助成金の活用は融資なしでは考えられない理由と具体例

助成金を活用すれば、返済不要のお金を受給することができ、これによって資金繰りにプラスの影響も期待できます。

しかし、助成金は資金繰りにとって、あくまでも補助的な効果しかありません。

助成金で資金繰りを回していくのは無理がありますし、資金繰りを回していくためには、金融機関から融資を受けることが不可欠です。

本稿では、助成金の活用には融資が不可欠であることについて、具体例を用いながら解説していきます。

助成金の本当の利用価値

当サイトでは、助成金の活用を強く勧めていますが、これは助成金を経営の補助として活用していく考え方であり、助成金で経営の中心に据えるものではありません。

助成金の優れた特徴は、なんといっても返済不要であることです。

会社が新規に雇用したり、従業員の待遇を改善したり、生産性の向上を図ったりすることによって、返済不要のまとまったお金を得ることができます

また、それらの取り組みは会社が本来やるべき取り組みです。

雇用して人材不足を解消する、従業員の待遇を改善して幸福度を高める、生産性を向上させて業績を上げていくといった取り組みは、会社であれば当然やるべきことです。

しかし、そのような取り組みをするだけの体力がなく、なかなか満足には取り組めていない会社が多いです。

それによって、長時間労働や生産性の低下、経営困難など、様々な問題も起きているのよ!

そこで政府は、助成金を支給することで、会社が本来取り組むべき取り組みを活性化し、経済の成長を促そうとしています。

つまり、会社が本来取り組むべきことに取り組み、それによって返済不要の助成金を受給できることにメリットがあるのです。

本来やるべきことならば、助成金によって負担を軽減しながら取り組むに越したことはありません

その結果、人材不足の解消や生産性の向上にもつながり、経済も、社会も、会社も、従業員も、全てが円満になるところに魅力があるのです。

これが、助成金の本当の利用価値です。

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助成金の欠点

しかし、助成金には欠点もあります。

いくら返済不要のお金がもらえるからといって、もらうためには受給要件を満たす必要がありますし、そのためにはコスト負担が先行します。

受給要件を満たすために、長期間の取り組みが必要となるものも多いです。

このため、返済不要のお金がもらえるからと言って、

「銀行の融資は返済しなければいけない。しかし、助成金は返済不要なのだから、融資を受けずに助成金で経営を回したほうがいいだろう」
といった考え方は、明らかな間違いです

会社の資金繰りを回すためには、融資が必要不可欠です。

融資を受けることによって資金繰りを回していき、人材確保や業務環境の整備などにも取り組み、その延長で助成金も獲得していくと考えるべきです。

もし、このように考えることなく、助成金を本来の利用価値以上のものとして考えてしまうと、却って経営が悪化する危険性もあります。

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具体例で考える

では、融資の必要性を具体例で考えてみましょう。

代表的な助成金である、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、以下のような助成金を受給することができます。

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円
有期契約から無期雇用へ転換 1人当たり28万5000円 1人当たり36万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり28万5000円 1人当たり36万円

正社員化コースの要件のうち、会社の資金繰りに影響を与える要件には、

  • 転換前に、6ヶ月以上雇用していること
  • 転換後に、転換後の待遇で6ヶ月分の給料を支払っていること

などがあります。

つまり、助成金を受給するための取り組みを始めてから、受給要件を満たすまでに1年以上を要するのです。

キャリアアップ助成金に限らず、助成金には受給までに半年から1年程度を要するものが多く、1年かけて受給要件を満たしても、その後の審査や振り込みの流れによってはさらに半年程度を要する場合もあります

つまり、助成金のための取り組みによって、1年以上もコストを先行して負担する必要があるのです。

具体例を見てみよう!

ある会社では、従業員2名に対して有期契約から正規雇用への転換を図り、計114万円の受給を目指しました

有期契約から正規雇用に転換すれば、基本給は大きくなり、諸手当などの適用も多くなり、社会保険料などの負担も生じるため、会社の人件費は重くなります。

もし、転換する従業員の人件費が、有期契約の場合に月15万円であり、正規雇用に転換した場合に月25万円であれば、月当たりの人件費負担は1人当たり10万円増えることになります。

このため、2人の従業員を有期契約から正規雇用に転換し、6ヶ月分の賃金を支払うまでの期間、人件費は120万円増えます。

転換しなければ、月の人件費負担は変化しませんから、このような負担増は起こらなかったのですが、転換することで負担が増加します。

 

転換後6ヶ月分の賃金を支払い、人件費の負担増加にも耐え、審査もスムーズに進み、転換後9ヶ月で114万円の助成金を受給できたとしても、それまでに生じた人件費の増加分は180万円であり、差し引き66万円のコスト負担が残ります。

また、助成金の手続きを社労士に依頼し、手付金や成功報酬などを支払う会社も多いです。

受給額の30%を社労士に支払っていれば、助成金の手残りは79.8万円となります。この時、受給までに生じたコスト負担は、差し引き100.2万円が残ります。

さらに、受給後も増えた人件費が減ることはありませんし、転換後に6ヶ月分の賃金を支払うまでの間に、転換した従業員が退職してしまえば、自己都合の退職であっても助成金は受給できなくなります。

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助成金は使い方次第

コスト負担やデメリットを強調して書いてきましたが、それでも助成金積極的に活用すべきものです。

特に、「利用しなければもったいない」という場合には活用すべきです。

この例の会社では、最終的にコスト負担が残ってしまいましたが、助成金によって負担を軽減できたのは事実です。

今後、さらに転換を図るなどの取り組みを進めるならば、受給した助成金で一部を賄うこともできます。

また、転換によって労働環境が整備されますし、従業員のモチベーションが上がる、生産性が向上する、長く働いてもらうことで人材不足が緩和されるなど、様々なメリットがあります。

したがって、もともと従業員を新規に雇用する計画や、正規雇用を増やす計画、業務改善に取り組む計画などを考えていた会社であれば、助成金を活用するメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

逆に、特にそのような計画がなく、計画する必要もない会社が、助成金ほしさに無理に取り組んでしまうと、失敗に陥る可能性が極めて高いとも言えます。

まず融資ありき

以上のように、助成金を活用していくためには、コスト負担に耐えられることが前提になります。

したがって、助成金の活用を考えるならば、まず融資ありきと考えてください。

融資を受けずに取り組もうとすれば、長期間にわたる取り組みの中で先行するコスト負担に耐えられず、取り組みが中途半端に終わり、結局助成金の受給にも至らず、経営が悪化する可能性が高いです。

そうならないためにも、

  1. 融資を受ける
  2. 余裕のある状態で資金繰りを回していく
  3. 余裕のある部分(仮になくなったとしても、問題なく資金繰りが回る部分)の資金を投じて、助成金事業に取り組む
  4. 取り組みの期間中、資金繰りが円滑に回り続け、助成金事業にも支障をきたさないよう、必要に応じて銀行交渉に努める
  5. コスト負担に耐えながら、受給要件を全て満たす
  6. 助成金の支給を受ける
  7. 次の助成金事業のコスト負担を、受給した助成金でカバーする(足りない部分は資金繰りの余裕ある部分から補填する)

といった流れを意識しなければなりません。

日本政策金融公庫を活用する

しかし、人材不足に悩んでいる会社や、業績や財務に問題のある会社では、金融機関から融資を受けられない会社もあると思います。

経営を改善したいと考えており、そのためには助成金も活用したい、しかし先行するコスト負担には耐えられそうもなく、融資を受けることも難しいという会社です。

また、業歴が浅い会社でも、融資を受けられない場合が多いです。

これから事業拡大というタイミングであれば、雇用などにも取り組むでしょうし、助成金を活用すべきなのですが、融資を受けられず、コスト負担に耐えられず、取り組めないことがあるのです。

そのような場合には、日本政策金融公庫を利用するのがおすすめだ!

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関であり、民間の金融機関では対応できない融資案件も積極的に検討し、民間金融機関を補完することを目的としています。

このため、業績・財務・業歴などが原因で、民間の金融機関では融資を受けられない会社でも、日本政策金融公庫ならば融資を受けられる可能性があります。

特に、日本政策金融公庫は政府の意図を組んで、企業を支援している側面があります。

そのため、働き方改革が推進されている昨今、

「働き方改革に沿った取り組みを、自社でも始めたい。従業員の賃金アップや処遇改善に取り組みたいと思っており、そのためには助成金の活用も見据えている。しかし、資金繰りに余裕がなく、先行するコスト負担に耐えられないので、融資をお願いしたい」

というスタンスで交渉すれば、公的金融機関として、支援するための合理性はあることになります。

 

もちろん、あくまでも融資ですから、業績・財務・業歴などを理由に融資を断られることがないとしても、やはりそれらが審査の対象になることは間違いありません。

事業性なども評価されるでしょうし、今後の事業計画も精査されるでしょう。

自社で予定している取り組み、その取り組みによって得られる効果、助成金の受給によってその効果が高まることなどを、具体的に説明しなければ、融資を受けることはできません

逆に言えば、それらをしっかり説明でき、融資を拒否すべき重大な問題がなければ、日本政策金融公庫が融資してくれる可能性は十分にあります。

民間の金融機関から融資を受けられない会社では、日本政策金融公庫からの融資も見据えて、コスト負担に耐えられる状況を整えたうえで、助成金の活用を進めていきましょう。

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まとめ

本稿で解説した通り、助成金を受給するためには、長期にわたる取り組みが必要であり、その間のコスト負担が先行します。

このコスト負担に耐えられない会社では、受給要件を満たすこともできず、結局受給もできないという結果になりかねません。

そうならないためにも、融資によって安全性の高い資金繰りを確立し、コスト負担にも十分に耐えられる場合に限って、助成金を活用していきましょう。

助成金

社会保険労務士法人ミライズ、代表社員・特定社会保険労務士。キャリアアップ助成金の専門家。受給数1000件以上、多い企業だと1000万円を超える助成金を引き出す。しかも、完全成功報酬型なので受給するまで負担なし。リスクゼロの助成金申請。面倒な書類作成等も全部やってくれるので申請する会社の負担なし。

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