※本記事はプロモーションを含みます。退職金制度を加入していないことで、人材確保に苦労している会社では、退職金制度の導入を検討することがあると思います。
しかし、退職金制度を導入すれば毎月掛金を支払う必要があり、資金繰りが圧迫されてしまいます。
そこで、資金繰りへの負担を軽くするためにも、中小企業退職金共済制度に加入し、助成金を受給するのが効果的です。
本稿では、退職金制度の導入時に役立つ中退共制度について解説していきます。
退職金制度と中退共

日本の多くの企業(全企業の7割以上)が、退職金制度を導入しています。こ
れは、第一に従業員の福祉を目的とする制度です。
雇用した従業員は、いつか必ず離職に至るものです。
離職には色々な理由がありますが、離職後には給与収入が得られない期間が発生することがほとんどです。
また、従業員自身が大病を患ったり、子の養育や親の介護の必要があったり、何らかの深刻な理由を抱えて離職に至った場合には、離職と同時に多額の出費を強いられることもあります。
そのような場合、貯えがない従業員は生活困難に陥ります。
その心配を減らすためにも、会社が退職金制度を導入し、離職時に一定額を支給できるようにしておくことが、従業員の福祉に大変役立つのです。
ただし、退職金制度を導入した会社では、毎月の掛金によって退職金を作っていくこととなり、資金繰りを圧迫されることになります。
このため、財務的に余裕がない中小企業の中には、退職金制度を導入できていない会社も少なくありません。
人材を募集しても、退職金制度がないことを嫌う労働者は多く、採用活動に苦労することになります。
また、すでに雇用している従業員の中には、退職金制度がないことに不安・不満を抱いており、退職金制度のある会社への転職を考える従業員も多く、人材の流出を招きやすくなります。
人材がなかなか獲得できない一方で、人材の流出は起こりやすい環境なのですから、人材不足をいつまでも解消することはできません。
したがって、退職金制度を導入していない会社で、人材不足に悩んでいる場合には、退職金制度を導入することで状況が大きく改善されることもあります。
人材不足に悩む会社では、退職金制度で改善できる可能性がある!
退職金制度を導入するポイント
しかし、退職金制度を導入することによって、会社の資金繰りが圧迫されることは事実です。
そもそも、それが理由で退職金制度を導入していなかったのですから、できないものを無理に取り組んだところで、結局破綻するのは目に見えています。
このような会社が、社内で独自に退職金を積み立てて運用していくならば、やがて資金繰りが回らなくなり、まともに積み立てられなかったり、積み立てたものを使い込んでしまったりして、退職金制度が成り立たなくなることが多いです。
それを避けるためには、外部機関に掛金を支払っていくのが効果的ですが、資金繰りの困難から掛金の支払いができなくなり、廃止してしまうこともあります。
以上のように、これまで資金繰りを理由として退職金制度を導入してこなかった会社では、それなりの理由があって導入を見送ってきたのですから、人材確保につながるからと言って、むやみに取り組んでも意味がありません。
まず、自社で退職金制度を運用するのは難しいため、外部機関に委託して積み立てていくこと、そして掛金の支払いを続けられるよう、資金繰りをコントロールしていける見通しを立ててから取り組んでいくことが重要となります。
※退職金制度について、詳しくはこちら
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中退共制度とは?

退職金制度を外部に委託するとき、委託できる機関は複数挙げられますが、中でもおすすめできる機関は、厚生労働省所管の「独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(以下、中退共)」です。
中退共は、「中小企業退職金共済制度(以下、中退共制度)」を実施しています。
中退共によれば、中退共制度は、
中小企業の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と雇用の安定を図り、企業の振興と発展に寄与することを目的とする制度
としています。ここでポイントとなるのは、中退共制度は、
- 中小企業の相互共済:中小企業のための制度であること(大企業は対象外である)
- 国の援助:国が退職金制度の導入を援助してくれること(助成金も実施している)
を軸にした制度だということです。
厚生労働省が絡んでいることからもわかる通り、退職金制度の導入を支援することで、従業員の福祉や雇用の安定を目指すための制度なのです。
なお、他の退職金制度との違いは、中退共制度は、退職すれば掛金納付月数に応じた退職金が給付されることです。
他の退職年金制度は、会社から退職した際にすぐに支給されるとは限らず、その制度の規約・規定で定める所定の年齢に達しない限り支給されないのが普通です。
これが、中退共制度と他の年金制度との最大の相違点です。
中退共制度は、中小企業の経営に合わせて作られた退職金制度なのだ!
中退共制度の仕組み
中退共制度の仕組みをごく簡単に説明すれば、以下のような仕組みです。
- 中小企業が、中退共と退職金共済契約を結ぶ。
- 契約を結んだ中小企業は、毎月の掛金を金融機関に納付する。
- 従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われる。
退職金制度を社内で運用する場合には、非常に複雑な印象があると思うのですが、中退共に委託すれば、このようにシンプルな流れで退職金制度に取り組むことができます。
退職金の支払いも、会社からではなく中退共から直接従業員に支払われるため、積立金の管理に手間を取られることもありません。
積み立てるにつれて退職金は巨額なものとなりますが、中退共は政府系機関ですから、積立金の取り扱いは安心して任せることができます。
また、中退共制度は、昭和34年に定められた「中小企業退職金共済法」に基づいて設けられた制度です。このことから、中退共制度は「法律で定められた社外積立型の退職金制度」といえます。
法律に則って社外に積み立てる、これが中退共制度の大きな特徴だ。
加入対象の企業は?
上記でも述べた通り、中退共制度に加入できるのは中小企業に限られています。
何を以て中小企業と判断するかについては、その企業の業種によって異なります。
基本的には、以下の表の資本金額か常時使用する従業員数のどちらかを満たしている企業が、中小企業とみなされます。
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加入対象となる従業員は?
中退共制度に加入できるのは、中小企業の事業主に雇用されている従業員です。
法人企業の役員は基本的に加入することができませんが、従業員として賃金の支給を受けている場合には、役員でも加入することができます。
家族・親族が従業員として働いている場合にも、事業主と同居していなければ問題なく加入することができます。
事業主と同居であり、生計が一つになっている親族であれば、事業主との使用従属関係等が認められる書類を提出することで、加入が認められるようになっています。
加入できない従業員
加入できない従業員は、
- 試用期間中の人
- 定年などを理由に短期間のうちに退職する人
- 期間を定めて雇用される人
などです。退職金制度を導入すれば、このような従業員以外は全て加入させる必要があります。
パートタイマーの扱い
なお、パートタイマーなどの短時間労働者も、中退共制度に加入できます。
ただし、これは会社によって判断が異なり、退職金規定に「パート・アルバイトには適用しない」などと明記している会社では、加入させる必要はありません。
短時間労働者が貴重な労働力になっている会社では、短時間労働者も退職金の対象にすることで、人材確保に役立つ場合もあります。
加入対象従業員をしっかり理解し、退職金制度が自社に与える負担を把握しよう。
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助成金について

中退共制度には、多くのメリットがあります。代表的なものを挙げれば、以下の通りです。
節税メリットがある
中退共制度の掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額非課税とすることができます。
手間がかからない
退職金制度を自社で運用する場合、管理には様々な手間がかかります。
しかし、中退共制度では、加入後も面倒な手続きや事務処理・管理を任せることができ、月々の掛金も口座振替で納付することができます。
また、退職金は中退共から退職する従業員の預金口座に直接振り込まれます。ため、手間がかかりません。
通算制度が利用できる
中退共制度では通算制度が利用でき、加入する以前の勤務期間を通算したり、一定の要件を満たしていれば転職したときに退職金を通算したりすることができます。
退職金の受取方法が選べる
基本的には、退職金は一時払いとなっていますが、支給を受ける従業員本人の希望があり、なおかつ一定の要件を満たしている場合には、全部または一部を分割して受け取ることができます。
提携割引サービスが利用できる
中退共制度の加入者は、中退共と提携しているホテル、レジャー施設等を、加入企業の特典として割引料金で利用できます。
助成金を受給できる以外にも、色々なメリットがあるんだね!
助成金が受給できるメリット
上記のような色々なメリットの中でも、会社にとって特にメリットが大きいのは、手間がかからないことでしょう。
このメリットによって、会社は確実に退職金制度を運用していくことができます。
しかし、単に手間がかからない、節税に役立つといったメリットだけでは、退職金制度の導入が難しい会社もあると思います。
退職金制度を導入できない理由は、なんといっても資金繰りへの負担なのですから、負担を軽減しながら退職金制度を導入し、人材確保などにも役立てていく必要があります。
そこで、これから退職金制度を導入する会社にとっては、「助成金の支給を受けられること」が、中退共制度に加入する最大のメリットと言えるでしょう。
ただし、助成額は掛金の全額ではなく一部に限られており、また上限金額も定められています。
中退共制度では、掛金の月額を16種類に分けており、
- 5,000円
- 6,000円
- 7,000円
- 8,000円
- 9,000円
- 10,000円
- 12,000円
- 14,000円
- 16,000円
- 18,000円
- 20,000円
- 22,000円
- 24,000円
- 26,000円
- 28,000円
- 30,000円
から選ぶことができます。
短時間労働者を加入させる場合には、上記の16種類の掛金よりも少額の2,000円、3,000円、4,000円から選ぶことも可能です。
ただし、短時間労働者が途中で一般の従業員になったとき、4000円以下の特例掛金で加入していたならば、5000円以上の通常掛金に増額する必要があります。
なお、中退共制度に加入する従業員の全てに対して、一律で同じ掛金を設定する必要はなく、従業員ごとに任意の掛金に設定することができます。
掛金の種類は豊富だから、微調整しながら掛金を設定することも可能だぞ。
助成の内容

中退共制度に加入した場合の助成金は、以下のように定められています。
新規に中退共制度に加入した場合
これから退職金制度を導入する中小企業が、中退共制度に加入した場合には、掛金月額の2分の1を加入後4ヶ月目から1年間にわたって受給することができます。
助成の上限は5000円となっているため、上限金額まで受給する場合の掛金は1万円となります。
なお、短時間労働者を加入させる場合には、上記の通り2000円、3000円、4000円の特例掛金で加入することができます。
この場合には、掛金月額の2分の1の助成に加えて、
- 掛金月額2,000円の場合……300円
- 掛金月額3,000円の場合……400円
- 掛金月額4,000円の場合……500円
の加算を受けられます。
短時間労働者に加入義務はないが、助成金は少しだけ優遇されているよ。
掛金を増額する場合
新規加入のときに助成を受けられるだけではなく、掛金を増額する場合にも助成を受けることができます。
増額によって助成を受けられるのは、月々の掛金が18000円以下の場合に限られます。
この時、掛金全部ではなく、増額分の3分の1が、増額した月から1年間にわたって助成されます。
具体例
従業員20人の会社で、正規雇用の従業員の掛金を毎月8000円、短時間労働者10人の掛金を毎月3000円とした場合、この会社が12ヶ月間で受給できる助成金の総額は、
[(8000円×1/2×20人)+{(3000円×1/2)+300円}×10人]×12ヶ月=117.6万円
となり、117.6万円の助成金を受給することができます。
中退共制度と助成金を利用していなければ、この会社は同じ12ヶ月間で、240万円もの掛金を支払うことになります。
しかし、助成金を利用することによって、半分以下に抑えることができたのです。
コメント「助成金を受給すれば、退職金制度の導入期負担が大幅に軽減されるぞ!」
追加の加入について
上記のように、中退共制度に新たに加入した場合と、掛金を増額した場合に助成を受けることができます。
しかし、いずれの場合にも12ヶ月間の助成期間が設定されており、助成期間以降は助成金を受給することはできません。
このため、新規に採用した従業員を追加で加入した場合にも、追加した従業員の掛金に助成金が支給されるのは、大本の取り組みにおける助成期間に限定されます。
例えば、ある会社で2019年4月に中退共制度に加入した場合、加入から4ヶ月後の2019年7月から12ヶ月間にわたって助成金が支給され、2020年6月まで受給することができます。
この会社で、2019年10月に新規の従業員を採用し、中退共に追加で加入した場合には、2019年10月から2020年6月までの期間が助成対象期間となります。
2020年7月以降に新規採用・追加加入となった従業員は助成の対象にはなりません。
追加加入の助成対象期間は限られているから、採用を検討している会社は先延ばししないようにしよう。
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まとめ
本稿で解説した通り、中小企業が退職金制度を導入するならば、中退共制度に加入するのがおすすめです。
管理の手間がかからないこと、節税につながることなどのメリットがあるだけではなく、導入期の負担を大幅に軽減してくれる助成金を受給することができます。
人材確保のために、退職金制度の導入を検討している中小企業は、中退共制度を活用していきましょう。
加入すれば助成金を受給できる中小企業退職金共済制度を徹底解説
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