※本記事はプロモーションを含みます。銀行から融資を受ける際には、プロパー融資を受けたほうが良いのですが、中小企業では多くの場合、保証協会の保証付き融資になることでしょう。
保証協会付き融資は銀行にとって大きなメリットがあり、融資するためのハードルがかなり下がるからです。
それでも、結局のところお金を貸すのは銀行ですから、リスクがありそうな会社に対しては、保証協会付き融資でも融資しないことがあります。
では、保証協会付き融資さえも受けられない会社はどのように銀行と交渉していくべきなのでしょうか。
本稿で解説していきます。
書類をきちんと作成する
保証協会付き融資さえ受けられない、財務内容や業績の悪い会社が保証協会付き融資を受けるための方法があると言えば、なにやらすごい方法があるように感じてしまうかもしれません。
しかし実際には、当たり前のことを的確にこなしていくことが重要となります。
本稿で紹介する「書類をきちんと作成する」ということも、その一つです。
保証協会付き融資といっても、お金を貸すのは結局のところ銀行であり、入り口である銀行をその気にさせなければ、保証協会付き融資を受けることも不可能です。
CFイエロー
どちらにしても「銀行をその気にさせる」つまり融資しても良いと思わせるためには、書類が基本よ!
なぜ書類が基本となるのかというと、銀行では稟議制度によって融資の可否が決められているからです。
稟議制度では、融資依頼を受けた融資担当者が稟議書を作り、それを上司から支店長へ、場合によっては本部へと稟議書が回されます。
融資担当者は社長と面識がありますが、融資課の上司は面識がない場合がありますし、支店長や本部となればなおさらです。
つまり銀行融資は、会社のことを全く知らない人が、稟議書の内容だけで会社の良し悪しを判断し、融資の可否を決定していくのです。
だからこそ稟議書が融資の結果を左右します。
そして、稟議書を作る際には書類が根拠になるため、書類が重要なのです。
保証協会付き融資で準備する資料
保証協会付き融資を受ける際に提出する資料は2種類あります。
一つは手続きに必要となる書類であり、もう一つが融資の判断に必要となる書類です。
手続きに必要となる書類
保証協会付き融資の手続きに必要となる書類には、次のようなものがあります。
- 信用保証依頼書
- 信用保証委託申込書
- 信用保証委託契約書
- 個人情報の取り扱いに関する同意書
- 確定申告書
- 決算書
- 商業登記簿謄本
これらの資料は、審査にあたって必要となる書類であり、求められればすぐに提出できるように準備しておく必要があります。
このほか、基本的なことですが、依頼書や申込書では必要事項をきちんと記載するようにしましょう。
記入漏れや間違いがあれば、再提出の必要が生じます。
非常に基本的なことですが、保証協会付き融資はプロパー融資と異なり、「会社⇔銀行」ではなく「会社⇔銀行⇔保証協会」とやり取りが行われるため、書類の手続きが煩雑です。
書類を揃えておき、迅速に提出し、しかもそれにもれなく記入されていてこそ素早く資金を調達し、資金繰りを回していくことができるのです。
融資の判断に必要となる書類
融資の判断に必要となる書類には、それが新規の金融機関であった場合には、次のものが必要です。
- 決算書
- 5年分の損益予定表
- 合計残高試算表
- 資金繰り予定表
- 事業計画書
- 金融機関別借入内訳表
これらの資料から、会社の過去から現在に至るまでの経営状況、そして今後の経営の見通しなどを見ることができます。
つまり、銀行はその会社にお金を貸しても大丈夫かどうか、きちんとお金が返ってくるかどうかを知りたいと思っているからこそ、これらの資料を欲しがります。
したがって、このような資料は、プロパー融資でも、保証協会付き融資でも、どちらでも要求される資料です。
CFブルー
銀行が要求される前から準備しておき、提出することができれば、かなり心証は良くなると言えるだろう!
もし、既に融資実績がある銀行から保証協会付き融資を受ける場合には、合計残高試算表と資金繰り予定表を提出します。
では、これらの資料のうち、特に説明の必要があるものについて、以下に詳述していきましょう。
合計残高試算表
上記から、新規融資を依頼する場合にも、既に取引がある銀行に依頼する場合にも、合計残高試算表が必要であることが分かります。
合計残高試算表は、毎月作っておくべきものですが、毎月作っている会社はそれほど多くはありません。
そのような会社は、保証協会付き融資を受けるにあたって、作成していかなければならないわけですが、これは会計ソフトなどを使って簡単に作成できるものです。
本来ならば、合計残高試算表は、融資の有無にかかわらず毎月作成しておいた方が良いものです。
なぜならば、この資料を作っておけば、どんぶり勘定を避けることができるからです。
経営が破綻してしまう会社は、どんぶり勘定によって経営を回しており、小さなずれが積もり積もって経営破綻しているケースが非常に多いのです。
資料をきちんと作っておけば、儲かっていない事実を正確に把握することができ、問題点を見つけられることも多々あります。
早い段階で問題点を見つけることができれば、それが早ければ早いほど、多彩な方法で対策していくことができます。
したがって、前月の合計残高試算表が翌月の15日までに出来上がる体制を築いておき、損益の流れを逐一追っていくようにしましょう。
CFイエロー
そうすれば、経営に大いに役立ち、いざ資金調達の必要が生じた時も、すぐに銀行に提出することができるよ!
このように、リアルタイムで損益を追っていれば、銀行も「この会社はよくやっている、信用できる」と考える可能性が高まります。
毎月の試算表は、遅くても15日、できれば10日には作っておきたいものです。
実際、そのようにやっている会社は黒字経営になっているケースが非常に多いです。
しかし実際には、2~3ヶ月ごとに作っていたり、決算のときにだけ作ったりしている会社がほとんどであるのが実情です。
そのような会社は、合計残高試算表や資金繰り予定表によって会社の経営状態を把握してきていないわけですから、事業計画書も実態とかけ離れたものが出来上がる可能性が高いと言えます。
事業計画書で「このような結果を目指します」と宣言して保証協会付き融資を受けたにもかかわらず、会社の経営状態を把握・検証できていなかったために、実現不可能な事業計画を宣言してしまいます。
いざ決算になると半分も達成できていなかったなどということにもなりかねません。
そうなると、銀行からは「話が違うではないか」と思われ、大きく信頼を失うことになってしまいます。
これまで合計残高試算表や資金繰り予定表を作っていなかった会社は、保証協会付き融資を機に、これらの資料を毎月作れるシステムを社内に設けましょう。
経営改善に役立ち、融資にも役立ち、まさに一挙両得です。
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資金繰り予定表
資金繰り予定表も、新規の融資依頼と既存の取引銀行への融資依頼の両方の場合において必要となるものです。
これを知るためには、銀行が融資を決めるための考え方を知る必要があります。
銀行が融資をする時には、必ず確認する3つの事項があります。
それは資金使途、返済原資、保全です。
これによって、融資の8割が決まると話す銀行員もいるほど、これらの要素は重要なものです。
もっとも、この3つの事項は責任共有制度、つまり、貸し倒れの場合に銀行と保証協会が責任を共有(銀行:保証協会=2:8の割合)する制度が作られる以前にはそれほど確認されない事項でした。
責任共有制度がなかった時代には、銀行は貸し倒れの際に一切責任を負わなくてよかったため、これらの3つの事項を確認する意味がそれほどなかったのです。
しかし、責任共有制度ができてから、万が一の場合、銀行は2割の責任を負うことになりました。
となると銀行は、「貸したお金がどのように使われて、経営にどのような効果をもたらし、それによって返済もきちんと行われるのか」ということを徹底的に調べ、万が一の2割の貸し倒れを防ぐ必要が生じたのです。
だからこそ、銀行は資金繰り予定表を重視するようになりました。
資金繰り予定表があれば、貸したお金がどのように使われ、どのような効果が期待できるかを知ることができます。
CFブルー
もし、資金使途と効果に疑問が残れば、銀行が融資を拒否し、保証協会付き融資を受けられないことになるぞ!
事業計画書
うまく融資を引き出していくために重要となるのが、事業の透明化です。
保証協会は保証のための事務手続きのプロであり、銀行は審査のプロですが、事業経営に関してはほぼ素人と言ってよいでしょう。
現場のことは良くわかりませんから、書類ベースで審査を進めていきます。
これをうまく利用することが大切です。
つまり保証協会は所詮事務手続きのプロであること、銀行は所詮審査のプロであることを逆手に取ると、保証協会付き融資が出やすくなります。
そこで重要となるのが事業計画書です。
事業計画書を読み、そこに実現の可能性があり、経済的に合理的であり、客観性があると見れば、問題なく融資を受けられるはずです。
大切なのは、社長がしっかりとした考えを持っており、行動していけることが文章と数字で表されていることです。
そのような経営計画書を添付しておけば、保証協会や銀行が首を縦に振る可能性は大きく高まります。
保証協会にしろ、銀行にしろ、事業についてはほとんど把握していません。
CFレッド
保証協会や銀行が追いかけているのは書類上の数字だ!
だからこそ、文章と数字によって事業のイメージを掴んでもらい、良い印象を持ってもらうことができれば、審査にはかなり通りやすくなります。
金融機関別借入内訳表
この資料は、現在融資を受けている金融機関ごとの「借入額、借入残高、毎月の返済額、保全状況」などを一覧表にしたものであり、新規の融資依頼の際に必要となる資料です。
銀行は、他の銀行の動きを探りたいと常に考えています。
融資額や残高だけではなく、保全状況も知りたいと考えています。
その会社に対して担保を取っているか、保証協会はついているか、プロパー融資なのか、何年で貸しているのかといったことを知りたいと思っているのです。
金融機関別借入内訳表を見れば、それらのことが一目瞭然となっています。
銀行は、その資料によって他の銀行の動きを知ることができるため、あなたの会社に対する心証が飛躍的に良くなるはずです。
また、金融機関別借入内訳表を提出すれば、自社の借入状況を全てオープンにすることにもなります。
銀行にとっては、安心して取引できるかどうかを判断するための、重要な資料となるわけです。
したがって、金融機関別借入内訳表の提出は必須ではないものの、銀行に対して誠意を示し、心証を良くしてもらうための資料だと考え、できるだけ提出するようにしましょう。
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銀行との交渉ポイント
ではここから、上記の資料を提出することを前提として、銀行といかに交渉していくかを見ていきましょう。
銀行が融資の可否を決める重要な要素は、上記でも紹介した通り、次の3つがあることが分かりました。
これは三大要素といってもいいほどに重要なもので、保証協会付き融資で融資を受ける際にも重要な要素となります。
したがって、銀行との交渉ポイントも、多くはこの3つにあると考えることが大切です。
資金使途
3つの要素のうち、最重要と言えるのが資金使途です。
融資可否の半分以上は、資金使途によって決まると言われるほどに重要です。
なぜ資金使途がそれだけ重要なのでしょうか。
それは、不良債権化してしまった会社のほとんどが、資金使途を誤ったことに原因があるからです。
銀行の審査が不良債権化を事前に見抜くものであるならば、資金使途がどうであるかを詳しく調べるのは当然のことなのです。
銀行は、そのお金が生きたお金になるか、死に金になるのかということを見極めるわけです。
融資するお金は…
- 設備資金なのか
- 運転資金なのか
- 前向きな投資のための資金なのか
- 現状維持のための後ろ向きな資金なのか
銀行はこれらを十分に把握したうえで審査に役立てていきます。
CFイエロー
交渉のポイントとしては、資金使途を細部まで明らかにしておき、嘘はつかないということよ!
もしここで嘘をつき、融資を受けられそうな資金使途を考えて融資を受けたとしても、後で必ず後悔するときが来ます。
資金使途を説明通りに使っていなかったことが分かれば、銀行との信頼関係は失われ、場合によっては回収に乗り出すということも考えられます。
どのような理由で資金を必要としているのかをきちんと伝え、それでだめだと言われるならばその理由を聞いてみましょう。
きちんと納得できる資金使途で借入を希望するならば、銀行と交渉の余地はいくらでもあるはずです。
お金を回していくことをよく考えていれば、合理的な資金使途で融資を希望できるはずです。
そのような会社に対しては、銀行も納得してくれることと思います。
返済原資
返済原資とは、返済のための財源のことです。
原則的に、返済は利益の中から行なっていくものです。
したがって、事業計画書と資金繰り予定表によって、融資を受けた資金を活用することに事で「きちんと利益が出ている」ことを示すことができれば、銀行はそれを返済原資とみなしてくれます。
もっとも、長期融資を希望するならば事業計画書と資金繰り予定表に加え、今後5年間の損益予定表を追加します。
交渉のポイントはごくごく当たり前のことで、上記の資料によって「利益はこのくらい出ていますから、十分に返済していけます」ということを数字で表し、納得してもらうことです。
繰り返す通り、銀行員は数字で納得します。
逆に言えば、数字でなければ納得しません。
利益を数字で表し、返済原資に問題ないことを知ってもらえれば、返済原資もクリアとなります。
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保全と担保
最後のポイントが、保全と担保です。
そもそも、保証協会付き融資は無担保の場合には上限枠が8000万円、有担保の場合には担保によって上限枠が2億円まで広がります。
CFレッド
この二つの枠を合わせれば、最大で2億8000万円の融資枠があることになるよ!
皆さんはこれまで、保証協会付き融資に有担保があるということを知らなかったかもしれません。
しかし、有担保で融資を受けることも可能です。
担保の条件は、次の3種類があります。
有担保で保証協会付き融資を受けた場合、この条件により、銀行と保証協会の間で担保の配分を決めています。
仮に、有担保で3000万円の融資を受けた会社があったとしましょう。
この会社が倒産し、貸し倒れになった場合には、上記の3種類によって、担保は以下のように処分されます。
優先
優先とは、銀行よりも保証協会を優先させる条件です。
通常、貸し倒れになった場合、担保を処分した全額を銀行が受け取ります。
しかし、優先になっている場合には、まずは銀行ではなく保証協会が担保の全額を受け取ります。
銀行は1円も受け取ることができないのが、優先です。
同条件
同条件は、担保処分によって得られたお金を、銀行と保証協会で均等に分ける条件です。
例えば、3000万円の貸し倒れになり、担保を2000万円で処分できたならば、銀行と保証協会で1000万円ずつ分け合うことになります。
劣後
劣後は、優先の逆であり、保証協会よりも銀行を優先させる考え方です。
貸し倒れになった場合、担保を処分した全額を、通常どおり銀行が受け取るという条件です。
保証協会には1円も入りません。
では、優先・同条件・劣後の3つの条件はどのように決定されているのかというと、それは銀行です。
CFイエロー
銀行が保証協会と協議したうえで決定しているよ!
劣後になると保証協会が不利になりますから、企業としては保証を受けやすいように、優先か同条件に条件を据えてほしいと考えると思いますが、銀行はその逆を考えていることでしょう。
そこで交渉のポイントとしては、銀行に以下のように言ってみることです。
「今回は、有担保枠での借入を考えています。
しかしその場合、保証協会を優先にしてもらえませんか」
このように言えばプレッシャーになり、銀行は最悪でも同条件、あるいは優先で考えざるを得なくなります。
そうなれば、保証協会の保証を受けやすくなり、保証協会付き融資が出やすくなるのです。
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まとめ
保証協会付き融資を受けられない場合でも、その対策は意外と普通であることが分かります。
保証協会付き融資を引き出すための特別なことをするのではなく、保証協会付き融資を引き出すために、当たり前のことを当たり前にやるのです。
とはいえ、その当たり前のことを正しく認識していなければうまくいかないものです。
本稿で紹介したように、書類の意味や交渉の意味、あるいは銀行の考え方などを知り、保証協会付き融資を引き出してほしいと思います。
保証協会付き融資さえ難しい?そんな場合の交渉方法とは