助成金制度は約50種の制度・コースに分けられており、様々な取り組みが助成金の支給対象となっています。
トライアル雇用助成金や、キャリアアップ助成金の正社員化コースなど、雇用に直接関係のある助成金以外にも、有給休暇の取得を促したり、従業員に研修を受けさせたりすることによって、助成金を受給できる場合があります。
では、研修によって助成金を受給するには、どのような条件をクリアすればよいのでしょうか。
本稿では、研修と助成金の関係について解説していきます。
研修したらもらえる助成金はあります!
助成金制度は、主に雇用の創出や安定のために作られている制度です。
このため、新規に雇用する場合や、有期契約から無期雇用や正規雇用へと転換したりする場合、さらには高齢者や女性、障害者などを雇用したりする場合に、助成金を受給することができます。
・・・と、このような雇用に直接的に関係することであれば、助成金が受給できるということも分かりやすいでしょう。

そもそも、なぜ助成金制度があるのかと言えば、究極的には経済成長を促すためです。
雇用の創出や安定により、労働人口を増やすことができれば、経済成長は促されます。
また、労働人口が増えるだけではなく、労働者一人当たりの生産性が高まることでも、経済成長を促すことができます。
このように、助成金の目的を広く捉えると、助成金の仕組みがよくわかります。
実際に雇用することで、労働人口増加に直接的に貢献した場合に助成金を利用できるのはもちろん、
- 労働環境を整備して働きやすい環境を作る
- 職場への定着を促す
- 雇用の安定につなげる
など、労働人口増加に間接的に貢献した場合にも助成金を受給できるのです。
また、従業員に対して訓練・教育・研修などを行い、能力と生産性の向上につなげ、経済成長に間接的に貢献した場合にも、助成金を受給できる場合があります。

しかし、よく理解していなければ、雇用以外の助成金は利用しにくいと思います。
特に、研修に関する助成金は馴染みがなく、それほど知識がない人が多いはずです。
研修をすれば助成金がもらえるといっても、なにを、どのように研修すればよいのか分からないでしょう。
手の付けようがないと思っている人は、「どのような研修なら受給できるか?」「例えばどんな研修があるか?」ということについて大まかに知っておくと役立ちます。

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助成金を受給するためには?
助成金の支給対象になる研修とは、どのようなものなのでしょうか。。
基本的な考え方として、研修によって助成金を受給するためには、
- 客観的に、一般的に考えて、その会社や従業員に、研修を受ける必然性があるかどうか
を基準として考えます。
研修会や講習会というと、目的も立場もバラバラな不特定多数が集まって研修を受け、参加した分だけ助成金がもらえるというイメージがあるかもしれません。
しかし、実際にはそのような甘い基準ではなく、厳しく判断されることを知っておくべきです。
受給できない研修には、以下のようなものが挙げられています。
- 職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの
- 職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの
- 趣味教養を身につけることを目的とするもの
- 通常の事業活動として遂行されるものを目的とするもの
- 実施目的が訓練に直接関連しない内容のもの
- 法令等で講習等の実施が義務付けられており、事業主にとっても、その講習を受講しなければ業務を実施できないもの
- 知識・技能の習得を目的としていないもの
- 資格試験(講習を受講しなくても単独で受験して資格を得られるもの)、適性検査
助成金受給の判断をする為の具体例
以上のような判断基準から、その研修が受給の対象になるかどうか、いくつか考えてみましょう。
受給できる例

この会社で、自社の営業マンの知識を向上するために、栄養学や栄養機能食品に関する研修を受ける場合、受給対象になるでしょうか。
これは、受給対象となる可能性が十分にあります。
会社としても、従業員としても、その研修を受ける必然性があると考えられるからです。
受給できない例

会社では、「わが社には、もう社員になって数年もたつのに、マナーに問題がある社員がいる。研修を受けさせてスキルアップを図りたい」という言い分なのでしょうが、これは通用しません。
社会人としてのマナーというものは、すべての業種の、すべての職種・職務の人に求められる常識です。
その会社だから、その従業員だから、その研修を受けるのだという必然性が乏しく、助成金の受給は困難となるでしょう。
以上のように、「その会社や従業員が研修を受ける必然性があるかどうか」で考えると、判断しやすいと思います。
研修会社から、「助成金を受給しながら、研修を受けませんか?」などと案内されることもあるかもしれません。中にはマナーに関する研修や、マインド系の研修も多いものです。
マナーもマインドも、確かに欠かせないものでしょう。
しかし、そのような研修は必然性に乏しいと判断されると考えるべきです。

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研修のタイミングも重要
その研修を助成金の支給対象と考えるだけの、必然性があり合理的であると判断されるためには、研修を受ける会社と従業員に問題がないことに加えて、研修を受けるタイミングにも不自然さがないことが重要です。
例えば、介護業界の会社で、新規に雇用した従業員に対して、排せつや入浴介助など日常の身体介護技術の研修を受けさせる場合、助成金の受給対象になりえます。
しかし、このような研修は業務に直接関係があるものの、新人社員研修にあたるものです。
入社して数年目の従業員にこの研修を受けさせた場合には、助成金の受給は難しいでしょう。
すでにその能力が備わっていると考えるのが自然ですから、業種や職務で考えて問題がなくとも、「なぜ今更、その研修なのか?単に助成金を受給するためではないのか?」と疑われるのです。

具体的には、
- 新しく雇用した社員に新人社員研修を受けさせる
- 部署の配置換えの際に、新たに求められる技能に関する研修を受けさせる
- 社会の変化や法律の改正によって、新たに必要になった技能に関する研修を受けさせる
といったタイミングで、助成金を確実に受給していくことが大切です。
研修会社から研修の案内を受けるとき、「助成金がもらえますよ」と案内されますが、はたしてそれがタイミングも含めて受給対象であるかどうか、しっかり考える必要があるでしょう。

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研修の具体例
では、どのような研修が受給対象になるのか、実際の制度を見てみましょう。
研修によって助成金を受給できるもので、ポピュラーなのが人材開発支援助成金です。
これは、名称からもわかる通り、研修などを通して人材開発を行うことで受給できる助成金です。
研修と言っても、従業員が会社に希望して自発的に研修を受ける場合と、適切な従業員に対して会社命令で研修を受けさせる場合とがあります。

必要に応じて研修を義務付けるならば、それは会社が労働者を命令に従わせている時間、すなわち労働時間となります。
そのため、手当を支払う必要が生じ、これを助成金によってカバーしてく工夫が必要です。
この時に利用しやすいのが、人材開発支援助成金の一般訓練コースです。
一般訓練コースで助成金を受給した場合、
- 賃金助成:1人1時間当たり380円(生産性要件を満たした場合には1人1時間当たり480円)
- 経費助成:30%(生産性要件を満たした場合には45%)
を受給することができます。
このような助成金を受給することによって、従業員への賃金や、外部研修機関に支払う費用の負担を軽減することができるのです。

このような研修の場合、教育訓練休暇付与コースを利用することになります。
このコースでは、従業員が自発的に研修を受けること、そのために会社は有給休暇を与えることによって、
- 賃金助成:1人1日当たり6000円(生産性要件を満たした場合には1人1時間当たり7200円)
- 経費助成:20万円(生産性要件を満たした場合には24万円)
を受給することができます。
以上のように、研修によって受給できる助成金はいくつかのコースに分けられており、適切に利用することで受給額を最大化することができます。
自社で検討している研修と助成金の兼ね合いについては、社労士とよく相談しながら進めていくことをお勧めします。

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まとめ
助成金を正しく活用することで、雇用の際だけではなく、研修の際にも助成金を受給できる可能性があります。
ただし、研修ならば何でもよいのではなく、会社の業務に必要な研修であるかどうかについて、厳しく審査されることになります。
もっとも、自社に必要な理由をひねり出すのではなく、本当に必要な研修を受け、その中で助成金ももらうのであれば、受給できる可能性は高くなります。
研修を第一に考えた取り組みを意識しましょう。
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