年商5000万円レベルになると、運転資金もそれなりに必要となりますが、まともに資金繰りをやった上で、効率の良い節税を図っていくことによって、現状維持を図ることができます。
よほど注意深く資金繰りを図り、積極的な姿勢と慎重な姿勢のバランスを取って拡大に臨まなければ、無計画な事業拡大によって資金ショートを招き、黒字倒産に陥るという可能性もあるのです。
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【1】コンサルタントに頼らない
まず挙げたいのが、コンサルタントに頼らないということです。
コンサルタントと言えば、経営に精通した専門家がアドバイスをしてくれる、あるいは依頼した内容に沿って、資金繰り改善や銀行対策、事業拡大を助けてくれる存在であるというイメージがあります。
このため、事業拡大を安全に進め、成功に導いていくためには、コンサルタントに協力を仰ぐべきだと考える人が多いのです。
経営者は、これから本格的な成長を目指していくわけですが、その「本格的な成長を目指す」という経験がないのですから、どのように成長していくべきか分からないことも多く、何かよりどころが欲しいと考えるのも無理はありません。
しかし、年商5000万円くらいからの成長を目指す中小企業では、コンサルタントの必要性は低いと言えます。
なぜならば、事業拡大のためのコンサルティング業務というものは、年商5000万円くらいの会社にはあまり役立たないものが多いからです。
中小企業全体の平均的な年商が1億4000万円くらいであることを考えると、年商5000万円くらいの会社は、まだまだ規模が小さいと言えます。
このため、コンサルタントに事業拡大の協力を仰いでも、コンサルタントが一般的に手掛ける事業拡大のためのアイデアが適していないことがよくあります。
年商5000万円の会社における経営資源(ヒト・モノ・カネ)では、コンサルタントのアイデアを十分に活用できないことが多いのです。
例えば、中小企業の事業拡大を手掛けるコンサルタントに協力を仰いだとして、そのコンサルタントが年商1億4000万円程度の平均的中小企業の事業拡大を基準に考える可能性は大いにあります。
そうなれば、規模の小さい会社の経営資源に適したアイデアやアドバイスは期待しにくいでしょう。
このように、コンサルタントのアイデアを受けて事業拡大を図ったものの、結局アイデアを実現することができずに徒労に終わってしまうことも多いです。
CFレッド
色々なリスクを伴う成長期では、このような無駄を省く必要があることは言うまでもないね。
経営資源に余裕がある会社では、年商5000万円規模の会社であるものの、コンサルタントを入れたいと考えることもあるかもしれません。
しかし、そのように持て余している経営資源は、コンサルタントのアイデアではなく経営者自身のアイデアに活かしていくべきでしょう。
売上の増加率は、増加に伴って鈍化していくものです。
- 年商1000万円から年商2000万円に伸ばして売上高増加率100%をマークする場合
- 年商1億円から年商2億円に伸ばして売上高増加率100%をマークする場合
とでは、当然ながら難易度は全く異なります。
コンサルタントの協力を仰ぐ必要があるのは、もっと会社の規模が大きくなり、経営者自身の取り組みだけでは成長が難しくなったときだと考えましょう。
【2】不適切な節税を避ける
次に注意点として挙げたいのは、間違った節税を避けるということです。
事業拡大のためには、必ず資金が必要となります。
手元資金を確保して資金ショートに備えるべきですし、必要に応じて銀行からスムーズに融資を引き出すことが求められます。
そのために重要なことが、きちんと納税するということです。
利益が出ているから納税しているのであり、手元資金は利益の中から確保していくものなのですから、手元資金を確保するにあたっては納税が前提となるのです。
さらに、利益が出ているからこそ納税しているという事実は、銀行も注目するところです。
きちんと納税している会社はきちんと利益を出している会社であり、利益の中からきちんと返済していくことができると考えるのです。
CFイエロー
納税しているからこそ、融資を受けられる可能性があるとも言えるわね。
このように、手元資金や融資によって資金繰りを図っていくにあたり、納税は必要なものと言えるのですが、これは理解している経営者と、理解していない経営者がはっきりと分かれるところでもあります。
理解している経営者は、上記のような当たり前の考え方を理解しているということです。
一方理解していない経営者は、会社は等しく節税するものだと考えたり、せっかく稼いだ利益を国に取られるのは馬鹿らしいと考えたりすることで、必要以上の節税に取り組んでしまいます。
納税の必要性を理解せず、節税をし過ぎてしまうことは、成長期の会社にとって非常に危険なことです。
手元資金を流出させて資金ショートの危険性が高まりますし、いざ資金難に陥って銀行に融資を依頼しても、融資が受けられない可能性が高くなるのです。
したがって、成長期の会社では、税金について正しく認識し、不適切な節税を避けることが大切になります。
仮に、経常利益率が4%の会社であれば、年商5000万円のうち得られる経常利益は200万円です。
このうち30%を納税する場合、納税額は60万円です。
すると、手元には140万円が残ることになります。
もし、60万円の納税を嫌って節税に取り組み、利益をほとんど計上せずに納税額もゼロにすれば、確かに60万円の納税は必要なくなります。
しかし、同時に手元に残るはずの140万円も消えてしまうことが分かります。
CFブルー
その結果、取引先からの入金が予定通りにいかない場合など、手元資金から対処しなければならないときに資金がショートすることとなるのです。
成長期であるかどうかにかかわらず、会社が安定した資金繰りを行うためには、手元資金が欠かせません。
税金を支払っても、手元資金を確保すべきなのです。
これが理解できていない経営者の多くは、
「利益が出ているから節税の必要があるのだ、ウチは儲かっている」
と考えていることが多いようですが、実際に手元資金がなくなっていることから考えれば、
「利益が出ているから節税した。しかしそれによって利益がなくなった。
本来は儲かっていたが、それをフイにした」
ということが分かると思います。
そのようなことにならないために、経営者が節税と資金繰りの関係をしっかりと理解すると同時に、税理士も適切に選ぶように心がけましょう。
能力の低い税理士を使っていると、過度な節税につながるアドバイスをされたり、銀行融資が受けられなくなる決算書を作られてしまうこともあります。
CFレッド
年商5000万円規模の会社が今後の成長を図るにあたっては、税理士選びも重要となるんだね。
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※サービス利用には事前にGMOあおぞらネット銀行の法人口座が必要です。
資金需要に備えて事前の口座開設をおすすめします。
【3】新規事業を人任せにしない
事業拡大を図る際には、業種によって色々な方針が考えられます。
工場の増設・新設や機械の導入などによって生産能力を上げ、既存事業での売上を伸ばしていく場合もあれば、全くの新規事業を展開する場合もあるでしょう。
既存事業によって事業拡大を図る場合に比べて、新規事業によって事業拡大を図る場合の方がリスクは大きいものです。
既存事業は、それまでの経験から、更なる取り組みによって売上拡大につながると判断したうえで取り組むことができます。
しかし、新規事業の場合には、それまでに積み上げた経験やデータから売上を期待するものではなく、期待した売上をもたらさない可能性もあります。
また、軌道に乗るまでに多くの時間を要する可能性もあります。
このため、新規事業の展開は充分な計画性をもって、なおかつ慎重に行う必要があるのですが、それにあたって注意したいのが人材の問題です。
新規事業に失敗するケースを見てみると、新規事業のために新たに人材を雇用しているケースがかなり多いのです。
新規事業には不安要素が多いため、能力的にその事業を任せられる従業員が自社にいない場合には、どこからか雇ってくるのが普通と考えるわけですが、それが間違いのもとです。
新規事業を軌道に乗せるということは、0から1にするということであり、1から2や3にしていくよりもはるかに難しいことです。
高い能力が求められるものであり、そのような高い能力を持つ人物はそうそう雇えるものではありません。
そのような能力を本当に持っている人物は、もっと大きな会社で要職に就いていたり、自分で起業したりするのが普通です。
人材を募集したとしても、そのような人物が年商5000万円規模の会社の一従業員として働いてくれる可能性は極めて低く、新規事業を任せられない人材を雇ってしまう可能性の方がはるかに高いのです。
このように、新規事業を展開する際には、人材を雇って任せてもうまくいかない可能性が非常に高いいです。
そのため、ある程度軌道に乗るまでは経営者が深く携わり、自社の有能な従業員をうまく使いながら取り組んでいく必要があります。
経営者があまり経験のない新規事業を始める場合、知識がない自分が取り組むよりも、知識のある人材を新規雇用したほうがいいと考えがちです。
しかし、経営者自身が勉強し、経営者自身が取り組み、軌道に乗せてから人材を雇って任せるという流れで進めなければならないのです。
新規事業の展開は難しいものです。
CFイエロー
年商5000万円レベルの会社では、人を雇って任せきりにしても成功するものではないと考えるべきね。
【4】任せられる仕事は任せてしまう
上記の通り、新規事業は人任せにすることなく、経営者自らが深くかかわって軌道に乗せていくことが重要です。
しかし、そのような余裕はないと考える人も多いことと思います。
基本的に、年商5000万円くらいの規模の会社は、それほど経営資源に余裕があるわけではなく、経営者が多忙を極めているのが普通です。
いくら、経営者自身が積極的に取り組んでいくといっても、それができないことも十分に考えられるのです。
そこで、経営者が新規事業に取り組み、軌道に乗せていくためには、経営者の時間を作っていく必要があります。
そのためには、経営者がこれまでかかわってきた仕事のうち、経営者が関わらなくてもよい仕事はどんどん人に任せていくことが重要です。
派遣社員やアルバイトに任せたり、アウトソーシングしたりすることで、経営者の時間を確保するのです。
新規事業に取り組むにあたり、多忙なまま取り組むのは無理があります。
多忙で考える時間もあまりない状況では、新規事業を成功に導くことは難しいものです。
多忙によって陣頭指揮を取れないとすれば、それも大きな問題となります。
CFブルー
人に任せることで人件費や外注費がかさんだとしても、必要経費だと考えるべきです。
それによって経営者の時間を確保し、新規事業に注力し、早期に軌道に乗せることができれば、
事業が失敗に終わったり、軌道に乗せるまでに時間がかかったりするよりもはるかに
コストパフォーマンスが良く、結果的に資金繰りに良い影響を与えることとなります。
もっとも、資金繰りとの兼ね合いをしっかりと考えながら進めていくことも重要です。
派遣社員やアルバイトに任せることで人件費が増えますし、アウトソーシングすることで外注費が増えることになります。
特に、アウトソーシングする場合には、自社でこなした場合と比べて利益が目減りするものです。
これにより、資金繰りが苦しくなる可能性があるため、現在の資金繰りで十分にカバーできるかどうかをしっかり確認する必要がありますし、カバーできなければ事前に融資を受けておく必要があります。
新規事業を展開するにあたり、経営者の時間を作るために仕事を委任したところ、
しばらくしてから資金繰りが厳しくなり、その時点では銀行融資も受けられず、八方ふさがりになってしまった・・・
CFレッド
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【5】人材を採用する時期をよく考える
新規事業を軌道に乗せるべく経営者自らが取り組み、そのためには仕事を人任せにすることも大切です。
ここまで読めば分かると思いますが、新規事業に新しい人材を雇うことになるのは、新規事業がある程度軌道に乗ってからということになります。
軌道に乗るまでの間、人手不足になるのではないかと心配するかもしれませんが、その点は問題ありません。
既存事業から新規事業に労働力を回せば、既存事業で人手不足になる可能性がありますが、そこはアウトソーシングや非正規雇用によって補えばよいのです。
むしろ、新規事業のための人材を募集しないことによって、もし新規事業が頓挫した場合のリスクを抑えることにもつながります。
新規事業のために新しい人材を正規雇用してしまうと、事業が失敗に終わった際に非常に厄介なことになります。
CFイエロー
正規雇用の人材は、必要なくなったからといって簡単に解雇できるものではないわ。
これに対し、既存事業の労働力を非正規雇用で補っている場合には、雇用契約の際に定めた期間を過ぎれば、更新しないことによって解雇することが可能であるため、事業の進捗に応じた人員の調整が容易になります。
また、新規に雇用した人材を教育するのには時間がかかるものですから、その意味でも新規雇用が会社に与える影響は無視できないものと言えます。
新規事業のために
- 人材を雇う
- 人件費を負担して教育も施す
- 事業が失敗した場合には解雇も難しい
となれば、マイナスの影響は非常に大きいものとなります。
年商5000万円規模の会社では、雇用が経営に与える影響は大きいことを考えるべきです。
このことを踏まえ、新規事業がある程度軌道に乗った後に人材を雇うわけですが、このときには税理士に相談するなどして、採用のタイミングをよく考える必要があります。
成長期の会社をサポートした経験が豊富な税理士ならば、人材雇用が資金繰りに与える負担が軽くなるようにアドバイスしてくれるものです。
そのような税理士は、例えば新規雇用の際に利用できる助成金を案内してくれることがあります。
CFブルー
助成金について何も知らずに雇用するのと、助成金を利用して雇用するのとでは大違いだね。
雇用関係に詳しく、助成金を案内できるくらいの税理士ならば、その他にも有益なサポートが期待できます。
まずは、現時点で相談している税理士に相談してみるのが良いでしょう。
その税理士が雇用関係に弱かったとしても、税理士業界は横のつながりが非常に強い業界ですから、他の税理士の紹介を受けられる可能性があります。
【6】借入は積極的に
ここまでお話しする中で、必要に応じて銀行から融資を受けるべきだと書いてきました。
この点も、理解している経営者と理解していない経営者がはっきりと分かれるところです。
事業のためにはお金が必要であり、お金を得るためには売上を増やすことが重要です。
無理な節税をやめることによってもお金を確保することができますが、そこには限界があります。
200万円の利益がある会社で、節税をやめて60万円の税金をしっかりと支払うならば、140万円を手元資金として確保することができます。
しかし、節税を見直すことによって確保できる資金はそれが限界であり、もっと増やしていくためには売上増加が欠かせないのです。
しかし、既存事業を拡大するにせよ、新規事業を展開するにせよ、先立つものはお金です。
売上拡大のためには、設備投資その他が必要となることから、まとまったお金が必要となります。
これを、自己資金だけでカバーすることは難しいでしょうし、仮にカバーできるとしても全額を自己資金でカバーするのは好ましくありません。
自己資金で全額カバーすれば、手元資金は大きく目減りし、資金ショートのリスクが高まります。
また、事業拡大が計画通りに進まないことも十分に考えられるため、計画が長期化した場合、自己資金で賄えなくなって失敗に終わったり、長期化の末に資金ショートに至るという可能性もあります。
事業拡大が上手くいく保証はどこにもないのですが、上手くいかなかったからといって倒産するわけにはいきません。
特殊なケースを除いて、事業拡大とはそのような乾坤一擲の勝負を仕掛けるものではないのです。
CFレッド
そこで、失敗した際にも倒産しなくて済むように、銀行から融資を受けて事業拡大に取り組むべきだね。
融資を受けて事業拡大に臨み、手元資金はしっかりと確保しておくならば、事業に失敗したとしても即倒産することはなく、手元資金によって延命を図ることができます。
その手元資金をきっかけに体制を立て直し、再びチャンスをうかがうことも可能です。
また、事業拡大によって年商を伸ばしていけば、成長に伴って資金需要は徐々に大きくなっていくものです。
年商5000万円の時よりも、年商6000万円、7000万円と事業規模が大きくなってからの方が資金需要は高くなります。
年商5000万円時代の事業拡大で融資を受け、失敗の際のリスクをヘッジしながらしっかりと返済していきます。
そうすれば、事業が拡大してもっと大きな資金需要が発生した時、それまでに築いた信頼によって、融資を引き出しやすくなります。
CFイエロー
借金はできるだけしない方がいいと考える人も少なくないわよね。
確かに、個人における借金はできるだけしない方がいいかもしれませんが、会社における借金はどしどし活用していくべきです。
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まとめ
中小企業が成長期に突入するときには、それまでの経営ではあまり意識する必要のなかった、大きなリスクを抱えながら成長を期することになります。
特に、成長期以前と成長期以降では、事業拡大に伴う資金ショートのリスクが大きくなるため、計画的な資金繰りをしていく必要があります。
成長期の中小企業ならではのポイントを学ぶことで、リスクを低く抑えながら事業拡大を図ってほしいと思います。
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