経営をサポートしてくれる専門家の代表と言えば、税理士・社労士がその筆頭に挙げられます。
税務や資金繰りの専門家は税理士、労務や助成金の専門家は社労士です。
ただし、士業が取り扱う業務の範囲は広いため、社労士にも色々です。
助成金に精通している社労士もいれば、最低限のことだけを知っている社労士もいます。
助成金をフル活用するためには、助成金に精通している社労士に依頼することが重要です。
本稿では、助成金が苦手な社労士が多い理由と、ベストな社労士に依頼する方法について解説していきます。
社労士に協力してもらうメリット
助成金を活用するためには、助成金の専門家である社労士に依頼する必要があります。
もちろん、社労士に依頼せずとも、正確に活用できるならば問題ないでしょう。
しかし現実的には、社労士の手を借りずして助成金をスムーズに受給するのは困難です。
社労士に協力を依頼すると、助成金の受給要件を満たすために必要な手続きを正確に進めることができ「手違い・勘違い」などによる失敗がなくなります。
さらに、助成金についてアドバイスしてもらえることも大きなメリットです。
自社で何らかの取り組みをするとき、それが助成金を受給できる取り組みであっても、経営者ではそれが分からず、助成金を受給し損ねることも多いのです。
自社では助成金について全く考えていなかったものの、社労士から提案してもらったことで、負担の軽減につながることはよくあります。

テレワークを導入するために、通信機器の購入を検討していた。
会社は、雇用関係の助成金以外全く知識がなく、なんら助成金の対象になるとは思っていなかった。
しかし、社労士のアドバイスによって、時間外労働等改善助成金の対象になることが分かり、結果的に100万円の助成金を受給することができた。
雇用関係の助成金について知っている経営者は多いのですが、より柔軟な視点で助成金を活用するのは簡単ではありません。
新規の雇用、有期契約から正規雇用への転換、女性や高齢者の雇用などであれば、「助成金を活用できないかな?」という視点も持ちやすいのでしょう。
それが「テレワークの導入に取り組む」、「能率アップのために設備を導入する」、「人材集めのためにPR活動を行う」といった雇用とは直接関係ない取り組みになると、助成金を活用するという発想にはなりにくいのです。
また、取り組みの内容によっては、複数の助成金を組み合わせて利用し、受給額を増やせるものもあります。
そのためには、正確で広い知識が求められるため、社労士のアドバイスなしでは困難です。
例えば、
「能率アップのための設備を導入する→時短につながる→有給休暇の取得が増える→時間外労働等改善助成金を受給できる→さらに生産性の向上につながる→人材確保等支援助成金を受給できる」
といった流れで、ひとつの取り組みから複数の助成金を受給するためには、社労士の知識が欠かせません。

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メリットは助成金に精通した社労士に依頼してこそ
しかし、助成金の手続き自体は問題なくこなせるとしても、自社が活用すべき助成金を積極的に提案できる社労士はそれほど多くありません。
これは、助成金に精通している社労士があまり多くないからです。
なぜ、助成金に精通している社労士が少ないのかと言えば、助成金の申請代行を敬遠する社労士が多いからです。
社労士が働く上で、助成金の申請代行業務はあまり効率の良いものではありません。
これは、次のような理由があります。
- そもそも経営者が助成金制度について知らない
→助成金の申請代行に力を入れても、あまり稼げない - 手続きが煩雑である
→助成金申請代行にかかる手間が成功報酬に見合わない - 制度の内容がコロコロ変わる
→助成金制度は、廃止されるものや新設されるものが多く、細部での変更も多い。
社労士は助成金申請代行のために、常に情報を収集し、勉強しておく必要がある。
この労力に報酬が見合わない - 役所が消極的である
→申請代行にあたって、社労士は役所の人とやり取りする必要があるものの、消極的な人が多く、手続きに手間がかかることも多い

上記の通り、助成金の仕組みは毎年のように変更されているため、常に情報を収集しておく必要があります。
これを怠ると、会社に最新情報を案内したり、変更点を踏まえた活用をアドバイスすることができなくなります。
手続き自体は、社労士としての知識と経験から、マニュアル通りに進めていけば問題なく、多くの社労士が請け負うことができるでしょう。
しかし、本当に助成金を活用したい会社では、助成金を精通している社労士に依頼する必要があります。
そのような社労士が少ない事実を知り、「社労士ならば、どこで依頼しても同じだろう」と考えてはなりません。

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社労士の方針変更にも注意
以前、助成金を売りにしている社労士に依頼し、しっかりサポートを受けられている会社では、その後も機会があればその社労士に依頼したいと考えるでしょう。
しかし、そのような判断が必ずしも合っているとは限りません。
社労士の方針が、助成金の申請代行から他の業務にシフトしている可能性もあるからです。

開業したばかりで顧客も少なく、これから開拓していかなければならない社労士は、助成金の申請代行を売りにすることがあります。
助成金を売りにしている社労士が少ないため、開業したばかりの自分でも受注しやすく、顧客開拓にもつながることから、助成金申請代行を売りにするのです。
しかし、やがて顧問先を抱えるようになり、事業が軌道に乗ってくると、助成金申請代行に力を入れずとも、経営が成り立つようになります。
というよりも、顧問先が増えて仕事量が増えると、手続きが煩雑で勉強を続ける必要がある助成金関連業務まで、手が回らなくなるのです。
したがって、助成金を活用する時点において、助成金に精通している社労士に依頼することが重要です。

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社労士ネットワークを活用しよう
以上のような理由から、
- 普段から労務や人事などの業務を依頼している社労士が助成金に精通していない
- 以前は助成金に精通していたものの、現在は精通していない
- すでに付き合いのある社労士は、雇用系の助成金には精通しているが、労働環境改善系の助成金には疎い
など、助成金の活用に問題が生じることがあります。
助成金の申請代行自体は、5件以上の経験があればある程度は把握できると言われます。
このため、助成金に精通していなくとも、付き合いのある社労士に依頼すれば代行してくれる場合もあるでしょう。
しかし、助成金活用のためには、あくまでも助成金に精通した社労士に依頼するのがベストです。
そこで、社労士ネットワークを利用することをおすすめします。

社労士の業務の範囲は次のように非常に広く行われています。
- 労働・社会保険関係の法令に基づく書類の作成・提出代行
- 労働・社会保険関係の法令に基づく帳簿書類の作成
- 人事や労務に関するコンサルティング
社労士である以上、最低限のことは抑えているものの、この業務に関するすべての知識に精通し、十分な経験を持っているわけではありません。
その代わりに、それぞれの社労士が、それぞれの得意分野・強みを持っています。
例えば、
- 労働環境整備にあたって、就業規則の作成に高度な専門性を持っている
- 助成金申請代行に特化しており、最新情報を踏まえた正確なアドバイスをしてくれる
- 従業員の教育・訓練に精通しており、企業内教育のコンサルティングを売りにしている
- 人事配置による経営改善に多くの実績があり、業界内でも高い評価を得ている
といった感じです。
逆に言えば、業務の範囲が広いからこそ、すべてに精通することは困難であり、それぞれの社労士が特定の強みを持つように努力しているとも言えます。
そして、自分一人ですべての業務をこなせないからこそ、社労士ネットワークによって仕事を紹介し合って、仕事を回しているのです。
すべての助成金に精通している社労士はなかなかいません。

普段から付き合いのある社労士に、
「知り合いの社長と話していて、○○という助成金の話を聞いたのですが、どうも自社の問題にもマッチするように思います。詳しく教えてもらえませんか?」
などと相談したとき、その社労士が精通していない分野であれば、満足な回答はできません。
しかし、専門家として対応する必要があるのも事実です。
このとき、
「その分野でしたら、私よりも詳しい社労士がいますから、そちらを紹介しましょうか?」
などと提案してくれるならば、その社労士は知識不足でも経験不足でもなく、優秀な社労士だと言ってよいでしょう。
もちろん、
「その分野については、あまり取り扱ったことがないもので・・・」
などと回答する社労士もいると思います。その場合には、
「では、その分野に強い社労士を紹介してくれませんか?」
と頼めばよいでしょう。
まともな社労士であれば、社労士ネットワークで仕事を紹介し合うのは社労士の常識ですから、すぐに紹介してくれるはずです。
もし、紹介さえできない社労士であれば、まともではない可能性が高いので、別の社労士に乗り換えることを考えるべきです。
複数の社労士に依頼して大丈夫?
ここで気になるのが、複数の社労士に相談したとき、それぞれの社労士から異なる指導をされないか?ということです。
普段の労務関係は社労士Aに依頼し、助成金の依頼では社労士Bを紹介してもらったところ、AとBで経営者への指導や要求が異なる場合には、困ったことになるでしょう。

社労士Bが就業規則に手を加えたところ、普段の労務を処理している社労士Aは「この就業規則はいけない」となれば、経営者は社労士AとBの板挟みになってしまいます。
しかし、このようなトラブルの心配はありません。
なぜならば、社労士間の意見の食い違いは、基本的に社労士間で話し合って調整してくれるため、経営者が煩わされることはないからです。
社労士としても、「社労士A⇔経営者⇔社労士B」とやり取りするよりも、「社労士A⇔社労士B」でやり取りしたほうがスムーズです。
経営者は最低限の部分にタッチするのみで、基本的には社労士間で調整しながら進めてくれます。
このように、複数の社労士に依頼することでトラブルになる可能性は低いのです。
社労士ネットワークを活用して複数の社労士に依頼し、助成金をフル活用することを考えましょう。

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まとめ
本稿で解説した通り、一口に社労士と言っても、得意とする分野は異なるものです。
助成金を全く得意としていない社労士、一部の助成金のみ得意とする社労士、多くの助成金に精通している社労士など、色々な社労士がいるものです。
このため、助成金をフル活用していくためには、助成金に精通している社労士に依頼することが大切です。
社労士ネットワークからの紹介も受けつつ、助成金に取り組んでいきましょう。
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