業績回復の道筋を徹底指南。慢性的な赤字から黒字に回復する具体的な流れ【第2回】業績改善のためには損益計算書の知識を

第1回に続き、第2回も基礎的な知識に触れていきます。

と言っても、この連載のモデルケースの設定、その会社の業績の把握について解説していくため、少々専門的な話も出てきます。

本稿で、業績を正しく把握する見方を学び、業績改善のための下地を作っていきましょう。

例とするモデル

まず、例とするモデルを設定していこうと思います。

できるだけ応用ができるように、ごく一般的な飲食店の店舗をモデルにしたいと思います(以下、飲食店A店)。

規模が大きい会社や業務内容が複雑な会社では、考慮すべき特殊要因も増えて複雑になり、応用しにくいためです。

本稿では、赤字から黒字転換を目指すのですから、飲食店A店は、

  • 慢性的な赤字に陥っており、黒字転換の兆しが見えない
  • 本社の足を引っ張っているため、早急に改善を求められている
  • 銀行もA店の業績を不安視しており、支援に難色を示し始めている

といった条件を設定します。

業績の設定

飲食店A店の業績は以下のように設定します。

ここでは年次の決算書ではなく月次決算書で考えていくわ。

なぜならば、黒字転換を図っていく会社では、業績を短いスパンで把握し、成果のチェックと軌道修正を繰り返していくことが重要であり、月次決算によって業績改善を図る必要があるからです。

(単位:円)

科目 金額 構成比
売上高 9,000,000 100%
変動費 3,000,000 33.3%
限界利益 6,000,000 66.7%
固定費 7,000,000 77.8%
人件費 給与・交通費 3,600,000 40%
家賃・管理費 賃借料 1,200,000 13.3%
修繕費 200,000 2.2%
その他費用 水道光熱費 1,000,000 11.1%
宣伝広告費 250,000 2.8%
消耗品費 250,000 2.8%
減価償却費 500,000 5.6%
貢献利益 △1,000,000
共通固定費 800,000 8.9%
店舗利益 △1,800,000

この月次決算書を見れば、飲食店A店は大きな赤字に陥っていることが分かります。

店舗利益の欄を見ればそれが明らかですが、最終的な利益に至るまでの諸要素を知ることで、月次決算書をもっと詳しく理解していきましょう。

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損益計算書の各項目を知る

決算書は、損益計算書と貸借対照表によって構成されています。

このうち、業績を示しているのは損益計算書であり、ここには事業の利害関係者が反映されています。

この利害関係者のうち、会社にとって重要度の高いものから順番に記載されているのが損益計算書の特徴です。

それぞれの項目について簡単に見ていきましょう。

売上高

売上高は、損益計算書の中で最も重要なものです。

売上高は、顧客が会社に支払ったお金の合計であり、顧客なくして事業は成り立たないため、真っ先に記載されることとなります。

飲食店A店では、お店に足を運んで、色々な料理を注文してくれるお客さんこそがもっとも重要な存在だね。

変動費

二番目に記載されているのは変動費です。

変動費とは、その時々の売上によって変化する費用であり、製造業における原材料費や、飲食業における材料費がそれにあたります。

たくさん注文が入って忙しくなれば費用は増えますし、注文が少なければ費用は減ります。

このように変動する費用であり、飲食店A店では食材の仕入れ費用がこれにあたります。

利害関係者は、仕入れる食材を売ってくれる業者です。

仕入れ業者がいなければ事業は成り立たないため、これも上位に位置付けられます。

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限界利益

売上高から変動費を差し引くと、限界利益が算出されます。

この計算からもわかる通り、限界利益とは販売によって直接得られる利益のことです。

限界利益の時点で赤字であれば、売れば売るほど赤字が拡大していくのですから、その事業や商品からすぐに撤退すべきだと言えます。

もっと深い見方をすれば、限界利益は「会社が生み出した付加価値」とも言えます。

仕入れ値100円の食材を調理して300円で売れているならば、お客さんはお店が上乗せした200円分の付加価値を見出して、300円で買っているのです。

業績改善を進めていくにあたって、限界利益の改善も図る必要があるね。

したがって、「売上高―変動費=限界利益」という会計の知識だけで片付けてしまうのではなく、限界利益とは付加価値であると考えておくことが大切です。

固定費

固定費とは、その時々の売上がどうであろうと基本的に変化せず、毎月決まった費用が発生するものです。

人件費は、正社員やアルバイトに支払う給料です。

従業員がいなければ経営は成り立たちませんから、利害関係者では上位に据えられます。

また、人件費は費用の中でも大きな割合を占めていることが多く、飲食店A店でも売上高の40%を占めていることが分かります。

家賃や管理費といった費用も、毎月決まって支払う固定費です。

利害関係者は、貸店舗のオーナーになります。

このほか、

  • 水道光熱費(利害関係者は電力会社や水道会社、ガス会社など)
  • 宣伝広告費(利害関係者は広告代理店)
  • 消耗品費(利害関係者は消耗品の販売業者)
  • 減価償却費(利害関係者は設備の販売業者や店舗の内装業者など)

これらも固定費となります。

固定費の利害関係者を見ていくと、徐々に重要度が低くなっていくことが分かるね。

消耗品の販売業者や内装業者、広告代理店などは、飲食店A店の裁量で自由に変更することができるため、利害関係の重要性は低くなります。

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これは固定費?

固定費について読んだところで、水道光熱費や消耗品費が固定費であることに疑問を持った人もいると思います。

例えば水道光熱費ですが、これは季節によって変動します。

気温が高いほど冷房を利かせる必要があり、気温が低いほど暖房を利かせる必要があります。

日が短い季節は照明を使う時間も長くなります。

飲食店の店舗内で消耗されるもの、例えばトイレで使う石鹸やトイレットペーパーなども、客入りによって消耗するペースは違いますから、売上に左右されると言えるでしょう。

このように、固定費の中には変動する費用も含まれています。

しかし、決して間違いではありません。

これらの費用は、変動費と固定費の区別が難しいため、売上による変動が大きい仕入費用や外注費用を変動費に区分し、それ以外の費用は多少変動するものも固定費に入れてしまうからです。

もちろん、これはあくまでも会計の知識です。

固定費だから仕方ないと考えて全く改善を加えなかったり、逆に売上には関係のない費用だからと言って間違った削減を実施したりすると、思わぬマイナスの影響をもたらす可能性もあります。

この点については、以降で詳しく述べるつもりです。

貢献利益

貢献利益とは、限界利益から固定費を引いたものです。

これは、対象とした集団の貢献度を図るものです。

例えば、会社の特定の事業の貢献利益を見たとき、プラスになっていればその事業が会社の利益に貢献しており、マイナスになっていれば会社の利益に貢献していないと判断することができます。

飲食店の場合、各店舗に対して貢献利益を計算します。

貢献利益がプラスならば本社への貢献度が高く、マイナスならば本社の足を引っ張っていると言えます。

飲食店A店は貢献利益がマイナスになっているため、本社の足を引っ張っていることになります。

貢献利益は、各事業、各店舗、各支店、各売り場など、範囲の設定によって色々な角度から貢献度を把握することができます。

これにより、採算性の低い部分を明らかにし、ピンポイントで対処していくことも可能となるのよ。

したがって、特に多店舗経営の会社ではよく使われる指標となっています。

共通固定費

共通固定費とは、多店舗経営をしている会社の各店舗が共通で負担する費用のことです。

店舗を運営するといっても、店舗が完全に独立して経営されるのではなく、本社が必ず関係するものです。

例えば、本社で企画を練ったり、銀行交渉をしてもらって資金を回してもらったり、色々な支援を受けることとなります。

このとき、本社で生じた費用を店舗が負担するのが共通固定費です。

利害関係は密接で重要度も高いですが、同じ組織内での関係なので低く据えられています。

店舗利益

貢献利益から共通固定費を差し引くと、最終的な店舗の利益が出ます。

これが店舗利益です。

店舗利益がマイナスであれば、それが最終的な赤字です。

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まとめ

月次決算書の見方が分かれば、自社の状況がよりクリアに見えてくることでしょう。

本稿では飲食店のある店舗を例としていますが、特定の製品の限界利益を算出したり、特定の部門の貢献利益を算出したりすることで、多くの会社に応用できる考え方だと思います。

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赤字からの脱出を目指している会社は、すぐにでも月次決算書を作り、現状と推移の把握に努めてね!

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