赤字から黒字への転換を模索している会社は少なくないと思います。
しかし、業績回復のために知識を集めても、業績改善を会計の知識から指南し、それがかえって逆効果になっている場合も多いものです。
また、具体的な方策を知るには至らず、結局は途方に暮れてしまう人も多いことでしょう。
そこで当サイトでは、赤字から黒字へ転換するための方法を、具体的な例や方策を用いながら解説していくこととします。
第1回は、業績改善の前提となる基礎知識として、赤字について解説していきます。
赤字を詳しく知る
中小企業は、経営基盤が弱いのが一般的です。
資金力や販売力や生産力など、色々な点で安定性を欠いており、外部環境の変化によってすぐに赤字に陥ってしまう会社が少なくありません。
しかし、赤字は何としても避けたいものです。
なぜならば、赤字を改善できない会社は、やがて経営が破綻する可能性が高いからです。
もちろん、「赤字はいいことだ」と思っている人はいないでしょうし、「赤字は避けたい」と願っている人がほとんどでしょう。
「節税のためには赤字スレスレがいい」という間違った考え方をしている経営者でも、赤字バンザイと考えることはないでしょう。
したがって、赤字が悪いことくらいはわかっているでしょうし、だからこそ黒字転換のヒントを得るべく本稿を読んでいるのだと思います。
孫子いわく、「彼を知り己を知れば百戦してあやうからず」と言います。
起業にとっての大敵である赤字を退治して黒字を取り戻すためには、まず赤字を正しく知る必要があります。

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なぜ赤字がいけないのか
そもそも赤字とは、利益が出ていない状態のことを言います。
もう少し詳しく言えば、売上高から費用を引いたとき、その差額がマイナスになってしまう状態です。
赤字になると何が問題かと言えば、それはいずれお金が足りなくなることです。
赤字の状態は利益が出ていないだけではなく、売上を上回った分の費用を何らかの方法で補填する必要があります。

はじめのうちは、多少赤字になったとしても手元資金からカバーすることができるだろう。
資産を売却するなどの方法でも、カバーが可能かもしれません。
しかし、そうすることで会社の資産はどんどん目減りしていき、ついには赤字分の補填ができなくなります。

つまり資金繰りがショートするのよ!
資金繰りがショートすれば、取引先や借入先に支払うべきものが支払えなくなってしまいます。
事業が継続できない状態であり、倒産してしまうということです。
それを避けるために、ほとんどの会社が銀行から融資を受けることで資金繰りを回しています。
しかし、赤字の会社は利益が出ていないのですから、銀行は融資を渋ります。
稼いでいない会社がきちんと返済できるとは考えにくいため、貸し倒れリスクが高いと考えるのです。
赤字の問題は単純ではない
以上のことは、会計の初歩的な知識です。
業績改善のための書籍などを読んでも、上記のことを説明した後に、「だから、赤字は危険です」と説明されていることがあります。
確かに、最初につけるべき知識としては良いでしょうが、実際の業績改善にあたってはもう少し詳しく知っておく必要があるでしょう。
上記の知識だけで考えると、
「売上高から費用を引いて、マイナスの状態は赤字だ。赤字になれば徐々に会社の体力は失われていき、やがて倒産する。そうならないためには、売上高から差し引かれる費用を削減して、黒字に持ち込む必要がある」
と考える人は多いと思います。
もちろん、業績改善のためにコスト削減は欠かせません。
売上に対して費用が多すぎるのだから、費用を圧縮すれば黒字になるというのが、管理会計の考え方です。
しかし実際には、業績改善のためにコスト削減を実施しても、一向に赤字を抜け出せない会社があるのも事実です。

表面的な知識だけ戦おうとすれば、このような間違いを犯す可能性があるのだ!
なぜ間違いを犯してしまうのかと言えば、赤字に対して「売上より費用が多い」という限られた見方しか持っていないからです。
赤字に陥っている原因が費用だけにあるならば、費用削減で黒字化することができます。
しかし、赤字に陥っていっている会社の多くで、費用以外の問題を抱えています。もっと深い問題があるかもしれませんし、複数の問題があるかもしれません。
だからこそ、費用だけに目を向けて業績改善を図ったところで、黒字転換には至らないことが多いのです。

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複数の問題を根本的に解決していく
したがって、業績改善を成功させるためには、赤字の原因となっている色々な問題を解決していく必要があります。
会社にとってのお金は、人体にとっての血液と同じようなものです。
血栓ができて血液の循環が止まれば、人は死に至ります。血液の生産が少なければ貧血になりますし、血液の流出が続けば失血死に至ります。
血栓を取り除く、血液の生産量を増やす、輸血するなどの対処によって、健康体になれることもあるでしょう。

しかし、根本的な問題を抱えている、あるいは複数の問題を抱えている場合にはそうはいかないわ!
原因を追及していくと、食生活が乱れている、運動不足である、ストレスがひどい、疲れがたまっている、タバコやお酒のやりすぎといった色々な問題が見つかるでしょう。
そのような根本的な複数の問題を、同時に解決していく必要があります。

会社もこれと同じだ!
お金の流れが止まれば会社はつぶれますし、お金の流出が起こるたびに会社の体力は失われています。
だからと言って、銀行から融資を受けてお金の流れを止めないようにする、お金の流出を減らすためにコスト削減だけに取り組むといったアプローチだけでは不十分なのです。
それは、短期的な効果しか得られない「対処療法」にすぎません。
延命措置であり、倒産を先延ばししているだけなのです。
状況によっては、延命を図ってから改善に取り組むことも重要です。
しかし、どうしてお金の流れが止まってしまうのか、どうして赤字になってお金が流出していくのかについて、もっと根本的に考える必要があります。
原因を追究していくと、在庫を抱えすぎている、仕入れ条件が悪い、資金繰りの管理がずさんである、従業員に統一された行動規範がない、顧客対応が悪い、業務プロセスに無駄が多いなど、色々な問題が見つかるものです。
これに対し、「売上から費用を引いてマイナスになる状態が赤字」という考え方しかできなければ、業績改善のためにはコスト削減だけしか方法がなくなります。
コスト削減をしても赤字を脱け出せないこともよくありますし、逆に赤字がひどくなることもあります。
これでは、黒字転換などできるはずがありません。問題は根本的に、総合的に解決していくことが大切なのです。
早めの取り組みが重要
なお、赤字の問題を抱えている会社は、できるだけ早いうちから原因を特定し、対処することが重要です。
その問題を放置しておくと、会社の寿命を確実に縮めてしまうことになるからです。
例えば、多店舗経営の会社では、一部の店舗が赤字に陥っているとき、全体で黒字だからと言って赤字店舗を放置することがあります。
経営は回っていくかもしれませんが、赤字店舗と黒字店舗は共通の問題を抱えており、たまたまそれが表面化した店舗が赤字になっているだけかもしれません。
これも人体に例えるならば、少し体調がおかしいときに風邪だと決めつけて無理をしたばかりに、肺炎で入院を余儀なくされた、ひどい場合には命を落としてしまったというようなものです。
早めに治療しなければ寿命を縮めてしまいますし、命を落とす危険もあります。
今は資金繰りが回っている会社でも、赤字の懸念が生じたらすぐに改善に取り組むべきです。
すでに赤字に陥っている会社は、効果的な取り組みを早急に進めていく必要があります。
赤字=倒産ではない
最後に押さえておきたいのが、「赤字=倒産ではない」ということです。
よく、「赤字は倒産するから危険。黒字は倒産しないから安全」と間違って理解している人がいますが、これでは黒字倒産のリスクが高まります。
黒字倒産とは、利益が出ているのに資金が回らなくなる状態です。
極端な言い方をすれば、赤字か黒字かによって、倒産が決定づけられることはありません。
赤字でも資金の流れが止まらなければ倒産することはありませんし、黒字でも資金の流れが止まれば倒産します。
利益が出ていてもお金が回っているとは限りません。利益と儲けは異なるものなのです。
これは、しっかりと理解しておくべきことです。
これを理解しておけば、「資金が回らなければ倒産するから、黒字でも油断できない。しかし、赤字が続けば会社の体力は落ちていくから、改善を図らなければならない」と考えて、より正しい観点で業績改善を進めていくことができます。
まとめ
赤字から黒字への転換を目指すにあたって、赤字を間違って理解しておくことは危険です。
そのため、第1回は赤字について詳しく解説していきました。赤字についてしっかり理解している人にとっては、退屈な内容になってしまったかもしれません。
第2回も基礎知識を解説していきますが、業績改善のためには欠かせない知識です。もう少しお付き合いいただければと思います。
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