ファクタリングとは?最短即日で会社の資金調達ができるサービスの仕組み・注意点をわかりやすく解説
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債務者区分に見る「借りられる会社」「借りられない会社」
債務者区分と銀行格付けによって、銀行の融資スタンスは変わります。
このことを知っていれば、適切な流れによって債務者区分や銀行格付けが良くなるように努め、結果的に融資を受けやすい会社になることもできます。
このことを知らない会社は、行き当たりばったりの経営をし、債務者区分や銀行格付けが良くなることもなく、融資を受けにくい会社となる可能性が高いです。
融資を受けることに苦労している、大多数の中小企業は、この弊に陥っています。
以下の例によって両者の違いを見てみると、このことが良くわかると思います。
融資を受けられたA社
A社は、融資を依頼する前の段階で、自社の債務者区分と銀行格付けがどうなるかをある程度予測していました。
それを予測することで、銀行が自社に対してどのような融資スタンスであるかも理解していました。
A社は、自社の債務者区分・銀行格付けでは、融資を渋られる可能性もあると考えたため、いざお金が足りなくなってから、何の対策もせずに融資を申し込むのは危険だと考えました。
そこで、まずは資金繰り表を作成し、具体的な資金計画を立て、資金が不足する時期と不足額を特定しました。
そして、資金が不足する時期に合わせて、不足額をきちんと融資してもらえるように、A社では決算書に対策を施し、融資を受けられるのはもちろんのこと、できるだけ有利な条件で融資を受けられるように努力しました。
対策を行った決算書をもとに融資を申し込み、今後の経営計画についても詳しく説明したところ、銀行はA社を信頼することとなり、希望額をスムーズに融資してもらうことができました。
また、今後の融資についても了解を取り付けることができ、安定した資金供給が望めることとなりました。
これにより、A社は安定的で計画通りの経営を進めることができ、銀行格付けも難なく維持することができました。
融資を受けられなかったB社
B社は、債務者区分や銀行格付けの知識を持っていませんでした。
そのため、自社が融資を申し込んだ時に、銀行がどんな反応をするかも予測することができませんでした。
具体的な資金計画もなかったため、資金不足に陥る時期も、不足額も把握することができず、いよいよ資金不足に陥る直前というタイミングで銀行に融資を依頼しました。
融資を受けるための対策は何もできておらず、融資を断れることとなりました。
このような会社は、仮に融資を受けられたとしても、融資条件は悪いでしょうし、不足額の満額を借りることは難しいでしょう。
そうなると、慢性的な資金不足に苦しみ、支払いも延滞してしまうことになります。
当然、元々よくなかった銀行格付けは低下していき、最終的には追加融資の拒否、融資の引き上げなどに陥ったはずです。
A社とB社では、債務者区分・銀行格付けによる銀行の融資スタンスを知り、適切な対応ができたかどうかという点で、大きな差が現れています。
この差は、単に融資の可否や融資条件の優劣だけではなく、後々の債務者区分と銀行格付けにも顕著に現れ、経営を救ったり、破滅させたりします。
債務者区分・銀行格付けはまさに諸刃の剣であり、会社はこれを上手に扱い、味方につけていくことが大切です。
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銀行格付けはどうやって決められている?
上記の例で、A社は自社の債務者区分や銀行格付けを、あらかじめ予測することで計画的に動いています。
では、自社の債務者区分・銀行格付けは、どのように予測すればよいのでしょうか。
これを知るためには、まずは銀行がどのように債務者区分と銀行格付けを決めているかを知る必要があります。
銀行では、以下の流れで債務者区分と銀行格付けを決めています。
1、定量的分析で債務者区分を仮決定する
まず、定量的分析によって債務者区分を仮決定します。
定量的分析とは、数字を用いた定量的な指標による分析のことで、これによって債務者区分の70~80%は決まってしまいます。
定量的分析は、色々な観点から行なわれますが、重要なものから順に挙げていくと、以下のようになります。
【重要度が高い指標】
- 自己資本額
- 自己資本比率
- ギアリング比率
- 債務償還年数
- キャッシュフロー
- インタレストカバレッジレシオ(ICR)
【重要度が中程度の指標】
【重要度が低い指標】
- 売上高経常利益率
- 総資本経常利益率
- 支払利子率
- 固定比率
- 固定長期適合率
- 流動比率
評価の際には、重要度の高いものほど配点が多くなると考えてください。
2、定性的分析で債務者区分を決定する
定量的分析の後、20~30%の影響を持つ定性的分析を行います。
定量的分析が悪いにもかかわらず、定性的分析によって債務者区分がひっくり返るようなことはありません。
あくまでも、定量的分析でやや物足りない会社が、定性的分析で高評価を得ることによって、債務者区分を上げることができる程度です。
定性的分析は、以下のような項目によって行われます。
【重要度が高い指標】
【重要度が低い指標】
もっとも、上記の通り定性的分析が債務者区分に与える影響は大きくありません。
定性的分析で重要度が高いと言っても、債務者区分そのものへの影響は、定量的分析における「重要度が低い指標」くらいのものだと考えてください。
3、各銀行の基準から、銀行格付けを決定する
定量的分析によって債務者区分を仮決定し、定性的分析によって調節したのち、各銀行の状況に応じた銀行格付けが決定されます。
まず、債務者区分があって、後に銀行格付けがあるという流れです。
ですから、何はともあれ融資可能な債務者区分を獲得し、低下しないように努めることが、融資をスムーズに引き出すために重要だといえます。
効率よく改善しよう
このような流れを知れば、債務者区分を良くするための効率の良い方法も見えてきます。
評価の高い定量的分析の、さらに重要度が高い指標から改善するように取り組んでいけばよいのです。
定量的な部分をほったらかしにして、定性的な部分を改善したところで、債務者区分を引き上げることは困難です。
全体をバランスよく改善したとしても、債務者区分は思ったように上がりません。
CFイエロー
評価への影響が大きい項目から、優先的に改善していくことが大切なのよ!
上記のことから優先順位を整理してみると、以下のようになります。
【優先度:高】
- 自己資本額
- 自己資本比率
- ギアリング比率
- 債務償還年数
- キャッシュフロー
- インタレストカバレッジレシオ(ICR)
【優先度:中】
【優先度:低】
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優先度が高い項目はこう改善する
優先的に改善すべき項目の概要と改善方法も、簡単に見ておきましょう。
自己資本額
自己資本の額。大きいほど良いとされる。
→資本額を増やすことで改善できる。
自己資本比率
総資本に占める自己資本の割合(自己資本額÷総資産額=自己資本比率(%))。
高ければ高いほど良く、70%以上で超優良、50%以上で優良、40%以上で良好、30%以上で普通、それ以下は問題あり。
→資本額を増やす、資本額はそのままに総資産を縮小するなどで改善できる。
ギアリング比率
自己資本に対する他人資本(借入金など)の割合(有利子負債[長期借入金、短期借入金、社債など]÷自己資本額=ギアリング比率(%))。
小さければ小さいほど良いとされる。
全業種の平均値は44%であり、50%を超えると危険とされる。
→長期・短期借入金を削減する、資本額を増やすなどで改善できる。
債務償還年数
債務を何年で返済できるかを示す指標({有利子負債÷(当期減価償却額+営業利益)}=債務償還年数)。
短いほど良いとされる。
5年未満で優良、5~10年で普通、10年以上は問題あり。
→長期・短期借入金を削減する、利益を増やす、減価償却費を増やすなどで改善できる。
キャッシュフロー
経費の支払い、借入金返済、税金の支払いなどを終え、会社に残るお金(税引き後利益+当期減価償却額=キャッシュフロー)。
借入金の返済はここから行なうものとされ、大きいほど良い。
→税引き後利益を増やすことで改善できる。
インタレストカバレッジレシオ(ICR)
会社の借入金の利息の支払能力を表す指標(営業利益÷支払利息=ICR)。
大きいほど良い。
10以上で優良、1~10で普通、1未満で問題あり。
ただし、以下の通り業種ごとに平均値が異なる。
平成16年の中小企業庁のデータによると、建設業は2.1、製造業は4.1、情報通信業は3.6、運輸業は5.9、卸売業は2.4、小売業は1.5、不動産業は3.9、飲食・宿泊業は3.6、サービス業は4.5。
→税引き後利益を増やす、長期・短期借入金を減らすなどで改善できる。
自社の債務者区分を知る
ここまでのことを踏まえ、自社が債権者区分のどこに該当するかを見ていきましょう。
なお、銀行格付けは、この債権者区分に各銀行の状況を加味して決定するものです。
どのような方法で最終的な格付けがなされているのかは非公開ですから、ここで説明することはできません。
しかし、債務者区分を基準として格付けしていくものですから、自社の債務者区分を推測することができれば、銀行格付けもおのずと分かります。
【正常先に分類される会社】
- 前期が黒字であり、繰越損失がなく、債務超過ではなく、延滞がない会社
【要注意先に分類される会社】
- 前期が黒字であり、繰越損失がなく、債務超過ではないものの、3ヶ月未満の延滞がある会社
- 前期が黒字であり、債務超過ではないものの、繰越損失があり、延滞もしていないものの(延滞していても3ヶ月未満)会社
- 繰越損失がなく、債務超過ではないものの、前期が赤字であり、延滞もしていない(延滞していても3ヶ月未満)会社
- 債務超過ではないものの、前期が赤字であり、繰越損失があり、延滞がない(延滞していても3ヶ月未満)会社
- 前期が債務超過であったものの、延滞がない(延滞していても3ヶ月未満)会社
- 2期連続で債務超過であったものの、延滞がない会社
【要管理先に分類される会社】
- 前期が黒字であり、繰越損失がなく、債務超過ではないものの、3ヶ月以上の延滞がある、もしくはリスケジュールをしている会社
- 前期が黒字であり、債務超過ではないものの、繰越損失があり、3ヶ月以上の延滞がある、もしくはリスケジュールをしている会社
- 繰越損失がなく、債務超過ではないものの、前期が赤字であり、3ヶ月以上の延滞がある、もしくはリスケジュールをしている会社
- 債務超過ではないものの、前期が赤字であり、繰越損失があり、3ヶ月以上の延滞がある、もしくはリスケジュールをしている会社
【破綻懸念先に分類される会社】
- 前期が黒字であり、繰越損失がなく、債務超過ではないものの、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 前期が黒字であり、債務超過ではないものの、繰越損失があり、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 繰越損失がなく、債務超過ではないものの、前期が赤字であり、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 債務超過ではないものの、前期が赤字であり、繰越損失があり、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 前期が債務超過であり、3ヶ月以上の延滞がある、もしくはリスケジュールをしている会社
- 前期が債務超過であり、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 2期連続で債務超過であり、3ヶ月未満の延滞をしている会社
- 2期連続で債務超過であり、3ヶ月以上の延滞、もしくはリスケジュールをしている会社
【実質破綻先に分類される会社】
- 繰越損失がなく、債務超過ではないものの、前期が赤字であり、1年以上の延滞をしている会社
- 債務超過ではないものの、前期が赤字であり、繰越損失があり、1年以上の延滞をしている会社
- 前期が債務超過であり、1年以上の延滞をしている会社
- 2期連続で債務超過であり、6ヶ月以上の延滞をしている会社
- 2期連続で債務超過であり、1年以上の延滞をしている会社
※なお、破綻先は既に法的な破綻の事実が認められ、業績や財務や返済状況で変化するものではないため、分類はありません。
ややこしいかもしれませんが、大切なポイントは、
- 融資を受けられるのは正常先か要注意先まで
- 正常先に分類されるのは、前期が黒字であり、繰越損失がなく、債務超過ではなく、延滞もない会社だけ
- 少しでも延滞があれば、たちまち要注意先にランクダウンする
- 延滞が全くなくとも、債務超過状態である、繰越損失がある、前期が赤字であるかのいずれかによって、要注意先にランクダウンする
- 延滞が3ヶ月を超えたり、リスケジュールを依頼すれば要管理先にランクダウンする
- 中でも厳しく見られるのが債務超過であり、債務超過の会社が延滞すれば破綻懸念先となりやすい
といったことです。
よく、赤字の会社は基本的に融資を受けられない、債務超過の会社は融資を受けることが難しい、リスケジュールをすればしばらく融資は受けられなくなるなどと言いますが、それらも全て債務者区分が下がった結果、融資を受けられなくなっているのです。
経営再建のためにリスケジュールを推奨する専門家も多く、銀行側もリスケジュールの受け入れに前向きになることが多いです。
しかし、リスケジュールをすれば要管理先に転落し、それ以降の融資が厳しくなる可能性が極めて高いため、最後の手段として考えなければなりません。
これらよって、自社の債務者区分を大まかに知ることができるのではないかと思います。
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まとめ
本稿では、銀行格付けの重要性、銀行格付けが決まる流れ、自社の債務者区分を把握する基準などをお伝えしました。
銀行格付けが決まる流れを知れば、格付けを良くするための効率の良いアプローチも分かります。
債務者区分の大まかな基準を知れば、債務者区分を高く維持するために求められる決算の内容なども分かると思います。
本稿をきっかけに、銀行格付けを意識した経営を心掛けていただけると幸いです。