業績回復の道筋を徹底指南。慢性的な赤字から黒字に回復する具体的な流れ【第3回】管理会計の考え方と限界

第1回、第2回では基礎知識を解説してきました。第3回からは、具体的な業績改善のための考え方を見ていきます。

業績改善を目指すとき、コンサルタントなどの専門家であっても、管理会計の知識を用いて改善することが非常に多く、専門家の指導や専門書の解説を見ても、そのような方針になっていることが多いものです。

しかし、管理会計の知識は業績改善に必要であるものの、万能ではありません

本稿では、管理会計の知識と限界についてみていきます。

管理会計による経営改善

コンサルタントなどの税理士に業績改善のアドバイスを依頼したとき、管理会計の知識を用いて問題点を把握し、改善を図るのが一般的な方針となります。

このため、コンサルタントや税理士、元銀行員などが書いた業績改善の書籍などを見てみても、管理会計からのアプローチ一辺倒になっていることが多いものです。

確かに、管理会計の知識は業績改善に必要なものであり、それによって原因の特定や改善の模索も可能です。

しかし、万能ではないことに留意して改善を模索していくべきです。

では、飲食店A店の業績を管理会計の観点から分析して改善を図るとき、どのようなアプローチになるかを見てみましょう。

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人件費カットの効果

第2回で設定した通り、飲食店A店の月次決算書は以下のようになっています。

(単位:円)

科目 金額 構成比
売上高 9,000,000 100%
変動費 3,000,000 33.3%
限界利益 6,000,000 66.7%
固定費 7,000,000 77.8%
人件費 給与・交通費 3,600,000 40%
家賃・管理費 賃借料 1,200,000 13.3%
修繕費 200,000 2.2%
その他費用 水道光熱費 1,000,000 11.1%
宣伝広告費 250,000 2.8%
消耗品費 250,000 2.8%
減価償却費 500,000 5.6%
貢献利益 △1,000,000
共通固定費 800,000 8.9%
店舗利益 △1,800,000

業績改善のためには、コスト削減が欠かせません。つまりリストラの断行です。

コストを削減するにあたっては、異常値の見られるところから削減していくのが普通です。

飲食店A店の損益計算書の中で、真っ先に気になる項目は人件費でしょう。

人件費は、費用の中でも特に大きな割合を占めるものですが、一般的に30%が適正だとされています。

もちろん、業種や業態、お店ごとのコンセプトなどによって人件費率は変わるものですが、40%という数字はかなり負担が大きいと考えられます。

そのため、管理会計の知識で改善を図るとすれば、人件費削減に取り掛かることになるでしょう。

人件費を30%に抑えることができれば90万円の費用が削減されることとなり、赤字を大きく縮小することができます。

特に、飲食店などの業態では、正社員よりもアルバイトのほうが圧倒的に多いのが普通です。

このため、人件費削減も進めやすいという特徴があるよ。

例えば、アルバイトのシフトを減らしたり、時給を引き下げたり、時給の高い大学生よりも時給の低い高校生のアルバイトに切り替えていくなどの方法で、人件費を引き下げることが可能です。

人件費カットの限界と弊害

ただし、人件費削減によって多くの弊害が生まれることもあります。

人員が減ったことで人手不足になる、給料が下がったことで従業員の士気が低くなる、能力の高いベテランが辞めてしまう、能力の低い新人の割合が増えるなどの弊害です。

人手不足になってしまえば、ジリ貧に陥って売上が伸び悩む可能性が高いです。

また、従業員の能力が平均的に落ちてしまえば、従業員一人当たりの売上が落ちてしまい、業績悪化につながる可能性もあります。

経営状態が悪化すればするほど、打つ手は限られてきます。

そのため、業績改善の取り組みは速やかに進めていくべきですが、同時に慎重さとのバランスも重要です。

人件費が高い会社では、人件費をカットする必要があるのは当然のことですし、それによって得られる効果も大きいと思いますが、逆効果にならないようにしなければなりません

また、コスト削減だけでは黒字転換できないことも多いのだ。

A店の場合も、180万円もの赤字を抱えていますから、それを人件費削減だけでカバーしていくのは不可能でしょう。

このため、コスト削減と同時進行で売上や利益を伸ばしていく必要があります。

したがって、コンサルタントに相談をしたり、経理に明るい社員に業績改善を任せたりした場合にも、人件費カットをはじめとしたコスト削減に努めると同時に、売上を維持したり、利益を伸ばしたりするためのアクションプランを策定していかなければなりません。
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管理会計で業績改善を考える

では、管理会計の知識によって業績改善を図るとき、どのような進め方になるのでしょうか。

最初に人件費のカットを図り、できるだけ人件費率を30%に近づけていくと、30%まで引き下げた場合には赤字が180万円から90万円になります。

人件費削減だけでは、半分の効果しか期待できません。

実際の運営を考えると、それ以上の人件費削減は好ましくありませんから、別の部分でコスト削減を図り、売上や利益を伸ばしていく必要があります。

管理会計で考えてみると、売上を伸ばしつつ変動費を削減すれば、限界利益が大きくなります。

今の飲食店A店は、限界利益よりも固定費が多い状態であり、商売すればするほど赤字になるという最悪の状況ですから、ここを改善しなければどうにもなりません。

限界利益が大きくなり、固定費が削減されれば、貢献利益も大きくなります。

本社費を負担しても問題ないレベルまで貢献利益が確保できれば、黒字転換は達成されます。

CVP図で考える

この考え方をもう少し詳しく知るためには、CVP図というものを知るのが良いでしょう。

CVP図とは、業績改善の方針を直感的に捉えやすくしたものであり、管理会計ではよく使われるものです。

まず、CVPでは、固定費を以下のように表します。

縦軸が費用、横軸が売上です。

固定費は売上に左右されない費用であるため、横軸の売上がどうであろうと縦軸は一定しており、このような長方形の図となります。

 

次に、限界利益を以下のように表します。

縦軸が限界利益、横軸が売上です。

限界利益は売上高から変動費を引いたものであり、売上が増えると限界利益も増え、売上が減れば限界利益も減ります。したがって、限界利益は直角三角形となります。

なお、図のaにあたる角度は、限界利益を売上高で割った限界利益率です。

この角度が大きければ限界利益が大きく、角度が小さければ限界利益は小さくなることが分かります。

 

固定費の長方形と限界利益の三角形を組み合わせると、以下のような図になります。

長方形の一辺と直角三角形の斜辺の交わる点がありますが、これは固定費と限界利益が一致する点です。

つまり、限界利益から固定費を差し引いたときの貢献利益がゼロになるポイントです。

これを、損益分岐点(BEP)と言うよ!

この図を見ると、飲食店A店の業績がどうなっていけば利益が出て、どうなっていけば損失になるのかが分かります。

現在の飲食店A店の状況は、限界利益を固定費が上回っている状態ですから、図では売上Bの状態であり、損失Bが発生しています

限界利益が固定費を上回れば、損益分岐点より右側の売上Aのような状態となり、利益Aが発生します

したがって、赤字縮小のためには損益分岐点を下回る部分を縮小していくことが大切であり、黒字化のためには損益分岐点よりも上回ることが必要となります

そのためには、

  • 固定費を下げる(長方形の縦の辺が短くなり、直角三角形との交点が左に移動する)
  • 変動費を減らす(直角三角形の角度aが大きくなり、長方形と直角三角形の交点が左に移動する)

という方法が考えられます。

その結果、損益分岐点が現在の売上よりも左に来れば、黒字へと回復します。

売上を伸ばすのはどうか?

業績改善を図るとき、売上を伸ばそうとする考え方も多いものです。

確かに、売上を伸ばすことによっても、長方形と直角三角形の交点が左に移動することになるため、業績改善につなげることができます。

しかし、売上を伸ばすのは簡単なことではありません。

そのため、売上は少し伸ばすくらいに考えて、少なくとも維持しながら、費用の削減や限界利益を中心に進めていくことで、業績改善を目指していくのです。

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アクションプランの策定

以上のように考えていくと、非常に理論的ですし、業績改善の道筋が見えたような気がしてくると思います。

そこで、管理会計の考え方からアクションプランを策定すると、おおよそ以下のようなアクションプランが策定されると思います。

  • 月の売上を1000万円まで伸ばす(限界利益を高める)
  • 仕入費を30%以下に抑えて限界利益を70%に高める(限界利益を高める)
  • 固定費を10%カットする(貢献利益を高める)

もちろん、これは大枠のプランであって、中身はもっと詳細に決められています。

売上アップ

まず、売上は少なくとも現状維持しつつ、少しでも伸ばしたいものです。

飲食店A店の月次売上高は現在900万円ですから、これを維持しつつ、できれば1000万円まで伸ばしたいものと考えます。

そのために必要なことは、

  • 従業員一人当たりの売上を伸ばす
  • 来客数を伸ばす
  • 客単価を上げる

などが重要となります。

人時売上高

人時売上高とは、一人の従業員が一時間であげる売上高のことです。
売上高を全てのスタッフの労働時間で割ることで算出できます。人時売上高が高まれば売上も高まります。

特に、業績改善のために人件費を削減している会社では、人時売上高を伸ばす必要があります。

人時売上高が変わらなければ、削減した人員の分だけ売上高は落ちてしまうからです。

例えば、飲食店A店ではこれまで、全スタッフの1日の労働時間が100時間であったとします。月を30日とすれば、1か月あたりの総労働時間は3000時間です。

現在の月次売上高は900万円ですから、これまでの人時売上高は3000円であったことが分かります。

人件費削減のためにシフトを工夫するなどして、全スタッフの1日の労働時間を80時間に圧縮したならば、月の総労働時間は2400時間となります。

この時、人時売上高が3000円のままであれば、月次売上高は720万円まで落ちてしまいます。

これが、リストラの難しいところだ!

人件費カットによって業績改善を目指したところ、売上も落ちて改善に至らなかったり、むしろ悪化してしまったりすることがよくあります。

したがって、人件費を削減しながら売上を維持したり伸ばしたりするためには、人時売上高を高める必要があります

月次売上高を900万円に維持するためには人時売上高を3750円、月次売上高を1000万円に伸ばすためには人時売上高を4167円まで高める必要があるのです。

来客数を増やす

人時売上高を高める考え方は、業種や業態によって異なります。

営業スタッフが外回りをして売上を獲得するような会社では、スタッフを教育することで販売力を高めることが重要です。

そのほか、商品力を高めることも重要でしょう。

ところが、飲食店A店のような業態では、来客数が増えなければ人時売上高を高めることはできません

このため、いかにお客さんを呼び込むか、いかにリピーターを増やすかといったことが重要となります。

そのためには、メールマガジンを発行したり、呼び込みのためにセールを行ったり、広告戦略が重要となるでしょう。

飲食店では客席が限られていますから、回転数を高めることも重要となります。

客単価が横ばいでも、来客数が増えれば人時売上高は伸びていきます

客単価を高める

また、客単価を高めることも、人時売上高アップにつながります。

来客数がそのままでも、客単価がアップすれば人時売上高を高めることができるのです。

そのためには、高額のメニューを売り込んだり、人気メニューと不人気メニューの抱き合わせで売ったり、複数のメニューをセットで売ったりするように工夫していきます。

変動費カット

次に、変動費をカットする方法を考えます。

変動費が小さくなれば限界利益率は上がるため、業績改善につながります。

そのためには、飲食店の場合には仕入れる食材の費用をカットしていくことが考えられます。

例えば、

  • メニューひとつあたりの量を減らす
  • 食材のクオリティを下げる
  • 各テーブルで無料で提供していた調味料をなくす
  • セールの内容を制限する
  • 限界利益率の高いメニューを積極的に勧めていく

といった方法が考えられます。

このような方法で変動費が小さくなれば、変動費率が下がって限界利益率は上がります。

飲食店などでも、材料の使用量を減らしたり、クオリティを落としたりして仕入れ値を下げることがよく行われます。

飲食店A店の例で考えると、

  • セットメニューのライスの量を減らす
  • 1個300gで提供していたハンバーグを250gにする
  • 使用する食材のクオリティをやや下げ、値段はそのままとする
  • 使用する食材を見直し、仕入れ値が高いものを減らす
  • 「毎日のランチタイムはコーヒー無料」としていたところを、「平日のランチタイムはコーヒー無料」に制限する

などの取り組みによって、変動率を抑えて限界利益率を高めることができます。

 

固定費カット

固定費は、簡単に減らせるものではありません。

特に、店舗家賃、設備のリース料金、減価償却費などは基本的にカットすることができません。

売上にかかわらず、毎月決まった金額が引き落とされていきます。

一方、固定費の中でもアルバイト代や水道光熱費、宣伝広告費、消耗品費などはカットしていくことが可能です。

もちろん「その気になれば」というものであり、基本的にはカットしないものなのですが、赤字解消を喫緊の課題と捉えてカットする場合もあります。

その気になれば、固定費を10%ほどカットすることも不可能ではありません。

管理会計は必要だが万能ではない

さて、ここまで読んでみて、管理会計によって業績を改善できると思った人もいるのではないでしょうか。

しかし、上記のような方法によって取り組んだとしても、うまくいかないことが多いことは否定できません。

なぜならば、そもそも管理会計というものは理論であって、すべての会社の業績改善にそのまま適用できるものではないからです。

しかし、管理会計に精通している専門家は、管理会計の知識と数値設定だけで、業績改善がうまくいくと思い込んでしまうことがあります。

しかし、好調な業績とは、日々の経営努力によってはじめて得られるものよ!

それがなかったために赤字に陥っている会社が、単に管理会計の知識だけでどうにかなるものではありません。

 

もちろん、管理会計の知識が不要というわけではありません。これまでも、管理会計の知識によって飲食店A店の状態を見てきた通り、経営状況の把握・評価に役立てることができます。

そこを出発点として業績改善を考えていくのは、間違った考え方ではありません。

したがって、経営において管理会計の知識は必要な要素です。

もし本当に役立たないものであれば、コンサルタントなどの専門家も、管理会計を振りかざしたりはしないでしょう。

この知識を活用し、銀行交渉に役立つ資料作りをすることも大切な取り組みだ!

管理会計を資金繰りに活かしていくスタンスは、決して無意味なものではありません。管

理会計を詳しく知っておくことで、事業計画書の質は向上し、銀行員への説得力は高まるため、融資にも良い影響を与えます。

 

問題なのは、管理会計の視点から経営を考えておけば、それだけで経営がうまくいくと考えてしまうことです。

管理会計はあくまでも知識であり、マニュアルとも言えるものです。

マニュアルを大きく逸脱した経営、例えば計画性のない資金繰りをしてしまえば、経営はうまくいかなくなります。

とはいえ、マニュアルに固執してしまうと、応用が必要な場合にうまくいかなくなってしまう可能性もあります

特に、イレギュラーな場合にはそうです。

大きな問題がない会社であれば、マニュアルに沿っていくことで大過なく経営できることも多いものです。

しかし、本稿でテーマとしているように、「慢性的な赤字の状態を脱却して黒字転換を目指す」という特別なケースでは、管理会計を適用するだけでは失敗に終わることが多々あります。

財務の視点だけでは誤る

管理会計の知識は基礎的なものとして身に着けておき、それを本当に生かしていくためには、複数の視点で業績改善を目指すことが大切です。

管理会計は、財務の視点から業績改善を目指すものです。

そもそも財務の視点には、社外の利害関係者に向けた「財務会計の視点」と、経営者をはじめとした社内に向けた「管理会計の視点」があります。

 

株主や銀行などに向けて作る決算書は、財務会計の視点から作られるものです。

これは会社の成績表ともいうべきもので、銀行が融資を判断する際には、決算書を重要な材料とします。

管理会計では、その資料を内部の人間の視点から見て、経営に役立てていくものです。

とはいえ、これを全面的に信用できるとはいえません。

 

決算情報はあくまでも過去の結果にすぎず、過去の情報が完全な行動指針になると思い込むのは危険です。

また、数字によって作られる決算書には、数で表せない要素が欠けています。そ

れを鵜呑みにすれば、数字に表れない要素を見過ごしてしまう可能性があります。

つまり、決算書とは判断材料の一つにすぎず、それを無視しても、鵜呑みにしてもいけないのです。

財務の視点だけに頼ってしまうと、以下のように色々な弊害が起こってきます。

アクションプランの問題点

管理会計の知識によって、財務の視点から業績改善を目指すとき、

  • 売上を増やす
  • 変動費を減らす
  • 固定費を減らす

というアクションプランを設定しました。

しかし、これで業績改善がうまくいくとは考えにくいです。

なぜならば、「財務の視点」とは「売る側の視点」にすぎず、悪影響をもたらす可能性も高いからです。

実際、財務の視点・売る側の視点だけで業績改善を図れば、以下のような弊害が起きてくるでしょう。

売上アップの弊害

高額の商品を売り込む

飲食店では節約志向の主婦などが多く、安いものを求めている。

そこに高額の商品を売り込んでいけば、マイナスイメージにつながって客が減り、売上が落ちる可能性があります。

人気メニューと不人気メニューの抱き合わせで売る

不人気メニューを売ることができれば、そのために仕入れていた食材を消化することができ、本来は売上につながらないものを売上にすることができます。

しかし、人気メニューを食べたい客に不要なものを食べさせることになります。

別々に売っていれば、気持ちよく人気メニューを食べてもらえたはずが、抱き合わせをしたことで顧客満足度の低下を招き、売上が落ちる可能性があります。

複数のメニューをまとめて売る

まとめ売りをすれば客単価は上がります。

しかし、まとめて買えばお得になるといったお得感がなければ、まとめて“買わされる”形になって不満が生まれ、売上が落ちる可能性があります。

変動費カットの弊害

メニューあたりの食材使用量を減らす

セットメニューのライスの量を減らしたり、1個300gで提供していたハンバーグを250gにしたり、提供するメニューのボリュームを減らせば仕入れる量を減らすことができ、限界利益も高まります。

しかし、このようなケチなやり方は顧客満足度を大きく低下させ、客離れを招き、売上が落ちる可能性があります。

商品のクオリティを下げる

食材のクオリティをやや下げると、仕入費用は抑えることができるでしょう。

仕入れ値だけが下がり、クオリティが下がらなければ問題ありませんが、味や品質が落ちてしまえば買いたいと思う人は少なくなります

よって、売上が落ちる可能性があります。

サービスを制限する

無料で提供していた調味料をなくすことによって、サービスで提供していた商品の仕入れが不要となり、限界利益は高まります。

しかし、これも客離れにつながって売上が落ちる可能性が高いです。

セールの内容を制限する

「毎日のランチタイムはコーヒー無料」としていたところを、「平日のランチタイムはコーヒー無料」などに制限すれば、無料で提供するものが減り、限界利益が高まります。

しかし、これも客足が遠のく原因になり、売上が落ちるでしょう。

限界利益率の高い商品を積極的に勧めていく

高額メニューを売り込む場合とは異なりますが、限界利益率の高いメニュー、つまり材料を安く仕入れられるメニューを売り込むことでも、限界利益を高めることができます。

しかし、そのメニューに魅力がなければ買ってくれないでしょうし、売り込み方によっては不快感を与えることもあります。

これが、売上低下につながります。

メニューを見直し、材料費が高いものを減らす

材料費が高いものを減らせば、限界利益率を高めることができます。

しかし、そのメニューを目当てにしている客がたくさんいる場合には、メニューの見直しによって客離れにつながり、売上が落ちてしまいます

固定費カットの弊害

アルバイト代のカット

アルバイト代をカットすれば、固定費の引き下げにつながります。

しかし、経験を積んだ人材が辞めてしまったり、スタッフの意欲が低下したりして、売上が落ちる可能性があります。

水道光熱費のカット

エアコンの温度設定を控え目にする、店内の照明を暗めにするなどの対策によって、水道光熱費をカットすることができます。

しかし、「暑い(寒い)から、さっさと食べて早く出よう。この店はゆっくりできない」と思わせたり、暗いために料理がおいしく見えなかったりすれば、売上低下につながります。

宣伝広告費のカット

宣伝広告費をカットすれば、それだけ固定費は低くなります。

しかし、宣伝に誘われて足を運んでいる客が多いならば、かえって売上低下を招きます

飲食店などでは、悪影響のほうが大きい可能性がかなり高いです。

消耗品費のカット

トイレで使っている石鹸をなくす、客に提供していた割りばしを粗悪品に変えるなどにより消耗品費をカットすることができます。

しかし、これも顧客満足度を下げる可能性が高く、売上に悪影響をもたらすでしょう。

管理会計への偏りが問題

以上のように、管理会計から作ったアクションプランだけで業績改善を目指そうとすれば、売上が低下して状況が悪化する可能性が高いです。

それぞれの取り組みの問題点を見ればわかりますが、売る側の「黒字に転換したい」という思いだけが経営に反映されており、顧客のことは全く考慮されていません

だからこそ、顧客満足度を低下させ、売上が下がることにつながるのだ!

 

業績改善を成功させるためには、財務の視点だけでは不十分です。

それに加えて顧客の視点、業務プロセスの視点から考えることが必要です。

顧客の視点があれば、売る側の考えだけで舵を切ってしまうことがありません

顧客満足度を維持する、あるいは高めながら、限界利益のアップやコストの削減を図ることができます。

業務プロセスの視点も重要です。

赤字の会社では、業務プロセスに無駄が多く、業績の足を引っ張っていることが非常に多いものです。

そのため、業務プロセスを見直すことによっても、限界利益やコストを改善することが可能です。

まとめ

第3回では、管理会計の知識について詳しくお話してきました。

業績改善のためには、財務の視点から考えることも必要ですから、管理会計の知識は決して無駄ではありません

しかし、それに偏ると売る側の視点だけで改善に取り組むため、失敗に陥るのです。

第4回から、顧客の視点と業務プロセスの視点について解説していきます。

ぜひ、これらの知識を黒字転換、資金繰りの安定・改善に役立ててほしいと思います。

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