キャリアアップ助成金の正社員化コースは、従業員の雇用形態を転換することによって、助成金を受給できるものです。
これから採用する人を転換した場合でも、すでに採用している人を転換した場合でも助成の対象となるため、人材を確保する際には、積極的に活用していきたいものです。
正社員化コースの受給のためには、就業規則を改定する必要があります。
そこで本稿では、就業規則をどのように改定していくのか、そのポイントについて解説していきます。
キャリアアップ助成金の正社員化コースについて
色々ある助成金の中でも、多くの会社で利用する機会が得られ、助成金額も大きいです。
さらに繰り返し利用できる助成金として、「キャリアアップ助成金」は特におすすめの助成金です。

正社員化コースとは、
- 有期契約から無期雇用や正規雇用に転換
- 無期雇用から正規雇用に転換
というように、対象となる労働者の雇用形態を改善することによって、助成金を受給できるものです。
これは、すでに雇用している従業員を転換した場合に受給できるほか、これから雇用する従業員を一旦有期契約で雇用し、その後転換した場合にも受給することができます。
正社員化コースで受給できる金額は、以下の通りとなっています。
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
有期契約から正規雇用へ転換 | 1人当たり57万円 | 1人当たり72万円 |
有期契約から無期雇用へ転換 | 1人当たり28万5000円 | 1人当たり36万円 |
無期雇用から正規雇用へ転換 | 1人当たり28万5000円 | 1人当たり36万円 |
なお、これらの転換の形態を問わず、1年度で1事業所当たりの支給申請上限人数は、合計20人までとなっています。
この表からわかる通り、助成金の支給額が大きく、有期契約から正規雇用へ20人転換しています。
なおかつ生産性要件を満たしている場合には、最大で1440万円もの受給が可能となります。
成長期にある会社では、労働力の確保に悩んでいることも多いと思います。
成長すべきタイミングであるにもかかわらず、労働力が不足しているために十分な成長ができず、タイミングを逸してしまう会社もあります。
そのような会社では、キャリアアップ助成金の正社員化コースをうまく利用し、人件費負担を大幅に軽減しつつ、労働力を確保していくのがおすすめです。

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就業規則の改定が必要
助成金の受給のためには、それぞれで設定されている受給要件を満たす必要があります。
正社員化コースでは、従業員を転換することによって助成金を受給するため、自社の就業規則に転換規定を盛り込むよう、改定することが前提となります。

厚生労働省の指導でも、転換・直接雇用を実施する日までにキャリアアップ計画を作成・提出した後、就業規則や労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定し、管轄の労働基準監督署に届け出るように指導しています。
キャリアアップ計画提出前に、すでに転換制度を規定していた会社でも、受給要件を満たすことができます。
ただし、転換対象者の要件や転換実施時期などについては、就業規則に規定することが必須となっています。

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転換規定の内容
転換には、有期契約から無期雇用、有期契約から正規雇用、無期雇用から正規雇用など、様々な転換が考えられます。

具体的には、以下のように規定します。
【有期契約から無期雇用に転換する場合】
-
- 勤続○年以上の者で、本人が希望する場合は、無期雇用に転換させることがある。
- 転換時期は、毎年原則4月1日とする。
- 所属長の推薦のある者に対し、面接および筆記試験を実施し、合格した場合について転換することとする。
【有期契約から正規雇用に転換する場合】
- 勤続○年以上の者または有期実習型訓練修了者で、本人が希望する場合は、正規雇用に転換させることがある。
- 転換時期は、原則毎月1日とする。※ただし、所属長が許可した場合はこの限りではない。
- 人事評価結果としてC以上の評価を得ている者または所属長の推薦がある者に対し、面接および筆記試験を実施し、合格した場合について転換することとする。
【無期雇用から正規雇用に転換する場合】
- 勤続○年以上で、所属長が推薦し、本人が転換を希望する無期雇用の者については、面接および筆記試験を実施し、合格した場合について正規雇用に転換することができる。
- 転換時期は、毎年原則4月1日とする。
以上の例のように、
- 転換の手続き(面接試験や筆記試験等の適切な手続き)
- 転換の要件(勤続年数、人事評価結果、所属長の推薦等の客観的に確認可能な要件・基準)
- 転換または採用の時期
について明記した規定を作る必要があります。
この3点をクリアしていれば問題はないため、自社に適した規定を作りましょう。

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就業規則改定のポイント
正社員化コースを受給するために、就業規則を間違いなく改定していくためには、就業規則の適用範囲や種別しっかり把握しておくことが重要です。
会社によって、就業規則の形は色々です。
従業員数が少ない会社であれば、雇用区分に関係なく、全従業員に対して一律の就業規則を設けている会社もあるでしょう。
また、雇用区分別に就業規則を分けている会社もあります。
就業規則改定の際に重要なのは、転換の対象となる雇用区分に向けた就業規則において、転換規定を設けることです。
例えば、有期契約あるいは無期雇用から正規雇用に転換する場合、
×「正規に転換するのだから、正規社員の就業規則に転換規定を設ける」
◯「非正規社員を転換するのだから、非正規社員の就業規則に転換規定を設ける」
と考える必要があるのです。
このように、正社員化コースの受給を目指す会社では、雇用区分によってそれぞれ異なる就業規則を設け、転換の対象となる雇用区分の就業規則で転換規定を設ける必要があります。
もし、雇用区分によって異なる就業規則を設けていないならば、雇用区分から整備していく必要があります。
就業規則の本文の冒頭部分に、
従業員の定義、区分は以下に定め、各区分により別に定める就業規則がある場合は、その就業規則を適用する。
- 社員・・・第○章で定める採用選考により、期間の定めなく雇用される者
- 契約社員・・・有期雇用契約により、主として~~の業務に従事することを前提に雇用される者
- パートタイマー・・・週の所定労働時間が正社員に比べて短く、有期雇用契約で時給制により雇用される者
- 嘱託社員・・・定年退職した後、嘱託社員契約により再雇用される者
といった文面を設け、雇用区分ごとに就業規則が異なることを明示しておくのです。
そうすることによって、転換の対象となる労働者がどの雇用区分に属するのか、その雇用区分における転換規定はどうなっているのかを特定することができます。
転換規定に沿った転換を実施した会社は、助成金を受給することができるのです。

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まとめ
就業規則の改定、転換規定の作成については、助成金の専門家である社労士に依頼すれば、問題ないものを作成してくれるはずです。
したがって、経営者自らが詳しく学び、自分で作成していく必要はありません。
しかし、助成金をスムーズに受給するためには、会社側でも基本的なことを知っておき、社労士に丸投げするのではなく、しっかりと連携していく必要があります。
そのためにも、就業規則の改定について、本稿の内容くらいは押さえておきましょう。