財務状態を表す指標の一つに、運転資金回転期間というものがあります。
運転資金とは、事業継続のために必要となる資金のことであり、それがどのように回転しているかを示すのが運転資金回転期間です。
運転資金回転期間は、短ければ短いほど好ましいとされています。
では、運転資金回転期間を短くするためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
本稿では、運転資金回転期間を短縮する方法を解説していきます。
運転資金の基礎知識
運転資金とは、企業が安定的に事業を継続していくために必要となる資金のことです。
- 仕入れを行う
- 生産を行う
- 販売を行う
事業の継続のためには、これらを行う必要があります。それらを円滑に循環するための資金を、運転資金と言うのです。
普通に「資金」という場合と、「運転資金」にはどのような違いがあるでしょうか。
「資金」という時には、事業に利用されるあらゆる性質のお金を、広く表したものです。
運転資金も資金の一種ですが、特に「運転資金」という場合には、「事業を継続するために不足する資金を埋め合わせるのに必要となる資金」のことを指します。
具体的には、「仕入れた原材料や商品を在庫として保管し、商品や製品を販売して代金を回収するまでの期間」と、「原材料や商品などを仕入れて生じた買掛債務の決済を行うまでの期間」のズレを運転資金と言います。
例えば、今月100万円の商品を仕入れて120万円で販売するとします。
この時に発生した売掛債権の回収は数ヶ月後のことになりますが、普通は買掛債務の決済がそれよりも早く訪れます。
となると、120万円の売掛債権を回収していない段階で100万円の支払いをしなければならくなります。


回転期間とは?
さて、本稿では運転資金の回転期間について見ていくわけですが、そもそも回転期間とはなんなのでしょうか。
回転期間とは、資産や負債が一回転するのにかかる期間のことです。
回転期間を知るためには、「365日÷回転率」で計算します。
回転期間を用いた指標としては、下記のようにいろいろな回転期間があります。
- 売掛債権回転期間
- 買掛債務回転期間
- 棚卸資産回転期間
回転期間を見ることによって、資産や負債が円滑に回転しているか、あるいは滞っているかを把握することができます。
そのため、企業の経営内容を知るためにも有効です。
資産の回転期間は短ければ短いほど好ましく、負債の回転期間は長ければ長いほど好ましいとされています。

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運転資金回転期間とは?
さて、ここから運転資金回転期間について見ていきましょう。
運転資金の定義や計算式は上記の通りです。
この計算式を応用すれば、いろいろな計算が可能です。
たとえば、
運転資金回転期間=
売掛債権回転期間+棚卸資産回転期間–買掛債務回転期間
という計算式が成り立ちます。
例えば、売掛債権回転期間が50日、棚卸資産回転期間が70日、買掛債務回転期間が60日であるとするならば、
運転資金回転期間=50日+70日–60日=60日
となり、60日分の運転資金が必要となることがわかります。
この企業の年間の売り上げが5000万円であるとするならば、
5000万円×60日÷365日≒820万円
となりますから、その企業が必要とする運転資金は820万円であることがわかります。
計算式から見る資金調達の必要性
この計算式を見れば、売掛債権と棚卸資産の合計が買掛債務よりも大きいならば、運転資金の調達が必要となります。
逆に、売掛債権と棚卸資産の合計が買掛債務よりも小さいならば、運転資金の調達は必要ではなく、売掛債権を回収することによって買掛債務の支払いが可能となります。

冒頭で述べた通り、「運転資金とは事業の継続のために必要となる資金のこと」であり、このように聞けば運転資金はあればあるほど良いようにも聞こえます。
たしかに、十分な運転資金が賄える状態は悪い状態ではありません。
しかし、本来的には運転資金が小さければ、それほど資金需要が発生せずに事業の継続が可能ということですから、小さければ小さいほど良いのです。

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運転資金回転期間を短くしよう!
では、本題である運転資金回転期間の短縮について検討していくことにしましょう。
繰り返しになりますが、
運転資金回転期間=
売掛債権回転期間+棚卸資産回転期間–買掛債務回転期間
です。
この計算式から、運転資金回転期間を短縮するための工夫を考えて見ましょう。
この計算式において、運転資金回転期間を短縮するためには、
- 買掛債務回転期間を大きくする(買掛債務の決済を先送りする)
- 棚卸資産回転期間を小さくする(棚卸資産の販売を早める)
- 売掛債権回転期間を小さくする(売掛債権の回収を早める)
という方法が考えられます。
買掛債務回転期間を大きくするには限界がある

というのも、買掛債務回転期間を大きくするということは、買掛債務の決済を長期化させ、支払いをできるだけ先送りするということです。
これは、取引先にとっては資金繰りに悪影響となることです。
そのため、これまでの取引よりも支払いサイトの先送りをしたいと交渉したところで、受け入れられない可能性が非常に高いといえます。
考えられる方法としては、今後新たに取引をする取引先が出てきた時には、できるだけ支払いサイトが長引くように交渉を行い、買掛債務の長期化を狙うことです。
しかし、そのような交渉は取引先も容易に受け入れるものではなく、どこかで落とし所を見つける必要があります。

棚卸資産回転期間は無理に小さくしてはいけない
次に、棚卸資産回転期間を小さくすることについてはどうでしょうか。
棚卸資産回転期間とは、棚卸資産が仕入れから販売まで在庫として保有される期間のことです。
これを小さくするということは、できるだけ在庫として留めずに販売するということです。

在庫を短期間でさばいていくためには、営業マンの営業力が求められます。
そのため、営業マンを教育することによって営業力を高めていく必要があり、棚卸資産回転期間を小さくするためには時間がかかります。
また、棚卸資産をさばくために無理な営業をすれば、不良債権を生むことになります。

つまり、せっかく棚卸資産回転期間は小さくなっても、売掛債権回転期間が大きくなって、運転資金回転期間にはなんら影響を及ぼさないのです。
むしろ、回収が難しい売掛債権が増えることによって売掛債権回転期間が大きくなるのです。
売掛債権回転期間がなかなか小さくならず、かえって運転資金回転期間が大きくなってしまう懸念もあります。

売掛債権回転期間を小さくすることは可能か
売掛債権回転期間を小さくするためには、現在保有している売掛債権の回収を早めることが考えられます。
売掛債権回転期間の計算式は、
売掛債権回転期間(日)=売掛債権÷売上÷365日
ですから、売掛債権を回収することによって売掛債権回転期間は小さくなるのです。
売掛債権の回収を早めるためには、以下のような方法が考えられます。
- 不良債権の回収
- 営業部門を教育する
- 売掛債権管理マニュアルの策定
一つずつ解説していきます。
不良債権の回収

しかし、不良債権が発生している原因は売掛先ではなく、自社が原因であることもあります。
例えば、売掛債権管理がずさんであり、支払い期日を迎えても請求書を送付していなかったようなケースです。
そのような場合には、早急に請求書を送るようにしましょう。
また、請求書を送付したものの、支払いが行われずに回収が遅れているということもあると思います。

このような回収活動によって、回収が遅れていた売掛債権を回収することができ、売掛債権回転期間は小さくなります。
また、回収困難に陥っている不良債権に対しても「法的手続きをしたり、差し押さえをしたり」することによって、可能な限り回収に努めます。
このことによっても、売掛債権の額は相応に小さくなり、売掛債権回転期間は小さくなります。
営業部門を教育する

なぜならば、営業マンの営業が悪いために、売掛債権回転期間が大きくなっている可能性があるからです。
例えば、営業マンが営業成績だけを重視し、売掛債権の回収まで見据えずに営業をしたとします。
通常、売掛債権の安全性を確保するために、営業マンは取引先の信用調査を行い、取引先に支払い能力や支払い意思があることを確認した上で、販売を行います。
しかし、営業成績を重視したために、信用調査をろくに行わずに販売をすれば、販売するべきではない取引先にも販売してしまうということが起こります。
その結果、不良債権が多発することになり、売掛債権回転期間が膨らんでいくのです。
このことは、営業マンの能力不足によって信用調査が適切に行われないことからも起こることであるため、やはり教育が大切です。
また、営業マンが能力不足の場合には、取引先と取引条件を決める際に支払いサイトを深く考慮せずに契約してしまうことがあります。

したがって、社員教育によって交渉スキルを育て、適正な支払いサイトで契約することができれば、売掛債権回転期間を小さくすることができます。
とはいえ、教育の効果が現れるのはずっと先のことになりますから、すぐに売掛債権回転期間を改善することはできません。
したがって、運転資金回転期間もすぐに小さくするということはできません。

売掛債権管理マニュアルの策定
売掛債権回転期間を小さくするためには、売掛債権管理マニュアルを作り、社員全体でマニュアル通りに売掛債権管理を行なっていくのが良いでしょう。
例えば、このようにマニュアル化します。
- 営業マンが行うべき信用調査の方針
- 契約内容の方針
- 支払い期日に合わせて確実に請求書を送ること
- 請求書の送付から◯日間反応がなければ請求書を再送付すること
- 再請求から◯日間反応がなければ書面で催促すること
- 書面催促から◯日間反応がなければ電話で催促すること
- 電話催促から◯日間反応がなければ督促状を送ること
- 督促状の送付から◯日間反応がなければ法的手続きを始めること
マニュアル化して、それを社員に徹底させることができれば、野放図な営業が行われることはなくなりますし、請求漏れもなくなります。
請求に反応がなかった場合にも、段階的に回収圧力を強めていき、取引先にプレッシャーをかけていくことができます。
マニュアル化することによって、これらを画一的に行うことが可能となれば、取引先は「あの取引先はうるさいから、きちんと支払おう」という意識を持つようになり、支払いの遅延が少なくなります。



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運転資金回転期間を簡単に短くする方法があった!
上記の通り、運転資金回転期間を短くするためには売掛債権回転期間を小さくするのが最も適当な方法ですが、そのためにはじっくりと取り組む必要があります。
しかし、ある方法を利用することによって、運転資金回転期間を一気に短くすることが可能です。

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことによって、資金を調達する方法です。
主に資金調達法として活用されますが、ファクタリングによって売掛債権残高を減らすことができれば、結果的に運転資金回転期間も短縮することができます。
具体的な数字を使いながら見ていきましょう。
上記と同様、売掛債権回転期間が50日、棚卸資産回転期間が70日、買掛債務回転期間が60日の企業があったとします。
この企業の年間の売り上げは5000万円、売掛債権は685万円ですから、売掛債権回転期間は50日となっているという計算です。
この時の運転資金回転期間は、60日であることがわかります。
運転資金回転期間=50日+70日–60日=60日
これが、現時点における運転資金回転期間です。
この企業がファクタリングを行い、売掛債権全体の約半分に当たる350万円を資金化したならば、どうなるでしょうか。
その場合、年間の売り上げは変わらず5000万円、売掛債権残高は335万円となり、売掛債権回転期間は、
売掛債権回転期間=35万円÷5000万円÷365日≒25日
に短縮されます。
すると、運転資金回転期間は、
運転資金回転期間=25日+70日–60日=35日
となり、運転資金回転期間は従来の60日から35日へと短縮されることになります。
これに伴い、事業継続のために必要となる運転資金も、
運転資金=5000万円×35日÷365日≒479万円
となり、従来の820万円から479万円へと縮小されることになります。
すでに述べた通り、運転資金は小さければ小さいほど良く、運転資金回転期間は短ければ短いほど財務的に良いとされます。
ファクタリングによって売掛債権を資金化し、
そのことによって売掛債権回転期間・運転資金回転期間も短縮されれば、事業継続のために必要となる運転資金も小さくなるのです。

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まとめ
このように、運転資金回転期間を短縮しようと思えば、売掛債権をファクタリングするのが最も簡単な方法であると言えます。
皆さんも、運転資金回転期間を短くしたいと考えているならば、ぜひともファクタリングを検討してみてください。