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ファクタリング・ヤミ金トラブルの統計|相談件数・検挙件数の推移

最終更新 公開 約20分で読めます 執筆:アンドファクタリング運営事務局

広告なし・一次情報にもとづく解説です。編集方針

この記事の要点

  • ファクタリング単独のトラブルの相談件数・検挙件数・被害額は、2026年9月18日時点で警察庁・金融庁・国民生活センター・日本貸金業協会のいずれからも公表されていない。
  • 警察庁によると、2025年のヤミ金融事犯は検挙550事件(前年比13.9%減)・検挙人員595人、被害人員1万225人・被害額約102.5億円で、ヤミ金融事犯に関する相談受理件数は3,501件(前年比8.5%減)だった。
  • ヤミ金融事犯の相談受理件数は2017年の1万109件から2025年の3,501件まで減少したが、2025年も相談の87.3%はインターネットを含む非対面の手口で、相談者の41.6%が20歳代・30歳代だった。
  • 給与ファクタリングは、最高裁判所第三小法廷 令和5年(2023年)2月20日決定で貸金業法・出資法の「貸付け」に当たると判断された。警視庁が2021年1月に検挙した事件では、延べ約9万7,000人から元利金合計約63億5,000万円を受領していた。
  • 金融庁は事業者向けの偽装ファクタリングに関する裁判例を7件紹介しており、売買と認定されたものが2件、貸付けと認定されたものが5件である。
ファクタリング・ヤミ金トラブルの統計 早わかり表(2026年9月18日時点)
ファクタリング単独の件数公的機関は公表していない
ヤミ金融事犯の検挙550事件・595人(2025年、警察庁)
ヤミ金融事犯の被害被害人員1万225人・被害額約102.5億円(2025年、警察庁)
ヤミ金融事犯の相談受理3,501件(2025年、前年比8.5%減、警察庁)
給与ファクタリングの司法判断最高裁判所第三小法廷 令和5年(2023年)2月20日決定で「貸付け」に該当
事業者向けの裁判例金融庁の紹介は7件(売買と認定2件、貸付けと認定5件)
主な相談先金融サービス利用者相談室 0570-016811/警察相談専用電話 #9110/消費者ホットライン 188
目次
  1. 次回の公表予定と更新の方針
  2. ファクタリングのトラブル件数は公表されている?
  3. ヤミ金融事犯の検挙件数・被害額の推移は?
  4. ヤミ金融の相談件数の推移は?
  5. 給与ファクタリングの被害規模と司法判断は?
  6. 事業者向け偽装ファクタリングの裁判例は?
  7. 民間アンケートに見る利用者のトラブル(参考値)
  8. トラブル統計でよくある誤解は?
  9. トラブルにあったときの相談先は?
  10. このページの引用について

ファクタリング単独のトラブル件数(相談件数・検挙件数・被害額)は、2026年9月18日時点で公的機関から公表されていません。規模の目安として使えるのは上位の分類である警察庁の「ヤミ金融事犯」で、2025年は相談受理3,501件、検挙550事件、被害額約102.5億円でした[1]。このページでは、ヤミ金融事犯の推移、給与ファクタリングの検挙事例、偽装ファクタリングの裁判例を、出典付きで整理します。

次回の公表予定と更新の方針

このページの統計は、年1回または四半期ごとに更新されます。次回の公表日を事前に告知している機関はないため、直近の公表日と更新頻度を示します。当サイトは公表後に更新します。

統計 公表主体 更新頻度 直近の公表 出典
生活経済事犯の検挙状況等(ヤミ金融事犯を含む) 警察庁 年1回 2026年3月(2025年分) [1]
金融サービス利用者相談室の相談受付状況 金融庁 四半期ごと 2026年9月11日(2026年4〜6月分) [8]
貸金業相談・紛争解決センターの受付状況 日本貸金業協会 年度の集計は年1回(センターだよりは季刊) 2026年5月31日(2025年度分) [9]
多重債務の相談件数(PIO-NET) 国民生活センター 随時更新 2026年7月31日更新 [10]

ファクタリングのトラブル件数は公表されている?

ファクタリング単独のトラブル件数を公表している公的機関はありません。当サイトは、警察庁、金融庁、国民生活センター、日本貸金業協会の4機関の統計を確認しましたが、いずれもファクタリングを独立した区分にしていませんでした。

公表主体 公表している統計 ファクタリング単独の内訳 最新の数値 出典
警察庁 ヤミ金融事犯の検挙事件数・被害額・相談受理件数 なし(2025年版の資料には「ファクタリング」の語の記載もない) 相談受理3,501件、検挙550事件(2025年) [1]
金融庁 金融サービス利用者相談室の分野別の相談件数 なし 「貸金等」669件(2026年4〜6月、相談全体は1万5,418件) [8]
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センターの相談件数 なし 「ヤミ金融・違法業者」230件(2025年度) [9]
国民生活センター PIO-NETに登録された多重債務の相談件数 なし 2万3,937件(2025年度) [10]

警察庁の2025年版の資料は、ヤミ金融事犯について「通常の商取引を仮装して金銭を貸し付けるなどの手口」が発生していると記載しています[1]。一方で、2022年の警察白書は、無登録・高金利事犯が減少傾向にある中で「給与ファクタリング」などの巧妙な手口が発生していると記載していました[14]。ファクタリングの名を使った手口は、年によって資料での扱いが変わります。

公的機関はどんな注意喚起を出している?

件数の統計はなくても、公的機関はファクタリングを装った貸付けへの注意喚起を出しています。掲載日が表示されていないページもあるため、確認日とあわせて整理しました。

公表主体 注意喚起の名称 主な内容 掲載日 出典
金融庁 ファクタリングの利用に関する注意喚起 偽装ファクタリング(ヤミ金融)、貸金業に当たるかの判断要素、裁判例、給与ファクタリングを利用しないよう呼びかけ 表示なし(2026年9月18日確認) [3]
金融庁 給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください! 「借金ではありません」「ブラックOK」などの誘い文句への注意、年利換算で数百〜千数百% 表示なし(2026年9月18日確認) [13]
金融庁 リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」 事業者向け。偽装ファクタリングが疑われる3つの例と相談先 表示なし(2026年9月18日確認) [15][23]
消費者庁 違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください! 給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に該当し、登録が必要 表示なし(2026年9月18日確認) [12]
国民生活センター 給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意! 高額な手数料や、勤務先・家族への取立ての相談事例 2020年6月12日 [11]

金融庁が誘い文句として注意を促している「借金ではありません」「ブラックOK」は、広告でそのまま使われることがある表現です[13]。こうした表現を見かけたら、業者の登録の有無を確認してください。

では、トラブルの規模は何で示せばよい?

ファクタリングのトラブルの規模を示すときは、上位の分類の数字であることを明記したうえで使ってください。たとえば「ファクタリングを装う手口を含むヤミ金融事犯の相談受理件数は、2025年に3,501件(警察庁)」と書くのが正確です。「ファクタリングの相談は3,501件」と書くと、ファクタリング以外のヤミ金融を含む数字を誤って使うことになります。

ヤミ金融事犯の検挙件数・被害額の推移は?

警察庁によると、2025年のヤミ金融事犯の検挙は550事件(前年比89事件、13.9%減)、検挙人員は595人でした[1]。被害人員は1万225人、被害額は約102.5億円です[1]。検挙事件数は、2023年の671事件から2年連続で減っています。

年 検挙事件数(合計) うち無登録・高金利事犯 うちヤミ金融関連事犯 検挙人員 被害人員 被害額 出典
2021年 502事件 85事件 417事件 598人 11万7,689人 約94.0億円 [1]
2022年 627事件 60事件 567事件 708人 3万5,298人 約55.5億円 [1]
2023年 671事件 56事件 615事件 732人 4万8,631人 約233.8億円 [1]
2024年 639事件 70事件 569事件 710人 2万2,501人 約44.8億円 [1]
2025年 550事件 49事件 501事件 595人 1万225人 約102.5億円 [1]

被害額は、警察庁の表の千円単位の値を億円に換算したものです(当サイト算出)。「無登録・高金利事犯」は、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利受領など)の事件です[1]。「ヤミ金融関連事犯」は、貸金業に関連した詐欺や、犯罪収益移転防止法・携帯電話不正利用防止法の違反などの事件です[1]。

「無登録・高金利事犯」はどの法律に違反した事件?

警察庁の「無登録・高金利事犯」は、貸金業法の無登録営業と、出資法の高金利受領などの違反を数えたものです[1]。偽装ファクタリングや給与ファクタリングが貸付けと認定されると、次の規定の対象になります。

法律・条文 内容 出典
貸金業法3条・11条1項 貸金業を営むには登録が必要で、無登録営業は禁止 [18]
貸金業法47条 無登録営業は10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、またはその両方 [18]
貸金業法42条1項 貸金業を営む者が業として年109.5%を超える利息の契約をすると、その消費貸借契約自体が無効 [18]
出資法5条2項 業として貸し付ける者が年20%を超える利息を契約・受領・要求すると、5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり) [16]
出資法5条3項 業として年109.5%を超える利息を契約・受領・要求すると、10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金(併科あり) [16]
出資法5条の4第4項 貸付けに関して受け取る金銭は、手数料・調査料など名目を問わず利息とみなす(一部の費用を除く) [16]
利息制限法1条 上限金利は元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%。超える部分は無効 [17]

ファクタリングの「手数料」も、取引が貸付けと認定されれば利息とみなされます[16]。そのため、手数料を年率に直した値が年20%や年109.5%を超えるかどうかが、刑事責任や契約の有効性を左右します。

10年間で見ると、検挙事件数はどう変わった?

10年間の推移を見ると、無登録・高金利事犯の検挙は2016年の139事件から2025年の49事件へ、約3分の1に減りました[1]。ヤミ金融関連事犯は400〜600事件台で増減を繰り返しています。

年 無登録・高金利事犯 ヤミ金融関連事犯 合計(算出) 出典
2016年 139事件 389事件 528事件 [1]
2017年 135事件 608事件 743事件 [1]
2018年 130事件 588事件 718事件 [1]
2019年 118事件 521事件 639事件 [1]
2020年 106事件 486事件 592事件 [1]
2021年 85事件 417事件 502事件 [1]
2022年 60事件 567事件 627事件 [1]
2023年 56事件 615事件 671事件 [1]
2024年 70事件 569事件 639事件 [1]
2025年 49事件 501事件 550事件 [1]

被害額が年によって大きく変わるのはなぜ?

被害額は、その年に検挙した事件の規模で大きく変わります。2023年の約233.8億円は、2024年の約44.8億円の5倍を超えます[1]。2025年の被害額約102.5億円のうち、ほぼすべて(99.9%超)は無登録・高金利事犯によるものでした(当サイト算出)[1]。

2025年の資料には、クレジットカードのショッピング枠の現金化サイトを運営し、商品販売を仮装して約1万7,000人に実質的に貸し付けた事件が載っています[1]。この事件で受領した元利金は合計約110億8,600万円です[1]。ファクタリングの事件ではありませんが、「商取引を装って貸し付ける」という点で偽装ファクタリングと同じ構造の手口です。

ファクタリングの逮捕・検挙事例は?(警察庁の資料に載った4件)

警察庁の「生活経済事犯の検挙状況等について」の令和3年分から令和7年分までの5年分の資料で、本文に「ファクタリング」の語がある検挙事例は4件です[2][24][25][26][1]。内訳は、給与ファクタリングを名目にした貸金業法違反(無登録営業)等が3件と、ファクタリング事業への投資を名目にした出資法違反・詐欺が1件です。

資料(公表時期) 検挙の時期・警察 手口 規模 適用法令
令和3年分(2022年) 2021年1月、警視庁(7人・1法人) 給与ファクタリングと称する手法。インターネット広告で集客 延べ約9万7,000人。法定利息の約13〜30倍。元利金合計約63億5,000万円 貸金業法違反(無登録営業)等[2]
令和3年分(2022年) 2021年5月までに、千葉・沖縄(6人・3法人) 給与ファクタリング、または商品代金の後払いを仮装 延べ約1,900人。法定利息の約23〜139倍。元利金合計約1億3,500万円 貸金業法違反(無登録営業)等[2]
令和4年分(2023年) 2022年7月までに、埼玉(5人) 給与ファクタリング、または商品代金の後払いを仮装。返済は現金書留 約6,800人。法定利息の約57〜139倍。元利金合計約2億8,000万円 貸金業法違反(無登録営業)等[24]
令和5年分(2024年) 2023年2月までに、千葉(7人) ファクタリング事業への投資を名目に出資金をだまし取る 約130人から約9,000万円 出資法違反(預り金の禁止)、詐欺罪[25]

令和6年分と令和7年分の資料には、ギフトカードやクレジットカード決済などの売買を装った貸付けの事例は載っていますが、「ファクタリング」の語を含む事例はありません[26][1]。警察庁の資料は「検挙した」と書いており、逮捕されたかどうかまでは記載していないため、当サイトでも「検挙」と表記しています。

事例ごとの手口・規模・適用法令は、ファクタリング業者の逮捕・検挙事例でさらに詳しく整理しています。

ヤミ金融の相談件数の推移は?

警察庁が受理したヤミ金融事犯に関する相談は、2025年に3,501件で、前年から324件(8.5%)減りました[1]。2017年の1万109件と比べると、約3分の1です[2][1]。

年 相談受理件数 出典
2017年 1万109件 [2]
2018年 7,772件 [2]
2019年 6,690件 [2]
2020年 5,574件 [2]
2021年 5,099件 [1][2]
2022年 4,047件 [1]
2023年 3,957件 [1]
2024年 3,825件 [1]
2025年 3,501件 [1]

2025年の相談では、相談当事者の41.6%が20歳代・30歳代でした[1]。インターネットを含む非対面の手口による相談が、87.3%を占めています[1]。給与ファクタリングや偽装ファクタリングの勧誘も、SNSや検索広告などの非対面が中心です。

警察以外の相談窓口の件数は?

警察以外の機関にも、ヤミ金融や貸金に関する相談が寄せられています。ただし、分類の仕方と集計期間が機関ごとに違うため、合計して「年間◯件」とすることはできません。

公表主体 区分 件数 対象期間 出典
日本貸金業協会(貸金業相談・紛争解決センター) ヤミ金融・違法業者 230件(前年度比10.6%増) 2025年度 [9]
同 ヤミ金融・違法業者 208件 2024年度 [9]
同 ヤミ金融・違法業者 204件 2023年度 [9]
同 相談の合計 1万334件 2025年度 [9]
金融庁(金融サービス利用者相談室) 貸金等 669件(前期比19件減) 2026年4〜6月 [8]
同 相談等の合計 1万5,418件 2026年4〜6月 [8]
国民生活センター(PIO-NET) 多重債務 2万3,633件 2023年度 [10]
同 多重債務 2万4,648件 2024年度 [10]
同 多重債務 2万3,937件 2025年度 [10]

日本貸金業協会の「ヤミ金融・違法業者」の相談は、警察庁の相談受理件数とは逆に2年続けて増えました[9]。同協会によると、2026年3月末時点の登録貸金業者は1,430業者(金融庁の公表値)です[9]。業者が登録を受けているかは、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで確認できます[19]。

国民生活センターの件数は、2026年5月31日までにPIO-NETに登録された分で、後から登録される相談で増えることがあります[10]。多重債務の相談にはファクタリング以外の借入れも含まれ、ファクタリング単独の件数は公表されていません。

給与ファクタリングの被害規模と司法判断は?

給与ファクタリングは、最高裁判所第三小法廷が令和5年(2023年)2月20日の決定で、貸金業法と出資法の「貸付け」に当たると判断した取引です[5]。警察庁の資料に載った最大の事件では、延べ約9万7,000人に貸し付け、元利金合計約63億5,000万円を受け取っていました[2]。

給与ファクタリングとは、個人の給与債権(勤務先から受け取る予定の給料)を「買い取る」として現金を渡す取引です。給料日には、買戻しなどの名目で手数料を上乗せして回収します。

時期 出来事 内容 出典
2018年6月〜2020年5月 警視庁が検挙した事件の犯行期間 延べ約9万7,000人に貸し付け、法定利息の約13〜30倍で元利金合計約63億5,000万円を受領 [2]
2020年3月5日 金融庁の回答 一般的な法令解釈に係る書面照会手続で、給与ファクタリングを業として行う者は「貸金業」に該当すると回答 [4]
2020年4月〜8月 千葉・沖縄の事件の犯行期間 給与ファクタリングなどの手法で延べ約1,900人に貸し付け、法定利息の約23〜139倍で元利金合計約1億3,500万円を受領 [2]
2020年6月12日 国民生活センターの注意喚起 7万円を受け取り、次の給料日に12万円を返す予定だった事例(相談者の計算で年利700%以上)などを紹介 [11]
2021年1月 警視庁が検挙 上の約9万7,000人の事件で、7人・1法人を貸金業法違反(無登録営業)などで検挙 [2]
2021年2月9日 東京地方裁判所の判決 給料ファクタリングを金銭消費貸借と認定し、業者に利用者が支払った金員全額の返還義務を認めた [6]
2023年2月20日 最高裁判所第三小法廷の決定 給与ファクタリングの金銭の交付は、貸金業法2条1項と出資法5条3項の「貸付け」に当たると判断(令和4年(あ)第288号) [5]

金融庁の2020年の回答は「一般的な法令解釈に係る書面照会手続」によるもので、ノーアクションレター(法令適用事前確認手続)ではありません[4]。最高裁の判断は「判決」ではなく「決定」で、「第一小法廷」と書かれていることがありますが、正しくは「第三小法廷」です[5]。

金融庁は、給与の買取りをうたうヤミ金融の実質的な手数料が、年利に換算すると「数百〜千数百%」になると注意を呼びかけています[13]。消費者庁も、給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に該当し、登録が必要だと明記しています[12]。

給与ファクタリングの違法性と、被害にあったときの対応は給料ファクタリング(給与ファクタリング)は違法で詳しく解説しています。

事業者向け偽装ファクタリングの裁判例は?

金融庁は、事業者向けのファクタリングをめぐる裁判例を7件紹介しています。このうち2件は債権の売買(貸金業法の適用なし)と認定され、5件は貸付けと認定されました[3]。

裁判所・判決日 結論 判断の主な理由 出典
大阪地方裁判所 平成29年(2017年)3月3日 貸付け(金銭消費貸借) 実態に照らして債権の売買・買戻しではなく金銭消費貸借と返済と判断。利息制限法で引き直し、過払い分の不当利得返還を認めた [7][3]
東京地方裁判所 令和2年(2020年)9月18日 売買(貸金業法の適用を否定) 償還請求権がなく買戻しも予定されていない、対抗要件の具備が業者の判断で可能、手数料が担保目的を推認させるほど大きくない [3]
東京高等裁判所 令和3年(2021年)7月1日 貸付け 売掛先が払わない場合に売主が債権額以上を払う公正証書を作成させるなど、業者が不払いリスクを負っていない [3]
名古屋地方裁判所 令和3年(2021年)7月16日 貸付け 契約上は売主が債務者の資力を担保しないとされていたが、債権の性質と支払日までの期間の短さから不履行の可能性が極めて低い [3]
東京地方裁判所 令和4年(2022年)3月4日 貸付け(金銭消費貸借) ノンリコース規定はあったが、抗弁事由がないことや支払停止状態にないことなどの表明保証を売主に求め、実質的に保証を求めるのと同じ [3]
東京高等裁判所 令和4年(2022年)6月15日 売買 売主が回収不能の責任を負わず、債務者の無資力リスクが業者に移転し、手数料も担保目的を推認させるほど多額ではない [3]
札幌高等裁判所 令和4年(2022年)7月7日 貸付けに近い経済的機能(公序良俗に反し無効) 債権譲渡が発覚すると取引先の信頼を失うため、売主は何としても買い戻さざるを得ず、業者もそれを認識していた [3]

7件の結論を分けたのは、契約書の名称ではなく契約の実態です。金融庁は、貸金業に当たるかどうかはノンリコース規定の有無などの形式だけでなく、経済的な実態に照らして判断されるとしています[3]。

判断の要素 貸付け寄りと評価された事情 売買寄りと評価された事情
償還請求権・買戻し 回収できないときに売主が買い戻す、または自己資金で払う 償還請求権がなく、買戻しも予定されていない
不払いリスクの負担 業者がリスクを負わない(債権額以上を払う公正証書など) 債務者の無資力リスクが業者に移る
表明保証 不払いの兆候がないことを売主に表明保証させる ―
手数料の大きさ 債権額に比べて買取代金が著しく低い 担保目的を推認させるほど大きくない
対抗要件・通知 譲渡の発覚を避けるため、売主が買い戻さざるを得ない 業者の判断で対抗要件を備えられる

判断の軸ごとの解説はファクタリングは違法?合法となる条件と裁判例一覧、貸金業法・出資法との関係はファクタリングと貸金業法・利息制限法・出資法の関係にまとめています。個別の契約が貸付けに当たるかどうかは、弁護士に相談してください。

民間アンケートに見る利用者のトラブル(参考値)

利用者が経験したトラブルを数えた公的な調査はありません。民間企業のアンケートでは、利用経験者の36.44%が「失敗した」と感じ、その最多の理由は手数料の高さでした[20]。いずれも実施主体に利害関係があり得て、サンプルも100人前後と小さいため、参考値として扱ってください。

調査内容 結果 調査時期 調査主体(対象とサンプル数) 出典
利用して「失敗した」と感じた割合 36.44%(118人中43人) 2025年9月29日〜10月6日 株式会社JPS調べ(利用経験のある経営者・役員、n=118) [20]
「失敗した」理由(複数回答、n=43) 「手数料が想定より高かった」67.44%、「契約内容が不明瞭だった」39.53%、「売掛先に通知された」34.88% 同上 同上 [20]
利用をためらう懸念(知っている41人) 「手数料が高いイメージ」41.46%、「売掛先に知られる可能性」31.71% 2025年9月11日 株式会社JPS調べ(全国の経営者・役員、n=100) [22]
利用しない理由 「違法・グレーなサービスだと思っている」13%、「怪しい業者が多そう」6% 2026年5月 株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン調べ(知っているが利用したことがない110名) [21]

「失敗した」理由の67.44%は、43人のうち29人にあたります(当サイト算出)。この規模の調査では、1人の回答で約2.3ポイント動きます。「ファクタリング利用者の3人に1人が失敗」のように一般化するのは避けてください。

アンケートで最も多い不満は「手数料」です。手数料は事前に総額と年率で確認できます。計算方法はファクタリング手数料の年率換算と手数料計算ツールをご覧ください。

トラブル統計でよくある誤解は?

トラブルの統計は、分類の違いを無視して引用されやすい情報です。よく見かける書き方と正しい理解を並べました。

よく見かける書き方 正しい理解 出典
「ファクタリングの被害相談は年間約3,500件」 3,501件は警察庁のヤミ金融事犯全体の相談受理件数。ファクタリング単独の件数は非公表 [1]
「検挙が減ったので、ヤミ金融の被害は減っている」 検挙の統計は警察が検挙した事件の集計。検挙が減っても、発生件数が減ったとは言い切れない [1]
「最高裁は2023年2月20日の判決で給与ファクタリングを違法と判断した」 正しくは最高裁判所第三小法廷の「決定」。争点は貸金業法・出資法の「貸付け」に当たるかどうか [5]
「金融庁のノーアクションレターで給与ファクタリングは違法とされた」 2020年3月5日の回答は「一般的な法令解釈に係る書面照会手続」によるもので、ノーアクションレターではない [4]
「2社間ファクタリングは違法」 一律に違法ではない。金融庁が紹介する裁判例には、売買と認定され貸金業法の適用が否定された例が2件ある [3]
「契約書にノンリコースと書いてあれば貸金業法とは無関係」 ノンリコース規定があっても、表明保証の内容から金銭消費貸借と判断された例がある(東京地裁 令和4年3月4日) [3]

「最高裁判決」と書かれていることがありますが、正しくは「最高裁判所第三小法廷 令和5年(2023年)2月20日決定」です[5]。刑事事件の上告を棄却した決定で、裁判要旨は裁判所のウェブサイトで確認できます。

トラブルにあったときの相談先は?

ファクタリングを装った貸付けや強引な取立てを受けたら、金融庁が案内する公的な窓口に相談してください。金融庁は次の4つの窓口を案内しています[3]。

相談先 電話番号・URL 受付時間など 出典
金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(IP電話は03-5251-6811) 平日10時〜17時 [3]
警察相談専用電話 #9110 悪質な取立てを受けたときは警察へ [3]
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター 0570-051051(IP電話は03-5739-3861) 9時〜17時(土日祝日・年末年始を除く) [3]
消費生活相談窓口(消費者ホットライン) 188(全国共通) 個人の給与ファクタリングの相談先としても案内されている [3][11]
多重債務相談窓口 https://www.fsa.go.jp/soudan/index.html 借入れが重なって返済が難しいとき [3]

金融庁の事業者向けリーフレットは、偽装ファクタリングの被害が疑われる例として、次の3つを挙げています[15]。裏面には、金融庁と各財務局の相談先が載っています[23]。

相談の前に、契約書、振込の記録、業者とのやり取り(メール・SNS・通話の記録)を手元にそろえておくと、状況を説明しやすくなります。被害の相談の流れはファクタリング詐欺の手口と、被害にあったときの相談先、弁護士への相談はファクタリングのトラブルを弁護士に相談するにはで解説しています。契約前の確認には違法業者チェックリストも使えます。

このページの引用について

このページの数値や表は、出典として「アンドファクタリング」とページのURLを記載すれば引用できます。その際は、元データの出典(警察庁、金融庁、日本貸金業協会、国民生活センター、裁判所など)もあわせて記載してください。

市場規模や倒産件数など、ほかの統計はファクタリングの市場規模と統計にまとめています。当サイト全体の引用ルールは利用規約に掲載しています。

よくある質問

Qファクタリングのトラブルは年間何件ありますか?

Aファクタリング単独のトラブル件数は、2026年9月18日時点で公的機関から公表されていません。警察庁・金融庁・国民生活センター・日本貸金業協会の統計は、いずれもファクタリングを独立した区分にしていません。規模の目安としては、上位の分類である警察庁のヤミ金融事犯(2025年の相談受理3,501件)が使えます。

Qヤミ金融の被害額はどのくらいですか?

A警察庁によると、2025年に検挙したヤミ金融事犯の被害人員は1万225人、被害額は約102.5億円でした。被害額は大型事件の有無で大きく動き、2023年は約233.8億円、2024年は約44.8億円でした。検挙した事件の被害額であり、社会全体の被害総額ではありません。

Q給与ファクタリングは違法ですか?

A給与ファクタリングを業として行うことは、貸金業に当たります。最高裁判所第三小法廷は令和5年(2023年)2月20日の決定で、給与ファクタリングの金銭の交付を貸金業法・出資法の「貸付け」に当たると判断しました。貸金業の登録を受けずに行えば無登録営業となり、高い手数料は出資法の上限金利の規制を受けます。

Q事業者向けのファクタリングも違法になることはありますか?

A契約の実態が貸付けと同じであれば、貸金業法や出資法の規制を受けます。金融庁が紹介する裁判例7件のうち5件は貸付けと認定され、2件は債権の売買と認定されました。判断の分かれ目は、償還請求権や買戻しの有無、不払いのリスクを誰が負うか、表明保証の内容などです。

Qファクタリング業者が逮捕された事例はありますか?

A警察庁の「生活経済事犯の検挙状況等について」の令和3年分から令和7年分までの資料で、「ファクタリング」の語がある検挙事例は4件です。3件は給与ファクタリングを名目にした貸金業法違反(無登録営業)等、1件はファクタリング事業への投資を名目にした出資法違反・詐欺でした。最大の事件は2021年1月に警視庁が検挙したもので、延べ約9万7,000人から元利金合計約63億5,000万円を受け取っていました。

Q給与ファクタリングで払ったお金は取り戻せますか?

A取り戻せた裁判例があります。東京地方裁判所の令和3年2月9日判決は、給料ファクタリングの契約を金銭消費貸借と認定し、業者に対して利用者が支払った金員全額の返還義務を認めました。結論は個別の事情で変わるため、弁護士などの専門家に相談してください。

Qファクタリングのトラブルはどこに相談すればよいですか?

A金融庁は、金融サービス利用者相談室(0570-016811)、警察相談専用電話(#9110)、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センター(0570-051051)、消費者ホットライン(188)を案内しています。脅迫的な取立てを受けている場合は、警察に相談してください。

Qこのページの統計はいつ更新されますか?

A警察庁の生活経済事犯の統計は年1回で、2025年分は2026年3月に公表されました。金融庁の相談受付状況は四半期ごとで、2026年4〜6月分は2026年9月11日に公表されました。当サイトは、各機関の公表後に数値を更新します。

出典・参考資料

  1. 警察庁生活安全局「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2026年3月)
  2. 警察庁生活安全局「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2022年)
  3. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年9月18日確認)
  4. 金融庁「一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)」(2020年3月5日)
  5. 最高裁判所「裁判例結果詳細(令和4年(あ)第288号 令和5年2月20日 第三小法廷決定)」(2023年2月20日)
  6. 裁判所「裁判例結果詳細(東京地方裁判所 令和3年2月9日判決 令和2年(ワ)第11883号)」(2021年2月9日)
  7. 裁判所「裁判例結果詳細(大阪地方裁判所 平成29年3月3日判決 平成26年(ワ)第11716号)」(2017年3月3日)
  8. 金融庁「「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等(期間:令和8年4月1日~同年6月30日)」(2026年9月11日)
  9. 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター センターだより Vol.62」(2026年5月31日)
  10. 国民生活センター「多重債務(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新)
  11. 国民生活センター「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!-高額な手数料や強引な取り立ての相談が寄せられています-」(2020年6月12日)
  12. 消費者庁「違法な貸付(ファクタリング等)や悪質な金融業者にご注意ください!」(2026年9月18日確認)
  13. 金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」(2026年9月18日確認)
  14. 警察庁「令和4年版 警察白書(生活経済事犯の現状と対策)」(2022年)
  15. 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(表面)」(2026年9月18日確認)
  16. e-Gov法令検索「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(2026年9月18日確認)
  17. e-Gov法令検索「利息制限法」(2026年9月18日確認)
  18. e-Gov法令検索「貸金業法」(2026年9月18日確認)
  19. 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」(2026年9月18日確認)
  20. 株式会社JPS「【経営者・役員118人に聞いた】ファクタリングに関するアンケート調査結果」(2025年11月25日)
  21. 株式会社エグゼクティブマーケティングジャパン「ファクタリングを「違法・グレー」と誤認する経営者が13%|「まったく知らない」も36%、認知度の低さが浮き彫りに」(2026年5月20日)
  22. 株式会社JPS「【経営者・役員100人に聞いた】資金調達手段の検討・利用実態に関するアンケート調査結果」(2025年10月21日)
  23. 金融庁「リーフレット「その資金調達 大丈夫ですか?」(裏面・相談窓口)」(2026年9月18日確認)
  24. 警察庁生活安全局「令和4年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2023年3月)
  25. 警察庁生活安全局「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2024年4月)
  26. 警察庁生活安全局「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」(2025年3月)

出典のURLと内容は2026年10月22日時点で確認しています。

この記事の更新履歴

  •  公開
  •  H2「給与ファクタリングの被害規模と司法判断は?」の冒頭に結論(最高裁決定と最大の検挙事件の規模)を置き、検挙事例のH3を「ファクタリングの逮捕・検挙事例は?」に改題。FAQ「ファクタリング業者が逮捕された事例はありますか?」を追加。相談窓口の電話番号・受付時間を金融庁のページで再確認

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この記事を引用するとき

記事・図表・データは、出典を明記していただければ引用できます(引用のルール)。出典は次のように記載してください。

アンドファクタリング「ファクタリング・ヤミ金トラブルの統計|相談件数・検挙件数の推移」(https://factoring.co.jp/data/trouble-statistics/、2026年10月22日更新)