助成金を受給できるのは「まともな会社」で「最低限の要件を満たしている会社」

助成金は、受給要件を満たした会社であれば、高確率で受給することができます。

しかし、満たすべき受給要件とは、各種助成金がそれぞれに定めている要件だけではなく、助成金制度そのものを利用するための要件を満たす必要があります。

前提となる要件を満たさず、賃金をアップさせたり、正社員化を推進したりしても、助成金を受給することはできないのです。

そこで本稿では、助成金を受給するために満たすべき、最低限の要件について解説していきます。

助成金は簡単にもらえるわけではない

助成金制度は、主に中小企業を対象としています。

日本国内の企業を業容によって区別したとき、大企業はほんの一部にすぎず、全体のほぼ100%を中小企業が占めています。

だからこそ、経済成長のためには中小企業への支援が必要となります。

この支援の一環として、国は労働環境の整備などに取り組んだ企業に対して、「しっかりやってくれた会社には、助成金を支払います。どんどん取り組んでください」として助成金を支給しています。

このように実施されているものですから、受給要件を満たした会社は高確率で受給することができます。

このため、助成金制度に対して、

「何はともあれやることをやって、書類を書いて申請さえすれば、簡単にもらえるんでしょう?」

という勘違いをする人も少なからずいます。

受給できるのはまともな会社だけ

しかし、受給要件をみたすことで助成金をもらうためには、まずは「まともな会社」でなければなりません。

いくら労働環境を整備したところで、「まともではない会社」は助成金を受給することができません。

「まともではない会社」とは、国の定めるルールを守っていない会社です。

国の定めるルールを守っていない会社は、各種労働法に違反していたり、かなりグレーな労働環境になっていたりすることが多いです。

このような問題ある会社、「まともではない会社」と表現しています。

政府は、「働き方改革」や「一億総活躍」といった政策を掲げ、労働環境の整備や生産性の向上を促すべく、助成金制度を実施しています。

究極の目的は経済成長なのですが、その実現のための細かな部分では、会社都合での退職を抑制したり、最低賃金を年々引き上げたり、残業カットを促したり、有期契約から無期契約への転換を促したりしています。

このため、国が定めるルールを守っていない「まともではない会社」は、政府の方針に逆行する不良企業と言えます。

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そのような会社に対して、政府が助成金を支給するはずがないのだ!

助成金は、政府の方針に沿って貢献してくれた会社に支払われるものであり、政府の方針に逆らっていた会社が更生した場合に支払われるものではありません。

ペナルティを受けることはあっても、助成金というボーナスをもらえるはずがないのです。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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まともではない会社5つの例

会社としてまともではなく、助成金を受給できないケースを、いくつか紹介していきます。

従業員の勤務時間を管理していない

助成金の手続きを進めていくためには、従業員の勤務実態を正確に把握しておく必要があります。

なぜならば、現状の勤務実態を把握できなければ、どこをどう取り組むのか、取り組みの結果としてどのような変化があり、労働環境がどのように整備されたのかが分からないからです。

また、勤務実態の把握に努めていない会社では、知らず知らずのうちに違法行為に陥っていることも多いため、「まともではない会社」の典型例と言えるでしょう。

助成金を利用するためには、従業員の勤務実態を把握できる仕組みが必要となります。

そのためには、勤務表やタイムカードなどによって時間管理を行います。

助成金の申請では、時間管理ができていることを証明する必要がありますが、このときに勤務表やタイムカードが証明書となります。

CF イエロー
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現在、時間管理を全くやっていない会社は、助成金を利用することはできないよ!

労働環境にはかなり問題があるため、早急に改善に取り組み、助成金を受給できる状態を作るところから始めなければなりません。

従業員に支給する賃金を管理していない

助成金の手続きでは、従業員に支給された賃金を証明する必要があります。

もし、支給した賃金に関するデータを管理していなければ、助成金を受給することはできません。

賃金に関するデータを管理していなければ、その会社の労働環境がどうなっており、どのように改善したのかが分からないためです。

また、国が定める最低賃金をきちんと支払っているか、残業や休日出勤、深夜労働などに対して、きちんと手当が支給されているかどうかも分かりません。

むしろ、助成金の審査をする側としては、何らかの不正をしているからこそデータを管理していないのではないか、と考えるのが自然であり、助成金の支給対象とはみなしません。

CF レッド
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もし、賃金に関するデータを正確に残していない場合には、給与明細や賃金台帳を整理する必要があるよ!

従業員に支給する賃金が不適切である

会社が従業員に支払うべき賃金は、基本的な月給のほか、時間外労働手当・深夜労働手当・休日出勤手当などを適切に支払う必要があります。

また、上記のように従業員の勤務時間を把握したうえで、勤務時間当たりの賃金が最低賃金を上回っている必要があります。

このような給与や手当などについて、適切に支払っていない会社は助成金を受給することができません。

近年では、最低賃金が徐々に上がっているため、最低賃金を満たしていない事業者もあります。

そのような会社では、最低賃金を満たすにあたって、助成金を受給したいと考えるかもしれません。

例えば、キャリアアップ助成金のひとつに「賃金規定等改定コース」というものがあり、従業員の賃金をアップした場合に助成金を受給することができます。

最低賃金を満たしていない会社が、最低賃金レベルまで給料をアップした場合でも、賃金をアップしている点では同じです。

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しかし、これは違法行為を働いていた会社が、ようやく違法行為をやめただけのことよ!

助成金を受給するためには、最低賃金を守り、手当をしっかりと支給しましょう。

当たり前のことですが、財務的に脆弱な中小企業では、支給すべきものをうやむやにしていることもあるので、正確を期してください。

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労働関連法令に違反している

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助成金では、労働環境の改善を目指しているのですから、労働関連の法令に違反している会社は受給することができません。

労働関連法令は、細かいものを含めると非常に多くなりますが、助成金の受給要件を満たすためには、労働基準法を守っているかどうかを中心に考えるのが良いでしょう。

特に、労働基準法第36条を守っていない中小企業が多いため、注意しておく必要があります。

第36条は、時間外及び休日の労働について定めるものであり、会社と労働者が協定を結んだうえで労基署に届け出ていなければ、1日8時間以上の労働や休日の労働は認められません。

また、労働基準法第39条では、有給休暇について定められています。

雇用した日から6ヶ月にわたって勤務しており、なおかつ全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日の有給休暇を与える必要があります。

労働基準法だけで見ても、労使間の協定なしに残業や休日出勤をさせる、有給休暇を与えるべき従業員に有給休暇を与えていないなど、中小企業が犯しやすい違反行為が見られます。

このような違反がある会社では、助成金を受給することができなくなるので、法律をしっかり守ることが大切です。

もちろん、場合によっては、会社側の不注意で違反を犯してしまい、従業員にもそれほど負担になっていない、というケースも起こっているのが普通です。

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労働関連法令を100%守れている会社は少ないだろう。

そのように、悪意のない不注意で違反した場合については、すぐさま受給できなくなるわけではありません。

労働関連法令をおおむね守ることができていれば、助成金の受給対象となります。

しかし、意図的に違反している会社、例えば有給休暇を与える義務がある従業員に対し、有給休暇を認めないなどの対応をしている会社は、助成金を受給できなくなります。

必要な保険料を支払っていない

会社が当然支払うべき各種保険料を支払っていない場合にも、助成金を受給できなくなります。

まず、社会保険料を支払っていない会社がありますが、社長はもちろんのこと、フルタイムの従業員は社会保険に加入させる義務があります。

しかし、社会保険に加入すると、社会保険料の半分を会社が負担する必要があるため、この負担を嫌い、加入させなければならない従業員を加入させていない会社もあるのです。

また、労働保険料を支払っていない会社も問題です。

労働保険とは、雇用保険と労災保険を合わせたものであり、雇用形態によっては加入が必須とされているものです。

かなり小規模な事業者でない限り、加入を義務付けられるケースがほとんどです。

雇用保険は、会社と従業員がそれぞれの割合に応じて負担するものであり、労災保険は会社が全額負担します。

労働保険料を滞納している限り、助成金を受給することはできません。

その他に気をつけておきたいポイント

その他の要件として、至極当然ではありますが、以下のような会社は助成金を受給することができません。

助成金を不正受給した

不正受給の罪は重く、過去に一度でも不正受給をした会社には、基本的に助成金が出なくなります。

定めによると、不正受給をしてから3年以内は受給できないとしており、これによれば4年目からはまた受給対象になると考えられます。

しかし、過去に不正受給をしたことによって、審査する側としては厳しく判断していく必要があり、かなりの制限を受けることは間違いありません。

さらに、不正受給をしていない会社でも、不正受給が発覚した場合に名前が公表されることについて同意していない会社は、受給することができません。

暴力団と関係がある

政府は暴対法などにより、暴力団を徹底的に取り締まる姿勢を見せています。

その一環として、暴力団へ資金が流れないために様々な取り組みをしています。

このため、事業者が暴力団と何らかの関係がある場合、支給した助成金が暴力団の資金源になることがないように、助成金を支給しません。

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これは、事業者本人のみではなく、役員についても同様だ!

暴力団だけではなく、その他の反社会勢力も同様です。

例えば、一部の右翼団体・左翼団体・宗教団体など、公共の安全を脅かす可能性がある団体に所属している場合にも、助成金を受給することができません。

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全ての会社に共通する要件

以上のような問題がない「まともな会社」であれば、助成金を受給できる可能性があります。

しかし、ただまともであるだけでは、助成金を必ず受給できるとは限りません。

というのも、まともな会社であるとしても、助成金の本来の目的からブレないために、一定の要件を満たす必要があるのです。

助成金を受給したい会社は、まずそれらの要件を全て満たす必要があります。

以下の要件のうち、ひとつでも満たしていない会社は助成金を受給することはできません

従業員が1名以上いること

自分だけで事業を営んでいる個人事業主などは、助成金制度を利用することができません。

助成金は、労働環境の整備や生産性の向上を目的としていますが、これは従業員のための労働環境整備であり、その結果としての生産性向上です。

したがって、従業員が1人もいない会社で取り組んだとしても、従業員のための取り組みにはならないため、助成金を受給することはできません。

このような会社では、いずれ従業員を雇い入れたときに助成金を利用することを想定して、普段から情報を収集しておくのが良いでしょう。

雇用保険適用事業所であること

 

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助成金の財源は、事業主の納めている雇用保険料よ!

このため、助成金を受給する会社は、雇用保険に加入していなければなりません。

創業間もない会社や、規模がごく小さな零細企業の中には、従業員はいても雇用保険に加入していない会社があります。

そのような会社は、まず雇用保険に加入する必要があります。

なお、雇用保険の加入手続きは簡単ですから、助成金の利用も想定して、加入を検討してみると良いでしょう。

半年以内に会社都合の退職者が出ていないこと

助成金制度は、労働環境を整備することにより、従業員の職場への定着を促すためのものでもあります。

このため、会社都合での退職者がいる場合、助成金を受給できなくなる場合があります。

経営不振などの際、どうしても会社都合で退職者を出してしまうことがあります。

そこで、会社都合で退職者を出している場合には、「安定して働ける職場環境であるかどうか」を基準に判断されることとなります。

例えば、毎年必ず会社都合で退職者を出しているならば、その会社は安定して働けない会社であり、助成金の本来の目的から逆行するため、助成金の支給を受けることはできません。

しかし、会社都合での退職者をほとんど出してこなかった会社であれば、安定して働ける職場と言えます。

そのような会社が、仕方のない事情によって、たまたま半年以内に会社都合で退職させていたという場合であれば、助成金を受給できる可能性があります。

助成金支給のための審査に協力すること

上記で述べた通り、助成金の審査では、勤務時間や賃金に関する証明書を求められます。

その他にも、必要に応じて書類の提出を求められることがあります。

また、管轄労働局等の実地調査が行われることもあります。

このような求めにはしっかりと応じ、審査に協力できる会社でなければ、助成金を受給することはできません。

助成金対象外の事業ではない

最後に、助成金を支給できる事業・できない事業の定めがあるため、対象外の事業ではないことが必須となります。

もっとも、助成金対象外の事業は性風俗関連事業です。

性的サービスを提供する性風俗店はもちろんのこと、キャバクラ・スナックなどの「接客を伴う飲食店」も対象外となっています。

自社ではこれらの事業を営んでいない場合にも、これらの営業の一部を受託している場合には、同様に対象外となるので注意が必要です。

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まとめ

本稿では、助成金を問題なく活用していくために、会社に求められる最低限の条件について解説しました。

当たり前と思えるものも多いのですが、必要書類が一部準備できなかったり、気づかないところで法令に違反していたりと、助成金の活用が困難になってしまう会社も少なくないものです。

助成金の利用を機に、自社の労働環境を細かく見直し、問題があれば逐一改善していきましょう。

それによって、助成金活用のスタートラインに立てるだけではなく、これまで見過ごしてきた誤りを正すこともできます。

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