当サイトをご覧の方の中には、既に事業が相当まずい状況にある人も多いと思います。
そのような人は、まずはリスケの検討をお勧めします。
本稿では、リスケを勝ち取った後に、会社はどのように事業再生に取り組んでいくかを解説するものです。
リスケを勝ち取ったものの、結局事業再生が成就しないのでは意味がありません。
そうならないよう、計画的に、また金融機関とも正しい付き合い方をし、事業再生に取り組んでいく必要があります。
リスケ後が本番
リスケ交渉は、それ自体が大きな労力を強いられるものです。
そのため、リスケ交渉を終え、変更契約書を締結すると、それで一段落したような気分になってしまう社長も多いです。
しかし、リスケはあくまでも事業再生のための手段であって、最終目的ではありません。
銀行と粘り強く交渉し、1年というリスケ期間を勝ち取ったならば、銀行との約束、つまり経営改善計画を実行に移し、事業再生に取り組んでいく必要があります。
したがって、リスケ交渉以降、社長にとって本当につらい、勝負の1年が始まると言えます。
では、具体的にはどのように取り組んでいくのでしょうか。
事業再生は、以下のように計画的に取り組んでいきます。

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事業再生の流れ
まず、事業再生のための具体的な流れを見ていきましょう。
【1】日繰りの資金繰り表をしっかりつける
日繰り表(日ごとの資金繰り表)をつけることは非常に大切なことです。
これは、リスケ交渉の際にも、おそらく作っていると思いますが、それをリスケ後もこまめにつけていくことが大切です。
なにしろ、リスケを依頼したほどに資金繰りが悪いわけですから、資金の動きを日繰り表によって常時監視しておくことが大切です。
常に監視しているからこそ、これまでは見過ごしていた無駄な出費も見つかります。

また、日繰り表をつけておけば、2~3ヶ月後の資金繰りの状況がどのようになっているか、かなり正確に予想することができます。
そもそも、中小企業が資金繰りに窮する原因は、多くの場合、経営者がどんぶり勘定的な、その場しのぎの資金繰りを続けてきたことによります。
だからこそ、日繰り表をつけて数ヶ月先の資金繰りまで把握していくことが大切なのです。
これができると、経営改善計画に添付していた月繰り表通りに進んでいるかをチェックすることも容易になると思います。
日繰り表をつけ、月繰り表を確認しながら、計画通りに進めていくことができれば、経営改善計画は着実に履行されていきます。
【2】月次の予想損益計算書を作る
リスケ交渉で用いた経営改善計画書には、今期の予想損益計算書を添付しています。

予想した売上や利益を上げていくために、月次の予想損益計算書を作りましょう。
今期の予想損益計算書は、現実的に可能な数値を記載しているはずですから、月次の予想損益計算書に落とし込んでも、現実的に可能な月次予想損益計算書が出来上がるはずです。
この時、予想される売り上げや利益を12ヶ月で割るのではなく、できるだけ実態に即した損益計算書を作るために、季節要因などを考慮することが大切です。
どのような事業でも、月ごとに利益が出やすい月もあれば、出にくい月もあるものです。
場合によっては、赤字になる月もあることだろう。
それらを考慮しながら、月次予想損益計算書を作り、月ごとの目標に向かって事業を進めてください。
それが着実に進めば、今期の売上や利益も計画を達成することができます。

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【3】税理士の協力を仰ぐ
月次の予想損益計算書なども作り、予算管理を進めたとはいえ、慣れないことをやっているために戸惑うことも多いでしょう。
ここで重要となるのが、顧問税理士の協力を仰ぐことです。
中小零細企業では、税理士に決算書作成だけを依頼しているケースが非常に多いです。
しかし、税理士の会計や税務に関する知識は広く、決算書作成以外にも頼れるところは多々あります。
また、最近では税理士の競争が激しくなってきています。
人工知能の進展によって、税理士は淘汰されるという話もかなり現実味を帯びており、税理士事務所のサービスが良くなってきています。
したがって、税理士にお願いをすれば、月次試算表を作ってくれたり、毎月の資金繰り状況に関するレポートを作ってくれたりするケースも増えています。

税理士にお願いをして、月次試算表を翌月のできるだけ早い段階で作成してもらい、それによって、先月は予算を達成できたかどうかを確認するようにしましょう。
このようにして、毎月の結果をきちんきちんと把握していけば、1年を通しての計画達成もかなりやりやすくなります。
そのためにも、まずは税理士にリスケをしたことを伝え、月次の予算管理のために月次試算表を作ってくださいとお願いしてみてください。
同時に、資料を作成したうえで、アドバイスがあれば積極的に言ってほしいということも伝えておきましょう。
このようにお願いすれば、断る税理士はいませんし、むしろ希望通りの月次試算表を作るために、「今後は、~~(伝票などの資料)は〇日までに提出ほしい」などの依頼があると思います。
ただし、翌月のできるだけ早い段階で先月の結果を知りたいといっても、20日くらいまでは待たなければなりませんし、あまり急がせ過ぎてはいけません。

精度は95%くらいを期待し、先月の達成状況を確認しつつ、アドバイスをもらえればよしとしましょう。
このように税理士とタッグを組めば、経営改善計画の進捗状況を細かく把握でき、経営上の問題も見つかってくることでしょう。
その問題を解決すれば、経営改善がよりスムーズに進むこともあるため、非常に大きなメリットがあると言えます。
以上のように毎日、毎月を丁寧に事業再生に傾けていけば、経営改善計画は着実に履行されて行き、半年もすれば具体的な効果が見えてくるでしょう。
事業の再生も現実味を帯びてくるはずです。

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銀行との付き合い方
次に、銀行との付き合い方を見ていきます。
銀行にはリスケをお願いしたのですから、なにやら気まずいと思う人も多いと思います。
しかし、リスケ完了後にはまた融資をお願いしていく相手になるのですから、できるだけ良い関係を構築するように意識していく必要があります。
また、リスケ中だからと言って恐れることなく、新規の取引を始めることも重要です。
【1】銀行のモニタリングはチャンス
リスケ交渉が成功に終わると、リスケ完了まで銀行はただ待っているのではありません。
銀行にとっては、不良債権が発生するかどうかというきわどいところですから、会社がきちんと経営改善計画を実行できているかどうかをモニタリングします。
モニタリングは、毎月の試算表と資金繰り表を銀行に提出することで行われます。

銀行としても、近年はリスケ案件が増加しているために、各支店に対し、リスケ先のモニタリングを強化するように指示を出しています。
これによって、「常に監視されている」と考え、嫌な気分になってしまう社長も多いものですが、ものは考えようです。
銀行の担当者が常に見ているのですから、よく見られるように工夫していくのです。
まず、モニタリングに当っては、支店の担当者が毎月資料の提出を求め、その時に社長と担当者とで顔を合わせることになります。
度々顔を合わせているうちに、次第に人間関係もできていくものです。
当初は、経営改善計画の実行がどのようになっているかを把握するための、モニタリングとしての面会に過ぎません。
しかし、面会の回数を重ねる中で担当者の信頼を勝ち取れば、リスケ完了後の融資の際に有利となる関係を作ることもできます。
この時、社長の真面目な人柄が伝わるだけでは不十分です。
担当者との面会を利用して、会社の事業がどうであるのか、どこに強みがあるのか、商品のどこに魅力があるのか、将来的にどうなっていきたいのかなどをアピールしていくのです。
毎月顔を合わせるうちに、このような話もできるようになっていきますから、次第に担当者は事業内容を理解するようになります。

年間を通じてモニタリングすることで、季節要因なども分かりますから、運転資金の必要性も理解してくれることでしょう。
このような理解を持ってもらうと、リスケ完了後に運転資金の調達を図ったとき、スムーズに話が進む可能性が高まります。
【2】信用金庫・信用組合を開拓する
リスケをお願いした銀行との関係を作っていくと同時に、リスケ完了後に備えて、新たな銀行を開拓していくことも大切です。
例えば、現在付き合いのある銀行がメガバンクと地方銀行だけならば、信用金庫や信用組合との取引を開始しましょう。
メガバンクは特にそうですが、地方銀行にしても、零細企業とはあまり大きな取引を期待していませんし、融資も出にくい傾向があります。
メガバンクや大手地方銀行の重要な顧客となるのは、融資残高が10億円を超えるような会社です。
中小零細企業では数千万円や1億円といった規模での融資になりますから、メガバンクや大手地銀にとってはそれほど重要な取引先にはなりません。
ですから、無事にリスケを終えて事業を何とか継続に導いた会社が新規融資をお願いしても、なかなか認めてくれないことが多いのです。
一方、信用金庫や信用組合といった金融機関は、中小零細企業をメインに相手しています。
中小零細企業の一社一社を大切にしてくれるため、新規の融資も出やすいですし、リスケ期間中に取引を開始すれば、再生に向けて協力してくれることも期待できます。
ではどうやって付き合いを始めるのか・・・と考えるのですが、実際にはもう付き合いが始まっている可能性が高いです。
なぜならば、リスケの準備段階で、売上を差し押さえられないために、取引のなかった信用金庫か信用組合に売上入金口座を変更していると思われるからです。
もし、それができていなかったならば、これから付き合いを始めていくことになりますが、リスケを計画的に進め、リスケを勝ち取ったことを前提に本稿を書いていますから、多くの会社では既に売上入金口座による取引が開始されていることと思います。
金融機関では、新規融資に非常に慎重になるものですが、これは全く付き合いがない会社に対して慎重になるのです。
預金の出入金がしばしば行われていれば、金融機関はそれを取引実績とみなし、今後の融資先になるかもしれないと考えます。

リスケ開始後に順調に再生が進んでいれば、数ヶ月もすれば信金・信組の方から融資を提案してくることもありますし、会社側から月に数万円の定期積立を依頼することでも、融資相談に乗ってもらいやすくなることでしょう。
融資相談をするにあたっては、手形割引から話を始めるのが堅実です。
リスケ中は新規の融資が難しいのが普通ですが、手形割引ならば検討の対象になる可能性が出てきます。
リスケ中は返済能力にも乏しいですから、新規融資は困難です。
しかし、手形割引ならば、手形の振出人が手形を決済する責任を持っていますから、リスケ中の会社の返済能力にはあまり関係なく、手形割引を検討することができるのです。
もし、リスケ交渉にあたって手形割引まで差し止められてしまった場合や、手形割引できる枠を増やしたいと考えているならば、信金・信組に手形割引の依頼から始めてみましょう。

通常、リスケを依頼した銀行では、リスケが無事に完了したとしても、その後の1年くらいは新規融資ができず、その間は自己資金だけで経営を回していく必要があります。
そこで、信金・信組から融資を受けられるならば、これほど心強いことはありません。
もちろん、多額の融資を受けることは不可能ですが、運転資金程度ならば前向きに検討してもらえる可能性があります。
したがって、リスケ中はリスケを依頼した銀行の担当者と積極的にコミュニケーションを図り、さらに信金・信組との取引を始め、リスケ完了後の資金繰りができるだけラクになるように計画を進めていくことが大切だと言えます。

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まとめ
本稿で述べた通り、会社の業績や財務内容を改善していくにあたっても、リスケ後の新規融資を見据えるにあたっても、ともかく計画性が必要であることが良くわかったと思います。
計画性のない経営を続けてきたからこそ、リスケしなければならないほどに状況が悪化したのです。
リスケを機に、計画性のある経営を心掛けるようになれば、会社の状況はかなり改善されていくと思います。
その計画の立て方を学び、実践していく上でも、本稿が役に立てば幸いです。