会社と評価され、銀行が社債を引き受けてくれた場合には、銀行がプレスリリースすることも多く、それが会社の信用向上につながります。

社債を引き受けてもらったという事実によって、他の銀行からも信用を得ることができるのです。

このように、「手元資金を厚くする」という目標をもって具体的な取り組みを進めていくと、数年のうちに財務的に盤石の体制を整えることができるのです。

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まとめ

本稿により、手元資金を厚くすることの経営への効果が十分にわかったことと思います。

手元資金は、小さな見方をすれば、それによって支払いがどうなるかといった見方しかできないものです。

しかし、見方を大きくしていくならば、手元資金を厚くするために節税はどうあるべきか、資金繰りはどうあるべきか、銀行との付き合いはどう見据えていくべきか、最終的にはどのような好循環を目指すべきかといった見方もできます。

経営を改善するためには、手元資金を厚くするという観点は欠かすことができません。「手元資金はどうあるべきか」を出発点にすることで、大きな成果が得られるのです。

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