社長が自社の概況を知るために作るべき資料6選

会社が銀行と交渉するにあたり、資料の作成は非常に重要となります。

これは、銀行の融資担当者が稟議書を作る際の資料となるからです。

しかし、資料の作成には、それ以上に重要な理由があります。

それは、資料の作成を通じて、社長自身が自社の状況を把握し、銀行員に必要な説明を適切にできるようになることです。

本稿では、社長が自社の状況を把握するため、また銀行への提出資料として有効な資料と、その書き方について解説していきます。

資料作りは説明のためにある

銀行から融資を受けるために重要なのは、資料を充実させることだと、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

実際、資料作りは融資交渉を左右する重要なものです。

なぜ資料づくりがそれほど重要なのかと言えば、その資料が銀行員への説得材料になるからです。

また、資料自体が説得材料になると同時に、社長自身の説明にも役立ちます。

資料をきちんと作っておけば、その資料を作る過程で「なぜ・いくらの融資が必要になったのか」融資の周辺事情について、社長自身がよく理解して、銀行員に話せるようになるでしょう。

これが資料作りの最大の目的です。

CF イエロー
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資料を作れば、資料の数字や会社の状況などがきちんと頭に入ってくるよ!

会社の状況と数字が分かっていれば、資料を提示しながら理路整然と説明することもできるでしょう。

逆に、外部に丸投げするなどして資料を作っても、社長自身がその中身を把握していなければ、資料の中身を説明することができません。

それでは何の意味もありません。

そもそも銀行員は、財務や税務についてかなりの知識を持っているのですが、会社における実際の資金繰りの知識を持っているとは言えません。

知識と現場は必ずしも一致していませんし、むしろ中小企業の資金繰りとなると、銀行内の職務検定試験に出てくるような内容に出くわすことはありません。

銀行員は、融資そのものについて、あるいは決算書の評価についてはかなり深い知識を持っているのですが、資金繰りや経営そのものに関してとなると、たちまちずぶの素人になってしまうことも多いのです。

つまり、銀行員は資金繰りについて、それほど知識を持っていないと知った上で、融資を依頼する必要があります。

銀行員ならば、自社の資金繰りの状況をきちんと汲み取ってくれるだろうなどと思ってはいけません。

それは、社長自身が資料を作りながら把握し、銀行員について説明して、初めて理解を得られることなのです。

なにを説明するの?

では、銀行員に説明すべきこととは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。

銀行員に説明すべきこととは、すなわち銀行員が聞きたいことであり、社長はそれをきちんと説明するために資料作りを行ないます。

銀行員が聞きたい企業の概要には、以下のようなものがあります。

業界全体について

銀行員が知りたがることの一つに、業界全体の動向があります。

日本経済や世界経済の全体のことを話すのではなく、あくまでも自社が所属する業界についての動向を話すように心がけてください。

業界における自社の立ち位置

業界全体の動向の中で、会社がどのような影響を受けつつあるのかを説明します。

例えば、客層が変化していること、客数が変化していること、それによって売上がどれくらい変化しているのかといったことを話します。

簡単に考えるならば、お客さんの動向やライバル企業の動向を説明すると考えれば、うまく説明しやすいと思います。

決算書の内容について

業界全体の動向が、決算書にはどのように反映されているのでしょうか。

増収増益、増収減益、減収増益、減収減益のうちどれかに該当すると思います。

CF ブルー
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それを説明するときに業界の動向を絡めると説得力が増すよ!

今後はどうなるか

業界の動向と自社の立ち位置と、それらによる前期決算への影響を踏まえて、今期や来期はどうなっていきそうであるのか、銀行員は非常に知りたがります。

それが、返済能力に関わる情報にもなるからです。

そのために、店舗を改装する、新規取引先を積極的に開拓していく、不採算部門を切り離すなど、具体的な話をすると説得力が増すでしょう。

銀行への要望

今後の説明をすれば、「だから銀行に貸してほしい」「返済額を減額してほしい」など、具体的な要望も出せると思います。

業界の動向を踏まえた前期の説明、今期や来期の見通しの説明、そして銀行への希望を伝えるという流れです。

銀行は、単に「貸してほしい」「返済を緩めてほしい」などと言われても、聞き入れるはずがありません。

今期や来期の見通しだけでも、見通しが甘いのではないかと思われかねません。

そこで、業界動向を踏まえた前期の説明から入っていくことが大切なのです。

具体的な要望

最後に、具体的な数字をあげます。

いくら借りたいのか、返済額をいくら減額してほしいのかなど、ここまでの話を根拠に、具体的な数字と共に融資などを依頼します。

「借りられれば御の字。いくらでもいい」という姿勢は、銀行にとっては好ましいものではないのです。

銀行と長年にわたり、良好な付き合いを続けている社長というのは、銀行員と面談する際には必ず上記の6つを、ここに記した流れできちんと説明しているものです。

銀行員は、この説明から会社の状況や今後の見通しを的確に把握し、融資審査の材料として捉えているのです。

資料の作成を通して、これらの情報を的確に頭に入れていれば、世間話のなかでもこれらの情報をちりばめて説明していくことができると思います。

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必要となる資料は3+3点

では、ここから具体的な資料の作り方を説明していきましょう。

目の前に銀行員がいると想定して、上記の6つの説明をうまくできなかった社長は、以下の簡単な資料作りから始めてみてください。

以下の各資料を実際に作成してみると、会社の現況が良くわかってくることと思います。

まず、どのような会社でも作るべき資料は、次の3点です。

  • t簡易月次損益実績・計画表
  • 資金繰り実績・予想表
  • 経営改善計画書

これに加えて、複数の銀行から借り入れがある場合には、次の3点も作成していくことになります。

  • 借入金融機関一覧表
  • 担保物件一覧表
  • 返済計画一覧表

繰り返しになりますが、これらの資料は社長が銀行員に説明するための知識をつけることが最大の目的です。

雑過ぎる資料では、知識も雑になってしまっていけませんが、必要十分な情報を盛り込めばよいと考えてください。

細かい部分はそれほど気にせずに、ザクザクと書いていくのがポイントです。

したがって、それぞれの資料は1枚で済ませられる程度のもので構いません。

また、それぞれの資料の雛形は、「資料名+雛形」などのキーワードで検索すれば、無料で雛形をダウンロードできるようになっているので、それを利用してもらえればと思います。

また、簡単な資料なので、以下で説明する通りに自分で作っても問題ありません。

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基本となる3点

まずは、どのような会社でも求められる3点の資料を作っていきます。

簡易月次損益実績・計画表

まず作っていきたいのが、簡易月次損益実績表です。

銀行員が知りたいのは今後のことですから、月次損益計画表を使って説明することが大切なのですが、計画には根拠が必要です。

そこで、前期の月当たりの損益実績をまとめた表を作り、計画表の根拠とするのです。

まず、前期12ヶ月分の損益の概算を、月次損益表にまとめていきます。

まとめ方としては、次のように上から順に月ごとの損益実績を記入していきます。

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販管費の合計
  • 営業利益
  • 営業外収益
  • 営業外費用
  • 経常利益

なお、あくまでも説明のための資料ですから、販管費は科目を細かく分けるのではなく、販管費合計として記載して記載したうえで、人件費・減価償却費・その他経費という分け方で書けば問題ありません。

なお、表の一番下には前期売上高と前々期売上高を記載しておきましょう。

これを書いておけば、2年前からの推移が簡単にわかるようになりますから、稟議書を書く上での参考になります。

前期の実績表が出来上がったら、次に計画表に移ります。

以下のように、売上高や売上原価の各項目の実績のすぐ下に計画を書き込んでいく形で作っていきます。

4月実績 5月実績 ・・・
売上高 3500 4200 ・・・
計画 3700 4500 ・・・
売上原価 2000 3000 ・・・
計画 2050 3200 ・・・

このように作ると、前期の実績と今期の予測が見やすく作られることとなり、実績表と計画表が1枚に収まります。

CF ブルー
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銀行員には納得しやすく、社長としても自社の業績がかなりの程度まで把握できるようになるぞ!

なお、単位は万円単位や千円単位で書いていけば問題ありません。

ここで作る資料は、社長が会社の概況を知ることが目的ですから、1円単位で作るような手間をかける必要はないのです。

資金繰り実績・予想表

次に作るのが、資金繰り実績・予想表です。

小売業や飲食業ならば、現金商売に近い業態ですから、損益実績表がそのまま資金繰り表としても使えるため、この資料は必ずしも必要ない場合もあります。

しかし、売掛金が存在しており、買掛金支払と売掛金回収のラグを埋めるための短期借入金を借り入れる場合などには、資金繰り実績・予想表は必ず必要となります。

この資料を作るポイントは以下の通りです。

まず、売上項目の記載方法からです。

これは、仮に売掛金の回収サイトと、買掛金の支払いサイトがどちらも1ヶ月であったとすれば、簡易月次損益実績表の売上や仕入れを1ヶ月ずらして記入すればよいでしょう。

現金売上と売掛金回収の区別は、それほど正確でなくともよく、感覚的に「現金売上が○割程度、あとは平均○ヶ月サイトの売掛金回収」といった感覚で記入していきます。

もっとも、月々の現金売上と売掛金回収の合計と、簡易月次損益実績表の売上の合計には注意してください。

その違いによって、売掛金の増減が分かるためです。

次に仕入れや支払い項目ですが、これも売上項目の記載と同様に記入していきます。

実績表では、人件費や経費の支払いも実際に支払った額を記入し、予想表では支払うと思われる額を記入します。

手形の受払いでは、受け取った手形も振り出した手形も、入金や支払いの項目からは除外しておき、カッコ書きなどによって区別しておきます。

これにより、手形の受払いがどれくらいであるかを把握できるようにしておくのです。

予想においても、これまでの傾向から、どれくらいの手形受払いが発生するかを予測して書くようにします。

経営改善計画書

経営改善計画書は、必ずしも必要な資料ではないのですが、債務超過の会社や赤字の会社など、普通ならば融資を受けるのが難しい会社が融資を希望する際には必須の資料となります。

経営計画書には、業界の状況と自社の立ち位置、業況が決算に与えた影響、課題、対策、銀行への要望という流れで書いていきます。

上記に書いた、銀行員が聞きたいことを応用すると考えれば、業況と自社の立ち位置、業況が決算に与えた影響については、書くべき内容はおのずとわかってくると思います。

課題の欄には、自社の抱える問題点を書きます。

難しく考える必要はなく、例えば固定費の削減が必要であるとか、ライバル会社に対抗するためにサービスの質を上げる必要があるとかの書き方で問題ありません。

CF イエロー
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そのための対策の欄には、課題への対策を書き出していくよ!

中小企業ができる対策には限りがありますから、考えられる対策の中から最も効果的と思われるものを書き出していきます。

例えば、固定費の削減を課題として挙げているならば、役員報酬を○%カットするというような内容です。

CF レッド
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最後に、銀行への要望を書き出していくのだ!

いくらの融資が必要であるとか、1年間の返済の減額をお願いするとかの内容を書いていきます。

経営改善計画書を書く上で重要となるポイントは、以上の内容を1枚か2枚で収めることです。

経営改善の方針を書くようなつもりで書くべきであり、あまりだらだら書くことは好ましくありません。

あまりに長いと、読み手の負担になるだけですし、損益実績・計画表や資金繰り実績・予想表などの添付資料があれば、それらが経営改善計画書の根拠になりますから、だらだらと書く必要はありません。

もし、具体的なことを聞きたければ、銀行員の方から聞いてくることでしょう。

資料の作成を通じて、会社の現況や数字が頭に入っているはずですから、色々な質問に問題なく答えられるはずです。

詳しいことは、この時に口頭で説明すれば問題ありません。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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複数の銀行から借り入れている場合に追加する資料3点

複数の銀行から借り入れ射ている場合には、以下の3点を追加します。

借入金融機関一覧表

これは、どこから借りたかということを一覧表にしたものです。

短期借入金と長期借入金に分けて記入していきますが、この場合の短期借入金と長期借入金の区別は、返済期間が1年以内であるかどうかではなく、手形貸付は短期借入金、証書貸付は長期借入金という区別で考えます。

この短期借入金と長期借入金を、銀行別・口数別に記入していきます。

担保と保証に関しては、担保融資であれば「根抵当」、信用保証協会の保証付きであれば「信保」、代表者の保証だけならば「保証」などと記載していきます。

また、この一覧表は銀行だけではなく、ノンバンクや日本政策金融公庫などからの借入がある場合には、その記載も忘れないようにしてください。

担保物件一覧表

担保物件一覧表は、不動産など担保として提供しているものの一覧表です。

不動産の登記簿謄本の内容を書き写す形で、ほとんど完成すると思われます。

評価額の記入については、担保場所の路線価を調べて記入すればOKです。

CF ブルー
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また、その不動産を担保にして受けた融資の残債も記入しておこう!

返済額一覧表

これは、各銀行への返済予定の一覧表です。

各銀行に対して、毎月いくらずつ返済していくかを記入していきます。

この資料はそれだけのことで、特に気を付けるべきことはありません。

借入銀行の数が増えると、毎月の返済状況は複雑になり、全体の債務が見えにくくなってきます。

不動産の担保付き融資や信用保証協会の保証付き融資などがあれば、さらに複雑になります。

これを機に、各銀行への返済状況や債務の内容を整理しておくことは、自社にとってもメリットがありますし、銀行にとっても知っておきたい内容です。

これらの資料は、銀行員ならば融資の際に作成しなければならない資料です。

それを、会社が事前に作ってくれるならば、銀行員としてはかなりラクになりますから、積極的に稟議書を作成しようという気にもなります。

融資交渉のタイミングは?

以上の資料を作成し、社長は知るべきことをきちんと把握できたならば、銀行交渉の準備が整ったと言えます。

その知識と資料を引っ提げて銀行に交渉に行くわけですが、せっかく交渉の準備が整っても、タイミングを外してはもったいないので、適切なタイミングで銀行を訪問するようにします。

交渉の最適なタイミングは、決算直後です。

なぜならば、既に融資を受けた銀行からは、毎年決算書の提出を求められるため、その機会に上記の資料も決算書と一緒に持ち込んで説明することができるからです。

例えば、3月に決算の会社ならば、決算申告は5月、決算書の完成は6月になると思われます。

6月上旬に決算書一式ができたら、それをコピーして提出します。

この時、上記の6点の資料も一緒に提出し、必要に応じた説明を行います。

説明するのは、上記にも書いた銀行員が聞きたいことです。

決算内容が悪かった場合にも、銀行は聞くべきことを聞いて納得すれば、すぐに会社を見捨てることはありません。

CF レッド
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決算内容が悪い時ほど説明に出向く心構えが必要だ!

銀行員としても、本来は決算が悪い会社に対してさぐりを入れたり、決算が悪い理由を独自に考えたりする必要があるわけですが、それを会社の方から出向いて説明してくれれば、かなり負担が軽減され、心証が良くなります

また、決算が悪い理由が一過性のものであったり、改善の可能性が十分にあることを納得してもらえれば、決算が悪くとも融資を受けられる可能性は高まります。

なお、これらの資料は現在借り入れているすべての銀行に持参するようにしましょう。

既に融資を受けていれば、それらの銀行全てから決算書を求められますから、その際に全ての銀行に対して持参すると考えれば問題ありません。

もし3ヶ月以内に借入したいと思っているならばなおさらです。

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まとめ

本稿で紹介した資料を作成してみれば、会社の状況が良くわかることと思います。

会社が資料を作る最大の理由はここにあります。

銀行員が聞きたい企業の概況を説明できる自信がない社長は、まずは資料の作成から始めてみましょう。

資料の作成を通じて自社の概況を把握し、問題点や解決策なども把握すれば、自社の状況があまり思わしくない場合にも、ある程度自信をもって銀行と交渉できるようになると思います。