小さな会社の多くは、資金繰りに困っていることと思います。
資金繰りに全く不安がないという会社は少ないことでしょう。
そのような、資金繰りに困っている会社の多くは、お金の流れを正確に把握できず、どんぶり勘定になっていることが多いです。
特に、小さな会社では、社長個人と会社のお金が混同され、それゆえにどんぶり勘定に落ち射ているケースが多々あります。
本稿では、個人と会社のお金を正確に区別し、どんぶり勘定を防ぐための方法を紹介していきます。
どんぶり勘定になっていないか?
これから起業する人や、小さな会社を経営している社長の中には、簿記に関する詳しい知識を持っている人は少ないことと思います。
そのため、お金を管理しているつもりでいても、どんぶり勘定になってしまっているケースが多々あります。
どんぶり勘定とは、お金の流れを正確に把握しないままに資金繰りを回していくことです。
特に小さな会社では、経営者が会社のお金と個人のお金を混同して使い込み、お金の管理は支離滅裂となり、その結果としてどんぶり勘定になっていることが多いです。
これでは、資金繰りなど全く成り立たちません。
社長であるからといって、会社のお金をプライベートなことに使っていいわけではありません。
社長は、会社から役員報酬をもらっており、個人的な出費はその中から賄っていかなければならないのです。
それができず、お金の流れが良くわからないままに会社のお金を使い込んでいると、会社のお金がまだあると思って個人的に大きめの買い物をしてしまいます。
その結果、把握できていなかった支払い請求に対応できなくなり、資金繰りのために走り回るということにもなりかねません。
従業員の少ない小さな会社において、社長が担う役割は大きいものです。
社長が資金繰りに追われ、社長としての仕事を満足にこなせなくなれば、業績にも悪影響を与えます。
そのようなことにならないためには、どんぶり勘定にならないように、お金をしっかりと管理していく必要があります。
特に、社長が会社のお金と個人のお金を混同しないように管理していくことが重要です。

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通帳を分けて管理する
すでに個人のお金と会社のお金を混同してしまっている、あるいは今後そうならないために対策をしておきたい、しかし簿記の知識はないという人におすすめの方法があります。
それは、通帳を帳簿代わりにするという方法です。
通帳を帳簿代わりにするためには、まずは個人の口座と会社の口座を明確に分け、個人と会社の支払いが混同しない体制を作ります。
そののち、会社用に通帳を二つ持ち、一つを入金用、一つを支払用として使うようにします。
入金用口座・通帳の使い方
入金用の口座を作り、入金用通帳を作れば、これが売上帳として活躍します。
この時に使う銀行口座は、事業形態に合わせて選びます。
会社の規模が大きくなれば、取引先が振り込みやすいように、支店が多い都市銀行の口座を入金口座にするのが良いでしょうが、会社の規模が小さいうちは都市銀行である必要はないでしょう。
もし、特定の地域に限って事業を展開するならば、地方銀行の方が便利ということもあります。
会社の業種によっても違うでしょうが、売上金を取引先や顧客から直接振り込んでもらう場合には、入金用口座を指定します。
そうすることで、銀行が記帳してくれた通帳が、そのまま売上帳となるのです。
飲食店や小売業のような業種は、クレジットカード払いの場合には入金用口座に振り込まれて記帳されますが、主な取引は現金取引となります。
この場合、自動では入金用口座に記帳されることはありません。
そのため、現金として回収した売上金は、定期的に入金用口座に預けて記帳する必要があります。

売上金がまだ入金されていない段階で、何らかの支払いを求められたときなどに、売上金の中から支払ってしまうケースがあるのですが、それをやってしまうとルールが崩れ、どんぶり勘定への一歩を踏み出してしまうことになります。
入金用通帳を売上帳にするためには、入金用通帳に売上高がしっかり反映されなければ意味がありません。
このルールさえ厳密に守れば、簿記の知識などなくとも、立派な売上帳が出来上がります。
支払用口座・通帳の使い方
次に作るのが、支払用の口座です。
この口座では、可能な支払いは全てこの口座を通して行うことで、支払いを記録していくことが目的です。
会社が支払っているもののなかには、口座引き落としにできるものがたくさんあると思います。
例えば事務所家賃、月極駐車場代、インターネット料金、電気代、水道代、ガス代、電話代、リース料、税金、仕入れ代金、保険料など、様々な支払いを口座引き落としにできます。
消耗品などの購入も口座引き落としにすることが可能です。
例えば、事務所で使う文房具や工事用具などの消耗品は、アスクルやモノタロウで購入し、口座振替を指定することができます。
これらを口座引き落としにし、支払用口座に指定しておくことで、各種支払いを銀行が記帳してくれるので、支払用通帳が帳簿に早変わりします。

起業したばかりの会社や業種によっては、自宅で仕事をしている人もいると思います。
そのような場合には、家賃や水道光熱費などの料金を、個人と会社で共有することになります。
ここで、個人が負担するべき費用を会社負担にしてしまうと、どんぶり勘定の始まりになってしまいますから、厳密に分けるべきです。
具体的には、その支払いの全額は会社の支払用口座から引き落としておき、後で支払い額のうち個人の利用になると思われる部分を、役員報酬から天引きして返すようにします。
このようにすることで、会社と個人の支払いを明確に分けることができます。
なお、口座から天引きできない費用でも、インターネット払いができる費用もあります。
そのような費用を支払い用口座から確実に払うためには、インターネットバンキングを利用するのがおすすめです。
そうすることで、口座引き落としにできない支払いでも、口座から支払えるものが増えます。

それを利用すれば24時間利用できたり、どこからでもスマホで振り込みができたりといったメリットもあり、非常に便利です。
さらに、インターネットバンキングを利用していれば、口座データと会計ソフトを連動させ、会計処理の手間を省けるサービスもあります。
人手の足りない小さな会社だからこそ、支払用口座を作って会計処理を簡素化することをおすすめします。
どんぶり勘定に陥らないためにも、上記のように口座を二つ持ち、入金用と支払用の二刀流でお金を管理していきましょう。
このようにしておけば、資金繰りも分かりやすくなります。
売上がいくらあって、支払いがいくらあるかが可視化されるからです。
売上の変化も見えますし、経費の変化も見ることができます。
売上が下がっていれば対策を練ることもできますし、経費が増えていればコスト削減の努力をすることもできます。
会社と個人の支払いが混同されているどんぶり勘定では、このようなことは不可能です。
売上は感覚的に把握できるかもしれませんが、正確な経費はわかりません。
経費のうち、どれくらいが会社の支払いで、どれくらいが自分の支払いであるかが分からないからです。
その結果、コスト意識が生まれず、経費削減の努力などもできず、会社の現金を無駄に流出させ続け、いずれお金が不足することになるのです。

欲を言えば、この方法は結果を記帳するにすぎませんから、数ヶ月先までの資金繰り予定表も作って資金繰りをし、資金繰り予定と実際の資金繰りの乖離を分析して資金繰りに工夫を加えていくのが良いでしょう。
しかし、その場合にも通帳を帳簿代わりにして記録を取っておけば、資金繰り予測を立てる際の参考になりますから、やはり役立つ方法だと言えます。

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財布を分けて管理する
入金用口座と支払用口座に分けて管理しておくと、銀行が記帳してくれますから、帳簿をつける労力は軽減され、お金の流れも分かりやすくなるというメリットがあります。
しかし、口座を分けて管理していくにも限界があります。
例えば、仕事中にガソリンを入れる場合や、コンビニでちょっとした買い物をする場合、または喫茶店でちょっと書類をまとめる場合など、色々なタイミングで現金支払いをすることがあるからです。
このような支払いがあるために、全ての支払いを全て口座から行なうことはできません。
しかし、現金での支払いは証拠が残らないため、個人と会社の支払いが混同されやすいものです。

そして、会社に関係あることで現金支払いをする時には、必ず会社用の財布から支払いを行い、領収書は会社用の財布に保管しておきます。
定期的にたまった領収書の合計金額を預金通帳から引き出し、内訳を記録しておきます。
このようにしておけば、預金通帳から引き出された金額がすなわち現金で支払った経費ということが分かります。
この時の注意点は、使う額を概算して事前にお金を引き出したり、使った後に大体の金額を引き出したりしないことです(9999円の支払いでも、10000円を引き出すのではなく9999円を正確に引き出す)。
もしそんなことをすれば、領収書の合計額と通帳の引き出された額とが合わなくなり、信頼性が失われることになります。

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法人カードで管理する
財布を2つに分けて持つという方法では、領収書を保管したり、使った額を正確に引き出したりする必要があるため、やや面倒に感じた人もいることと思います。
そのような人におすすめしたいのが、クレジットカードを個人用と会社用とに分けて使うことです。
この方法では、会社の支払ういのうち、口座引き落としができないものに関しては、法人カードを使って支払います。
クレジットカードを利用した際には、クレジットカード会社か毎月利用明細書を発行してくれます。

もちろん、支払いの詳細は明細書に記入するなどして、管理していくことが必要ですが、それでも記帳はかなり簡単になります。
現在、クレジットカード払いができない支払いは非常に少なく、会社で支払うようなものはほとんど全てクレジットカード払いが可能です。
支払いも簡単であり、支払いの記帳も簡単になるので非常に便利です。
もちろん、クレジットカード料金の引き落とし口座は、支払用口座に指定しておきます。
法人カードを作れない場合は個人カードを2枚作る
しかし、法人カードには問題があります。
それは、法人カードの審査は厳しく、個人カードのように簡単には作れないということです。
特に、これから起業するような会社の場合には、会社の経営実績がないため、審査は厳しくなります。
場合によっては審査に通らず、作れないこともあります。
そのような場合には、個人名義のカードを法人用として使うようにしましょう。
この方法の要点は、
- 口座引き落としにできない、本来ならば現金払いになる支払いをクレジットカードに集約すること
- 利用明細書を発行してもらうことで資金管理に役立てること
の二点です。
個人カードでも、この目的は達成することができます。
個人カードは、個人の口座でなければ引き落としができないため、支払いも個人口座から行なうことになります。
そのため、せっかく作った支払用口座からの支払いとはなりません。
しかし、個人カードの支払用口座は、あくまでも個人カードの支払用にのみ利用し、プライベートでは一切使わないようにしておけば問題ありません。

税務署などでは、基本的に口座の名義を重視するため、個人カードや個人口座で出入りしているお金を、法人の支払いであると認めないとされています。
しかし、カードや口座の名義が個人のものであっても、実質的に会社が使用・管理しているならば、法人名義と同じものとして認められます。
個人の用途で一切使われておらず、会社の用途だけで使われているならば、実質的には間違いなく法人カード・法人口座と同じものとみなされるのです。

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まとめ
個人と会社のお金を混同しないためには、個人と会社のお金を明確に分けて運用していくことが大切です。
銀行口座を個人と会社で分け、財布やカードも個人と会社で分け、個人的なお金と完全に切り離しておくようにしましょう。
このように管理すると、銀行の記帳やクレジットカード会社の明細表からお金の流れを把握することができ、コスト意識が高まるというメリットもあります。
つまり、どんぶり勘定を防ぐ効果があるのです。
どんぶり勘定に陥らないためにも、本稿の内容を実践してみてはいかがでしょうか。