慢性的な赤字に陥っている会社や、資金繰りがいつも厳しいと感じている会社の財務内容を見てみると、借入金が非常に大きく、その返済と利息支払いによって資金繰りが圧迫されていることが少なくありません。
資金繰り改善のためには、借入金の圧縮は大切なポイントとなります。
本稿では、借入金圧縮の方法として、借金まみれの日産自動車を復活させた、カルロス・ゴーンの流儀を解説していきます。
借金体質から抜け出す
慢性的な赤字や、資金繰りの苦しさを抜け出したいと思っているならば、借入金を減らして借金体質から抜け出すということが重要となります。
赤字企業が赤字でも経営を続けられるのは、借入によって資金不足を補填できているからです。
しかし、借入金が大きくなると、その返済が資金繰りを大きく圧迫することになります。
これを解消してしまわないと、資金繰りを改善し、ひいては赤字体質を改善するための大きな障害となってしまいます。
借入金をなくすことができれば、あるいは大幅に減らすことができれば、四苦八苦して返済のための資金を捻出する必要もありませんし、本来は返済に充てられていた資金を事業に回すことができます。
それが利益につながっていけば、資金繰りは楽になっていき、着実に赤字から抜けだしていけるのです。

当時の日産は、4兆3000億円という莫大な借金を抱え、支払利息だけで1000億円を超えており、深刻な経営難に陥っていました。
これに対しカルロス・ゴーンは売上100万台増加、目標利益8%に加え、借金をゼロにすることを目標に掲げました。
借金をゼロにするために採られた方法は、利益に結び付いていないものを全て換金して返済に充てるというものです。
これによって借入金が減れば、支払利息も減ることとなり、赤字も減っていくことになります。
カルロス・ゴーンは、利益に結び付いていないものの換金において、以下のようなものを積極的に換金していきました。

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現金預金
- 過剰な預金は即刻返済に充てる。
売掛債権
- 取引先との交渉によって売掛債権の回収サイトを短縮する。
- 回収条件の悪い取引先とは、取引自体を見直す。
- これらによって現金の入りを改善し、積極的に返済していく。
- また、売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化し、返済に充てる。
在庫
- 滞留在庫は損失が出ても現金化し、返済に充てる。
- また、受注生産に切り替えることによって在庫をなくし、カットされたコストも返済に充てる。
- 仕入先を見直して不良品を減らし、ここでも収益の効率化を図る。
固定資産
- 本社を売却して賃貸に切り替え、返済に充てる。
- また、社宅や独身寮なども売却し、返済に充てる。
- 採算性の悪い営業所や工場を閉鎖し、収益率を高める。
投資
- 有価証券は売却し、返済に充てる。
- また、関係会社を整理し、必要に応じて売却し、返済に充てる。
このように、あらゆる資産を現金化し、同時に事業の効率化を図ります。
これによって、現金化された資金や、効率的に生み出された利益によって返済していき、借金ゼロを目指したのです。
そして、日産は約4年で負債を完済することに成功しました。

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借入が悪いわけではない
ただし、借入が悪いというわけではないことに注意してください。
借入は、会社の事業を発展させるために必要となる場合もあります。
特に、新規事業への進出や大規模な設備投資など、大きな資金を必要とする場合には、会社の自己資金だけでは不可能であり、借入に頼らなければならないことが多いのです。
このほか、日常の運転資金として借り入れることも悪いことではありません。
あくまでも、無計画な、無理な借り入れが好ましくないのです。

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借入金返済は利益で行う
また、借入金を圧縮しなければ赤字体質を克服できないからと言って、むやみやたらに圧縮すべきではありません。
他の借入によって返済を賄うのは本末転倒ですし、その後の事業に必要となる資産を売却して返済に充て、売上や利益が減ってしまうのでは意味がありません。

しかし、利益を伸ばすことにはある程度の時間を要しますから、資産を見直し、利益に貢献していないものがあれば換金し、返済に充てていくのです。
したがって、資産を整理して借入を圧縮しつつ、利益を伸ばす取り組みも必要不可欠となります。
利益を上げるためには、以下の三点を基本と考えるのが良いでしょう。
売上を増やす
もちろんこれは、売上と利益を同時に増加させるということです。
売上だけを増加させて利益が増えないならば、販売コストがかさみ、資金繰りはより苦しくなってしまうので注意が必要です。
そのために、他社より優れた、市場に強い商品を開発するなどの取り組みが求められます。
コストカット
売上を伸ばすことは簡単ではありません。
しかし、売上がそのままでも、コストカットに努めて利益率を高めることができれば、結果的に利益は増えます。
原価や製造コスト、在庫管理コストなど、色々なコストの削減に取り組むべきです。
もちろん、コストカットによって浮いた資金を効率的に使っていくことも重要です。
全社的な意識改革
上層部や特定の部門だけが意識するのではなく、全社で利益を高めようとする意識を共有し、一丸となって取り組むことが重要です。
その姿勢があってこそ、各部門間での連携もスムーズとなり、効率的に改革を進めることができます。
利益を上げるためにより細かな方法は、当サイトの他の記事を参考にして欲しいと思いますが、基本的には上記のようなポイントを踏まえた取り組みを進めていきます。

カルロス・ゴーンが日産を改革する際にも、資産の売却による借入金の圧縮と同時に、売上台数の増加と利益の伸長、つまり売上と利益を同時に伸ばすことを考え、増やした利益からも積極的に返済しています。
資産の整理による資金調達、それと同時に効率化された事業による利益、この両面から生み出された資金を返済に充てていくことで、借入金をスピーディに圧縮していくことができます。
無計画に返済しようとしても、無理が生じ、却って状況悪化にもつながりかねません。
あくまでも計画的な返済を心がけてください。

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まとめ
借入金を積極的に返済していけば、元金の返済と利息の支払いによる資金繰りへの圧迫が軽くなっていきます。
返済のための取り組みの中で、コストカットや事業の効率化についても改革していけば、利益率が伸びていきますから、加速度的に返済が進むことも期待できます。
借入金を返済する際には、効率的な返済を考え、早期返済と同時進行で全社的な改革を進めていくべきです。
そうやって逆境を克服すれば、資金繰りは楽になっていき、同時に強い会社に成長していけることでしょう。