運転資金と所要運転資金はこう考える!銀行交渉を見据えた理解を

「運転資金」というワードを知らない経営者は少ないはずです。

しかし、ごく表面的な知識や、感覚的な知識しか持っておらず、資金繰りが苦しい原因が運転資金であると気づいていない経営者もいます。

また、それなりに理解していても、資金繰り計画に活かしていくためには、所要運転資金額を正確に把握するための知識が必要です。

この知識があれば、資金繰りのコントロールに役立つほか、銀行交渉をスムーズに進めるのにも役立ちます。

本稿では、運転資金と所要運転資金額の基礎知識と、銀行目線での注意点について解説していきます。

運転資金とは?

会社のバランスシートでは、常に資産と負債のバランスがとれている必要があります。

しかし、実際の経営ではそのバランスが崩れる、つまり資金の収支がズレることがあります。

CF イエロー
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このズレをカバーするための資金がなければ、資金繰りはショートしてしまうわね。

一口に、バランスシートのバランスが崩れる、あるいは収支がズレるといっても、どこでどうズレるかにはいくつかのパターンがあります。

多くの経営者にとって身近な資金需要である「運転資金」について言えば、これは営業において資産と負債のバランスが崩れたときに必要となるものです。

営業の結果、バランスシートには色々な変化が生じます。

流動資産では、

  • 商品を仕入れて現金が減る
  • 棚卸資産が増える
  • それを販売することで棚卸資産が増える
  • 売掛金や受取手形が増える
  • 債権を回収して現金が増える

といった変化が起きます。

流動負債でも、買掛金や支払手形が増えるなどの変化が起きるでしょう。

このような営業活動において、流動資産と流動負債のバランスが崩れてしまうのは、主に売掛金や棚卸資産、前渡金などが増加した場合です。

なぜならば、仕入れた商品は一定の期間にわたって棚卸資産、売掛金などの形で滞留し、その期間は仕入代金を支払うまでの期間より長いのが普通だからです。

商品を仕入れてから販売する、あるいは売掛金を回収するまでの期間のズレ、そのための資金需要のことを、運転資金といいます。

運転資金の具体例

具体的な例を見てみましょう。

ある人が、卸売業を始めたとします。

この人は、必要な設備を自己資金でそろえて、売るための商品の仕入れも自己資金で支払い、開業しました。

取引先の会社が買ってくれれば、その分だけ売上が入ってきます。

しかし、なぜかお金が足りずに資金繰りが苦しい。

なぜかわからないものの、とにかくがむしゃらにやるだけだと考えて努力するも、状況は改善されません。

しばらく悩むうちに、彼は原因に気づきます。

設備や仕入商品の支払いによって、開業に伴って多額の現金が流出し、それを回収するには商品を販売してお金に換えていくほかなく、そのためにはたくさんの労力や時間がかかります。

当初、多額の資金が流出して苦しい状況が生まれ、流出した資金量に応じて苦しい期間が続いていたわけです。

このように、現金として回収するまでに時間がかかる資産を抱え、収支にズレが起こると、資金繰りは苦しくなります。

CF ブルー
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このズレこそが、運転資金だ。

ズレの正体

この小売店では、700円で仕入れた商品を1000円で売っていました。

この時、700円の棚卸資産を仕入れたとき、700円の支払手形や買掛金、あるいは前渡金などが発生します。

つまり、仕入値ベースで計上されます。

しかし、商品を売ったときに発生する受取手形や売掛金、前受金などは売値ベースの1000円で計上されます。

このことから、運転資金には儲けも含まれていることが分かります。

これがズレの正体です。

CF レッド
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ズレへの対処を間違えると・・・

このような苦しい状況の中で、よくある間違いが「がむしゃらにやる」ということです。

苦しい原因を特定できず、ズレを埋めることができず、とにかく売上を伸ばせばラクになるはずだと考えて取り組むのです。

ところが、売上を伸ばすためには、売上の原因となる商品や原材料などの仕入が必要となるのですから、ズレは大きくなります。

つまり、運転資金は増えてしまいます。

CF ブルー
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何らかの対策をしなければ、一層苦しくなっていくんだ。

正しく対処するためには、運転資金を銀行融資によってカバーすることです。

外部から調達した資金を補充することで、

運転資金の分だけお金が足りずに資金繰りが苦しい

という状態から、

運転資金は融資でカバーして、資金繰りは苦しくない

という状態に改善することができます。

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所要運転資金額とは?

運転資金の正体が分かったところで、その金額の求め方を見ていきましょう。

いくら、運転資金とは何であるかを知っていても、果たして自社でどれくらい発生しているのかが分からなければ、対処の仕様がありません。

自社が必要としている運転資金の金額のことを、「所要運転資金額」と言います。

CF レッド
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これを正確に把握しておくと、資金繰りに計画性が出るだけではなく、銀行交渉にも役立つぞ!

なぜならば、銀行は「必要なだけ、正確に融資する」ことを重視するからです。

もっと言えば、「必要なだけ正確に融資し、それによって発生した利益から返済してもらう」ことを重視するからです。

もし、実際の所要運転資金額が100万円の会社に200万円を融資してしまえば、どうなるでしょうか。

100万円は運転資金に充当されて利益に結び付き、返済も期待できるでしょう。

しかし、残る100万円についてはどのように使われるのか、利益に結び付くのか、回収できるのか分かりません。

このため、銀行は不要なリスクを負うことになるわけです。

だからこそ、所要運転資金額を正確に算出し、必要なだけ融資を希望する会社は、資金繰り計画の正確さや、貸し倒れリスクの低さを評価されて、融資を受けられる可能性が高まるのです。

所要運転資金額の算出方法

所要運転資金額を算出するためには、以下のように計算します。

(現預金+受取手形+売掛金+棚卸資産+前渡金)-(支払手形+買掛金+前受金)

なお、この計算式の「受取手形」には、手形割引や裏書譲渡に使ったものも含みます。

計算式には、前渡金や前受金なども含まれています。

これらは雑勘定の中でも、営業に関係する勘定であることから、計算式に盛り込みます。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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所要運転資金額の注意点

さて、所要運転資金額を計算するにあたり、注意すべきことがあります。

そもそも、所要運転資金額を計算する目的は、実態に基づいて必要な運転資金の金額を正確に把握し、それを資金繰りや銀行交渉に活かしていくためです。

だとすれば、計算式の各項目に不正確な情報が紛れ込んだ場合、所要運転資金額は本来の目的を達せられなくなります。

例えば、売掛金の中に不良債権が含まれていたり、棚卸資産の中に不良在庫が入っていたりすれば、所要運転資金額は正確ではなくなります。

不良債権や不良在庫は、営業の流れからはすでに外れた資産です。

悪質な会社では、必要以上の運転資金を借入れ、赤字の補填などに使うべく、架空の売掛金や在庫を計上し、所要運転資金額を水増しすることもあります。

所要運転資金額のなかに赤字補填資金が紛れ込むことを、銀行は極端に嫌います。

運転資金ならば、それによって発生する利益が返済の原資になります。

しかし、赤字の補填から利益が発生することはなく、返済財源がなく、貸し倒れリスクが極めて高くなってしまうのです。

このため銀行は、所要運転資金額を融資判断に役立てるためにも、正確性を重視します。

会社が必要としている運転資金額が正確であるかどうかを知るために、資産の洗い替えを行い、正常な債権から正常な債務を差し引くことで、所要運転資金額を求めます。

このとき、会社が申し入れていた希望融資額と、銀行が把握した所要運転資金額に大きな乖離が出てしまうと、銀行が融資に慎重になる可能性があります。

CF イエロー
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そうならないためにも、所要運転資金額を正確に把握したうえで、融資を申し入れることが大切なのね!

正確な金額で申し入れておくと、銀行は安全性の高い融資と判断し、融資が実行される可能性も高まります。

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まとめ

運転資金を理解していなければ、資金繰りをコントロールすることは困難です。

また、運転資金を理解していても、それを正しく計算することができなければ、やはり資金繰りはコントロールできません。

運転資金を理解し、所要運転資金額を正確に把握することができれば、調達すべき金額もはっきりとわかります。

融資希望額の根拠が明確であれば、銀行への説明もスムーズです。

銀行員も、矛盾や疑問をさしはさむ余地がなくなり、積極的に融資を検討することができます。

このように、運転資金と所要運転資金額の知識は、資金繰りや銀行交渉に非常に役立つ、実践的な知識です。

ぜひ、経営に役立ててほしいと思います。